2021年6月23日 基礎知識

売掛債権とは?未収金との違いや、仕訳・管理・回収方法について

売掛債権とは、簡単に言うと「代金を受け取る権利」です。この記事では、売掛債権の意味や会計上の仕訳方法、さらに経営者であれば絶対に押さえておきたい、売掛債権の管理と回収についてもご紹介していきます。

売掛債権とは?未収金との違いや、仕訳・管理・回収方法について

目次

売掛債権とは?

売掛債権とは、商品やサービスを販売した時に発生する「代金を請求する権利」のことです。売上債権とも呼ばれます。

通常、企業間の取引では前払いや現金取引は一般的ではなく、後払いである信用取引(掛取引)が採用されており、商品・サービスを提供してから1〜2ヶ月後に代金が入金されます。

こういった取引形式は、信用取引(掛取引)と呼ばれています。売掛債権とは、信用取引において発生する債権のことです。

信用取引(掛取引)をする理由

企業はなぜ信用取引(掛取引)をするのでしょう。それは効率的だからです。
例えば、毎日何かしらの取引をする場合、その都度現金決済をするよりまとめて取引をした方が手間もコストもかかりません。
「効率良い取引のために、まとめて決済しよう」という考え方から生まれたのが信用取引(掛取引)なのです。

売掛債権の種類:売掛金と受取手形

前述したように、信用取引(掛取引)をすると代金の入金は1〜2ヶ月後になり、商品・サービスの提供者には「代金を受け取る権利」である売掛債権が発生します。
売掛債権には受取手形と売掛金の二種類があります。

  • 受取手形:約束手形の支払によって商品・サービスの代金を受け取る権利(債権)
  • 売掛金:手形以外の支払で商品・サービスの代金を受け取る権利(債権)

売掛金と買掛金の違い

売掛金と対になる言葉に「買掛金」があります。受取手形以外で代金を受け取る権利を売掛金、逆に支払う義務を買掛金と言います。売掛金は債権であり資産、買掛金は債務で負債に分類されます。

  • 売掛金:商品・サービスの代金を受け取る権利
  • 買掛金:商品・サービスの代金を支払う義務

売掛金と未収金の違い

売掛金と似た債権に未収金があります。どちらもまだ受け取っていない代金を受け取る権利ですが、下記のような違いがあります。

  • 売掛金:企業の営業取引によって発生した債権
  • 未収金:営業取引以外によって発生した債権

売掛金は、商品・サービスの販売など何かしらの営業活動の結果発生した債権なのに対して、未収金は備品や不動産を売却して得たお金です。

売掛債権の仕訳方法

ここからは、売掛債権の会計上の仕訳についてご説明します。

売掛金の仕訳

例えば、商品を70,000円を掛取引で販売した場合は下記のように仕訳します。

借方 貸方
売掛金 70,000円 売上 70,000円

代金を回収後は下記のように仕訳します。

借方 貸方
現金 70,000円 売掛金 70,000円

会計ソフトを活用するとさらに分かりやすいかもしれません。
例えば、freee会計では掛取引があった場合は下記のように操作をします。

売掛金を簡単に記帳する方法

2015/5/1 に商品を受け渡し売上計上、2015/6/30が回収期日の取引があった場合、freee会計では以下のような画面で登録を行います。

会計freee画面

こうすることで、仕訳は前述した下記の表のようになります。

借方 貸方
売掛金 70,000円 売上 70,000円

freee会計で請求書を発行すると、未決済取引が自動で作成されます。freeeでは見積書を請求書に変換することもできるため、見積書・請求書の作成、管理、さらに記帳まで一貫してシンプルに操作できることになります。
会計ソフトを活用すれば会計の知識がなくても直感的に操作できるためおすすめです。

詳細はこちら
freeeヘルプセンター『未決済の取引を登録する・消し込む(売掛金・買掛金など)

受取手形の仕訳

商品70,000円を販売し代金を手形で受け取った場合は、下記のように記帳します。

借方 貸方
受取手形 70,000円 売上 70,000円

代金を回収後は下記のように記帳します。

借方 貸方
現金 70,000円 受取手形 70,000円

なお、前述したfreee会計では、受取手形・支払手形で決済した取引も簡単に登録することができます。

詳細はこちら
freeeヘルプセンター『受取手形・支払手形による決済を記帳する

売掛債権の時効

支払ってもらうことを前提とした掛取引ですが、期日までに支払われないケースもあります。先方が支払いを忘れていたり、何か手違いが起こっている可能性もありますので、振込がなかった場合はまず電話やメールで確認しましょう。厄介なのは意図的に支払わないケースです。

売掛金は債権の一種であり、債権には消滅時効があります。放っておくと支払ってもらう権利が消滅しますので、注意が必要です。種類によって時効期間は異なりますので、事前にチェックしておきましょう。

時効期間 時効債務
1年 宿泊費用、飲食費用、運送費用
2年 製造業、卸売業、小売業の販売代金、弁護士への報酬
3年 建築代金、工事代金、自動車修理費用、医療費など
5年 上記以外の売掛金

ちなみに、前述したfreee会計では、期日までに入金がないとアラートが出ます。このため、どの請求書の入金が済んでいないかなどもすぐに確認できるでしょう。

受取手形の場合は売掛金とは異なり、「第三者に譲渡できる」「現金化できる」といったメリットがあります。しかし、取引会社の経営状況によっては不渡りとなることがあり、売掛金同様に回収できなくなるリスクもあります。

