2021年5月7日 基礎知識

プロパー融資とは?金利の特徴とメリット・デメリットを解説

プロパー融資とは「金融機関からの直接融資」を指し、主に銀行からの融資に使われることが多いようです。

銀行からの融資は大きく2つにわけることができ、
・プロパー融資
・信用保証協会による保証付き融資

があります。

一般的に、中小企業であれば、銀行から融資を受ける際には信用保証協会による保証付きの融資を受けるケースが多いでしょう。
もし返済が滞って貸し倒れになった場合、信用保証協会が弁済してくれるので、銀行としても貸しやすいからです。

それに対してプロパー融資は、貸し倒れリスクを銀行自身が負うため、信用度の高い企業しか受けられません。
そのため審査は厳しいですが、金利は比較的低く、融資限度額がないなどさまざまなメリットがあります。

この記事では、そんなプロパー融資について、知っておきたい知識や情報を網羅しました。

などについて、わかりやすく解説しています。
最後まで読めば、プロパー融資について必要なことがすべてわかるはずです。
この記事を踏まえて、あなたの会社が銀行からプロパー融資を受けられるようになることを願っています。

1. プロパー融資とは?

まず最初に、「プロパー融資とは何か」を明示しておく必要があるでしょう。
ひと言でいえばプロパー融資とは、「銀行からの直接融資」を指す言葉です。

詳しく説明しましょう。

そもそも「プロパー(proper)」という語は、「適切な、正確な、本来の意味での」という意味を持っています。
たとえば正社員を「プロパー社員」と呼んだり、値下げしない定価を「プロパー価格」と言ったりします。
「プロパー融資」もこの意味で、銀行による正規の融資を表わしています。

そして、銀行の融資には大きく分けて、
・銀行が直接融資をするプロパー融資
・信用保証協会による保証付きの融資

の2つがあるのです。

それぞれのしくみを図式化したので見てください。

この2つの違いについて、次章でくわしく説明していきましょう。

2. プロパー融資と保証付き融資との違い

プロパー融資は、銀行からの直接融資という意味でした。
では、もうひとつの融資、「信用保証協会による保証付きの融資」とは何でしょうか?

プロパー融資とはどう違うのでしょうか?
両者の違いを説明していきましょう。

2-1. 融資のしくみの違い

まず、融資のしくみが異なります。
以下の図を見てください。

プロパー融資は、企業が銀行から直接借り入れをして、返済します。
この場合、もし企業が返済できなくなったら、銀行は残債分を損することになります。
これを「貸し倒れ」といいます。

それに対して信用保証協会の保証付き融資では、企業は信用保証協会に保証料を払って保証してもらい、銀行から融資を受けます。
返済も銀行に対して直接しますが、もし返済できなくなってしまった場合には、信用保証協会が残債の80~100%を銀行に対してかわりに支払ってくれます
これを「代位弁済」と呼んでいます。

代位弁済を受けた場合、企業はそれ以降、銀行ではなく信用保証協会に残債を返済していくことになります。
これがプロパー融資との違いです。

2-2. 借りやすさの違い

プロパー融資と信用保証協会の保証付き融資を比較すると、保証付き融資のほうがだんぜん借りやすくなっています。

というのも、企業が融資を受ける前には、金融機関からの審査を受けますが、銀行のプロパー融資の審査はとても厳しいからです。

銀行が直接融資した場合、もし企業が返済できなくなってしまえば、銀行は貸し倒れとして損失を被ることになります。
銀行としては、信用できる企業か、もしくは担保や保証があって貸し倒れリスクを回避できる企業でなければ貸したくないわけで、おのずと審査が厳しくなります。

そのため、中小企業など信用度があまり高くない企業は、審査に通らず融資を受けられない場合もあります。
が、信用保証協会の保証がつけば、もし返済できなくなっても信用保証協会が弁済してくれるので、銀行としては貸し倒れリスクを回避できます
そこで、「プロパー融資はできないが、保証がつけば融資OK」というケースが出てくるのです。

実際には、中小企業ではプロパー融資よりも保証付き融資をうける企業のほうが多数を占めます。
逆に、プロパー融資を受けられる企業は、銀行からの信用度が高い優良企業といえるでしょう。

2-3. 金利の違い

金利については、プロパー融資のほうが低く、保証付き融資は高くなっています。
これも信用度の問題で、金利は信用度が高い企業ほど低く、信用度が下がると金利も高くなる傾向があるためです。

