2023年11月10日 基礎知識

経営資源の分析方法とは|VRIO分析の特徴・手順と事例を解説

経営資源の分析方法とは|VRIO分析の特徴・手順と事例を解説

経営戦略を立てるときは、自社の経営資源を最大限に活かすことを考える必要があります。経済的価値・希少性・模倣可能性・組織の4つの軸から経営資源を分析するフレームワーク「VRIO分析」を活用することで、自社の経営資源の強み・弱みの整理に役立ちます。本記事では、VRIO分析の基礎知識とやり方、企業の例を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

目次

経営資源を分析するVRIO(ブリオ)分析とは

経営資源を分析するVRIO(ブリオ)分析とは

VRIO分析とは、自社の経営資源における競争優位性を把握するためのフレームワークです。アメリカの経営学教授ジェイ・B・バーニー氏によって提唱されました。

VRIO分析では、経営資源を「価値(Value)」「希少性(Rareness)」「模倣可能性(Imitability)」「組織(Organization)」の4つの視点で分析し、企業独自の強みや弱みを整理します。なお、自社にしかない独自の強みを「コア・コンピタンス」といいます。

VRIOの4要素

VRIOは、以下の4要素を示します。

  • V:Value(経済的価値)
  • R:Rareness(希少性)
  • I:Imitability(模倣可能性)
  • O:Organigation(組織)

一つずつ見ていきましょう。

Value(経済的価値)

Value(経済的価値)は、企業が提供する製品・サービスが顧客に対して価値をもたらすかどうかを評価する指標です。企業は製品・サービスを提供することで顧客のニーズを満たし、その対価として収益を得ています。そのため、経済的価値はもっとも重要な項目といえるでしょう。

なお、経済的価値は資金だけでなく、社員のスキルやノウハウ、企業が持つ建造物、システムなども含まれます。これらの経営資源をいかに効率的かつ効果的に活用するかが重要です。

Rareness(希少性)

Rareness(希少性)は、企業が持つ資源や能力が競合他社と比較して希少であるかどうかを評価する指標です。例えば、「自社でしか手に入らない製品・サービスを提供している」「自社独自の技術・ノウハウがある」などは希少性が高いと評価できます。

人は希少性があるものに対して魅力を感じる傾向があります。希少価値が高ければ、価格以外の付加価値をプラスして提供できるため、市場での優位性を獲得しやすくなります。

Imitability(模倣可能性)

Imitability(模倣可能性)は、自社の資源や能力が他社にとって模倣できるものかどうかを評価する指標です。他社に模倣されにくい独自の資源や能力を持っている場合、模倣可能性は低くなり、継続的な競争性を維持しやすくなります。

Organization(組織)

Organization(組織)は、資源や能力を効果的に活用するための組織的方針・環境が整えられているかどうかを評価する指標です。例えば、経営体制、プロセス、システム、文化などが該当します。組織が上手く機能することで、企業の資源と能力を最大限に活かすことができます。

VRIO分析を行う目的

競争が激しい市場環境で企業が成長していくためには、自社の強みを伸ばして弱みを補う、もしくは弱みを強みに転換していくための施策を模索していかなければいけません。

経営資源はヒト・モノ・カネ・情報など様々あり、企業によって強みとなる経営資源も異なります。VRIO分析を活用することで、自社が保有する経営資源を整理できるとともに、それぞれの経営資源の強み・弱みを可視化することが可能です。

分析結果をもとに「自社の強みを活かして新規事業に展開する」「市場の優位性を獲得するため、さらなるリソースを投入する」といった経営戦略やマーケティング戦略の策定につなげることができます。

なお、自社・顧客・競合の3つの関係性から現状を分析する「3C分析」と合わせて分析することで、より経営戦略の精度を高めることができます。

VRIO分析のやり方・手順

VRIO分析のやり方・手順

ここでは、VRIO分析のやり方を順に解説します。

1.ゴールの設定

VRIO分析を行う前に、まずゴールを設定しましょう。「何のために分析をするのか」「分析を通して何を達成したいのか」を言語化することが大切です。ゴールを設定することで分析の方向性や軸が明確になり、より効果的に分析を行えます。

