2022年7月31日 基礎知識

小さい飲食店の開業に必要な準備・資格とは|成功するためのポイントや資金調達方法

小さい飲食店の開業は費用を抑えられるメリットもあるため、開業に踏み出す事業者も少なくありません。しかし、小さい飲食店を成功させるためには、コンセプト作りや資金調達など事前の準備が必要になります。本記事では、小さい飲食店を開業するメリットを紹介するとともに、開業に必要な資格や届け出、資金、資金調達方法について紹介します。

小さい飲食店を開業するメリットとは?

人によって捉え方は変わりますが、小さい飲食店の規模は面積10〜15坪ほどが一般的な目安となります。お店の回転率などを考慮すると、1坪に対して2〜3席を配置するのが良いとされています。また、席をカウンターのみにするか、テーブルをつけるかによっても席数は変わります。

規模感を踏まえたところで、まずは小さい飲食店を開業する際の3つのメリットを見ていきます。

開業資金を抑えられる

小さい飲食店を開業するメリットの1つが、開業資金を抑えられることです。飲食店の開業資金では、物件取得費、内装工事費などまとまった資金が必要です。小さい飲食店は店舗の規模が小さいぶん、設備費用を抑えることができます。

固定費を抑えられる

とくに開業して間もない頃は、できるだけ固定費を抑えて運営していくことが経営を安定させるポイントになります。小さい飲食店であれば、開業後にかかる家賃や光熱費を抑えられます。また、小さい飲食店の場合、少人数でも運営することが可能なため人件費を抑えることも可能です。

お客様との距離が近い

小さい飲食店は、お客様との距離が近い点もメリットといえます。コミュニケーションが取りやすく、より良質なサービスを提供できるようになります。

良いサービスが提供できれば、一度来てくれたお客様がリピートしてくれる可能性も高くなります。常連客は、新規のお客様を紹介してくれたり、口コミやSNSでお店の評判を広めてくれたりします。常連客を増やすことで、安定した経営につなげやすくなります。

小さい飲食店を成功させるためのポイント

小さい飲食店を成功させるためには、いくつかのポイントを押さえたうえで準備を進めていく必要があります。ここでは、小さい飲食店を成功させるための2つのポイントを見ていきます。

コンセプト

飲食店を開業するにあたって、コンセプトは重要です。コンセプトとは、お店の「テーマ」や「方向性」です。「どんな人をターゲットとするのか」「何をどう売るのか」といった要素を具体的にした上で、お店のコンセプトを決めます。はじめにコンセプトを明確にすることで、お店の名前や内装、メニュー開発を決める際の判断軸となり、開業の準備をスムーズに進めやすくなります。

集客対策

飲食店の経営を成功させるには、お店の認知度を高めるための集客対策が必須です。どれだけ良いサービスを提供していたとしても、お客様が来てくれなければ、商売は成り立ちません。とくに開業時は、メディア・知人・開業するお店の近隣の方々から注目されやすいタイミングなので、開業前からしっかり集客準備を行いましょう。

集客方法には、インターネットを使ったデジタル手法やポスティングなどのアナログ手法があります。ターゲットに合わせて、適切な集客対策を実施していきます。

以下に代表的な集客方法をまとめました。参考にしてください。

  • ホームページの作成
  • ポータルサイトへの掲載
  • Googleマイビジネスの登録
  • プレスリリースの配信
  • リスティング広告
  • InstagramなどのSNSの開設
  • ポスティングや新聞折込み
  • 知人や友人への連絡

小さい飲食店の開業に必要な資格と届出

小さい飲食店を開業するには、資格の取得や届出の提出が必要です。飲食店の開業では、「食品衛生責任者」の取得が必須です。その他にも店舗の業態や規模に応じていくつかの資格や届出が必要になります。

食品衛生責任者

飲食店を開業するすべての事業者は、食品衛生責任者の資格を取得しなければいけません。食品衛生法第51条の「公衆衛生上必要な措置の基準」に基づき、1店舗に1名以上の食品衛生責任者を配置する決まりとなっています。お店に常駐する人が対象となるため、複数の店舗を運営する場合は、店舗ごとに食品衛生責任者が必要になります。

食品衛生責任者は、各都道府県の食品衛生協会が実施している食品衛生責任者講習会を受講することで取得が可能です。

なお、調理師、栄養士などの免許を持っている人は、食品衛生責任者講習会を受講することなく取得することができます。

防火管理者

防火管理者とは、多数の人が利用する建物などの防火管理や消火活動の責任者に必要な資格です。30人以上(従業員を含める)の収容人数を超える飲食店は取得しなければいけません。

防火管理者には、「甲種」と「乙種」のに種類があり、各市町村で実施される講習会を受けることで取得が可能です。講習会の会場や試験料は、地域によって異なります。詳細を知りたい場合は、自身が開業する地域の消防署に問い合わせましょう。

