セレクトショップを開業するには|必要な資格・届出と資金調達方法を解説

セレクトショップには、経営者独自のセンスとこだわりを反映できる自由さがあります。
しかし、お店を軌道に乗せるためには様々な工夫と準備が必要です。本記事では、セレクトショップの開業を考えている人に向けて、押さえておくべきポイント、開業に必要な資格や届け出、資金の目安、資金調達方法について紹介します。
セレクトショップを開業するメリットとは?

セレクトショップを開業する2つのメリットを紹介します。
自由に商品を販売できる
セレクトショップは、自分で選んだ商品を販売するスタイルが一般的です。特定のブランドやメーカーにとらわれず、経営者独自のセンスを活かして商品を展開していけるのが魅力です。
従来のセレクトショップはアパレル関連が主流でしたが、最近では消費者のニーズに合わせて、雑貨・インテリア、電化製品、食品など様々なジャンルを取り扱うようになっています。
オンラインとオフラインでアプローチできる
セレクトショップには、以下2つの店舗形態があります。
- 実店舗を構える
- ECショップを開設する
実店舗の場合は、お客様に商品を実際に手にとってもらったり試着してもらったりして、サイズや素材感、使用感などを踏まえて購入してもらえることがメリットです。また、対面接客により、商品の良さや魅力を具体的にアピールすることができます。
ECサイトの場合は、インターネットを通していつでもどこでも買い物をすることができます。販売対象を全国に広げることができる点が大きなメリットです。
また、実店舗とECサイトを併用することも可能です。両者のメリットを活かして、お客様との接点を増やすことができます。
セレクトショップの開業にあたって押さえておくべきポイント

セレクトショップは、自身が理想とする店舗を実現しやすいメリットがある反面、工夫と準備を徹底しなければ事業の成功どころか、開業することすら叶わなくなってしまいます。セレクトショップを成功させるためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
- コンセプト
- ターゲット
- 仕入先
- 集客対策
それぞれについて詳しく見ていきます。
コンセプト
セレクトショップを開業するにあたって、まず決めるべきことはコンセプトです。自身の感性やこだわりを反映できるという強みを活かして、他店にはない個性を出していくことがポイントです。
「どんなセレクトショップにしたいのか」「セレクトショップを通して何を提供したいのか」など思いや考えを掘り下げ、具体的なコンセプトに落とし込みましょう。
コンセプトを最初に決めておくことで、物件や仕入先を決める際の判断基準になり、開業準備をスムーズに進められます。お客様にお店の説明を求められたときも、「◯◯を取り扱う〇〇専門のセレクトショップです」と、わかりやすく伝えることができます。
コンセプトの参考として、いくつかのセレクトショップに行ってみるのも一つの方法です。人気のセレクトショップの共通点や独自性を見つけてみましょう。
ターゲット
好きな物を販売できるセレクトショップですが、どれだけこだわって選んだ商品だとしても、お客様が興味を持ってくれなければ意味がありません。どのようなアイテムが好まれるのか、市場や顧客ニーズを分析することも大切です。その上で、自店舗がメインとするターゲット層を明らかにすると、販売戦略を決めやすくなります。
仕入先
セレクトショップの開業では、仕入れ先を見つける必要があります。仕入方法には、以下のようなものがあります。コンセプトや収益性を鑑みて慎重に検討しましょう。
- メーカーやブランドと直接取引する
- ネットの仕入れサービスを活用する
- 問屋で仕入れる
- 海外から輸入する
また、在庫を抱えすぎると採算が取れなくなることもあるので、在庫管理をしっかり行うことも大切です。
集客対策
集客対策は、開業前、開業後も積極的に行っていきましょう。集客方法には以下のものが挙げられます。
- ホームページの作成
- Googleマイビジネスの登録
- メディアや雑誌への掲載
- リスティング広告
- InstagramなどのSNSの開設・発信
- ポスティングや新聞折込み
SNSは基本的に無料で利用できるので、お店や商品の認知度アップや、購入してもらうための導線を作る上で積極的に利用したいところです。
ユーザーがお店のアカウントをフォローしてくれれば、SNSを活用してブランディングすることもできます。ただし、SNSは一定の効果がでるまでに時間がかかる傾向があるので、開業前から地道に情報を発信して認知度を高めていくことが大切です。
セレクトショップの開業に必要な資格と届出

