焼肉屋の開業に必要な準備・資格とは|成功するための6つのポイントと資金調達方法

日本人には焼肉が好きな人が多く、客単価も高いことから「焼肉屋を開業してみたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。焼肉屋で成功するためには、開業前の計画と準備が必要です。本記事では、焼肉屋の開業にあたって押さえておきたいポイント、必要な資格・届出、資金調達方法を紹介します。
焼肉屋の開業にあたって押さえておくべきポイント

焼肉屋の開業にあたって、押さえておきたい6つのポイントを紹介します。どのポイントも焼肉屋を成功させるために必要な要素です。取り組んでいない項目がないかを確認しつつ、開業準備を進めていきましょう。
コンセプトを決める
焼肉屋を開業する準備段階で、まず決めたいのがコンセプトです。一口に焼肉屋といっても、以下のように様々な焼肉屋が存在します。
- 希少な部位を取り揃えている焼肉屋
- 一人焼肉ができるカウンターだけの焼肉屋
- 学生やファミリー層向けの価格が安い焼肉屋
競合が激しい焼肉業界で売上を上げていくためには、他店との差別化ポイントを作っていかなければいけません。コンセプトを明確にし、お店の良さを伝える必要があります。
競合調査を行う
開業準備では、顧客ニーズや競合店の調査を行うことも大切なポイントです。複数の焼肉屋を訪れて、内外装の雰囲気やメニュー構成などから共通点や独自性を分析するようにしましょう。これらの点を分析しながら「自分のお店だったらどうするか」を考えていくと、お店のイメージがより具体的になっていきます。
肉の品質・メニュー構成を考える
焼肉屋にとって、肉の品質と価格のバランスは極めて重要です。肉の良し悪しは、来客数に大きく影響します。素材が良ければリピートにつながりやすくなりますが、逆に品質が悪いと、最悪の場合はお店の評判を悪くしかねません。とはいえ、価格が高すぎるとターゲット層が狭まるため、慎重に考える必要があります。
また、良い肉を安く仕入れるためには、肉の目利きや知識を身に付けなければいけません。肉の知識を学ぶ方法は以下の方法があります。
- インターネットや本で学ぶ
- 食肉センターに行く
- 牧場へ見学に行く
- 知り合いの卸売業者の話を聞く
このほか、お酒やその他サイドメニューを充実させることもポイントの一つです。サイドメニューには、以下のメリットがあります。
- 全体の原価率を抑える
- 幅広い客層の集客
- 顧客満足度の向上
- 他店との差別化
地域のターゲット層に応じてメニューを追加したりなど工夫が必要です。
仕入先を確保する
焼肉屋を開業する上では、仕入先の選定も重要です。良質な肉、鮮度のいい肉を提供するためにも適切な仕入先を選ぶ必要があります。仕入方法は、卸売業者から仕入れるのが一般的です。具体的には以下の方法があります。
- 知人の取引先を紹介してもらう
- インターネットで卸売業者を探す
- 肉専門の業務用スーパーを探す
- 生産者から直接仕入れる
可能であれば、開業前に卸売業者とのつながりを作っておくことをおすすめします。日頃からコミュニケーションを取って信頼関係を築いておけば、良質な肉や希少部位を提案してくれることも期待できます。
立地を調べる
商売は、お客様が足を運んでくれて初めて成り立つものです。そのため、立地選びはとても重要です。立地選びのコツは、コンセプトやターゲットに合わせて選ぶことです。
例えば、高級焼肉屋がコンセプトの場合は、富裕層が多く住む住宅街の近くに出店するというように検討していきます。しかし、実際の地域の雰囲気はデータだけではわからないものです。出店候補地には自ら赴き、街の様子を確認しておきましょう。
集客対策を立てる
立地も大事ですが、お店の認知度を高めるための集客対策も忘れてはいけません。開業時は、メディアや知人、開業するお店の近隣の方々から注目されやすいタイミングなので、開業前からしっかり集客準備を行います。
集客方法は、インターネットを使ったデジタル手法や、チラシのポスティングといったアナログ手法など様々です。ターゲットに合わせて、適切な集客対策を実施していくようにしましょう。
以下に代表的な集客方法をまとめましたので、参考にしてください。
- ホームページの作成
- ポータルサイトへの掲載
- Googleマイビジネスの登録
- プレスリリースの配信
- リスティング広告
- InstagramなどのSNSの開設・情報の発信
- ポスティングや新聞折込み
焼肉屋の開業に必要な資格と届出

