2023年8月18日 基礎知識

労働生産性の計算式とは|労働生産性を向上させるメリットと役立つ補助金についても解説

労働生産性の計算式とは|労働生産性を向上させるメリットと役立つ補助金についても解説

労働生産性とは、投入された労働量に対する産出量の割合です。働き方改革や人材不足を背景に、多くのビジネスシーンで生産性の向上が求められるようになりました。労働生産性は計算式を用いて把握することが可能です。当記事では、労働生産性の概要と計算式、向上させるメリット、生産性向上に役立つ補助金まで紹介します。

目次

労働生産性とは

労働生産性とは

労働生産性とは、ある一定期間の労働量に対する産出量の割合のことで、1人あたりまたは1時間あたりの成果を示す指標です。単位時間あたりの産出量や付加価値額が大きいほど、労働生産性は高くなります。労働生産性には、物的労働生産性と付加価値労働生産性の2つの指標があります。

物的労働生産性

物的労働生産性とは、生産された製品の個数や重さなどの物的な量を、その生産に必要な労働量で割った指標です。単位あたりに生産された製品やサービスの量を表しています。物的労働生産性が高い状態とは、同じ時間や労力でより多くの製品やサービスを生産していることを表します。

付加価値労働生産性

付加価値労働生産性とは、生産された製品やサービスの付加価値を、その生産に必要な労働量で割った指標です。付加価値とは製品やサービスの売上から原材料費や人件費などを差し引いた価値を指し、粗利と同じ意味になります。例えば、製品を作るのに材料の購入や加工に1,000円かかり、2,000円で販売したとします、この差額分の1,000円が付加価値です。

付加価値労働生産性が向上すると、同じ時間や労力でより多くの付加価値を生み出していると判断できます。

労働生産性の計算式

労働生産性の計算式

労働生産性の計算式は、物的労働生産性と付加価値労働生産性で異なります。

物的労働生産性の計算式

物的労働生産式は、以下の計算式で求められます。

物的労働生産性 = 生産量 ÷ 労働量( 労働者数 or 労働時間 )

例えば、工場Aで1日に生産された製品の量が1,000個、その生産に必要だった労働者数が10人、労働時間が8時間だった場合、物的労働生産性は次のように計算できます。

物的労働生産性 = 1,000 ÷ 10 人= 100個/人 

物的労働生産性 = 1,000 ÷ 8時間 = 125個/時間 

工場Aでは1日に1人あたり100個、1時間あたり125個の製品を産出していることがわかります。

付加価値労働生産性の計算式

付加価値労働生産性は、以下の計算式で求められます。

付加価値労働生産性 = 付加価値額 ÷ 労働量(労働者数 or 労働時間)

なお、付加価値額は以下のように算出します。

付加価値額 = 製品やサービスの売上高 − 諸経費

※諸経費(原材料費・人件費・運送費など)

例えば、A社が1日に生産した製品・サービスの付加価値が40万円で、その生産に必要だった労働者数が5人、労働時間が8時間だった場合、付加価値労働生産性は次のように計算できます。

付加価値労働生産性 = 40万円 ÷ 5人 = 8万円/人

付加価値労働生産性 = 40万円 ÷ 8時間 = 5万円/時間

A社は1日に1人あたり8万円、1時間あたり5万円の付加価値を生み出しており、労働者1人1時間あたりは1万円となることがわかります。

労働生産性が向上するメリットとは

労働生産性が向上するメリットとは

労働生産性が向上することで、以下のようなメリットがあります。

利益の拡大

労働生産性が向上すると、単位あたりに産出される製品やサービスの量が増えます。販売量が増えたり生産コストが削減されたりすることで、利益の拡大が図れます。

人手不足への対応

労働力人口の減少が続き、多くの企業が人手不足を課題に挙げています。労働生産性を高めていけば限られた人数でも大きな成果を生み出すことができるため、成長の基盤を作ることが可能になります。

コスト削減

生産にかかる時間や手間が減ることで、人件費や生産コストの削減につながります。コスト削減が実現できれば、新規事業などに人材や資金などのリソースを投入することもできるようになります。

競争力の強化

労働生産性が向上すると、同じ品質の製品・サービスをより効率的に提供できるため、企業の競争力が強化されます。競争力が高まれば、市場でのシェア拡大を狙うことも可能になります。

従業員の満足度の向上

少ない時間や労力でより多くの成果を出せるようになれば、従業員の達成感や報酬に対する満足度が高まります。また、より効率的に仕事を進めることができるため、従業員のワークライフバランスの向上にもつながります。

技術革新の促進

労働生産性の向上によって、より効率的な生産方法や技術を開発する余裕が生まれます。企業は新しい技術やノウハウを開発するための研究開発や投資を行うことができ、技術革新が促進されます。

労働生産性向上に役立つ補助金

労働生産性向上に役立つ補助金

労働生産性を向上させるためには、必要に応じて人材育成やITツールの導入が必要であり、コストがかかります。こういったコスト面での問題を解決するために、国や自治体では補助金を提供しています。以下に、労働生産性向上に役立つ補助金をまとめました。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者が情報技術を活用するための経費を補助する制度です。労働生産性向上に役立つIT機器やソフトウェア、システムなどを導入するための費用に利用できます。具体的には、PCやタブレット端末、クラウドサービス、セキュリティシステムなどが対象となります。

  通常枠 セキュリティ対策推進枠 デジタル基盤導入枠
  A類型 B類型 デジタル化基盤導入類型
補助額 30万円〜150万円 150万円〜450万円 5万円〜100万円 5万〜350万円
補助率 1/2 1/2 3/4または2/3または1/2

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が行う革新的なサービスの開発、試作品開発生産プロセスの改善に必要な設備投資費用を補助する制度です。生産設備の導入・改良、省エネルギー設備の導入、生産ラインの自動化や省力化、海外展開のための設備投資などが対象となります。補助上限は1,250万円で、補助率は最大で1/2です。

●通常枠

補助金額 従業員数5人以下 従業員数6〜20人 従業員数21人以上
100万円〜750万円 100万円〜1,000万円 100万円〜1,250万円
補助率 1/2(小規模事業者・再生事業者:2/3)

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、経営改善を行い、事業の持続化・発展を図ることを目的とした補助金です。労働生産性向上に必要な設備投資やIT化に係る経費、専門家によるコンサルティング費用などが対象となっています。補助上限は50万円で、補助率は最大で2/3です。インボイス特約に該当している場合、補助上限額に50万円が上乗せされ、100万円となります。

●通常枠

補助金額 50万円
インボイス特約 50万円(補助上限額に上乗せ)
補助率 2/3

「freee資金調達」を使って労働生産性向上に活用できる資金調達方法を探そう

「freee資金調達」を使って労働生産性向上に活用できる資金調達方法を探そう

労働生産性は労働の効率性を可視化する指標であり、人手不足が深刻化する現在のビジネス環境において優先的に取り組むべき経営課題の一つです。自社の労働生産性を正しく把握して対策を講じることで、様々なメリットを生み出すことが可能になります。

また、政府や自治体が実施している補助金や助成金は、生産性向上に向けた取り組みを支援しているものが多数あるため、積極的にビジネスに活かしていきましょう。

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