プロパー融資が受けられる企業は信用度が高いため、低金利で融資してもらえるわけです。
信用保証協会の保証付き融資も、ノンバンクなどの融資に比べれば金利は低いですが、プロパー融資よりは高くなっています。

2-4. 融資限度額の違い

融資を受けられる限度額も異なります。

プロパー融資は銀行が「この金額まで貸してもこの企業なら返済できる」と判断した金額が融資限度額になります。
逆に言えば上限はなく、銀行が許せばいくらでも借りられます。

一方で、信用保証協会の保証付き融資には上限があり、無担保だと8,000万円、担保があれば2億8,000万円と決められています。
これ以上借りたい、という場合は、プロパー融資を受ける必要があるでしょう。

ほかにもプロパー融資と信用保証協会の保証付き融資にはいろいろなちがいがあります。
以下の表にまとめましたので、融資を受ける際には確認してください。

 プロパー融資信用保証協会の保証付融資
融資利率保証付き融資より低いプロパー融資より高め
審査の厳しさ厳しいプロパー融資よりは厳しくない
融資限度額上限なし無担保の場合は8,000万円まで
担保があれば2億8,000万円まで
融資までの期間銀行の審査のみなので短め銀行・信用保証協会両方の審査があるため長め
利子や費用銀行への利子のみ・銀行への利子
・信用保証協会への保証料:年率0.45〜2.20%
融資対象・大企業や中堅企業がメイン
・創業から3期未満の企業は融資を受けづらい
・中小企業や小規模事業者
・ベンチャー企業や創業企業もOK
・業種により企業規模の規定あり
→「全国信用保証協会連合会」HP参照http://www.zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/riyojoken.html
※大企業や中堅企業は利用不可
申し込み方法銀行に直接申し込む・銀行に申し込む
・信用保証協会に申し込む
のどちらか

3. プロパー融資のメリット

プロパー融資の特徴はよくわかったでしょう。
では、銀行からプロパー融資を受けるメリットとは何でしょうか?
企業にとっての利点は主に5つ挙げられますので、以下に説明していきましょう。

3-1. 金利が低い

まず第一に、保証付き融資に比べて金利が低いというのは大きなメリットです。

なぜプロパー融資の金利が低くできるかは、前述したように信用度が高い企業にしか貸さないからです。
金利は一般的に、信用度が高ければ高く、低ければ低く設定されるため、プロパー融資の審査に通るような優良企業であれば、低金利の融資を受けられるのです。

3-2. 融資限度額がない

次に、プロパー融資には限度額がないのもメリットです。
もちろん審査は必要ですが、経営状態が優良で、融資額の使い道や返済計画が銀行にとって納得できるものであれば、原則としていくらまででも借り入れることができます。

事業を拡大したり、大規模なプロジェクトを立ち上げたりする際には、多額の資金が必要になります。
そんな場合でも、プロパー融資なら全額貸してもらえる可能性があるのです。

3-3. 信用力が上がる

また、プロパー融資を受けられるというだけで、企業の信用度はぐっと上がります

というのも前述したように、プロパー融資は銀行が貸し倒れリスクを負わねばならず、融資審査がおのずと厳しくなるからです。
厳しい審査を通って銀行と直接取引ができる、イコール信用度の高い優良企業だというわけです。

取引先の企業ともいい条件で契約できるでしょうし、他の金融機関で融資を受ける際にも「〇〇銀行のプロパー融資を受けている」と伝えれば、審査に有利に働くでしょう。

3-4. 保証料がかからない

信用保証協会の保証を受けるには、保証料を支払う必要があります。
融資を受ける金額の0.45~2.20%ですが、融資額が大きければ保証料もばかになりません。

それに対してプロパー融資なら、銀行との直接取引なので保証料は必要ないというのもメリットです。

3-5. 審査日数が短い

プロパー融資は、銀行融資の中でも審査日数が短いという利点もあります。
一般的には無担保の場合で2~3週間、担保があれば1か月程度で結果が出ます。
担保がある場合は、担保の評価をしなければならないので、審査期間が長めになります。
また、すでに取引のある優良企業の場合は、1~2週間で審査が終わるケースもあるようです。

