2022年5月31日 基礎知識

【目的別】農業経営に活用できる補助金まとめ

【目的別】農業経営に活用できる補助金まとめ

農業を営んでいくにはさまざまなコストがかかります。規模や種類によって異なりますが、機械などの設備導入資金や肥料や燃料、出荷費用などの営農資金というように必要なコストは多岐にわたります。

「農業を始めるための導入資金が必要」「農業の効率化のためにスマート農業機器を導入したい」などの課題に対し、国や地方自治体は補助金を提供しています。目的やニーズに合った補助金を活用するためにも、事前に補助金の内容をしっかり把握しておく必要があります。本記事では、さまざま場面で活用できる農業の補助金について紹介します。

目次

農業経営を支援する補助金制度とは

今の日本の農業は、高齢化や担い手不足による農業従事者の減少、食料自給率の低下などさまざまな問題を抱えています。

こうした状況を踏まえ、国や地方自治体は農業の課題を解決する制度や仕組み化を進めています。その一つが補助金制度です。農業経営でネックとなる資金面を補助し、農業従事者の経営をサポートしています。

農業経営を支援する補助金制度とは

農業に利用できる補助金

農業の経営者が活用できる補助金を目的別に5つ紹介します。

農業に利用できる補助金

設備投資に使える補助金

設備を整えるために利用できる補助金として、次の5つがあります。

  • 強い農業・担い手づくり総合支援交付金
  • 農地耕作条件改善事業
  • 産地生産基盤パワーアップ事業
  • ものづくり補助金
  • 農の雇用事業

それぞれの内容を見ていきます。

強い農業・担い手づくり総合支援交付金

強い農業・担い手づくり総合支援交付金とは、農業者の収益力向上・担い手の経営力発展のため、農業機械の導入や生産事業モデルの育成を支援する補助制度です。次の3つの支援タイプに分かれています。

●産地基幹施設等支援タイプ

高付加価値化や生産性コストの低減を推進するために必要な設備(集出荷貯蔵施設・低コスト耐候性ハウスなど)の整備費用を補助率1/2以内、上限額を20億円で支援しています。

●先進的農業経営確立支援タイプ

経営を改善・高度化するために必要な農業機械・施設を導入する際の費用を補助します。融資額に対して事業費の3/10以内の補助率で、上限額は個人の場合1,000万円、法人は1,500万円です。

●地域担い手育成支援タイプ

経営基盤の確立や発展に必要な農業機械・施設を導入する際の費用を補助します。融資額に対して事業費の3/10以内の補助率で、上限額は300万円です。

農地耕作条件改善事業

農地耕作条件改善事業とは、農業環境の基盤整備や高収益作物への転換およびスマート農業などの先進的な営農体系の導入を支援している事業です。

4つの種類があり、要件や内容がそれぞれ異なります。

●地域内農地集積型

農地中間管理機構の重点実施区域等の農地を対象に、区画拡大や暗渠排水の設置、農道・農業用排水路の更新などの基盤整備を支援しています。

支援内容は、対象の面積や延長に応じた金額での支援を受けられる「定額支援メニュー」と、事業費に対し50%等の一定の割合の金額の支援を受けられる「定率支援メニュー」に分けられます。

〈採択要件(一部抜粋)〉
1地区当たりの総事業費が200万円以上1地区当たりの農業者数が2者以上

●高収益作物転換型

基盤整備に加えて高収益作物の導入を検討する農業者を対象に、技術研修や1年目の

種苗代・肥料代など、高収益作物導入を支援しています。

〈採択要件(一部抜粋)〉
1地区当たりの総事業費が200万円以上1地区当たりの農業者数が2者以上受益農地の1/4以上を、新たに高収益作物の農地として転換すること。

●未来型産地形成推進条件整備型

野菜・花き・果樹・茶を対象とした水田転換や既存産地の改良や労働生産性を高めるために必要な省力技術・作業機械の導入を支援します。

〈採択要件(一部抜粋)〉農作物によって一定以上の受益面積が必要野菜・花きは、産地の面積規模の30%以上で協議会内実需者との契約取引を行うこと果樹・茶は、省力樹形と整列樹形のいずれかおよび機械作業体系の導入を図ること

