ファクタリングとは|仕組みを図解!メリット・デメリット、即日利用や違法性について解説

中小企業や個人事業主が抱える資金繰りの課題に多く挙げられる「売掛金の回収」。この問題を解決できる方法として注目されているのが「ファクタリング」です。
ここでは、ファクタリングとはどのような仕組みなのか、図解とともにわかりやすく説明します。また、ファクタリングを利用するメリット・デメリットのほか、注意すべき違法性、ファクタリング会社の比較ポイント、審査・利用の流れまで紹介していきます。
目次
- ファクタリングとは
- ファクタリングの意味
- 売掛債権担保融資(ABL)との違い
- ファクタリングの種類・仕組み
- 買取型・保証型
- 2社間のファクタリングの仕組み
- 3社間のファクタリングの仕組み
- ファクタリングのメリット・デメリット
- ファクタリングのメリット
- ファクタリングのデメリット
- ファクタリングの違法性について
- ファクタリングに関係する法律
- 給料ファクタリングとは
- 違法の恐れがあるケースとは
- ファクタリング会社の比較ポイント
- 手数料
- 信頼性
- 入金スピード(即日入金の可否)
- 継続利用によるメリットがあるか
- ファクタリングの審査・利用の流れ
- ファクタリング会社による審査
- 契約~入金
- 資金繰り・資金調達をサポート
- 資金調達freee:複数の金融商品を簡単に比較・申込ができる
- まとめ

ファクタリングとは
ファクタリングは欧米から始まり、発展してきた歴史があります。日本でも資金調達手段の一つとしてニーズが高まり、急成長しているサービスです。
ファクタリングの意味
ファクタリングとは、売掛債権(売掛金・ファクタリング会社から手数料が差し引かれた売却代金が支払われる取手形)を買い取るサービスのこと。売掛金の回収期限前に現金化することが可能になるため、すぐにでも手元資金が必要な場合の資金調達手段として利用されています。
とくに中小企業や個人事業主の場合、売掛金の入金が遅れたり、貸倒れになったりした際に、資金繰りに多大な影響が出るケースが少なくありません。ファクタリングには売掛債権の買い取りのほか、保証をつけられるものもあり、取引先の事情で売掛金を回収できなかった場合に備えるという使い方もされています。
売掛債権担保融資(ABL)との違い
売掛債権をもとに資金調達する方法には、もうひとつ「売掛債権担保融資(ABL)」があります。ファクタリングが売掛債権を買い取ってもらう仕組みであるのに対し、ABLは売掛債権などの流動資産を担保にして融資を受けるという方法です。
ABLは担保融資のため、売掛債権が継続的に発生することが前提となり、金融機関または専門機関による担保価値の評価が行われます。ABLを利用する場合、債権を貸し手に譲渡する債権譲渡登記をするのが一般的で、この方法であれば、売掛先に知られずに済みます。ただし、ファクタリングと比較すると、融資までに時間がかかる点はデメリットといえるでしょう。
ファクタリングの種類・仕組み
ファクタリングには買取型と保証型のサービスがあり、それぞれに利用目的が異なります。また、買取型には2社間で行われるものと、3社間で行う仕組みとがあります。図解を用いながら説明します。
買取型・保証型
買取型と保証型の利用目的の違いや特徴は以下のとおりです。
利用目的・サービスの特徴 | |
---|---|
買取型 | ⦁ 売掛債権を早期に現金化したい場合に利用される ⦁ 売掛債権をファクタリング会社に売却し、手数料を差し引かれた金額を受け取る ⦁ 担保・保証人の必要がない |
保証型 | ⦁ 売掛先の信用面に不安がある、または倒産などによる貸倒リスクを低減したい場合などに利用される ⦁ 所定の保証料を支払うことで、売掛金の回収が不可能となった場合に保証会社から保証金を受け取れる ⦁ 保証会社が売掛先の信用力を調査し、保証金額が決まる |
2社間のファクタリングの仕組み

自社とファクタリング会社の2者間で行う、買取型のファクタリングです。早期に資金調達したい場合に多く利用されている方法で、次の①~④の流れで行います。
①売掛債権をファクタリング会社に売却する
②ファクタリング会社から、手数料が差し引かれた売却代金が支払われる>
③取引先から売掛金の支払いを受ける
④ファクタリング会社に支払う
この仕組みでは、取引先の合意を得るといった手続きは不要で、ファクタリングを利用していることを取引先に知られることは基本的にありません。早期に現金化できる点がメリットですが、手数料は高めに設定されていることが多くなっています。
3社間のファクタリングの仕組み

