2022年7月31日 基礎知識

個人事業の開業届出書とは|メリットや書き方、提出方法について解説

開業届は、個人事業を開業するときに税務署に提出する書類です。提出しなくても違反の罰則はないため、開業届を提出すべきか迷っている個人事業主やフリーランスの方もいるのではないでしょうか。

当記事では、個人事業主が開業届を出すメリットを紹介するとともに、開業届の書き方・提出方法について詳しく解説していきます。

開業届とは

開業届とは、個人事業を開業したことを税務署に届け出る際に必要となる書類です。正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、事業を開始してから1ヶ月以内に管轄の税務署に提出する決まりとなっています。

個人事業主は確定申告をして所得税等を納める必要があります。開業届を提出すると税務署に個人事業主として登録され、確定申告に関する通知等が届きます。開業届を提出しなくても罰則はありませんが、個人事業主として事業を継続していく上では届け出るメリットも多いため、しっかり対応していきましょう。

個人事業主が開業届を出すメリット

開業届を提出することで、以下3つのメリットがあります。

青色申告ができる

個人事業主が開業届を出すメリットの1つ目は、青色申告ができるということです。青色申告をすることで、税金の優遇措置を受けることができます。

  • 最大65万円の所得控除ができる(電子申告・電子帳簿で申請した場合)
  • 専従者(事業を手伝ってくれる家族や親族)の給料を経費にできる
  • 赤字の場合、3年間繰り越すことができる

初年度から青色申告したい場合は、開業届とともに青色申告申請書を提出する必要があります。なお、申請期限は青色申告をする年の3月15日までとなっているので、過去に遡って申告することはできません。

屋号付きの銀行口座が開設できる

開業届を提出すると、開業届の控えを受け取れます。開業届の控えを銀行の窓口に提出することで、屋号付きの銀行口座を開設することができます。

個人事業主として事業を行っている証明にもなるので、取引先や顧客からの信用度向上につながります。屋号付き口座を開設できる主な銀行は以下に記載しましたので、参考にしてください。

  • 三菱UFJ銀行
  • みずほ銀行
  • 三井住友銀行
  • りそな銀行
  • ゆうちょ銀行
  • 楽天銀行
  • PayPay銀行

また、銀行口座を事業用とプライベートを分けることで、仕訳や確定申告がしやすくなるなどのメリットもあります。

就業の証明になる

会社に勤めている場合は会社で就労証明書を作成してもらえますが、個人事業主やフリーランスは、自分で作成しなければいけません。たとえば、保育園を利用する際などに就労証明書が必要になることがありますが、開業届を提出していると控えを就業の証明として使用することが可能です。

開業届の書き方

開業届の様式は、国税庁のホームページからPDFでダウンロードする、もしくは最寄りの税務署で入手することができます。

記入するのが手間だと感じる人は「freee開業」を使うのがおすすめです。freee開業は、無料でできる開業書類作成ツールです。項目を選択するだけで開業届に必要な項目だけを自動記入し、控えも自動で生成してくれます。また、開業届以外の下記書類も必要に応じて作成が必要です。

  • 青色申告承認申請書
  • 青色専業者給与に関する届出書
  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃業等届出書
  • 源泉所得税の納期の特例に関する申請書

以下より、新規で開業届を提出するにあたって記入する項目を解説していきます。

個人事業の開廃業届出書

出典:個人事業の開業・廃業等届出書|国税庁

提出先と提出日

提出する所轄の税務署や提出日を記入します。税務署の所在地などがわからない方は、税務署の所在地などを知りたい方|国税庁で検索できます。

納税地

納税地には、住所地・居所地・事業所等のいずれか該当するものを選択し、その住所と電話番号(携帯番号)を記入します。

  • 「住所地」:自宅の場合
  • 「居所地」:海外などに住んでいて、国内に事業の拠点がある場合
  • 「事業所等」:自宅の他に事業を営むためのお店や事務所がある場合

氏名・生年月日・個人番号・職業

氏名・生年月日・個人番号(マイナンバー)・職業を記入します。なお、令和3年4月以降に提出する税務関係書類について、押印義務が廃止になっています。開業届によっては氏名横に押印マークがありますが、印鑑を押す必要はありません。

届出の区分

届出の区分には、「開業」に丸をつけましょう。もし、誰かから事業を引き継いだ場合は、受けた方の住所と氏名を記入します。

所得の種類

不動産による所得や山林による所得以外は、事業所得を選びます。

開業・廃業等日

開業日を記入します。開業日に関しては、事業開始から1ヶ月以内とされていますが、とくに決まったルールはありません。お店のオープン日や開業準備を開始した日に設定しても大丈夫です。

開業・廃業に伴う届出書の提出の有無

青色申告を行うために必要な「青色申告承認申請書」を提出する場合は、「有」を選択します。青色申告には様々なメリットがあるので、青色申告承認申請書は開業届とともに提出することをおすすめします。

【消費税に関する「課税事業者選択届出書」】に関しては提出不要で「無」を選択します。これは、2年前の課税売上高が1,000万円を超える場合に提出する書類です。

事業の概要

事業内容を具体的に記載します。どのような事業内容で売上を上げているかなどを記入します。以下、事業概要の参考例です。

  • WEBサイトの企画・構築・運営
  • ラーメンを中心とした飲食店の経営
  • 動画編集およびそれを活用したマーケティング事業
  • 学習塾の運営
  • インターネットを活用した物販事業

