2022年9月30日 基礎知識

融資の返済方法や返済計画|返済が困難な場合の対応についても解説

融資の返済方法や返済計画|返済が困難な場合の対応についても解説

事業拡大や資金繰り改善のために、融資を検討している人もいるでしょう。しかし「きちんと返済できるか」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。当記事では融資の返済をテーマに、返済方法と返済期間の考え方、返済が厳しくなった場合の対応について解説します。

融資の返済について理解を深めたい人、返済が難しくなっているため方法を模索したい人はぜひ参考にしてください。

目次

融資の短期返済・長期返済とは

融資の短期返済・長期返済とは

融資の返済には、短期返済と長期返済の2つの返済方法があります。それぞれの返済方法について見ていきましょう。

 

短期返済

長期返済

返済期日

1年以内

1年を超える

返済原資

売掛金

利益・減価償却費

返済方法

期日一括

毎月一定

審査

比較的通りやすい

厳しい

短期返済

短期返済は、短期借入金を利用する場合の返済方法であり、返済期日を1年以内としています。資金使途は主に運転資金やつなぎ資金などです。

短期返済は、期日一括返済です。期限を延長してもらえる場合は、利息のみの返済で延長することが可能です。延長が認められない場合は借りたお金を一括して返済しなければいけません。

長期返済

長期返済は、長期借入金を利用する場合の返済方法であり、返済期日が1年を超えるものを指します。長期借入金は、設備投資など大規模な資金調達に使われていましたが、近年では運転資金の借入でも利用されることが多くなっています。長期返済では、毎月一定額の返済を行います。

短期返済と長期返済の違い

短期返済と長期返済は、返済原資が異なります。返済原資とは、借入金などの返済に充てられる資金のことをいいます。

短期借入金の返済原資は、回収した売掛金です。売掛金を回収するまでの間、必要となる運転資金を用意するための手段が短期借入です。そのため、業績が赤字でも、売掛金の回収が見込める場合は融資を受けられる可能性が高いという点が短期借入の特徴です。

一方、長期返済の返済原資は「減価償却費と利益」です。現在利益がある、もしくは将来的に利益が見込めるという場合でないと、審査に通りにくくなります。

融資を受けるときの返済計画と返済期間の考え方

融資を受けるときの返済計画と返済期間の考え方

融資を受けても返済が行き詰まってしまうと経営に悪影響が出る恐れもあるため、事前に返済計画や返済期間をしっかり考えることが大切です。ここでは、返済計画の立て方および返済期間の考え方について、日本政策金融公庫の創業融資を例に説明していきます。

返済計画の立て方

返済計画は、以下の流れに沿って立てていきます。

1

借入残高を正確に把握する

2

現在の収支の状態を正確に把握する

3

返済できる毎月の金額(元金+利息)を計算する

融資の返済は、事業の利益から返済します。

返済できる毎月の金額は「税引後利益+減価償却費」よりも小さい金額までとなります。これよりも大きな返済額になると資金不足となってしまうため、現状を正確に把握して計画を立てることが重要です。

返済期間の考え方

日本政策金融公庫の創業融資では、原則、返済期間を設備資金は20年以内、運転資金は7年以内と設定しています。毎月返済できる金額を計算して、全額を返済するにはどれくらいの返済期間が必要なのかを考えましょう。

また、創業融資の場合、措置期間が設けられています。措置期間とは、元金の返済が発生せず、利息のみ支払う期間を指します。

創業当初は、経営が軌道に乗るまである程度の期間がかかります。日本政策金融公庫の場合、措置期間を設備資金は最大2年間、運転資金は最大1年間としています。措置期間も返済期間と同様、経営が軌道に乗るまでどれくらいの期間が必要なのかを考慮した上で決めましょう。

なお、措置期間を決定するのは日本政策金融公庫の担当者です。必ずしも希望する措置期間を設定できるわけではない点に留意しておきましょう。

「コロナ関連融資」の返済が難しいときの対応

「コロナ関連融資」の返済が難しいときの対応

政府系金融機関と民間金融機関による「コロナ関連融資」が実施されて約2年が経過しました。措置期間も終了してコロナ関連融資がスタートした企業も増えてきていると想定されます。しかし、今でも新型コロナウィルスの影響を受け、事業が回復していない企業も少なくありません。

