スタートアップに役立つ資金調達方法9つ|成長フェーズ別に見た調達のポイントや注意点も解説

スタートアップにとって、資金調達は事業を成長させるために不可欠な要素です。しかし、どのような資金調達方法が最適なのかは企業の成長フェーズによって異なります。
当記事では、スタートアップに役立つ資金調達方法を紹介するとともに、成長フェーズ別に見た資金調達のポイントや注意点を解説していきます。必要な資金をスムーズに調達したいときの参考にしてください。
目次
- スタートアップの資金調達方法9つとメリット・デメリット
- 成長フェーズ別に見る資金調達方法のポイント
- スタートアップが資金調達する際に注意すべきこと
- スタートアップの調達方法を見つけるなら「freee資金調達」が便利

スタートアップの資金調達方法9つとメリット・デメリット

ここでは、スタートアップが利用できる9つの資金調達方法についてそれぞれのメリット・デメリットに触れながら紹介します。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、国が100%出資している政府系金融機関です。中小企業やスタートアップ向けの融資制度を提供しており、低金利で融資を受けることが可能です。さらに、創業したばかりの企業を対象とした「新創業融資制度」では、担保・保証の必要がないというメリットがあります。
ただし、日本政策金融公庫の審査では長期的な視点での事業計画が求められるほか、面談によって経営者の意欲や姿勢においても評価されます。審査担当者に事業の成長性を理解してもらうためにも、計画的に準備をすることが重要です。
信用保証協会の保証付き融資
信用保証協会は、中小企業や個人事業主が金融機関の融資を受ける際、融資が受けやすくなるようにサポートする公的機関です。
信用保証協会の保証付き融資では、万が一返済できなくなった場合、信用保証協会が代わりに銀行への返済を行う代位弁済の制度があります。金融機関側からすると貸倒れのリスクを低減できるため、融資がしやすくなるという仕組みです。
ただし、代位弁済となっても借入金がなくなるわけではなく、事業者は信用保証協会に返済する必要があることに注意が必要です。
銀行
銀行は比較的低金利で融資が受けられることや、長期間の返済プランを組み立てやすいのがメリットです。
一方で、銀行では厳しい基準のもと、信用度や返済能力が十分であるかを審査されます。特にスタートアップは企業としての実績が少ないため、銀行からの融資を受けづらい場合があります。まずは、信用保証協会の保証付き融資で借入実績を積んでから、銀行融資を申し込むことをおすすめします。
制度融資
制度融資は、地方自治体、民間の金融機関、信用保証協会の3機関が連携して提供している融資です。低金利かつ長期間での返済ができることから、創業したばかりの事業者や中小企業におすすめの融資制度です。
ただし、制度融資は3つの機関が審査に関わるため、手続きに時間を要するのがデメリットです。申込みから融資実行まで3か月程度かかることがあります。また、地域によって融資の内容や条件も変わってきます。起業する地域ではどのような制度があるのか、事前に情報収集するようにしましょう。
補助金・助成金
補助金・助成金は国や地方自治体が提供している制度です。財源は税金や雇用保険料となっており、返済する必要はありません。経費の一部を補助してもらえるため、創業時や創業後にかかるコスト負担を軽減することが可能です。
政策や地域によって様々な補助金・助成金が提供されています。例えば、創業期に活用できる補助金として「小規模事業者持続化補助金」があります。小規模事業者持続化補助金では、小規模事業者などを対象に販売開拓や生産性向上にかかる費用を補助してくれる制度です。上限50万円まで(補助率2/3まで)費用の一部を補助してくれます。
新しい補助金・助成金は随時更新されているので、活用できる補助金・助成金がないか、常に情報をチェックしておきましょう。
VC(ベンチャーキャピタル)
VC(ベンチャーキャピタル)は、スタートアップに対して投資を行う投資会社のことを指します。VCでは高いリターンを得ることを目的にスタートアップに資金を提供しており、企業価値の上昇やIPO(新規株式公開)などでの売却益を狙います。融資とは異なり、原則返済の義務はありません。
大きな規模の出資を受けられる可能性がある点がメリットですが、一方で株式持分が減ることで経営の自由度が下がることがあるというデメリットがあります。また、経営計画がうまくいかず成長が見込めないと判断された場合、早期に出資金を回収される事態になってしまう可能性があることも理解しておきましょう。
エンジェル投資家
エンジェル投資家は、未上場の企業に対して投資する個人の投資家です。スタートアップやベンチャー企業を対象としているため、実績がなくても資金提供してもらいやすいのがメリットです。ただし、個人からの出資のため、VCに比べると出資規模が低めであるケースが多くなっています。
エンジェル投資家は資金提供のリターンとして株式などを受け取りますが、投資家によって出資目的や条件は様々です。金銭的なリターンを求めている投資家もいれば、事業内容や経営者への共感がモチベーションとなって資金提供している投資家もいます。
ファクタリング
ファクタリングは入金期日前の売掛債権を買取事業者に売却することで、資金を調達する方法です。買い取った金額から手数料が引かれ、残りの金額が支払われる仕組みとなっています。ファクタリング会社によっては即日で資金調達できるサービスもあるため、迅速に資金調達を行いたい場合に有効な方法の一つです。
一方で、手数料は高い傾向にあるのがデメリットです。日本政策金融公庫の金利は1%〜3%が相場ですが、ファクタリングの手数料の相場は二社間ファクタリングでは10%〜30%、三社間ファクタリングでは1%〜9%ほどになっており割高です。ファクタリング会社によっても利率が異なるため、慎重に検討する必要があります。
クラウドファンディング
クラウドファンディングとはインターネット上のプラットフォームを介して資金を集める方法です。スタートアップが自身のアイデアや事業内容をプレゼンし、プロジェクトに興味を持った支援者から資金を受け取れる仕組みになっています。
クラウドファンディングでは銀行融資のように審査がないため、スタートアップでもアイデア次第で資金を集められる点がメリットです。他にも支援者とのコミュニケーションが取れることや、マーケティング効果が期待できることなどもメリットといえるでしょう。
ただし、クラウドファンディングの種類によっては、目標金額に達成しないときは資金調達できない場合がある点に注意が必要です。
成長フェーズ別に見る資金調達方法のポイント

