2022年3月9日 基礎知識

キッチンカーを開業するには?必要な準備と資格・資金調達方法を解説

キッチンカーを開業するには?必要な準備と資格・資金調達方法を解説

固定の店舗を持たないキッチンカーは、開業コストや運転資金を抑えられ、かつ時間・場所の制約を受けないことから、副業としても注目されているジャンルです。ただし、キッチンカーの開業で失敗しないためには、開業前の準備と資金繰りが重要になってきます。本記事では、キッチンカーを開業するために必要な資格や手続き、資金調達方法、資金繰りのコツについてご紹介します。

目次

キッチンカーの開業にあたって押さえるべきポイント

キッチンカーを開業する際に留意しておきたいポイントは、以下の4つです。

・コンセプトは明確か
・場所を確保できるか
・予算を決める

一つずつ解説していきます。

コンセプトは明確であるか

キッチンカーの開業準備では、コンセプトを固めるところからスタートします。「メニューをどうするか」「メインターゲットは誰か」「どんな場所で売るのか」、これらを一つずつ整理していきましょう。

たとえば、お弁当を売るのであれば、ビジネスマンやOLをメインターゲットにしてオフィス街に出店する、というように計画が具体的になっていきます。収益性の高いメニューか、売上の見込みが立てられるかといった点を鑑みながら決めていきましょう。

場所を確保できるか

キッチンカーの売上は、出店する場所によっても大きく変わります。出店場所の例を以下にあげましょう。

●オフィス街
●ショッピングモール・スーパー
●イベント(お祭り、オープニングセレモニーなど)
●大学構内
●住宅地

取り扱うメニューとターゲットに合わせて、売上が見込める場所を見定めます。すでに他のキッチンカーが進出している場合は、メニューがかぶっていないかという点も確認する必要があります。

出店場所を確保するときは交渉・契約が必要となるので、事前に自分のキッチンカーについて説明できる資料などを用意しておくとスムーズです。

予算を決める

固定店舗に比べると、家賃や厨房設備などに費用がかからない分、キッチンカーは低予算でも開業が可能です。キッチンカーの開業の中でも、大きな費用を占めるのが車両です。

車両を準備する方法として、以下が選択肢となります。

●新車・中古車を購入してキッチンカーに改装(200万~500万円が目安)
●中古のキッチンカーを購入(100万~300万円が目安)
●キッチンカーをリース(月30万円~が目安)

軽タイプであれば比較的安価に開業できますが、販売体制やメニュー構成によっては普通車や大型タイプでなければスペースが足りないことがあります。また、内装・外装にこだわると費用がかさみがちになります。当面の運転資金が必要になることも視野に入れ、あらかじめ予算を決めたうえで検討することが大切です。

キッチンカーの開業に必要な資格と手続き

キッチンカーを開業する上で、以下の資格と手続きが必要になります。

・保健所の営業許可
・食品衛生責任者
・食品営業自動車業、食品移動自動車業

保健所の営業許可

キッチンカーを開業する際は、管轄の保健所から営業許可を取得する必要があります。
チェックされるのは、次のような項目です。

・調理場と運転席はしっかりと区切られているか
・シンクの数・大きさは十分か
・石鹸を常備するなど衛生面を保てる状態か
・換気はしっかり考慮されているか
・棚の設置は移動販売をできるレベルか
・給水・排水タンクは設置されていて容量は十分か

ただし、検査基準は保健所によって異なるため、事前に確認してください。また、キッチンカーは移動販売となりますが、営業許可は出店する地域を管轄する保健所で取得する必要があります。管轄をまたいで移動する場合は、それぞれの保健所の許可が必要となるため注意しましょう。

営業許可を取る際の必要書類には、以下のものがあります。
●営業許可申請書
●営業設備の大要
●食品衛生責任者の資格証明
●車検証の写し
●キッチンカーの車庫証明
●仕込み場所の営業許可証の写し
●仕込み場所の水質検査証明書
●検便検査成績書

ただし、管轄の保健所によって必要書類やフォーマットが異なることがあるため、事前に確認してください。

食品衛生責任者

食品を扱う仕事では、「食品衛生責任者」を取得している人が1店舗につき1人以上いることが義務づけられています。この資格を持つことで、正しい衛生管理知識を持って店舗を管理している証明になります。

食品衛生責任者は、食品衛生協会が行っている食品衛生責任者養成講習会を受講することで取得できます。受講資格や受講にかかる金額などの詳細は、都道府県によって異なる場合があります。受講する際は事前に確認するようにしましょう。