ここでは、「コロナ関連融資」の返済が難しいときの対応について説明していきます。

据置期間の延長(新型コロナ特例リスケジュール)

返済が困難であると判断した場合、措置期間の延長を検討しましょう。コロナ関連融資では、据置期間の延長や返済条件の見直しを行うことが可能です。

通常、措置期間の延長は、事業者が金融機関と直接やり取りして行われますが、金融機関に対して交渉や調整を行えるか不安と感じる方もいるでしょう。そんな方には「新型コロナ特例リスケジュール」の活用がおすすめです。

新型コロナ特例リスケジュールでは、中小企業再生支援議会が間に入って金融機関との調整を行ってくれます。複数の金融機関から融資を受けている場合でも、調整することが可能です。

新型コロナ特例リスケジュールを利用する場合は、中小企業再生支援議会に電話にて相談し、所定の書類を提出する必要があります。中小企業再生支援議会は国の公的機関であり、全国47都道府県に設置されています。利用を検討している場合は、各都道府県に設置されている中小企業再生支援議会に電話連絡してみましょう。

納税の猶予

経営が悪化すると、税金などの支払いが難しくなることもあるでしょう。新型コロナウイルス感染症の影響で納税が困難になっている場合、国税に関して猶予制度が設けられています。

納税をすることにより事業の継続や生活が困難となるときや、災害で財産を損失した場合などの特定の事情があるときは、税務署に申請することで、最大1年間の納税が猶予されます。

給付金や助成金

国や地方自治体が提供する給付金や助成金を利用するのも一つの手段です。給付金や助成金は返済の必要がないため、資金繰りの改善に役立ちます。

ただし、助成金に関しては、後払いである点に注意しなければいけません。すぐに資金が必要な場合は、他の資金調達方法を検討する必要があります。

融資の返済でよくある質問

融資の返済でよくある質問

ここでは融資の返済でよくある質問をまとめました。参考にしてください。

①返済期間中に追加融資は受けられるのか?

追加融資とは、すでに融資を受けた事業者が二回目の融資を申し込むことです。返済期間中であっても追加融資を申し込むことは可能です。ただし、追加融資の可否は申込者の情報をもとに総合的に判断されるため、必ずしも追加融資を受けられるとは限りません。

また、すでに借入をしているため、月々の返済額が上がることに注意してください。経営では、急な資金繰りが必要になるケースも発生します。返済リスクを加味した上で追加融資を検討するようにしましょう。

日本政策金融公庫の追加融資について知りたい方は以下の記事をご覧ください。

日本政策金融公庫の追加融資の必要書類や審査のポイント・注意点を徹底解説

②リスケ中に新たな融資は可能か?

リスケ(リスケジュール)とは「返済期間の見直し」のことをいいます。資金繰りが厳しくなっている場合に検討したい手段の一つです。しかしながら、リスケ中に新たな融資を受けるのは難しいと考えておいたほうがよいでしょう。

リスケは資金繰りが厳しい場合に実施するものなので、金融機関に対して返済の可能性を示すことが難しいためです。基本的には手元の運転資金で事業を継続しながら、資金繰りを改善していく必要があります。

しかし、必ずしもリスケ中に融資が受けられないわけではありません。リスケ中に経営が改善してリスケ前の返済条件で返済できる状態になれば、新たな融資を受けられる可能性があります。

③返済が延滞した場合の影響は?

返済が延滞すると信用情報に傷がついてしまい、追加融資が受けられなかったり、融資の審査が通りにくくなってしまったりするリスクがあります。

返済が遅れそうな状態になったら、速やかに借り入れしている金融機関に連絡してください。

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融資は、資金繰りの助けとなる資金調達方法の一つです。しかし、しっかりと返済計画を立てないと、将来の経営に悪影響を及ぼす可能性があります。融資の返済を滞りなく行うためにも、きちんと返済計画を立てることが大切です。

融資の返済が厳しくなった際も、措置期間の延長や国が行う支援などがあります。1人で対応するのが難しいと判断した場合は、国の支援を活用することをおすすめします。

また、融資以外にも、補助金やファクタリング、クラウドファンディングなど返済不要の資金調達方法もあります。それぞれに利用する条件や内容が異なるため、状況にあった資金調達方法を検討してみてください。

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