焼肉屋を開業するには、事前に資格を取得したり、届出を提出したりする必要があります。事業の規模によっても必要になる資格・届出は異なるので、事前に確認して漏れなく行いましょう。
食品衛生責任者
食品衛生責任者は、正しい衛生管理知識を持って店舗を管理していることの証明になります。飲食店を営むすべての事業者は、店舗ごとに食品衛生責任者を設置しなければいけません。
食品衛生責任者の資格は、各都道府県の食品衛生協会が実施している食品衛生責任者講習会を受講して取得します。講習会は定期的に行っています。ホームページで日程を確認できるので、時間を作って講習を受けましょう。下記リンクは東京都の食品衛生協会のホームページです。該当の方は参考にしてください。
参照:食品衛生責任者会場集合型養成講習会|一般社団法人東京都食品衛生協会
飲食店営業許可
飲食店営業許可とは、飲食店を開業するにあたって必要な許可です。食品衛生責任者を取得した後、保健所に営業許可を申請しなければいけません。保健所に許可を受けるには、以下の手順を踏む必要があります。
- 保健所に事前相談する
- 営業許可申請書を出す
- 保健所の施設検査
- 営業許可書の交付
営業許可を取るためには、保健所の施設審査を受けなければいけません。設備等に不備があった場合は日数がかかることもあるため、営業許可の申請は余裕をもって行うようにします。店舗が完成する2〜3週間前を目安に提出するとよいでしょう。
以下に飲食店営業許可の詳細をまとめましたので、参考にしてください。
届出期間 | 店舗が完成する2~3週間前までが目安※ただし、不備があった場合は日数を要するので注意。 |
届出先 | 店舗所在地管轄の保健所 |
必要書類 | ・営業許可申請書 ・店内レイアウト図 ・食品衛生責任者の資格証明書 ・申請料16,000〜19,000円 ※営業形態や地域、保健所によって異なります。 |
防火管理者
店舗の収容人数(店員を含める)が30人超える飲食店を営業する場合は、防火管理者の資格が必要です。
防火管理者を取得するには、都道府県知事や消防長などが行う講習会を受けます。防火管理者は、店舗の延べ面積によって2種類の資格に分かれています。
- 甲種:延べ床面積300㎡以上の場合
- 乙種:延べ床面積300㎡未満の場合
それぞれの講習時間は、甲種が2日間、乙種が1日です。申込方法は、一般財団法人日本防火協会のホームページで申込用紙をダウンロードして、FAXもしくはインターネットにて申し込みます。受講料5,000〜7,000円と、各地域や受講年度によって異なるため、事前に確認しましょう。
また、防火管理者を取得した場合、消防署に「防火管理者選任届出書」を提出する必要があります。
焼肉屋の開業資金はどれくらい?

焼肉屋の開業に必要な資金は、設備資金と運転資金の2つに分かれます。設備資金には店舗を構える際にかかる物件取得費や内装・外装工事費などがあります。運転資金は、店舗運営を続けていくために必要な資金です。それぞれの内訳と目安となる金額を見ていきます。
設備資金
設備資金として大きいのは、内装・外装工事費です。焼肉屋は煙対策が重要なため、ロースターの設置やダクト・給排気工事で高額の費用が発生します。
費用 | 金額 |
物件取得費 | 家賃の6ヶ月〜10ヶ月分 |
内装・外装工事費 | 600万円〜1,800万円 |
厨房機器 | 100万円〜 |
備品(食器、調理器具) | 10万円〜 |
宣伝広告費 | 5万円〜30万円 |
設備資金として大きいのは、内装・外装工事費です。焼肉屋は煙対策が重要なため、ロースターの設置やダクト・給排気工事で高額の費用が発生します。
運転資金
固定費は売上の有無に関わらず、毎月かかる費用です。運転資金の項目は以下の通りです。
- 賃貸料
- 水道光熱費
- 人件費
- 食材費
- 宣伝広告費
固定費は、店舗の規模や雇用するスタッフの数によって異なります。焼肉屋を開業してから軌道に乗るまでには一定の期間を要することが想定されるため、運転資金は余裕をもって用意しておくことが大切です。開業前に6ヶ月分の運転資金を用意しておくと、経営が安定しやすいとされています。
焼肉屋を開業するときの資金調達方法

ここでは、焼肉屋を開業する際の3つの資金調達方法を見ていきます。
日本政策金融公庫
これから開業する場合は、日本政策金融公庫が優先すべき資金調達先といえます。創業して間もない事業者は実績がないため、民間銀行の融資は難しいのが現状です。一方、日本政策金融公庫は政府系の金融機関であり、中小企業や小規模事業者に対して積極的に融資を行っています。
返済期間も10年(運転資金の場合は5〜7年)で設定することができるため、創業時の資金調達が厳しい事業者にとって、積極的に検討したい融資制度といえます。
補助金・助成金
国や自治体は事業を支援するための様々な制度を導入しており、補助金・助成金はその中の一つです。補助金・助成金は、政策目標に沿った事業を行う事業者に対して支給されるお金で、内容は国や自治体が抱える政策目標によって異なります。
例えば、IT導入の促進という政策目標を掲げた制度なら、IT導入をした事業者に対して導入にかかった費用の一部を補助してくれたりします。飲食店のIT導入では、POSレジ会計の導入や24時間受付可能なWeb予約システムなどが挙げられるでしょう。
補助金・助成金は返済不要であるため、開業時の経営リスクを抑えられます。募集要項をしっかりと確認し、事業にあった補助金・助成金を検討するようにしましょう。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、事業のアイデアやサービスをインターネット上でプレゼンして賛同者から資金を集める方法です。一口ごとの出資額は少なめですが、多くの人から賛同を得られれば、多額の資金を獲得することができます。
クラウドファンディングは、資金調達だけでなく、事業に対する市場の反応を検証する役割もあります。たとえ希望資金額に到達しなくても、より多く人々にお店の存在を周知されることにあり、宣伝効果にもなります。
「freee資金調達」で経営力をアップ

焼肉屋は老若男女問わず、幅広く好まれる飲食店の一つです。焼肉屋で成功するためには、開業前の準備と工夫が必要になります。コンセプトや仕入れ、メニューの決定など事前に決めておくべきことがあります。これから焼肉屋を開業したいと考えている人は、明確なコンセプトを決めた上で、計画性を持って準備を進めるようにしましょう。
また、経営を安定させるためには、開業資金を正確に計算することが大切です。経営者は必要な資金を把握し、必要に応じて適切な資金調達方法を検討していく経営力が求められます。しかし、初めての開業で、どのような資金調達方法が適しているかわからない場合もあるでしょう。
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