2.経営資源の棚卸

ゴールが設定できたら、経営資源の棚卸しです。自社にどのような経営資源があるのかを洗い出しましょう。なるべく多くの項目を洗い出すのがポイントです。

チームや部署によって強みと思っている経営資源が異なることもあるため、様々なチームや部署から意見を集めるようにしましょう。

3.経営資源の評価

次にVRIO分析を用いて評価します。棚卸しで洗い出した経営資源を「V」→「R」→「I」→「O」の順番で評価していきましょう。具体的には「Yes / No」「3段階評価」といった評価方法を使うのが一般的です。

なお、経営資源の分析は定期的に分析することが大切です。経営資源の価値は顧客ニーズや競合の動向に応じて変化します。分析時点では価値や希少性があったものが、時間の経過とともに見劣りしてしまうこともあります。VRIO分析は定期的に実施し、市場や競合の変化に柔軟に対応していきましょう。

4.経営戦略の策定・改善

自社の経営資源における強み・弱みを把握したら、分析結果をもとに経営戦略の策定・改善につなげていきます。VRIOの評価に応じて、評価が高い部分にはさらなる投資を行い、評価が弱い部分においては改善する余地がないかを検討します。

VRIO分析の事例

VRIO分析の事例

ここでは、実際にVRIO分析を用いた企業例を紹介していきます。

ユニクロ

経済的価値

安く機能性のある衣服を提供しており、幅広い世代に親しまれている

希少性

低価格・デザイン性・機能性を実現

模倣困難性

企画から製造、販売までの過程を一貫して自社で行う「SPA」を採用

組織

基本給の引上げ、社員教育にも力を入れている

低価格帯の衣料品を提供するファストファッションブランドとして急速に成長してきたユニクロ。企画から製造、販売までの過程を一貫して自社で行うという模倣しがたいビジネススタイルと、高品質でありながらリーズナブルという希少性が業界での優位性を確立しています。

トヨタ

経済的価値

高品質な自動車を提供、自社工場を保有

希少性

ロボット共存型の工場を構築・展開

模倣困難性

トヨタ生産性方式という独自のノウハウは他社が真似しづらい

組織

独自の生産方式のもと、それに対応した組織体制を構築

日本を代表する大手自動車メーカーのトヨタ。自社工場を保有しており、在庫を可視化することで生産台数を調整できるのが強みです。また、独自の生産メソッド「トヨタ生産方式」を採用することで高品質・適正価格を実現しており、顧客に高い価値を提供し続けています。

スターバックス

経済的価値

高級感ある居心地のよい空間を提供

希少性

豆にこだわった独自のコーヒを提供

模倣困難性

世界規模で展開している店舗数を誇り、真似するのは困難

組織

接客マニュアルがなく、各自で判断して対応するシステム

世界的に展開しているスターバックス。お洒落で高級感ある空間を提供することで、競合との差別化に成功しています。また、スタッフの対応にも定評がありますが、接客マニュアルはありません。顧客との対応はスタッフが各々判断して対応するスタイルです。結果として、顧客満足度だけでなく社員満足度においても高い評価を得ています。

経営資源の向上に「freee資金調達」を活用しよう

経営資源の向上に「freee資金調達」を活用しよう

VRIO分析は、自社の経営資源を把握するのに有効なフレームワークです。経営資源における自社の優位性が明確になり、差別化を意識した経営戦略の策定に役立ちます。

なお、経営資源の一つである「カネ」に関して課題を感じている方は、国や地方自治体が提供している補助金を活用するのも一つの手です。ただし、補助金にも種類があるため、必要な金額やタイミングに合わせて柔軟に選択する必要があります。

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