一方の信用保証付き融資の場合は、おおむね1か月~1か月半程度と、プロパー融資より時間がかかります。
これは、銀行だけでなく信用保証協会も審査を行うためです。

企業が融資を申し込む際には、「急ぎで資金が必要」という場合も多いものです。
そうなると、早めに借りられるプロパー融資のほうがありがたいと言えるでしょう。

4. プロパー融資のデメリット

反対に、プロパー融資にはデメリットもあります。
以下の点はよく考慮してください。

4-1. 審査が厳しい

プロパー融資最大のデメリットは、審査の厳しさです。

というのも、何度もいうようにプロパー融資は銀行が貸し倒れリスクを負わなければなりません。
そのため、融資を申し込んできた企業がきちんと返済することができるかどうか、経営状態や事業計画、返済計画などを提出してもらってシビアに見極める必要があるのです。

経営状態が不安定な中小企業や、創業間もない若い企業などは、審査に落ちてしまう恐れもあるのです。

4-2. 返済期間が短くなりがち

また、貸し倒れリスクを避けるという意味では、返済期間も短く設定されがちです。
もし長期に設定したとして、返済期間中に何らかの事情でその企業の経営状態が悪化する可能性もあるからです。
これについては、信用保証協会の保証付き融資のほうが長期の借り入れに対応してくれるというメリットを持っています。

ただ、その企業が銀行との取引が長く、今まで受けた融資を順調に返済するなど信頼関係が築けている場合は、プロパー融資でも長期返済にできる可能性があります。
そのためにも、銀行とは日ごろから付き合いを深めておくといいでしょう。

5. プロパー融資の金利相場

2章では、プロパー融資は金利が低めだと説明しました。
では具体的に、何%くらいが相場なのでしょうか?

保証付き融資の場合、おおむね1.5~3.0%程度の金利ですが、プロパー融資なら1~3%程度と言われています。

融資を受ける企業の経営状態や、事業計画、返済計画などをもとに、貸し倒れリスクが低いと判断されれば、金利は低くできる傾向があります。 なるべく低い金利で借り入れるには、これらの信用度を高める努力が必要です。

最近では、1%以下の超低金利で融資してもらえるケースもあるようですので、銀行に相談してみましょう。

6. プロパー融資が受けられるならぜひ受けよう!

ここまでプロパー融資のメリットとデメリットを挙げました。
それらを比較すると、プロパー融資は「審査に通るならぜひ受けたい」ものだと言っていいでしょう。

金利は低く、融資限度額がなく、保証料も必要ありません。
審査日数が短く、早期に借り入れができます。
そして何より、銀行から直接融資を受けられるほど経営状態がいいということの保証となるため、他の金融機関や取引先に対しても信用度が上がるという大きなメリットがあります。

返済期間が短いというデメリットはありますが、それも経営状態が優良であれば返済できるでしょうし、銀行との取引を重ねれば、そのうち長期融資を受けられるようになる可能性もあります。

プロパー融資を受けられるのであれば、ぜひ受けてみましょう。

7. プロパー融資の審査基準

前述したように、プロパー融資は審査が厳しくなっています。
では、その審査基準はどんなものでしょうか?
銀行ごとに異なりますが、一般的に「ここを見られる」と言われているポイントを挙げておきましょう。

7-1. 損益計算書

まず、損益計算書を見られます。
チェックされるのは、
・直近が黒字であること
・赤字がないこと

です。

7-2. 貸借対照表

次に、貸借対照表も重要です。
創業時よりも現在のほうが資本が増えていれば、プラス評価になります。

7-3. 融資希望額

融資希望額と、その使い道も重視されます。
経営状態に対して 希望額が適切か、必要以上に多くないかを見られます。
もし不要に多ければ、「申告している使用目的(運転資金など)だけでなく、他の金融機関への支払や、赤字補填などに使われるのではないか」と疑われてマイナス要素になります。

7-4. 返済計画

収支を踏まえて、どのように返済していくのか、返済計画も大切です。
銀行側は、貸し倒れリスクを負うわけですから、 無理なく返済できるかどうかをチェックされます。

プロパー融資を受けたいなら、これら審査基準を満たすような経営を心掛けましょう。

8. プロパー融資を受けるポイント5つ

ぜひ受けてみたいプロパー融資ですが、では審査に通って融資を受けられるようになるためにはどうすればいいのでしょうか? そのためには5つのポイントがありますので、紹介していきましょう。