給与等の支払いの状況

専従者(家族や親族)や使用人(家族以外の従業員)を雇用する場合に記入します。

従業員数

雇用する専従者、使用人の人数を記入します。

給与の決め方

時給、日給、月給など、従業員の給与の支払い方法を記入します。

税額の有無

源泉徴収がある場合は、「有」を選択します。源泉徴収は、事業主が従業員の代わりに税金を納付する制度です。従業員に給与を支払う場合は、源泉徴収は必ず必要です。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無

源泉所得税は、原則として徴収した日の翌月10日が納期となっていますが、特例を活用することで、給与の支給人数が常時10人未満の場合は年2回にまとめて納付することができます。この項目は、特例を活用するための申請書を出すかを確認する項目です。

給与支払を開始する年月日

従業員への給与支払いを開始する年月日を記入します。

関与税理士

顧問税理士がいる場合は、税理士の氏名・電話番号を記入します。

開業届の提出方法

開業届は、事業主の住所を管轄する税務署に提出します。税務署の所在地などがわからない方は、税務署の所在地などを知りたい方|国税庁で検索することが可能です。提出方法は、以下の方法があります。

  • 税務署に持参する
  • 郵送で送る
  • インターネット(e-Tax)で申請する

なお、インターネット(e-Tax)で申請するには、利用者識別番号や電子証明書の取得、ソフトのインストールなどいくつかの準備が必要です。e-Tax のホームページをよく読んで利用しましょう。

開業届の提出はタイミングが重要

開業届を提出するタイミングは、開業する人の状況によって異なります。適切なタイミングを把握した上で開業届を提出することが重要です。ここでは、状況別に分けて考慮すべき点について解説していきます。

年内に事業所得があった場合

年内に事業所得があった場合は、年内に開業届を提出したほうが良いです。青色申告をするためには、青色申告承認申請書を所轄の税務署に提出しなければいけません。申請書の提出期限は原則として、以下のいずれかです。

  • 青色申告をしようとしている年の3月15日まで
  • 開業日から2か月以内

この期限を逃してしまうと、翌年の確定申告は自動的に「白色申告」となってしまい、青色申告のメリットを得られなくなってしまいます。

失業給付を受ける場合

会社を辞めて失業手当を受ける場合、事業開始のタイミングに気をつけるようにしましょう。失業給付の条件には、以下のことが挙げられます。

  • 再就職しようとする意思があること
  • 積極的に仕事を探している

しかし、開業するということは上記の条件に該当せず、失業でないと判断されてしまうため、失業給付を受けられなくなる可能性があります。タイミングを見極めて開業届を提出するようにしましょう。

健康保険の扶養に入っている場合

健康保険の扶養に入っている場合は、開業届の提出は慎重に検討するようにしましょう。健康保険の各組合では、扶養に入れる資格を定めています。組合によっては「収入がなくても、個人事業主は扶養に入れない」と定めているところもあるので注意が必要です。開業届を出す前に、健康保険組合のルールを確認してしておきましょう。

資金調達方法を探すなら「freee資金調達」がおすすめ

ネットで融資を受けたいなら「資金調達freee」で!

開業届は、法律上1ヶ月以内の提出義務があります。開業届を出すことで青色申告ができたり、屋号付きの銀行口座が開設できるなどのメリットもあるので、遅れずに提出しましょう。

最後に経営者の資金調達のお悩みを解決する手段として「freee資金調達」を紹介します。

資金調達には、銀行融資以外にも補助金やファクタリングなど多様な手段があり、事業の状況に合わせて活用することが成長の鍵となります。「freee資金調達」は、Web上に条件を入力するだけで、さまざまな資金調達手段から自社に最適なものを見つけられるサービスです。

freee資金調達の特徴は以下の通りです。

・入力条件をもとに各金融機関で実際に融資を受けられる可能性があるかを予測

※「可能性診断」機能つき

・即日利用開始可能で急な資金繰りにも対応

※登録時間はわずか10分

・一度入力した情報は保存されるので、また資金が必要になった際にもすぐに調達手段を確認できる

freee資金調達は無料で利用できます。「今の状況でどんな資金調達方法が利用できるかを知りたい」という方は、ぜひfreee資金調達を活用し、融資選定や資金繰りにお役立てください。

資金調達手段の利用可能性を診断できる「freee 資金調達」

即日利用可能な複数の資金調達手段を、金額や利率・手数料、調達までの所要期間など調達可能性とともに見比べ、オンラインで申込できるサービスです。登録時間はわずか10分、一度情報を入力すれば自動診断を継続的に確認できます。

  • ローン商品や給付金等の情報は、特に断りがない限り記事公開現在のものです。最新の情報は各金融機関のホームページや公式サイトでご確認ください。
  • freee資金調達はお客様のサービス選択時の参考情報提供を目的としており、特定の金融機関、ローン商品の優劣を示したものではありません。
  • 各金融機関の審査結果によっては利用できない場合があります。

カテゴリ「基礎知識」内の他の記事

関連記事

カテゴリ

すべてのタグ

freeeのサービス

最新記事

月別アーカイブ