●スマート農業導入推進型

スマート農業に適した基盤整備が行われた農地を対象に、GNSS基地局の設置、農業用トラクタへの自動操舵システムなどの導入を支援しています。

〈採択要件(一部抜粋)〉1地区当たりの総事業費が200万円以上1地区当たりの農業者数が2者以上スマート農業に適した基盤が整備されていること

産地生産基盤パワーアップ事業

産地生産基盤パワーアップ事業(収益性向上対策・⽣産基盤強化対策)とは、収益性向上・生産性基盤の強化のために、農業者が行う高性能な機械・施設の導入や栽培体系の転換などに対して総合的に支援する事業です。

具体的に以下の2つの対策があり、要件や内容が異なります。

●収益性向上対策

収益力強化に計画的に取り組む産地に対し、農業機械の導入・集出荷施設の整備などを支援しています。

補助率は、整備事業や⽣産⽀援事業の農業機械のリース導⼊・取得は1/2以内(リースの場合は本体価格の1/2以内)、⽣産資材の導⼊は1/2以内、改植は定額となっています。

〈採択要件〉基準を満たした成果⽬標を定めること品目ごとの面積要件を満たすこと

●生産基盤強化対策

新規就農者や担い手への継承に必要な生産基盤の再整備や改善の取り組みを支援しています。

地域農業再⽣協議会等が作成する「産地パワーアップ計画(⽣産基盤強化タイプ)」に

参加する農業者、農業者団体が対象となっています。

補助率は、整備事業または農業⽤ハウス、果樹園・茶園の再整備・改修、農業機械の再整備・改良は1/2以内、⽣産装置の継承・強化、⽣産技術の継承、普及に向けた取組、全国的な⼟づくりの展開は定額となっています。

〈採択要件〉基準を満たした成果⽬標を定めること⽣産基盤の強化と次代への円滑な継承を図るために必要な再整備・改修に取り組む場合は、要件を満たす計画を立てること

ものづくり補助金

農業だけでなく、幅広い業種の事業者を対象とした補助金があります。その一つが「ものづくり補助金」です。ものづくり補助金は、中小企業が行う生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善のための設備投資の費用を補助する制度です。

農業の場合、申請する対応経費として以下のものが挙げられます。

  • ドローンなどのスマート農業関連機器
  • 特定の作業を行うための重機

ものづくり補助金総合サイトの採択事例では、「太陽光利用型トマト植物工場における補光LED照明設備の導入による生産性向上」などがあり、設備導入などに活用されています。

人材確保に使える補助金

農の雇用事業

人材確保・人材育成の支援事業として「農の雇用事業」があります。以下の3つのタイプがあり、要件や内容がそれぞれ異なります。

●雇用就農者育成・独立支援タイプ

新規就農者(独立希望者を含む)を雇用し、農業生産技術や出荷・販売ノウハウ習得の

ために実施する研修に要する費用を支援しています。

新規就農者に対する研修費や資格取得のための講習費を含め、年間で最大120万円が支援されます。障害者・生活困窮者など一定の条件に該当する場合は、年間で30万円が加算されます。

●新法人設立支援タイプ

農業法人等が、農業の経営者を目指す者を新たに雇用して実施する、農業生産技術や法人設立に必要な経営ノウハウなどを習得させるための研修を支援する制度です。

補助金額は年間で最大120万円、支援期間は4年間(3年目以降60万円)となっています。

●次世代経営者育成タイプ

従業員・職員などを次世代の経営者として育成していくために、先進的な農業法人や異業種の法人での現場実践研修(OJT研修)の取り組みを支援する制度です。

補助金額は月間で最大10万円、支援期間は3ヶ月〜2年間となっています。

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農業を営む上では、導入資金や営農資金などさまざまな費用がかかります。利用できる補助金の最新情報をキャッチし、事業の目的やニーズを踏まえたうえで最適な補助金を選ぶようにしましょう。

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  • ローン商品や給付金等の情報は、特に断りがない限り記事公開現在のものです。最新の情報は各金融機関のホームページや公式サイトでご確認ください。
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