助成金と補助金の違いとは|目的や受給までの流れ、申請する際の注意点を解説

助成金・補助金はどちらも国や地方自治体が提供している返済不要のお金ですが、目的や管轄、給付額、受給のしやすさなど様々な点で違いがあります。当記事では、助成金と補助金の特徴を挙げながら、両者の違いや申請する際の注意点も解説します。
目次

助成金とは

助成金は国や地方自治体が提供している制度です。ここでは、助成金の目的や管轄、受給までの流れ、主な助成金の例を解説します。
目的
助成金の主な目的は、労働環境の安定です。雇用の促進、能力開発、労働環境の整備など、労働に関する課題に取り組む事業者を対象に資金面のサポートを行っています。
管轄
主な管轄は厚生労働省で、財源は雇用保険料となっています。受給対象となるのは雇用保険の適用事業主であり、返済の必要はありません。
受給までの流れ
助成金の種類によって受給の流れが若干異なる場合もありますが、基本的には以下の流れで進みます。
- 実施計画の申請
- 実施計画の開始
- 助成金の申請
- 助成金の受給
まずは助成金の受給要件に沿った実施計画を策定し、提出します。実施計画通りに活動を実行し、活動終了後に報告書を作成して支給申請を行います。その後、提出された書類をもとに審査が行われ、労働局による支給決定がされると、所定の口座に助成金が入金される流れです。
主な助成金の例
政策目的によって様々な助成金が用意されています。代表的なものを一例として挙げます。
- キャリアアップ助成金
- トライアル助成金
- 働き方改革推進支援助成金
- 業務改善助成金
例えば、キャリアアップ助成金は、非正規社員や派遣労働社員の正社員化や処遇改善を実施した事業者に対して支給される制度です。取り組み内容に応じた全6つのコースがあり、「正社員化コース」では有期雇用労働者等を正社員化した場合、一人あたり57万円が支給されます。
補助金とは

補助金も国や地方自治体が提供している制度です。目的や管轄、受給までの流れ、主な補助金の例を見ていきましょう。
目的
新規事業の支援や地域振興、公益につながる事業の促進などが主な目的で、該当する企業や事業者に対して費用面でのサポートを行っています。
管轄
主な管轄は経済産業省です。他にも各省庁や自治体、民間団体などから様々な種類の補助金が提供されています。税金が主な財源で、個人事業主・フリーランス、スモールビジネス経営者、中小企業が支給対象の場合が多くなっています。
受給までの流れ
申し込む補助金によって若干異なりますが、以下の流れで受給申請を進めます。
- 申請
- 審査
- 採択
- 交付申請
- 事業開始
- 事業実績の報告
- 補助金の受給
補助金は、書類や面接を通して採択の合否が決まります。事業の独自性、成長性、収益性、実現可能性、社会貢献性など様々な観点で審査されます。採択されるためにも必要書類を揃えることはもちろんのこと、事業計画書を念入りに作り込み、事業の必要性をアピールしていかなければいけません。
採択後は指定された事業を一定期間実施します。事業終了後に事業実績の報告書や支払証憑類を提出し、書類に問題がなければ所定の口座に補助金が入金される流れです。
主な補助金の例
政策目的によって様々な補助金が提供されています。代表的なものを一例として挙げます。
- 小規模事業者持続化補助金
- IT導入補助金
- ものづくり補助金
- 事業再構築補助金
例えば、小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者を対象として販路開拓や生産性向上を支援する制度です。対象経費も機械装置費や広報費、開発費、委託・外注費など幅広くなっています。
また、令和4年2次補正予算からインボイス転換事業者を対象に、一律50万円の補助上限が上乗せされる特例が設けられています。
助成金・補助金の違いとは

助成金・補助金は目的・管轄・給付額・受給のしやすさ・公募期間において違いがあります。助成金と補助金の違いを以下にまとめました。
ただし、一部例外もあるため注意する必要があります。助成金・補助金を申請する際は、公募期間や要件などをしっかり確認しておくことが大切です。
項目 |
助成金 |
補助金 |
---|---|---|
目的 |
雇用や労働環境の改善 |
新規事業の支援や地域振興、公益につながる事業の促進 |
主な管轄 |
厚生労働省 |
経済産業省 |
給付額 |
数十万〜数百万円 |
数百万円〜数十億円 |
受給のしやすさ |
要件を満たせば原則受給可能 |
審査で採択される必要がある |
公募期間 |
長い ※通年公募 |
短い ※一定期間のみ公募 |
目的・管轄の違い
助成金の主な管轄は厚生労働省で、補助金の主な管轄は経済産業省や中小企業庁です。目的に関しても助成金は雇用や労働環境の改善が中心であり、補助金は新規事業の支援や地域振興、公益につながる事業の促進などを目的としており、明確な違いがあります。
給付額の違い
助成金と補助金を比べると、給付額は補助金の方が多い傾向にあります。助成金の給付額は数十万円から大きくても数百万円が目安です。対して補助金は、数百万円〜数十億円のものもあります。
受給のしやすさの違い
助成金の場合、受給要件を満たしている事業者は原則受給することが可能です。従業員のスキルアップや賃金の引き上げなど労働関係の条件を満たし、所定の書類を提出することで給付されます。
一方の補助金は採択件数や金額があらかじめ決められているものが多く、申請しても受給できるとは限りません。補助金の多くは採択件数以上の応募件数があり、倍率が高い傾向にあります。提出書類を通して事業の必要性をアピールしないと採択されるのは難しいでしょう。
公募期間の違い
助成金は通年で公募されているものが多いのが特徴です。一方の補助金は、一定期間のみ公募されています。公募期間も短く、数週間〜1ヶ月程度です。
助成金・補助金を申請するときの注意点

助成金・補助金を申請する際に注意しておきたい点があります。前もって確認した上で助成金・補助金を申請するようにしましょう。
事前の資金確保は必要
助成金・補助金は基本的に後払い制であるため、必要な費用は先に自社で用意しなければいけません。自己資金で用意するのか、融資などで資金調達するのか、事前の資金計画をしっかりと立てておきましょう。
給付されないケースもある
助成金・補助金は給付されないケースもあるため注意が必要です。たとえば、一般的に補助金は事業期間が決まっており、事業期間中に支出した経費が対象です。事業期間外の支出は経費としては認められず、補助金を受け取れない場合があります。
他にも、事業の実施期間中や事業終了後に報告書や支払証憑類を提出しますが、書類に不備があったり、対象とならない経費が含まれていたりすると給付されない可能性もあるため注意が必要です。
申請から支給まで1年以上かかることもある
補助金・助成金は、対象となる事業計画を終了した後に振り込まれる流れです。事業によっては実施期間が長く、申請から支給まで1年以上かかることもあります。実際に入金されるまで時間がかかることを想定した上で、スケジュールを組むようにしましょう。
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助成金は厚生労働省、補助金は経済産業省が主に管轄している制度です。助成金は要件を満たしていれば受け取れますが、補助金は採択件数が限られており、必ずしも受給できないことに留意する必要があります。申請する際は、助成金・補助金の特徴と違いをしっかり把握した上で自社に合ったものを選ぶようにしましょう。
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