セレクトショップは、開業する業態によって必要な資格と届出があります。
開業届
開業届は、新たに事業を開始する際に必要な書類です。届出書は、国税庁のホームページからダウンロードすることができます。提出期限は、事業の開始等の事実があった日から1か月以内です。
青色申告承認申請書
青色申告承認申請書は、青色申告をするために必要な書類です。青色申告を行うことで、最大65万円の所得控除を受けられたり、赤字を3年間繰り越せるなどのメリットがあります。
青色申告承認申請書は、開業届と合わせて提出するとよいでしょう。提出期限は、事業開始日から2ヶ月以内となっています。
中古品を扱う場合|古物商許可
中古品を扱う場合は、古物商許可が必要なケースがあります。古物に該当するものは以下の13品目です。
1.美術品類 | 絵画、書、彫刻、工芸品、登録火縄銃・登録日本刀 |
2.衣類 | 着物、洋服、その他の衣料品、敷物類、テーブル掛け、布団、帽子、旗 |
3.時計・宝飾 | 身につけて使用される飾り物 |
4.自動車 | タイヤ、バンパー、カーナビ、サイドミラーなど |
5.自動二輪車及び原動機付自転車 | タイヤ、サイドミラーなど |
6.自転車類 | 空気入れ、かご、カバーなど |
7.写真機類 | カメラ、レンズ、ビデオカメラ、望遠鏡、双眼鏡、光学機器 |
8.事務機器類 | レジスター、タイプライター、パソコン、ワープロ、コピー機、ファックス、シュレッダー、計算機 |
9.機械工具類 | 工作機械、土木機械、医療機器類、家庭電化製品、家庭用ゲーム機、電話機 |
10.道具類 | 家具、楽器、運動用具、CD、DVD、ゲームソフト、玩具類、トレーディングカード、日用雑貨 |
11.皮革・ゴム製品類 | 鞄、バッグ、靴、毛皮類、化学製品(ビニール製、レザー製) |
12.書籍 | 本、雑誌 |
13.金券類 | 商品券、ビール券、乗車券、航空券、各種入場券、各種回数券、郵便切手、収入印紙、テレホンカード、株主優待券 |
該当する古物がある場合は、店舗所在地を管轄する警察署に許可申請書と添付書類を提出します。なお、別の都道府県で新しく店舗を設ける場合、各都道府県ごとに同様の許可申請が必要です。
酒類を扱う場合|通信販売酒類小売業免許、一般酒類小売業免許
アルコール度数1%以上の酒類・みりんを扱う場合は、通信販売酒類小売業免許、一般酒類小売業免許が必要になります。
一般酒類小売業免許は、店舗を構えることを前提としています。店舗がある都道府県以外の販売は認められていません。そのため、全国を販売対象にしているECショップで酒類を販売する場合は「通信販売酒類小売業免許」の取得が必要です。
セレクトショップの開業資金はどれくらい?

ここでは、セレクトショップを実店舗で開業する際にかかる開業資金について紹介します。店舗の規模や業態によって変わるため、あくまでも目安として参考にしてください。実際の開業では、何が必要か、どれくらいかかるのかを事前に計算しておきましょう。
費用 | 金額 |
---|---|
物件取得費 | 家賃の6ヶ月〜10ヶ月分 |
内装・外装工事費 | 居抜き物件:200万円~スケルトン:300万円~ |
備品 | 10万円〜20万円 |
仕入れ費用 | ※商品の価格によって変動 |
販売促進費 | 5万円〜30万円 |
ネットショップのみでセレクトショップを開業すれば、実店舗を立ち上げる際にかかる物件取得費や内装・外装工事費を抑えることができます。コストを抑えたい場合は、最初はネットショップで開業し、経営が安定してきたら実店舗を検討するという方法もあります。
セレクトショップを開業するときの資金調達方法

セレクトショップを開業するためには、資金を用意しなければいけません。資金調達には、以下の方法があります。
- 自己資金
- 日本政策金融公庫
- 補助金・助成金
- クラウドファンディング
開業に必要な資金を考慮しながら、適切な資金調達方法を模索していきましょう。
自己資金
自己資金は自分で用意する返済不要のお金であるため、開業のリスクを最小限に抑えることができます。また、自己資金は、金融機関の融資審査においても重視されます。開業するにあたって、どれくらい計画的に資金を貯めてきたかは、事業者の計画性・熱意の証明になり、審査担当者に好感触を与えることも期待できます。
事業用口座を開設し、コツコツ資金を貯めてきたことを証明するようにしましょう。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は政府が出資している金融機関で、個人事業主や中小企業に対して積極的に融資を行っています。政府系金融機関のため、金利は低めに設定されています。融資の種類によっては、無担保・無保証人で受けることもできます。
一方で、融資希望者の返済能力を判断する上で、自己資金や事業計画、税金等の滞納の有無などいくつかの項目がチェックされます。たとえば、日本政策金融公庫の創業融資制度は、「希望融資額の10分の1以上の自己資金が必要である」という要件を設けています。自己資金が多いほど開業後の経営が安定しやすくなるので、なるべく多く用意するのが賢明です。
補助金・助成金
補助金・助成金は、国や地方自治体が支給しているお金です。融資とは異なり、返済義務が発生しない点がメリットです。ただし、財源は主に公的な資金から出されているため、誰でも受給できるわけではありません。
受給要件を満たし、審査に通過する必要があります。制度によって目的や内容が異なるため、事前に確認して自店舗の事業にあった補助金・助成金の申請をしましょう。
また、補助金・助成金は、原則事業を実施した報告書を提出した後に受給できるものであり、後払いである点に注意が必要です。そのため、開業前に必要となる支払いに活用することはできません。迅速に資金調達を行いたい場合は、他の資金調達方法を見つけておくようにしましょう。
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セレクトショップを開業するためには、事前の準備を徹底する必要があります。また、事業を続けていく中では、資金が必要なシーンが随所で発生します。資金不足に備える意味でも、事前に利用できる資金調達方法を見つけておくと安心です。
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