デットファイナンスとは?資金調達への活用方法
デットファイナンスは代表的な資金調達の一つで、外部から資金を借りてくる方法です。借入先にはいくつか候補があり、それぞれの特性を把握した上で最適なところから借入をすることが大切です。
本記事では、デットファイナンスの基礎知識や小規模事業者・スタートアップ経営者の方々におすすめの借入先についてまとめます。

目次
- デットファイナンスとは
- デットファイナンス①日本政策金融公庫
- デットファイナンス②制度融資
- デットファイナンス③銀行のプロパー融資
- デットファイナンス④銀行のビジネスローン
- デットファイナンス⑤その他の資金調達方法
- 資金繰り・資金調達をサポート
- 資金調達freee:複数の金融商品を簡単に比較・申込ができる
- 事業用クレジットカード:freeeカード
- まとめ

デットファイナンスとは
デットファイナンス(Debt finance)とは、有利子負債による資金調達方法です。
デット(Debt)の意味は負債、借金。財務諸表の貸借対照(バランスシート)では右側、負債の部に計上されます。
有利子負債とは金利や社債クーポンを付けて返済しなければならない負債のことで、具体的には銀行からの借入、社債、コマーシャルペーパーなどが該当します。
中小企業やスタートアップにとって、資金調達は非常に重要です。借入というと「借金」の負のイメージを持つ方もいるかもしれませんが、上手く活用することで企業の成長を力強く支えてくれます。
デットファイナンスによる資金調達にはいくつか種類がありますので、それぞれの特性を把握した上で最適なところから借入をすることが大切です。
代表的なデットファイナンス
日本政策金融公庫 | 民間金融機関を補助する目的で設立された政府系金融機関。小規模事業者や中小企業、スタートアップ企業を対象に様々な融資メニューを提供している。 |
制度融資 | 自治体、民間金融機関、信用保証協会が連携・提供する融資制度。銀行のプロパー融資と比較して低金利で借入が可能。 |
銀行融資 | 銀行はプロパー融資とビジネスローン提供。後者は審査期間が短いがそのぶん金利が高い。 |
社債 | 事業会社が発行する債券。 |
デットファイナンス①日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は政府が100%出資する金融機関で、個人事業主や中小企業などスモールビジネスの支援を目的としています。
日本政策金融公庫が提供する融資事業は、国民生活事業、中小企業事業、農林水産事業の主に3つです。
国民生活事業 | 個人事業やスタートアップ、中小企業など小規模事業者向けの融資を提供。融資平均額は約700万円。 |
中小企業事業 | 中小企業向けの長期事業資金を融資。融資平均額は約1億円。 |
農林水産事業 | 農林漁業や国産農林水産物を取り扱う加工流通分野の長期事業に融資を行う。 |
個人事業・中小企業などの小規模事業やスタートアップ企業は、国民生活事業からの融資を検討してみるといいでしょう。一般貸付のほか、新規創業支援や女性・若者、シニア起業家向けの融資など、様々な融資メニューを提供しています。
国民生活事業の融資制度
融資制度 | 対象者 | 限度額 | 融資期間 (うち据置期間) |
---|---|---|---|
一般貸付 | ほとんどの業種の中小企業の方が利用可能 | 4,800万円 (特定設備資金は7,200万円) |
設備資金:10年以内(2年以内) 特定設備資金: 20年以内(2年以内) 運転資金: 7年以内(1年以内) |
新規開業資金 | 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方 | 7,200万円 (うち運転資金4,800万円) |
設備資金:20年以内(2年以内) 運転資金: 7年以内(2年以内) |
女性、若者/シニア起業家支援資金 | 女性または35歳未満か55歳以上の方であって、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方 | 7,200万円 (うち運転資金4,800万円) |
設備資金:20年以内(2年以内) 運転資金: 7年以内(2年以内) |
マル経融資 (小規模事業者経営改善資金) |
商工会議所、商工会または都道府県商工会連合会の実施する経営指導を受け、推薦を受けた方 | 2,000万円 | 設備資金:10年以内(2年以内) 運転資金: 7年以内(1年以内) |
日本政策金融公庫は、銀行よりも融資を受けやすい点が特徴です。銀行や信用金庫からの融資を断られても、日本政策金融公庫に申し込んだら審査に通ったという話もあります。
さらに日本政策公庫から借入した実績によって信用が増し、公庫以外の金融機関からも資金を借りやすくなります。
融資制度によって異なりますが金利は概ね1〜2%、融資期間も長めに設定されています。創業融資などでは無保証で資金を借りられる点も魅力です。
注意点は、申し込みから融資実行まで数ヶ月の時間を要する点です。申し込みをしてから書類作成、面談・審査を経て融資実行となります。
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デットファイナンス②制度融資
自治体が民間金融機関、信用保証協会と連携して提供する制度融資も、中小企業や小規模事業のオーナーにとっては有力な選択肢の一つです。
自治体が利子の負担軽減を、信用保証協会が信用保証を行ってくれます。
