2021年7月8日 基礎知識

日本政策金融公庫の融資とは?新型コロナウイルス対応の無担保・実質無利子融資も解説

日本政策金融公庫は、民間金融機関の補完を目的とした政府系金融機関です。創業融資や新規事業サポートなど積極的な成長支援だけではなく、自然災害や経済環境の変化など外的要因に対応したセーフティネットとしての役割も担っています。新型コロナウイルス感染症の発生で影響を受けた中小企業・小規模事業者に対しては、緊急融資制度「無担保・実質無利子融資」を提供し話題になりました。

中小企業や個人事業主・フリーランスであれば、日本政策金融公庫について知っておいて損はありません。本記事では、日本政策金融公庫が提供する融資について詳しく解説します。事業を積極的に成長させたい時や、危機が訪れた際に活用しましょう。

日本政策金融公庫の融資とは?新型コロナウイルス対応の無担保・実質無利子融資も解説

目次

日本政策金融公庫の融資制度とは

日本政策金融公庫は、政府が全額出資する政府系の金融機関です。行政改革の一環で「国民生活金融公庫」「農林漁業金融公庫」「中小企業金融公庫」「国際協力銀行」の4組織が統合、平成20年に発足しました。

日本政策金融公庫が提供する融資制度には、「国民生活事業」「中小企業事業」「農林水産事業」の3カテゴリがあります。

様々な融資メニューが提供されていますが、特に経営環境の変化や取引企業の倒産に対応した「セーフティネット貸付」や、新たに事業を始める人を対象とした「新創業融資制度」、商工会議所などから推薦を得て受けられる「マル経融資」などが有名です。

銀行のプロパー融資と比較して資金を借りやすく、低金利で融資が受けられます。さらに、日本政策金融公庫から融資を受け、滞りなく返済することで融資の実績(信用)ができ、他の金融機関からの融資も受けやすくなるという特徴があります。

日本政策金融公庫『融資制度一覧』

日本政策金融公庫『融資制度一覧
融資制度は「国民生活事業」「中小企業事業」「農林水産事業」の3つ。

国民生活事業は小規模事業向け

国民生活事業では、個人事業主やフリーランスなどの小規模事業や個人企業を対象に資金を融資しており、平均融資額は約700万円です。個人向けに教育ローンも提供しています。

国民生活事業

  • 一般貸付
  • セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金、金融環境変化対応資金、取引企業倒産対応資金)
  • 新企業育成貸付(新規開業資金、女性、若者/シニア起業家支援資金、新事業活動促進資金など)
  • 企業活力強化貸付(企業活力強化資金、IT活用促進資金、ソーシャルビジネス支援資金、働き方改革推進支援資金など)
  • 環境・エネルギー対策貸付
  • 企業再生貸付
  • その他の融資制度(新型コロナウイルス感染症特別貸付、マル経融資、新創業融資制度)
  • 生活衛生貸付
  • 国の教育ローン

中小企業事業は中小企業向け

中小企業事業は中小企業向けの融資を提供しており、平均融資額は約1億円です。

中小企業事業

  • 新企業育成貸付(新規開業資金、女性、若者/シニア起業家支援資金、新事業活動促進資金など)
  • 企業活力強化貸付(企業活力強化資金、IT活用促進資金、働き方改革推進支援資金など)
  • 環境・エネルギー対策貸付
  • セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金、金融環境変化対応資金、取引企業倒産対応資金)
  • 企業再生貸付
  • その他の融資制度(新型コロナウイルス感染症特別貸付、公庫融資借換特例制度など)

日本政策金融公庫の融資について詳しく知りたい場合は、『公庫の借入とは?日本政策金融公庫を活用しよう』もご参照ください。

災害など外的要因に対応する貸付も提供

東日本大震災により被害を受けた人を対象とした「東日本大震災復興特別貸付」、熊本地震に被害を受けた人を対象とした「平成28年熊本地震特別貸付」、そして新型コロナウイルス感染症の影響で業況が悪化している方を対象とした「新型コロナウイルス感染症特別貸付」など、外的要因から事業主を守るための貸付も提供しています。

災害などが原因で事業に影響が出た場合、日本政策金融公庫に相談してみるのも選択肢の一つです。

日本政策金融公庫「新型コロナウイルス感染症特別貸付」とは?

