2022年3月9日 基礎知識

アセットファイナンスとは|メリット・デメリットと資金調達の方法

経営者として知っておきたい資金調達方法の一つがアセットファイナンスです。借入が困難な場合にも現金化が可能なほか、財務状況が改善され、新たな融資を受けやすくなるというメリットもあります。ここでは、アセットファイナンスとはどういうものなのか、また、メリット・デメリットについて解説します。

アセットファイナンスとは|メリット・デメリットと資金調達の方法

目次

アセットファイナンスとは

アセットファイナンスとは

アセットファイナンスとは、「アセット(資産)+ファイナンス(資金調達)」であり、すなわち自社が保有している資産を元手に資金調達することをいいます。言い換えると、自社の保有資産が将来的に生み出すキャッシュフローをもとに資金調達する方法です。

資産には土地等の不動産のほか、機械設備や車両、有価証券、商標権や特許といった知的財産権も含まれます。最近では、売掛債権を売却して入金予定よりも早期に現金化するファクタリングのサービスが多数ありますが、売掛債権も資産であり、アセットファイナンスの一つです。

資産には、流動資産と固定資産があります。売掛債権や棚卸在庫など現金化しやすいものは流動資産、土地・家屋や機械設備など、すぐに現金化しにくいものは固定資産です。不動産などの固定資産を流動化する場合は、SPC(特別目的会社)などに譲渡して証券化することで、スムーズに資金を調達することができます。

コーポレートファイナンスとの違い

アセットファイナンスは、資産の信用力によって資金を調達する方法です。これに対し、コーポレートファイナンスは、会社の信用力によって資金調達します。一般的に行われている融資は、これに当てはまります。

コーポレートファイナンスでは、財務状況が悪いなど企業の信用度が低い場合、借入が難しくなります。一方、アセットファイナンスは資産そのものの価値を評価されるため、業績悪化時の資金調達方法としてはハードルが低いといえるでしょう。

アセットファイナンスの例

アセットファイナンスの例

アセットファイナンスの代表的な例を見ていきましょう。

売掛債権を活用

売掛債権を売却し、売掛金の回収予定日よりも前に現金化するという方法で、ファクタリングと呼ばれます。日本の企業の多くは、先に商品・サービスを納品し、代金は後払いという掛取引が主流です。そのため、経費の支払い日と入金日にタイムラグが発生し、資金繰りが悪化する原因になっているケースが少なくありません。

ファクタリングは、こうした問題の解消に役立つサービスです。売掛債権を売却するので、貸し倒れのリスクがなくなるというメリットもあります。ただし、手数料が発生する点に注意が必要です。手数料率は、売掛債権の信用力が判断要素の一つとなっています。

固定資産の売却

自社が保有している固定資産を売却するという方法です。不動産や車両、機械設備などの有形固定資産、特許権や借地権などの無形固定資産を売却して資金調達します。

有効活用されていない保有資産を売却することで、効率的に事業活動に活かすという考え方です。また、維持管理費の削減につながるというメリットもあります。ただし、資産価値は変動するものなので、タイミングが重要になります。売却によって得られる利益をしっかり試算した上で判断することが大切です。

リースバック

リースバックとは、保有している不動産を売却した後に、その物件の賃貸契約を結ぶことで、そのまま利用できるようにすることをいいます。まとまった現金が入るため資金繰りを改善できるうえ、売却後もそのまま物件を使用できるというメリットがあります。また、固定資産税や維持・管理費の削減になる点もメリットです。

ただし、残債がある場合、それを超える売却額でなければマイナスになってしまう点に注意が必要です。また、賃料が資金繰りを圧迫しないかということも視野に入れて検討する必要があります。

アセットファイナンスのメリット・デメリット

アセットファイナンスのメリット・デメリット

アセットファイナンスのメリット・デメリットを見ていきましょう。

メリット

アセットファイナンスのメリットは、以下のように整理できます。

保有資産の信用力で資金調達できる

コーポレートファイナンスでは、決算書の中身や企業の信用度によって融資の可否が判断されますが、アセットファイナンスでは保有資産の信用力が重視されます。そのため、業績が悪化している場合であっても、資金調達しやすいというメリットがあります。

返済の必要がない

借入とは違い、返済の必要がありません。資金繰りを圧迫せずに資金を調達できるという点は大きなメリットでしょう。また、土地などを担保に借入した場合は、売却したいと思っても完済するまで担保を外せませんが、アセットファイナンスではこうした問題が生じません。

資産価値の変動によるリスクを回避

資産には、価値が変動するというリスクがついて回ります。アセットファイナンスによる資産の流動化は、こうしたリスクを回避できるという点もメリットです。

資産売却による財務内容の改善

資産を売却すると、貸借対照表(BS)から資産の項目が減り、現預金が増えることになります。これにより、保有資産をどれくらい収益化しているかを表すROA(総資本利益率)が向上するため、企業の信用度を上げることができます。新たに借入をしたい場合に有利になるなどのメリットを得られます。

デメリット

アセットファイナンスのデメリットには、以下のことが挙げられます。

資産の信用度に依存する

資産の価値や信用度が低い場合、想定した資金を調達できないことがあります。売掛債権を売却するファクタリングを例に挙げると、売掛債権のリスクの高さに応じて手数料率が変わるため、手元に入る現金が想定以上に少なくなってしまうことがあります。また、信用度が低い場合は、断られるケースもあります。

アセットファイナンスを行うときの注意点

アセットファイナンスを行うときの注意点

アセットファイナンスの利点は、負債を増やさずに資金調達できることです。ただし、資産によっては価値の変動が大きいものもあり、売却するタイミングによっては損になってしまう可能性もあります。

そのため、まずは自社の保有資産をしっかり把握しておくことが重要になります。いざというときの手段として、有効に活用できる状態にしておくことが必要です。

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資金調達には様々な方法がありますが、資金繰りの改善につながるアセットファイナンスは、経営者として押さえておきたい手段の一つです。

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