食品営業自動車業・食品移動自動車業

キッチンカーの営業に必要な申請として「食品営業自動車業」と「食品移動自動車業」があります。両者の違いは、車内で調理・加工できるかどうかです。

●食品営業自動車業
・車内に調理施設を設けて、調理・加工から販売まで可能
・車内での調理・加工は盛り付けや加熱など簡単なものに限られる
・生ものの扱いは不可。

許可の種類は、メニューに応じて次の3つがあります。

飲食店営業

たこ焼き・唐揚げ・焼きそばなど。アルコールの提供も可能

喫茶店営業

コーヒー・ジュースなど

菓子製造業

クレープ、ドーナツ、たい焼きなど

営業許可を取得するには、以下が要件となっています。

・食品衛生責任者を置くこと
・保健所の施設検査
・営業許可書の取得

●食品移動自動車業
・別の場所で調理した食品の販売のみ可能
・あらかじめ包装したもののみ販売できる

移動スーパーなどの業種がここに該当します。営業許可は、扱う食品によって分類されています。

キッチンカーの開業にかかる費用の目安

キッチンカーの開業にかかる費用の内訳を以下にまとめました。ただし、費用は目安となるので、あくまでも参考と考えてください。

使途

金額

車両

100万〜500万円

駐車場・車両維持費

数万円~

厨房設備

10万~30万円

調理器具

1万〜10万円

備品

1万~3万円

広告宣伝費(看板・のぼり・チラシ・HP制作など)

5万円~

このほか、月々の運転資金も必要になります。運転資金の主な内訳は次の通りです。

●原材料費
●備品(使い捨て容器など)
●水道光熱費
●ガソリン代
●駐車場代
●出店料(出店場所・イベントによる)
●車検
●保険
●広告宣伝費

キッチンカーを開業するときの資金調達方法

キッチンカーの開業は、店舗型の飲食店と比較するとコストをかけずに開始することができますが、開業資金と運転資金を合わせて、ある程度の余裕を持って資金を準備する必要があります。

以下、キッチンカーを開業するときの資金調達方法です。

・自己資金
・日本政策金融公庫
・助成金と補助金

自己資金

まずは自己資金を貯めるという方法です。自己資金だけでは不足する場合に、融資などの資金調達手段を検討することになりますが、融資審査においても自己資金額は必ず確認されるため、できるだけ多く準備しておくことが理想です。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、国が運営する金融機関です。個人事業主や小規模事業者の開業を積極的に支援しているため、借入をする際は優先的に検討すべき金融機関となります。

日本政策金融公庫が提供している「新創業融資制度」は、事業実績がなくても借入できる制度で、設備資金・運転資金ともに借入の対象です。原則、創業資金総額の10分の1以上の自己資金があることが要件となっています。

民間の金融機関に比べて金利が2%前後と低く、長期返済も可能なため、無理のない返済計画を立てやすいというメリットがあります。無担保・無保証人での借入ができることも利点です。

助成金と補助金

キッチンカーでの開業では、補助金・助成金を利用する方法もあります。融資とは異なり、返済義務がないというメリットがあるため、積極的に利用しましょう。

以下の助成金・補助金はキッチンカーも対象です。このほか、各自治体が独自に行っている制度もあるので、確認してください。

・地域創造的補助金
・ものづくり補助金
・小規模事業者持続化補助金

融資審査に通るためのポイント

融資審査に通るためのポイント

金融機関によって審査の基準は異なりますが、。日本政策金融公庫の新創業融資を例に審査のポイントを紹介します。

・自己資金はあるか
・知識や経験があるか
・事業計画がしっかり立てられているか

自己資金はあるか

新創業融資制度では、原則として創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できることが要件となっています。現在の職業と同じ業種である場合など、特定の要件を満たしているときは要件が緩和されることがあります。ただし、自己資金が少ない場合は、希望額を融資してもらえないこともあるため、自己資金はできるだけ多く用意しておくのが理想です。

知識や経験はあるか

融資審査では、飲食業などキッチンカーに関連する経験・知識の有無も確認されます。これは、返済能力を確認する上で、開業後にビジネスがうまくいくか否かを見定めるポイントとなるためです。キッチンカービジネスに活かせるノウハウ・経験がある場合は、積極的にアピールしましょう。

事業計画がしっかり立てられているか

審査の際は創業計画書を提出します。審査担当者は、作成した創業計画書から「売上の見通しはたっているか」「見通しの根拠はあるか」「資金の使い道は明確か」などを確認します。事業計画書の内容が曖昧だったり、しっかり試算されていなかったりすると、ネガティブな印象を与えかねません。

返済能力を示すための重要な書類と心得て、入念に準備・作成しましょう。

開業後の資金繰りのコツ

キッチンカーのメリットは、家賃・人件費といった固定費を抑えられることにあります。しかし、開業前の計画が不足していると、後々に資金繰りを圧迫してしまうケースが少なくありません。

開業時は理想のキッチンカー作りに熱中しがちですが、車両費に多くのコストをかけすぎると、その後の経営に無理が生じてしまいます。思ったように売上が伸びないことも想定した上で、運転資金を準備しておく必要があります。運転資金は最低でも3カ月、理想は6カ月以上が目安です。

また、キッチンカーで売上を上げるためには、出店場所が重要になります。インターネットで探したり、自分自身で出店場所を開拓したりするなど、積極的にアプローチにしていきましょう。

コロナ禍でキッチンカーのニーズが伸びたことから、助成金や補助金などで支援する自治体も増えてきています。常に情報のアンテナをはり、活用できるものがないか調べるようにしましょう。

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