3社間のファクタリングは、自社とファクタリング会社、取引先の3社で行います。次の①~④のステップを踏みます。
①自社は取引先からファクタリングを行うことの承諾を得る。この段階で、すでに売掛金があることが必要
②自社とファクタリング会社とで売掛債権売却の契約をする>
③ファクタリング会社から手数料が差し引かれた売却代金が支払われる
④取引先は売掛金の支払期日にファクタリング会社に支払う
3社間ファクタリングでは、事前に取引先の承諾を得る点が2者間と大きく異なります。取引先に債権譲渡を知らせることになるため、場合によっては関係性に悪影響が出る可能性は否めませんが、一方では包み隠さずに透明性を担保するという考え方もあります。
3社間ファクタリングの大きなメリットは、手数料が低めに設定されていること、また、売掛金を自社で回収する必要がないという点です。ただし、手続きが増えるため、2社間ファクタリングに比べると、現金化に時間を要します。
ファクタリングのメリット・デメリット
ファクタリングを利用するメリット・デメリットを以下に整理しました。
ファクタリングのメリット
最短即日の資金調達スピード
ファクタリングは銀行融資などと比べて資金調達スピードが早く、最短で即日の現金化が可能なファクタリング会社もあります。これは審査にかかる時間が短いためです。
すぐに手元資金が必要な場合に役立てられる点は、ファクタリングの大きなメリットです。また、売掛金を回収するまでの期間が長く、キャッシュフローの悪化が予想される場合にも有効な手段といえます。
自社の信用情報には影響がない
ファクタリングは融資とは違って売掛債権の売買となるため、利用しても自社の信用情報として記録に残ることはありません。信用状況を守りたい中小企業や個人事業主にとっては、メリットのひとつといえるでしょう。
自社の財務状況によらず利用可能
ファクタリングで重視されるのは売掛先の与信です。これは、ファクタリング会社にとってのリスクが、売掛先の支払いに左右されるためです。仮に自社では赤字が続いていて財務状況が悪かったとしても、売掛先の信用力が高ければファクタリングを利用できる可能性は高いといえます。
取引先の倒産による売掛金未回収リスクを回避
ファクタリングを利用した場合、貸倒リスクはファクタリング会社に移ることになります。万が一、未回収の売掛金があるまま取引先が倒産した場合でも、リスクを背負わずに済む点はメリットといえるでしょう。
ファクタリングのデメリット
手数料が比較的高い
ファクタリングでは、比較的高い手数料を支払うことになります。2者間ファクタリングの手数料相場は10~30%、3社間ファクタリングでは1~10%が相場です。無計画に利用してしまうと、逆にキャッシュフローが悪化する可能性があるため、十分に注意する必要があります。
取引先との関係性が悪化する能性がある
3社間ファクタリングの場合、債権をファクタリング会社に譲渡することを売掛先に承諾してもらう必要があります。当然ながら、ファクタリングの利用を取引先に知られることになります。
場合によっては「資金繰り状況が悪化しているのでは?」など、取引先からの信用が落ちて関係性が悪化する可能性が考えられます。
ファクタリングの違法性について
需要が伸びるとともに、ファクタリングの市場は加速度的に広がっています。しかし、違法行為やファクタリングを装った貸付を行う業者も増えていることから、金融庁では注意を促しています。ここでは、ファクタリングの違法性について説明します。
ファクタリングに関係する法律
2社間ファクタリングの場合、ファクタリング会社への債権譲渡をともなわないため(自社に債権がある状態)、自社とファクタリング会社との合意のみで契約できる売買契約となります。法律上は民法第555条「売買契約」が適用されます。
一方の3社間ファクタリングでは、売掛先の承諾を得たうえで債権の譲渡が行われます。法的根拠となるのは、民法第466条「債権の譲渡性」と民法第467条「指名債権の譲渡の対抗要件」です。
「債権の譲渡性」において、譲渡人(自社)と譲受人(ファクタリング会社)との合意のみによって債権譲渡ができます。ただし、民法第467条により、譲受人(ファクタリング会社)が債権者となったことの有効性を示すためには、売掛先である債務者への通知または承諾を得るという手続きが必要となります。
この手続きをとることで、売掛先は誰に対して支払わなければならないのかが明確になります。
給料ファクタリングとは
給料ファクタリングとは、労働者である個人が受け取る予定の給料(賃金債権)をファクタリング業者に売却し、給料日前に現金化するというもの。給料ファクタリングと称されていますが、これは貸金業に該当します。
貸金業の登録をしていないヤミ金融業者が給料ファクタリングとうたい、高額な手数料を請求したり、悪質な取り立てを行ったりする被害が報告されており、金融庁でも注意喚起をしています。十分に注意してください。
参照:金融庁|ファクタリングに関する注意喚起
https://www.fsa.go.jp/user/factoring.html#02
違法の恐れがあるケースとは
ファクタリングのニーズを逆手にとった悪質な勧誘により、被害を受けているケースが見られます。違法性が疑われる事例を見ていきましょう。
ファクタリングをうたった高利貸し
ファクタリングのように見せかけ、売掛債権を担保にして高利貸しを行っているケースです。実際に、法定金利を超える高額な利息を請求されるといった被害が報告されています。ファクタリングは貸金業ではないため、貸付により利息を請求することはできません。契約書に「売買契約(債権譲渡契約)」であることが定められているか、しっかり確認しましょう。
貸金業に該当する恐れがある取引
