【種類別】ファクタリングの仕訳|勘定科目や会計処理時の注意点も解説

ファクタリングは、売掛債権を売却して現金化するサービスです。売掛債権を売買する取引なので、会計処理を行う必要があります。当記事では、ファクタリングの種類と仕訳のやり方、注意点について解説していきます。
目次

ファクタリングの種類

適切に仕訳をするにあたって、まずはファクタリングの種類について理解しておきましょう。ファクタリングは目的・用途に応じて「買取型ファクタリング」と「保証型ファクタリング」に分かれます。
買取型
買取型ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで資金を調達する手法です。一般的に利用されているファクタリングの多くは買取型です。
売掛債権には支払期日があり、取引先が入金してくれるまで1ヶ月から3ヶ月ほどかかります。期日が来るまでは、売掛債権を回収することはできません。売掛債権の支払いサイトが長いほど、資金繰りに影響を及ぼします。帳簿上では利益が出ているのに手元に現金がなく支払いが滞ってしまう、いわゆる「黒字倒産」は避けたいものです。
買取型ファクタリングを活用することで、取引先からの支払いを待たずに入金期日前の売掛債権を現金化することができ、資金繰りの改善に役立てることができます。
買取型ファクタリングは、サービス利用者・ファクタリング会社のみで行われる「2社間ファクタリング」と、サービス利用者・取引先・ファクタリング会社で行われる「3社間ファクタリング」に分かれます。
保証型
保証型ファクタリングは、取引先の倒産等で売掛債権が回収できなくなった場合、ファクタリング会社が売掛債権の代金を代わりに支払ってくれるサービスです。未回収の売掛債権に保険をかけるようなイメージです。
買取型ファクタリングは、早期の現金化による資金繰りが目的であるのに対し、保証型ファクタリングは、貸倒れのリスクを回避するために利用されます。以下のような状況の場合は、保証型ファクタリングの利用を視野に入れるとよいでしょう。
- 1つの取引先に売上を依存している
- 取引先の支払い能力に不安がある
取引先が倒産してしまうと売掛債権が回収できなくなり、自社の経営に多大な影響を及ぼします。保証ファクタリングを活用することで、取引先が倒産したときの貸倒れリスクを軽減することが可能です。
保証型ファクタリングを利用するには、保証料を支払う必要があります。通常、保証料はあらかじめ何%と決まっているわけではなく、取引先の信用力などに応じて変わります。
また、必ずしも全ての売掛債権に保証が適用されるわけではない点に留意しておきましょう。保証型ファクタリングでは対象となる取引先を調査し、返済能力や信用力を審査します。返済能力や信用力が著しく低いと判断されると、契約できない場合があります。
ファクタリングを利用したときの仕訳のやり方

