最短60分審査・即振込!フリーランスに特化したyupの請求書『先払い』
【コラム】スモールビジネスの“救世主”サービス

資金調達の選択肢が限られているフリーランスや個人事業主にとって、いざというときの調達手段を持っておくことは、ビジネスを継続していく上で必須といえます。
今回は、フリーランス・個人事業主向けに、請求書をアップロードするだけで報酬の即日払いを実現する『先払い』サービスを提供しているyup株式会社の代表取締役社長 阪井 優さんにお話を伺いました。最短60分審査という圧倒的なスピードをどのように実現しているのか、サービスの裏側に迫ります。
●インタビュイー:
yup株式会社 代表取締役社長
阪井 優さん
●プロフィール
1989年、大阪府堺市生まれ。大阪教育大学を卒業後、2014年にNTTドコモに入社。2017年にコイニ-株式会社(現・ヘイ株式会社)に入社し、地域金融機関との提携、テンセントの決済サービス「WeChatペイ」に関する業務や外部パートナー企業との提携業務に従事。2019年2月にyup株式会社を設立し、代表取締役社長に就任
フリーランス向け報酬即日払いサービス「先払い」とは?

独自の与信アルゴリズムにより最短60分審査を実現

――『先払い』サービスの特徴を教えていただけますか?
『先払い』は、フリーランスや個人事業主に特化した請求書買取サービスです。専門用語でいうとファクタリングというビジネスモデルで、入金待ちの請求書(売掛債権)を買い取り、すぐに口座に振り込むという仕組みです。利用者は、取引先から入金があったらyupに振り込むという流れになっています。
『先払い」では、申込から入金までのやり取りを全てオンラインで完結できる、当社と利用者の2者間ファクタリングの形式をとっています。従来、ファクタリングは取引先に実態を確認する3者間で行われるのが主流でしたが、『先払い』は2者間で行うため、取引先に利用を知られることがありません。
『先払い』の特徴は大きく3つです。
●必要書類は請求書のみの「簡単な手続き」 ●最短60分で審査完了の「圧倒的スピード」 ●初期費用・月額費用0円、サービス利用料10%の「わかりやすい料金体系」 |
1つ目の特徴は、請求書のみアップロードしていただければよいという非常にシンプルな手続きです。カードローンなどの借入では審査のために書類をたくさん揃える必要があり、フリーランスの場合だと、確定申告書類や通帳の入出金明細などが求められます。yupは独自の審査システムを持っているので、請求書だけ用意していただければ、会員登録した当日からすぐに利用できます。
2つ目は、最短60分で審査が完了して、すぐにお金が振り込まれるスピード感です。これが実現できるのも、独自の審査システムがあるからです。他社のファクタリングサービスでは早くても翌営業日入金というサービスが多く、これは必要書類を不足なく提出した場合となるので、再申請となったときはさらに時間を要します。
3つ目の特徴は、申請金額の10%のみサービス利用料としていただく、わかりやすい料金体系です。初回申請では、手数料がお得になるクーポンも配布しています。
このように、圧倒的にシンプルかつスピーディなサービスという点が『先払い』の大きなメリットになります。
『先払い』の使い方 1. アカウント登録 2. ログイン 3. 請求書情報を登録 4. 申請内容を入力(申請金額・資金使途・振込先口座) 5. SMS認証 6. 事業者情報の入力・身元確認書類のアップロード ※初回のみ |
――最短60分審査を可能にしているのは、独自の審査システムを構築されているからなんですね

最短60分審査という話をすると、銀行さんから「ちゃんと審査しているんですか?」と驚かれることが多いのですが、膨大なデータを分析する独自の与信アルゴリズムを構築しています。システムで与信を自動判定するモデルを2年くらいかけて作ってきまして、これにより圧倒的なスピード感を実現しています。じつは、バッファを持って最短60分としていますが、実際にはもっと短い時間で審査が終わっている場合がほとんどです。
どういった情報を見ているのかというと、公共データや不正データなどのほか、SNSの情報も分析しているところが特徴的だと思います。利用者の信頼性を定性的な面からも評価する仕組みで、たとえばSNSに投稿しているテキスト内容やフォロー内容といったものをクローリングして傾向を分析しています。ただ、SNSを使っていない方もいますので、今後はもっと広くあまねく対応できる与信モデルへと進化させていきたいです。
現段階ではまだ目視チェックも入れていますが、最終的には完全に自動化したいと考えています。利用者にとっても、より簡単かつ短時間でお金が振り込まれるというメリットが生まれるので、ぜひ実現したいですね。
――書類提出の必要がないというのは、忙しいフリーランスや個人事業主にとって、とても助かる仕組みですね。
当社が実現したいのは、スモールビジネスを行っているフリーランスや個人事業主によって利便性の高いサービスです。そのため、徹底的にシンプルであること、圧倒的に速いことを目指しています。
確定申告書類や入出金明細といったデータがあれば、確かに与信管理はしやすいと思います。ただ、確定申告書類は昨年のものであり、過去のデータになります。それよりも私たちが重視しているのは、リアルタイム性です。SNSの分析も、そうした考えのもと与信ロジックに組み込んでいます。
とはいえ、最初からうまくいったわけではありません。サービス開始当初は、一定の貸倒れが起きるなど自らの血を流しながら(笑)、ゼロからノウハウを蓄積していって、ようやく現在の与信アルゴリズムを作ってきたという感じです。
『先払い』利用者の傾向は?