「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は、新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に業況悪化を来している事業者を対象とした無担保・低金利の貸付制度です。個人事業主・フリーランスなどの小規模事業者を対象とした「国民生活事業」、中小企業を対象とした「中小企業事業」それぞれ融資制度を展開しています。

国民生活事業

対象者
  1. 最近1ヵ月の売上高または最近1ヵ月を含む過去6ヵ月の平均売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している
  2. 業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合、最近1ヵ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少
    1. 過去3ヵ月(最近1ヵ月を含む)の平均売上高
    2. 令和元年12月の売上高
    3. 令和元年10月から12月の平均売上高
資金の使途 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う社会的要因等により必要とする設備資金および運転資金
融資限度額 8,000万円(別枠)
利率 基準利率(1.26~1.75%)
ただし、6,000万円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%(※1)、4年目以降は基準利率
返済期間 設備資金 20年以内(うち据置期間5年以内)
運転資金 15年以内(うち据置期間5年以内)
担保 無担保

中小企業事業

対象者
  1. 最近1ヵ月の売上高または最近1ヵ月を含む過去6ヵ月の平均売上高が前年または前々年同期に比し5%以上減少していることまたはこれと同様の状況にあること
  2. 中長期的にみて、業況が回復し、かつ、発展することが見込まれること
資金の使途 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う社会的要因等により必要とする設備資金および運転資金
融資限度額 直接貸付 6億円(別枠)
利率 基準利率
ただし、3億円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%(※1)、4年目以降は基準利率
返済期間 設備資金 20年以内(うち据置期間5年以内)
運転資金 15年以内(うち据置期間5年以内)
担保 無担保(5年経過ごと金利見直し制度を選択可能)

(※1)一部の対象者については、基準利率-0.9%の部分に対して別途実施機関から利子補給され、当初3年間が実質無利子になります。

融資の詳細については、日本政策金融公庫の『新型コロナウイルス感染症特別貸付』をご確認ください。

「特別利子補給制度」と併用し実質的な無利子化融資に

「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の融資を受けた後、日本政策金融公庫以外の実施機関が提供する「特別利子補給制度」を利用して利子補給を受けることで、実質的に無利子になります。事業への影響が特に深刻で、売上高が急減した事業主が対象です。

特別利子補給制度の対象者

  1. 個人事業主(フリーランス含む):要件なし
  2. 小規模事業者(法人) :売上高15%減少
  3. 中小企業者:売上高20%減少

小規模事業者とは、卸・小売業、サービス業で従業員5名以下、その他業種は従業員20名以下の事業者です。

参考URL:

3年間は実質無利子で融資を受けられる点は大きな魅力です。利子返済を気にすることなく、業績悪化や環境変化への対応に専念することができるでしょう。

注意点は、融資実行まで数週間〜1ヶ月程度を想定する必要がある点です。支払いや資金調達が差し迫っている場合は、他の選択肢を考えなければなりません。

ここから先は、小規模事業者・中小企業経営者であれば必見の、資金繰りと資金調達、日本政策金融公庫以外の資金調達方法について解説します。

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まとめ

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  • ローン商品や給付金等の情報は、特に断りがない限り記事公開現在のものです。最新の情報は各金融機関のホームページや公式サイトでご確認ください。
  • freee資金調達はお客様のサービス選択時の参考情報提供を目的としており、特定の金融機関、ローン商品の優劣を示したものではありません。
  • 各金融機関の審査結果によっては利用できない場合があります。

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