また、防火管理者を取得した場合は、消防署に「防火管理届出書」を提出する必要があります。

飲食店営業許可

飲食店を開業するにあたっては、飲食店営業許可が必要です。飲食店営業許可を取得するには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 食品衛生責任者を配置
  • 保健所の施設検査
  • 営業許可書の取得

営業許可を取るためには、保健所の施設審査を受けなければいけません。店舗が完成してから申請すると時間がかかってしまうので、店舗が完成する2週間〜3週間前を目安に提出します。開業する所在地の保健所に、所定の書類と合わせて提出するようにしましょう。

開業届

開業届は、飲食店を開業したことを税務署に知らせるための届出書です。

開業届と一緒に、青色申告承認申請書を合わせて提出することで、最大65万円の所得控除を受けれるなどのメリットがあります。提出期限は開業から1ヶ月以内ですので、ぜひ提出するようにしましょう。

深夜酒類提供飲食店営業の届出

午前0時から午前6時にかけて酒類の提供を行う場合は、「深夜酒類提供飲食店営業の届出」が必要です。飲食店営業許可を取得した後、深夜酒類提供飲食店営業開始の届出を警察署へ提出します。

小さい飲食店の開業資金はどれくらい?

小さい飲食店といっても、飲食店の種類や規模によって必要な開業資金は変わります。ここでは、10坪の小さな飲食店にかかる資金の内訳をまとめました。あくまで目安として参考にしてください。

費用 金額
物件取得費 家賃の6ヶ月〜10ヶ月分
内装・外装工事費 居抜き物件:200万円~スケルトン:500万円~
厨房機器 100万円〜
備品(食器、調理器具) 10万円〜20万円
宣伝広告費 5万円〜30万円

これら初期費用に加えて、運転資金が必要になります。運転資金には、以下の費用が含まれます。

  • 家賃
  • 光熱費
  • 人件費
  • 食材費
  • 宣伝広告費

開業してからすぐに売上が上がるとは限りません。仮に売上がゼロであっても、光熱費や人件費などの固定費は毎月かかります。そのため、当面の運転資金を用意しておくことが重要です。運転資金は、固定費の3ヶ月から6ヶ月分を用意しておくのが経営が安定する目安とされています。

小さい飲食店を開業するときの資金調達方法

自己資金だけで賄えない分は、外部からの資金調達を検討する必要があります。ここでは、小さい飲食店を開業する際に利用できる3つの資金調達方法を見ていきます。

日本政策金融公庫の創業融資

日本政策金融公庫は政府が出資している金融機関であり、中小企業や個人事業主に対して積極的に融資を行っています。資金調達というと銀行融資を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、創業して間もない事業者は実績がないため審査のハードルが高く、融資をしてくれる銀行は多くはありません。

日本政策金融公庫の創業融資制度では、創業前や創業して間もない事業者を対象としており、無担保・無保証人かつ低金利で受けれられるのがメリットです。

日本政策金融公庫の審査では、事業計画・自己資金比率・借入状況など様々な視点から可否が決まります。特に事業計画に関しては、提出する創業計画書から事業の実現性や継続性などが判断されます。

説得力のある事業計画とするためには、根拠のある数字を用いて、具体的かつ誰が見てもわかりやすい創業計画書を作成する必要があります。作成には時間と手間がかかりますが、創業計画書を作成することで事業者の思考整理と事業内容のブラッシュアップにもなります。事業を成功に導く上でも創業計画書は役立つので、入念に作成するようにしましょう。

補助金・助成金

補助金・助成金は国や地方自治体が管轄している制度で、返済不要の資金を受け取ることができます。様々なものが募集されているので、それぞれの目的や内容を把握し、自身の事業にマッチする補助金・助成金を見つける必要があります。

また、補助金・助成金に採択されるためには、応募要件を満たし、審査に通過しなければいけません。さらに、補助金・助成金は原則として後払いであることに留意する必要があります。受給するまで時間がかかるため、開業に必要な資金は自分で用意しなければいけません。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは。インターネットを通して不特定多数の人から資金を募る方法です。個人や小規模な店舗でも利用することができ、銀行融資に比べて資金調達のハードルが低い点がメリットです。プロジェクトに賛同してくれる人が多いほど、多額の資金を調達することできます。

また、資金調達だけでなく、動画や文章を通して店舗や商品、サービスの宣伝をすることができます。お店の認知度を広めることができ、集客対策にもなります。ただし、賛同者がいなければ資金を集められない点に注意してください。

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小さい飲食店に限らず、飲食店を成功させるためには事前の準備が重要です。飲食店のコンセプトを明確にした上で、戦略を練るなど準備を進めていく必要があります。また、業態によって必要な資格や届出が異なるので、しっかり調べた上で事前に取得しておきましょう。

小さい飲食店を開業するためには、開業資金と運転資金を用意する必要があります。飲食店の開業に必要な資金を把握した上で適切な資金調達方法を検討しておくと、開業をスムーズに進められます。

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  • ローン商品や給付金等の情報は、特に断りがない限り記事公開現在のものです。最新の情報は各金融機関のホームページや公式サイトでご確認ください。
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