立替払いが発生するフリーランスとの相性がよい
――実際に、どういった方々が『先払い』を利用されているのでしょうか?

『先払い』は、2021年の8月時点で累計申込件数が13,000件を超えました。多いのはデザイナーやエンジニア、建築・不動産業ですが、様々な業種の方に利用していただいています。
ニーズの傾向としては、立替払いをしている事業者さんが手元資金を確保するために利用するケースが多くなっています。また、たとえば建設業の一人親方や運送業の個人ドライバーといった多重の下請構造になっている業界において、資金繰り改善のために利用されることも多いですね。

――yupの『先払い』が向いているケース・向いていないケースを教えていただけますか?
実際に利用されている方々の声を聞くと、一時的に費用の立替をしている場合に『先払い』を利用して手元資金を確保し、次のビジネスチャンスを広げているという使い方が多いですね。そういう意味でも、立替払いをされている事業者さんは『先払い』との相性がとても良いと思います。
逆に、毎月の仕事量が少なく生活費に困っているので前払いしてほしいといったケースは、審査にも通りにくくなるので向いていないといえます。
実際にうまく活用されているフリーランスの事例を紹介しましょう。
●エンジニアの例
大手クライアントから開発案件を受けて、知り合い・友人のエンジニアやデザイナーに委託している方です。大きな案件は完成までに時間を要するので、入金されるタイミングと委託先に支払うタイミングがどうしてもズレてしまいます。『先払い』を利用して、この問題を乗り切られています。
●アパレル関連の例
服の型を作られているパタンナーの方で、フリーランスとして活動されています。パターンを作るときの材料費を一時的に立替しているものの、かなりたくさんのパターンを納品されるため、自己資金で回していくのが大変ということでした。『先払い』を利用することで資金を次の材料費に回せるようになり、どんどん売上を伸ばされています。
●YouTuberの例
動画制作で使う素材や機材に費用がかかるため、『先払い』を利用されているというケースです。『先払い』は即時にお金が振り込まれるので、リアルタイム性が重要なビジネスを行っている方にとって、使い勝手が良いという評価をいただいています。
――審査の通過率や、審査に通らない理由をお伺いしてもいいですか?
現在のところ、審査の通過率は約半数です。お断りせざるを得ない理由についてはいくつかありますが、商売の実態が見えない場合が多いですね。申込をいただいた時点で当社が得られる情報があまりに少ない場合は、判定が難しくなるため審査に通りにくい傾向があります。
――「先払い」を利用するタイミングは早いほうがよいのか、それともできるだけ遅いほうがよいのか、理想的なタイミングというのはあるのでしょうか?
1か月先の入金であっても2か月先であってもサービス利用料は変わらないので、どのタイミングで利用していただいてもよいです。
ただ、短期資金の需要が生まれた時点で申し込んでいただければ、お金はすぐに振り込むことができるので、早い段階でご利用いただいたほうが資金繰り改善という点ではよいかもしれません。
より詳しい商品情報は下記をご覧ください。
yupを立ち上げた理由は?