売掛債権の管理

売掛債権を確実に回収するために、普段から管理をすることをお勧めします。エクセルなどで管理する方法もありますが、会計ソフトで一括して管理するとわかりやすいでしょう。

例えば、freee会計の入金管理レポートでは、「売掛金」や「未収入金」など債権の勘定科目の確認・管理を行うことができます。

  • 債権(売掛金など)の回収管理
  • 入金予定の確認
  • 滞留状況の確認
  • 得意先別の売掛金の集中状況からの信用リスクの確認
  • 部門別の債権管理
売掛債権の管理画面

取引先、決済期日ごとに個別債権の決済状況を把握することができます

詳しくはこちら
売掛金管理「売掛金管理」 | クラウド会計ソフト freee

売掛債権と資金繰り

前述したように、売掛債権は会計上は資産に分類されるため、債権を担保に借り入れをしたり第三者に譲渡することができます。このため、売掛債権を資金繰りに活用することも可能なのです。ここからは、売掛債権と資金繰りについて詳しくご紹介していきます。

ファクタリングで売掛金(請求書)を現金化する

ファクタリングとは、売掛債権に保険をかけたり(保証型)、現金化するサービス(買取型)のことです。ファクタリングを利用して、売掛金(請求書)を譲渡・現金化する方法もあります。

中小企業や個人事業主が資金調達を考えた際、金融機関からの融資やビジネスローンなどが思い浮かぶかと思いますが、ファクタリングも有力な選択肢の一つです。

特に、以下のような状況下では活用の余地があるでしょう。

  • 銀行に融資を申し込んだが断られてしまった
  • 担保や保証人がいない
  • 早く手元に現金が欲しい
  • 小口の資金がすぐ必要

ファクタリングには担保が必要ないため、売掛金を早期に現金化したい場合に有効です。ただし、ファクタリング会社に手数料を支払うため回収できる金額は減ります。

また、売掛金を譲渡する前に取引先との契約書に債権譲渡を禁止する条項が記載されていないか確認しましょう。もし契約書に禁止と書かれていた場合、債権譲渡はできません。

売掛債権だけではカバーできない金額が必要な場合は、クレジットカードで支払うな、支払いを先延ばしにすることで資金繰りをする方法もあります。また、そもそも今、自分の事業にはどれだけのお金を借りることができるのかも知っておきたいところです。

中小企業の経営者の方や個人事業主が、事業の状況に合わせ迅速に資金調達をするためにはどうすれば良いのでしょう。資金を調達したい方にお勧めしたいのが、freee会計が提供する資金繰り改善ナビです。

資金繰り・資金調達をサポート

この記事をご覧になっている方は、普段から資金繰りの状況についてチェックなさっているでしょうか。freee会計のユーザーアンケートによると、定期的に資金状況についてチェックしている方は約50%、確認の方法は預金残高通帳です。

キャッシュは企業存続の命綱です。キャッシュフローや今後の資金繰り予測などは会社経営の重要な要素の一つであり、資金調達は企業継続・繁栄の重要な手段です。
ただし、資金繰りや資金調達は難しい、よくわからない。そう思っている方も多いのではないでしょうか。

そこで、freeeでは資金繰り・資金調達をスムーズにおこなうためのサービスを提供しています。

freee資金調達:複数の金融商品を簡単に比較・申込ができる

資金を調達したいが、なにが自社に適した調達手段なのか、借入できる商品なのかがわからないという経営者の大きな悩み。最終的には税理士の言う通りにするがこれで良かったのか?と不安がつきまといます。
freee資金調達では、いくつかの質問に答えれば複数の資金調達手段から、自社に最適な商品を比較できる形で紹介。サービスは即日利用が可能で、そのままオンラインで申し込みまでが可能になります。

資金調達freee画面

事業用クレジットカード:freeeカード

資金調達、資金繰りの手段として最後にご紹介したいのが事業用クレジットカード(ビジネスカード)です。
「独立する前にクレジットカードを作っておくように」と勧められたことはありませんか?一般的に、個人事業主、フリーランス、経営者などご自身で事業を運営するようになると、クレジットカードの審査に通りにくくなると言われています。

しかし、支払いを先送りする方法としてクレジットカードは有効な手段の一つです。このためfreeeでは、事業をお持ちの方に特化したクレジットカードを提供しています。ブランドはVISA、Master、American Expressといった主要国際ブランドを揃えた豊富なラインナップを揃えており、オンラインからすぐに申し込むことが可能です。

まとめ

事業を運営・拡大していく上で資金繰りに関する問題は避けて通れない道です。また、なかなか相談相手がいない話題でもあります。

freee資金調達やfreee会計のデータを活用して、事業を効率的に運営していきましょう。

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  • ローン商品や給付金等の情報は、特に断りがない限り記事公開現在のものです。最新の情報は各金融機関のホームページや公式サイトでご確認ください。
  • freee資金調達はお客様のサービス選択時の参考情報提供を目的としており、特定の金融機関、ローン商品の優劣を示したものではありません。
  • 各金融機関の審査結果によっては利用できない場合があります。

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