ファクタリングの中に、貸金業に該当する取引が含まれていないか注意する必要があります。
たとえば、ファクタリング会社が債権を回収できなかった場合に代金を減額される、利用会社の支払いが遅延した場合に利息を請求するなど、ファクタリング会社が債権回収のリスクをほぼ負っていない場合、貸金業と同様の行為をしているとみなされた判例があります。
貸金業の登録をしていない業者がファクタリングと称して貸付を行った場合は、違法となります。
ファクタリング会社の比較ポイント
トラブルを避けるためにも、ファクタリング会社を選ぶ際は慎重に判断する必要があります。比較時にチェックしておきたいポイントを紹介します。
手数料
ファクタリングの手数料は、ファクタリング会社が背負う債権回収リスクの程度によって決められています。たとえば、売掛先の信用力が高く、安全性が高い売掛債権と判断されれば手数料は安くなります。
ただし、手数料の安さだけをアピールしているファクタリング会社の中には、貸金業に抵触するような勧誘をして利益を得ようとするケースもあるので注意が必要です。契約時は、条件が明確に示されているかしっかり確認しましょう。
信頼性
ファクタリング会社の信頼性は必ずチェックしたいところです。以下の項目を中心に、できる限り情報収集することが大切です。
- 会社名
- 代表者名
- 所在地
- 連絡先
- 設立年数
- 事業の沿革
- これまでの実績
また、ファクタリング会社とのやり取りのなかで、質問にしっかり答えてくれるか、説明が不十分なまま押印を強要されないかなど、信頼できる対応をしているかどうかもしっかりチェックしてください。
入金スピード(即日入金の可否)
ファクタリングは、入金までのスピード感が大きなメリットです。2社間ファクタリングでは最短で即日、遅くても1週間程度で入金というところが多くなっています。現金化を急ぐ場合は、入金までの期間も事前に確認しておくとよいでしょう。
継続利用によるメリットがあるか
ファクタリング会社によっては、2回目以降の利用時は審査が簡略化されたり、手数料が下がったりすることがあります。資金調達方法として継続的な利用を考えるなら、こうしたメリットの有無についてもチェックしておきましょう。
ファクタリングの審査・利用の流れ
ファクタリングを利用する際の一般的な審査・流れは、次のようになっています。
ファクタリング会社による審査
売掛金が発生したら、ファクタリング会社に利用の申込を行い、必要書類を提出のうえ審査を受けます。申込時の審査では、主に以下の点を確認します。
- 売掛金の種類(単発の売掛金か、継続的に発生する売掛金か)
- 売掛金を二重譲渡していないか(複数のファクタリング会社に売却していないか)
- 売掛金を差し押さえられる可能性はないか(税金・社会保険料などの滞納による差し押さえ)
- 売掛金が架空のものでないか
また、ファクタリング会社では債権回収のリスクを判断するため、以下のような審査基準を設けています。
- 売掛先の信用力はどの程度か
- 売掛金の支払期日はいつか
- 利用会社は信頼できるか
ファクタリングは、売掛先の信用力が高ければ利用できることが多くなっていますが、利用する会社についての信用力も問われます。たとえば2者間ファクタリングで利用会社が売掛金の入金があったにもかかわらず支払いをしなかった場合、ファクタリング会社がリスクを背負うことになります。そのため、取引上、信頼をおける会社かどうかも見られていることを心得ておきましょう。
審査を受ける際は、必要な書類を揃える、質問には明確に答えられるようにしておくなど、信頼を得るための準備が必要です。必要書類はファクタリング会社によって指定されますが、主に以下のものが求められます。
- 本人確認書類
- 売掛金を証明できるもの(請求書など)
- 決算書
- 納税証明書
契約~入金
書面で契約を交わしたあと、手数料が差し引かれた額が入金されます。契約を交わす際は、少しでも疑問に思うことがあるときは質問し、納得したうえで進めることが重要です。怪しい点があると感じたら、契約をストップしたほうが賢明です。
資金繰り・資金調達をサポート
この記事をご覧になっている方は、普段から資金繰りの状況についてチェックなさっているでしょうか。会計freeeのユーザーアンケートによると、定期的に資金状況についてチェックしている方は約50%、確認の方法は預金残高通帳です。
キャッシュは企業存続の命綱です。キャッシュフローや今後の資金繰り予測などは会社経営の重要な要素の一つであり、資金調達は企業継続・繁栄の重要な手段です。
ただし、資金繰りや資金調達は難しい、よくわからない。そう思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで、freeeでは資金繰り・資金調達をスムーズにおこなうためのサービスを提供しています。
資金調達freee:複数の金融商品を簡単に比較・申込ができる
資金を調達したいが、なにが自社に適した調達手段なのか、借入できる商品なのかがわからないという経営者の大きな悩み。最終的には税理士の言う通りにするがこれで良かったのか?と不安がつきまといます。
資金調達freeeでは、いくつかの質問に答えれば複数の資金調達手段から、自社に最適な商品を比較できる形で紹介。サービスは即日利用が可能で、そのままオンラインで申し込みまで可能になります。

まとめ
資金調達手段を確保しておくことは、経営者の重要な役割のひとつです。自社に適した資金調達手段がわからないという悩みに応えるのが資金調達freeeです。自社に合った金融商品を比較でき、そのままオンラインで申し込むこともできます。
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