ここでは、ファクタリングを利用したときの仕訳のやり方をシーン別に解説していきます。
買取型・2社間ファクタリング
ここでは、売掛債権100万円、手数料として10万円が発生する場合の仕訳を解説します。
売掛金発生時
売掛金発生時の仕訳は、通常の会計処理と同じように処理します。
借方 |
貸方 |
||
---|---|---|---|
売掛金 |
1,000,000 |
売上 |
1,000,000 |
ファクタリング契約時
ファクタリングの契約をした段階では現金を取得していないため、「未収入金」として計上します。未収入金は、営業以外の取引で将来入金される場合に使われる勘定科目です。
借方 |
貸方 |
||
---|---|---|---|
未収入金 |
1,000,000 |
売掛金 |
1,000,000 |
ファクタリング会社からの入金
ファクタリング会社から入金された場合は、入金された金額を「普通預金」、手数料を「売上債権売却損」として処理します。売上債権売却損とは、売上債権を売却することで発生した損失を処理する勘定科目です。
借方 |
貸方 |
||
---|---|---|---|
普通預金 |
900,000 |
未収入金 |
1,000,000 |
売上債権売却損 |
100,000 |
買取型・2社間ファクタリング(即日入金の場合)
2社間ファクタリングは、取引先企業への承認や通知が不要なため、即日入金される場合があります。最近のファクタリング会社は、契約と入金が同時である「即時入金」に対応している会社が多数あります。即日入金の場合、ファクタリング契約時と入金時を一つにまとめることができます。
売掛金発生時
売掛金発生時の仕訳は、通常の会計処理と変わりません。
借方 |
貸方 |
||
---|---|---|---|
売掛金 |
1,000,000 |
売上 |
1,000,000 |
契約・入金時
即日入金の場合は、未収入金の勘定科目を記載する必要がないため、ファクタリング契約時の会計処理を省略することができます。
借方 |
貸方 |
||
---|---|---|---|
普通預金 |
900,000 |
売掛金 |
1,000,000 |
売上債権売却損 |
100,000 |
買取型・3社間ファクタリング
3社間ファクタリングは、サービス利用者・取引先企業・ファクタリング会社の3社間で取引を行います。取引先企業への通知や承諾が必要になるため、契約から入金まで日数がかかる場合があります。
売掛金発生時
売掛金発生時は、3社間ファクタリングも通常の会計処理と変わりません。
借方 |
貸方 |
||
---|---|---|---|
売掛金 |
1,000,000 |
売上 |
1,000,000 |
ファクタリング契約時
2者間ファクタリングと同様、ファクタリング契約の段階では現金を取得していないため、「未収入金」として計上します。
借方 |
貸方 |
||
---|---|---|---|
未収入金 |
1,000,000 |
売掛債権 |
1,000,000 |
ファクタリング会社からの入金
2者間ファクタリングと同様、ファクタリング会社から入金された場合は、入金された金額を「普通預金」、手数料を「売上債権売却損」として処理します。
借方 |
貸方 |
||
---|---|---|---|
普通預金 |
900,000 |
未収入金 |
1,000,000 |
売上債権売却損 |
100,000 |
保証型・入金された場合
取引先から売掛金が入金された場合は、手数料を払うのみとなります。
ここでは、売掛債権100万円、手数料1万円の保証型ファクタリングを利用した場合の仕訳を解説します。
借方 |
貸方 |
||
---|---|---|---|
支払手数料 |
10,000 |
普通預金 |
10,000 |
保証型・回収不能の場合
期日までに取引先から支払いが行われず、売掛債権が回収不能になった場合は、ファクタリング会社から支払いがされます。仕訳は以下の通りです。
借方 |
貸方 |
||
---|---|---|---|
貸倒損失 |
1,000,000 |
売掛債権 |
1,000,000 |
普通預金 |
1,000,000 |
雑収入 |
1,000,000 |
まずは、売掛債権が回収不能になった会計処理を行います。次にファクタリングから入金された金額を雑収入として処理します。
ファクタリングの仕訳で注意すること

ファクタリングの仕訳をする際の注意点を見ていきます。
手数料の仕訳
買取型のファクタリングを利用する際は、ファクタリング会社に手数料を支払わなければいけません。ファクタリングの手数料の勘定科目は「売上債権売却損」として計上します。しかし、使用している会計ソフトによっては「売掛債権売却損」の項目がない場合があります。この場合は、「雑損失」や「支払い手数料」「割引料」などの勘定科目にしても問題ありません。
消費税
ファクタリングは、売掛債権の譲渡であり非課税取引に該当するため消費税はかかりません。そのため、ファクタリング会社は取引金額や手数料に消費税を加算して請求することはできません。この旨を知っているにもかかわらず、消費税を上乗せした見積もりを提案してくる悪徳業者もいるので注意してください。
ただし、ファクタリングを行う際、債権譲渡登記が行われる場合は「登録免許税」がかかります。債権譲渡登記とは、売掛債権などの譲渡に関して、誰が誰にいつ譲渡したかを証明するものです。
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ファクタリングを利用したときは、仕訳の注意点も踏まえながら正確に会計処理を行いましょう。
会社を継続していくためには資金繰りを常に把握し、必要に応じて資金調達を検討していくことが大切です。自社にとって適切な資金調達方法を知っておくことで、急な資金不足にも落ち着いて対応することが可能です。
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