投資家から「面白いから出資する」と言われ突然の独立起業
――フリーランスや個人事業主に特化した先払いサービスを提供しようと決めた背景を教えていただけますか?
法人に比べると、フリーランスや個人事業主の資金調達手段は、すごく限られてしまっているのが現状です。いろいろなフリーランスの方にヒアリングしましたが、お金に困ったらカードローンを使うか、それができない場合は友人や親に頼るしかないという極端な現状でした。
自分が働いた分の請求書を使うだけで、必要な金額を必要なときに得られるサービスがあれば、乗り越えられるチャンスを作れると思ったのが事業を始めたきっかけです。法人向けでは、他社が様々なファクタリングサービスを提供されているので、なかなか選択肢を増やせないフリーランスや個人事業主に特化しようという判断に至りました。
――阪井さんのプロフィールを拝見すると、NTTドコモからベンチャー企業への転職と様々な経験をされています。そうした経験もビジネスの発想に影響しているのでしょうか?
いろいろな経験が現在の事業に影響を与えていると思います。大学時代に親友のお父さんがやっている町工場でアルバイトをしたのですが、そのときに零細企業ならではの請求や支払い周りの課題を間近に見ました。社会人になってからは、独立起業した友人がお金の工面に苦慮する様子を見てきました。
カード決済サービスを提供するコイニー株式会社(現・ヘイ株式会社)に入社したときは、一人オーナー体制のお店や飲食店などの事業者さんとお話しする機会が多かったのですが、入金サイクルが長いことで事業がうまく進みにくいという問題を目の当たりにしました。こうした経験が、請求や支払い周りの課題を解決したいという強い思いにつながっていったのだと思います。
――そもそも、どのような経緯でyupを立ち上げられたのでしょうか?
じつは、始めから起業を目指してわけではなく、前職のコイニーに在籍しているときに自分のアイデアを新規事業としてやれたらいいなと考えて、その一環として投資家さんの意見を聞きにいってみたのが始まりなんです。
知り合いを通してインキュベイトファンドというVCを訪ね、そこで現在yupの株主にもなっている代表の赤浦さんという方にお会いしました。5分くらいのプレゼンをさせていただいたのですが、その場で「出資するから、とりあえず会社を辞めて」と言われまして、本当にびっくりしました(笑)。「請求書を撮ったら、お金に変わる」といった、イラストを使った本当に拙いスライドでしたが、面白いと言っていただけました。
それが2018年の年末のことで、年明けまで悩んだ末、代表である佐藤さんに退職の旨を伝えたところ「僕も出資する」と(笑)。結局2019年3月に退職して、4月には一人で自宅からスタートという感じで始まりました。
yupが目指す世界観とは?

AI技術を用いながら真に価値のあるサービスを提供していく
――ファクタリングは急成長している分野ではありますが、まだまだ理解が進んでいないという印象もあります。阪井さんは、この分野における課題をどのように見ていますか?
ファクタリングは、欧米では一般的な資金調達手段として定着していますが、日本ではまだまだ認知が低いと感じています。少し前に給与ファクタリングの違法業者が出てきて取り沙汰された影響もあり、ネガティブなイメージを持っている方もいらっしゃいます。
ファクタリングについて正しく理解してもらえるよう、地道なマーケティング活動をしながら、業界全体が盛り上がっていけるようにしたいですね。
――今後、yupが目指す世界観を教えていただけますか?
yupのビジョンは「スモールビジネスにやさしい支払い・請求で新しい挑戦を後押しする」です。freeeさんが掲げているビジョンと少し似ていますが、資金調達において選択肢の少ないフリーランスや個人事業主を応援していきたいという思いを持っています。
その中で、事業ドメインとして「BtoB決済×AIに特化したスタートアップ」と置いています。スモールビジネスを行っている方にヒアリングすると、やはり請求・支払い業務に面倒さや大変さを感じている方がとても多いんです。AI技術を用いて、この部分をより滑らかにしていくことで、スモールビジネスの挑戦を後押しできるような事業を展開していきたいです。
今はfreeeさんが提供しているクラウド会計ソフトに代表されるように、会計業務のデジタル化がだいぶ進んでいます。土台となる会計業務のクラウド化が実現できているので、次に、その先にある請求・支払いの部分がデジタル化されれば、スモールビジネス経営者にとってよりビジネスチャンスをつかみやすい世界になっていくと思うんですね。
たとえば、入金サイクルが長くて資金調達が必要となったときに、ワンクリックで請求書の先払いができればとても便利ですよね。簡単に請求書作成ができて、その中にワンクリックで先払い申請ができる機能が備わっているといったサービスを実現できたら、すごくいいなと。
――現在、yupはfreeeのパートナー企業として連携していただいていますが、金融機関も含めて、様々なところと一緒にやりやすいビジネスモデルですね。
世の中には素晴らしい金融関連のサービスがいろいろあるので、そうしたところと連携させていただくことで、提供できる価値が広がっていくと思っています。
利用者にとって真に使い勝手がよく、価値があるサービスを提供していくことを目指しているので、全部自前で提供していこうといったこだわりは持っていません。多くの企業さんと連携しながら、スモールビジネスの挑戦をサポートできるようなサービスへと、もっともっと進化させていきたいです。
yupの先払いをご利用ご希望の方は、下記より商品の詳細をご確認ください。
(インタビュー:土井 啓夢 文:社 美樹)