ここでは成長フェーズ別に見る資金調達方法のポイントを紹介します。
シード
シード(Seed)は日本語で「種」を意味し、事業を始める前のアイデア検証段階を指します。事業計画の策定や市場調査などがメインの活動となり、法人登記などの会社設立費用や人件費、市場調査費などの資金が必要です。
シードフェーズではアイデアの検証が主な目的であるため、資金調達は難しいとされており、自己資金や親族・友人からの出資が一般的です。個人投資家から出資を受けることもあります。融資の第一候補は、日本政策金融公庫の新創業融資制度です。
アーリー
アーリーフェーズは事業を開始し、商品やサービスを展開している段階です。認知度や売上を伸ばすための戦略を検証しながら、成長に向けて活動します。必要な経費はマーケティングやPR費用、Webサイト制作費用、人件費、法務や税務のコンサルティング費用、設備投資費用、開発費用などがあります。
資金調達方法としては日本政策金融公庫、シードフェーズで出資した投資家やベンチャーキャピタルなどからの追加出資、クラウドファンディングなどが一般的です。
ミドル
ミドルフェーズは市場で一定の認知や評価を獲得し、さらなる成長を目指す段階です。商品やサービスが市場に浸透して事業実績が積み上がっているため、銀行融資や制度融資など多様な方法での資金調達が可能となります。
レイタ―
レイターフェーズは事業として成熟している段階で、IPOやM&A(合併・買収)などの方法で資金調達を行い、企業価値の最大化を目指します。
収益性を確保できており、新たな成長機会を求めて新規事業や海外進出を検討している場合なども資金調達ニーズが出てきます。ミドルフェーズに比べて事業も安定し、金融機関からの信用度も高くなっているため、有利な条件での資金調達が可能となります。
スタートアップが資金調達する際に注意すべきこと

スタートアップが資金調達をする際には、資金調達方法によって注意すべき点があります。
金融機関の融資の場合
金融機関から融資を受ける場合、調達にかかる時間や返済計画について注意が必要です。審査に1カ月から3カ月程度かかることがあるため、余裕を持ったスケジュールで計画的に進めていく必要があります。
また、返済計画については金融機関の条件を満たす必要があるため、返済期限や金利などをきちんと把握しておくことが重要です。特にスタートアップの場合は、返済能力が不安定であることが多いため、事前に返済計画をしっかりと立てリスク管理に努める必要があります。
投資家からの出資の場合
投資家から出資を受ける場合、経営の自由度や条件について注意が必要です。出資者は出資金額に応じた議決権を持つことになるので、多くの株式を渡した場合、経営における決定権を失う可能性があります。
また、投資家からの出資には利益配当や株式譲渡などの条件が付くことがあります。出資者との関係性や将来的な事業展開における影響をしっかりと考え、慎重に判断する必要があります。
スタートアップの調達方法を見つけるなら「freee資金調達」が便利

スタートアップにとって資金調達は事業を成長させるために欠かせない重要な課題です。どの資金調達方法を選択すべきかは、事業の現状や目的などによって異なってきます。当記事で紹介した9つの資金調達方法を参考にしながら、成長フェーズに応じた適切な調達方法を選び、成長を加速させていきましょう。
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