銀行のプロパー融資と比較して長期で低利な融資を行ってくれること、審査のハードルが低めに設定されている点が特徴です。自治体や融資メニューによっては担保や保証人が不要なこともあります。注意点は、関わる組織が多いためそのぶん融資実行まで時間がかかる点です。
自治体によって様々な融資制度を提供していますので、ご興味がある方は問い合わせをしてみるといいでしょう。
デットファイナンス③銀行のプロパー融資
プロパー融資とは、一般の銀行から資金調達をする方法です。都市銀行、地方銀行、ネット銀行などが借入先の候補となります。
プロパー融資の審査に申し込むと、「金融機関格付」によって融資が受けられるかどうか、金利、返済期間・返済方法などが決定します。
格付けは、決算書などの資料をもとにした「定量評価」と、数字では表現しにくい「定性評価」で構成されており、審査のためには多くの資料を用意する必要があります。
また、判断のための多くの情報を提供する必要があり、普段から担当者の方とのコミュニケーションを取ることも大切です。
デットファイナンス④銀行のビジネスローン
プロパー融資は、一般的に中小企業や小規模事業者にとっては審査が厳しくなりがちですが、他にも銀行はビジネスローンを提供しています。ビジネスローンには様々な種類があり、無担保で借りれるものも少なくありません。申し込みから融資実行までの期間が短い点もメリットの一つです。
例えば、会計ソフトが銀行と提携して提供しているビジネスローンは、会計ソフト内に蓄積されたデータや決算書を元にビジネスローンの申請を行えます。普段から使用している会計ソフトが提携しているため、利用者側にとっては安心感に繋がるのではないでしょうか。
企業名 | ビジネスローン名 | 概要 |
---|---|---|
横浜銀行 | 〈はまぎん〉スーパービジネスローン | 横浜銀行が会計ソフトのfreeeと提携して提供するビジネスローン。売上高10億円以下の中小企業であること、業歴2年以上かつ直近2期以上の確定申告を継続完了していること、金融機関からの借り入れの延滞および税金の滞納のないことなどいくつか条件がある。 金利は、固定金利で年2.50%~ 、変動金利で年2.70%~ 。担保不要。 |
PayPay銀行 | 大手オンラインバンク・PayPay銀行がfreeeと提携して提供するビジネスローン。利用限度額の範囲内で何度でも借り入れ可能、申し込みはネット完結、申し込み後最短で翌営業日から借り入れ可能などの特徴がある。金利は2.8~13.8%。最大3000万円まで借り入れ可能。担保不要。 |
ビジネスローンは、他にもクレジットカード会社や消費者金融が提供しているものがあります。
デットファイナンス⑤その他の資金調達方法
これまでご紹介してきた資金調達方法のほか、社債、コマーシャルペーパー、シンジゲートローン、私募債発行などもデットファイナンスに分類されます。
多くの資金調達方法がありますので、事業の状況に合わせて最適な方法を選ぶことが重要です。
そのためには、資金繰り表を作成し資金繰りについて正確に把握する必要があるでしょう。
資金繰り・資金調達をサポート
この記事をご覧になっている方は、普段から資金繰りの状況についてチェックなさっているでしょうか。会計freeeのユーザーアンケートによると、定期的に資金状況についてチェックしている方は約50%、確認の方法は預金残高通帳です。
キャッシュは企業存続の命綱です。キャッシュフローや今後の資金繰り予測などは会社経営の重要な要素の一つであり、資金調達は企業継続・繁栄の重要な手段です。
ただし、資金繰りや資金調達は難しい、よくわからない。そう思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで、freeeでは資金繰り・資金調達をスムーズにおこなうためのサービスを提供しています。
資金調達freee:複数の金融商品を簡単に比較・申込ができる
資金を調達したいが、なにが自社に適した調達手段なのか、借入できる商品なのかがわからないという経営者の大きな悩み。最終的には税理士の言う通りにするがこれで良かったのか?と不安がつきまといます。
資金調達freeeでは、いくつかの質問に答えれば複数の資金調達手段から、自社に最適な商品を比較できる形で紹介。サービスは即日利用が可能で、そのままオンラインで申し込みまでが可能になります。

事業用クレジットカード:freeeカード
資金調達、資金繰りの手段として最後にご紹介したいのが事業用クレジットカード(ビジネスカード)です。
「独立する前にクレジットカードを作っておくように」と勧められたことはありませんか?一般的に、個人事業主、フリーランス、経営者などご自身で事業を運営するようになると、クレジットカードの審査に通りにくくなると言われています。
しかし、支払いを先送りする方法としてクレジットカードは有効な手段の一つです。このためfreeeでは、事業をお持ちの方に特化したクレジットカードを提供しています。ブランドはVISA、Master、American Expressといった主要国際ブランドを揃えた豊富なラインナップを揃えており、オンラインからすぐに申し込むことが可能です。
まとめ
事業を運営・拡大していく上で資金繰りに関する問題は避けて通れない道です。また、なかなか相談相手がいない話題でもあります。
資金調達freeeや会計freeeのデータを活用して、事業を効率的に運営していきましょう。
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