8-1. キャッシュフローをひとつの口座にまとめる

まず、プロパー融資を受けたい銀行の口座に、キャッシュフローを集約させましょう。
事業に関して発生する入金や支払には、なるべくその口座を使うのです。

そうすることで、その銀行をメインバンクとして取引の実績を積むことができます。
また銀行側としては、資金の動きを通して経営の健全性や安定性を知ることができ、信頼関係を深めていくことにつながるはずです。

8-2. 保証付融資を受けて取引と返済の実績を作る

次に、いきなりプロパー融資を申し込むのではなく、まずは信用保証協会による保証付きの融資を受けましょう
それを着実に返済することで、銀行からの信頼を積み重ねていくのです。

これを何回か繰り返して返済実績ができれば、プロパー融資を受けられる可能性も高まるでしょう。

8-3. 売り上げ・利益を伸ばす

それと同時に、売上を伸ばして利益を上げることももちろん必要です。
銀行からの信用を得るためには、企業としての成長性、優良性を高めることこそが重要だからです。

保証付き融資を受けながら売上を延ばすことができれば、「融資金を有効に活かして事業を成長させることができる企業」だと判断されます。
次からの融資も受けやすくなるでしょう。

8-4. 決算書・事業計画書を見直す

融資の審査には、決算書や事業計画書の内容が大きく影響します。
そこでこれらの書類を見直し、マイナス材料がないように改善しましょう。

利益を増やすのはもちろん、不良在庫があれば処分する、不要な経費は削減するなどの対策もとる必要があるでしょう。

8-5. 融資が得意な税理士に相談する

また、決算書や事業計画書の見直しにあたっては、融資を得意とする税理士に相談するといいでしょう。
「すでに税理士には相談している」という企業がほとんどでしょうが、実は税理士にも得意分野があります。

融資に精通している税理士もいれば、あまりくわしくない人もいるのです。

融資に詳しい税理士であれば、銀行に信頼され融資審査に通るにはどんな書類をつくればいいか、何に注意すればいいかなど、的確なコンサルティングをしてくれるはずです。

9. プロパー融資の申し込みに必要な書類

まざまな努力の末、銀行から「プロパー融資を受けませんか」と打診されれば、いよいよプロパー融資を申し込むことができます。
では、いざそのときになったらどんな書類を揃えればいいのでしょうか?

プロパー融資の申し込みに必要な書類は銀行ごとに異なりますが、おおむね以下のようなものを求められることが多いようです。

1)商業登記簿謄本:会社の登記簿謄本
2)決算報告書:1年間の事業の収支をまとめた書類各種
        貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書株主資本等変動計算書など
3)貸借対照表:決算書のうち、特に求められるもののひとつ
        決算日時点での資産残高と負債残高を並べたもの
4)月次試算表:決算書を月ごとに試算したもの
5)事業計画書:会社概要、事業内容、経営方針などを記載したもの
6)資金繰り表:今後予測される収入と支出の一覧表
7)銀行取引一覧表:取引のある銀行ごとに借り入れ、預金などをまとめた一覧表
8)納税証明書:税金の未納がないことを証明する書類、税務署で発行される
9)借入申込書:各銀行指定の申込書式

これらのうち、銀行から求められた書類を揃えて提出します。

銀行は、これらの書類をもとに融資の審査を行いますので、くれぐれも書き漏らしや虚偽の記載はないよう注意してください。

10. プロパー融資以外にもいい融資元はある

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プロパー融資についてよく理解すると、審査が厳しく融資のハードルが高いことがわかりますよね。

そうなると、「うちは中小企業だから、プロパー融資は無理だろう」「まだ創業間もないので、プロパー融資はあきらめて、金利の高いノンバンクで借りるしかないのか」とがっかりしてしまう経営者の方も多いのではないでしょうか。

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11. まとめ

いかがでしたか? プロパー融資について知りたいことがわかったかと思います。

プロパー融資とは、「銀行からの直接融資」

プロパー融資のメリットは、
 ・金利が低い
 ・融資限度額がない
 ・信用力が上がる
 ・保証料がかからない
 ・審査日数が短い

プロパー融資のデメリットは、
 ・審査が厳しい
 ・返済期間が短くなりがち

この記事を踏まえて、あなたの会社がプロパー融資を受けられるか、受けられなくても「資金調達freee」でいい融資元を見つけられるよう願っています。

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