2021年9月7日 基礎知識

売掛金を確実に回収するための手順とは

売掛金の回収でトラブルを経験した経営者・個人事業主は少なくありません。取引先の単なるミスであればまだ良いですが、なかには意図的に支払いを滞らせているケースもあります。取引先が倒産してしまったら、売掛金が支払われないという最悪の事態も想定されます。

こちらの記事では、売掛金を回収する手順や対策などをご紹介していきます。泣き寝入りせずに確実に売掛金を回収しましょう。

売掛金を確実に回収するための手順とは

目次

売掛金の回収が遅れたら

取引先からの支払いが遅れた場合、いくつかケースが考えられます。

先方の確認ミスの場合

まずは、単純に確認ミスの場合です。社内で何らかの手違いがあり、売掛金の支払いが遅れている可能性があります。この場合、指摘したらすぐに払ってもらえるので、売掛金の未払いを見つけたら電話やメールですぐに確認しましょう。

支払い能力が低下している場合

経営状態の悪化など、支払い能力が低下している場合は注意が必要です。支払いがどんどん延期されていく可能性もあるため、こちらもすぐに確認をとって対策を講じましょう。

悪意がある場合

最初から支払う意思がないのに発注をした詐欺行為や、難癖をつけて支払いを渋っている可能性もあります。

確認ミス以外の理由で支払いが遅れている場合は、直ちに売掛金回収の作戦を立てるべきです。売掛金には時効がある上に、万が一取引先が倒産したら売掛金は支払われません。

売掛金を回収できないケース

日本は信用取引の商習慣を基本としており、取引先担当者との関係悪化を懸念してなかなか催促ができない方もいるようです。しかし、以下のように最悪の場合は売掛金が回収できなくなるケースもあるので注意が必要です。いくつか売掛金が回収できないケースをご紹介します。

取引先の倒産

最も注意が必要なのは、取引先が倒産してしまうパターンです。たとえば、A社に対して100万円の売掛金があったとします。A社が倒産すると、売掛金の100万円は全額回収不能になり、御社は損失を出すことになります。金額が大きい場合は、自社の経営にも大きな影響を及ぼすでしょう。

売掛金の未払いと泣き寝入り

もう一つは意図的に売掛金を支払わないケースです。倒産までは至らないものの、資金繰りが悪化している場合や、納品物に納得していないなどのケースが考えられます。
また、中小企業だけではなく個人事業主やフリーランスにとっても売掛金の回収は大きな関心事ではないでしょうか。
フリーランス協会が 2018年12月に実施したアンケート調査によると、回答者の約7割が報酬未払いを経験し、約4割が泣き寝入りをしています。法律知識の不足などが起因しているようですが、後述する対策方法を参考に売掛金の完全回収を心がけましょう。

売掛金回収の消滅時効

売掛金には消滅時効があります。売掛金の回収ができないまま時間が過ぎると、時効が来てしまうこともあるのです。売掛金の種類によって時効期間は異なりますので、事前にチェックしておきましょう。

時効期間 時効債務
1年 宿泊費用、飲食費用、運送費用
2年 製造業、卸売業、小売業の販売代金、弁護士への報酬
3年 建築代金、工事代金、自動車修理費用、医療費など
5年 上記以外の売掛金

ちなみに、これらの時効は中断させることができます。支払い請求を行うなどして債務者に債務を認めさせたり、売掛金を一部でも払ってもらいましょう。その時点で、債務者は債務について認めたことになるので、時効の進行を中断させることができます。

売掛金回収のためのステップ

売掛金の支払いが遅れている理由が、担当者のミスではない意図的なものである場合、時効が来る前に直ちに回収手続きに入りましょう。

①支払い請求を行う

売掛金回収の最初のステップは支払い請求です。支払い請求のことを催告とも言います。これは前述した売上金の時効の中断に有効です。

ちなみに、催告だけでは時効の進行を完全に中断することはできません。催告を行ってから6ヶ月以内に訴訟などの法的手続きをする必要があります。

売掛金が支払われないからといって、すぐに訴訟に踏み切るわけにはいきません。訴訟には労力もお金もかかります。まずは催告を行うことで、相手に支払いの意思と体力があるのかどうかを確認しましょう。また、催告を行うことで取引先にプレッシャーを与えるという効果も期待できます。

②内容証明の送付

売掛金回収の最初のステップは支払い請求です。支払い請求のことを催告とも言います。これは前述した売上金の時効の中断に有効です。

取引先に債務の承認行為がない場合は、裁判上の請求を行わなければなりません。裁判上の請求は催告から6ヶ月以内のため、「催告をいつしたのか」が重要になります。

後日、催告を本当にしたのか、いつしたのかなどを明確に証明するためにも、日本郵便の「内容証明」を送りましょう。内容証明とは、どのような内容の郵便を、誰が誰に宛てて差し出したのかを証明する書類です。

③出荷停止、支払い停止など

売掛債権が回収できない場合、さらなる損害を防ぐために出荷を停止しましょう。また、取引先に対して買掛債権がある場合は支払いを停止し、売掛債権と相殺する方法もあります。

④弁護士への相談

売掛金の回収がどうしても進まない場合は、専門家への相談も視野に入れましょう。相談費用はかかりますが、スムーズに手続きを進めてくれます。

また、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会では、フリーランス・個人事業主に特化した報酬トラブル弁護士費用保険『フリーガル』を提供しています。
年間保険料5,000円から加入可能で、弁護士の紹介サービスが利用でき、保険金から弁護士費用を支払ってもらうこともできます。

⑤ファクタリング会社への売掛債権売却

手数料はかかりますが、ファクタリング会社に売掛債権を譲渡する方法もあります。
ファクタリングには担保が必要ないため、売掛金を早期に現金化したい場合に有効です。

ただし、売掛債権を譲渡する前に取引先との契約書に債権譲渡を禁止する条項が記載されていないか、必ず確認する必要があります。もし契約書に禁止と書かれていた場合、債権譲渡はできません。

また、買取型のファクタリングには「2社間」と「3社間」の2種類があります。「3社間」のファクタリングを利用する場合は取引先にも同意を得る必要があるため注意が必要です。

売掛金の未回収を防止するためにできること

売掛金の未回収を防止するために、以下の対策をとりましょう。

与信管理を行う

与信管理とは、信用調査会社のデータや決算書などをもとに、「その企業と取引しても大丈夫かどうか」「いくらまでなら取引をしても大丈夫か」などを取引先ごとに設定し、定期的に見直す作業です。

自社で行う方法もありますが、専門家に依頼した方が確実でしょう。与信管理をきちんと行うことで、取引に関するリスクを軽減することができます。

保証型のファクタリングを活用

また、前述したファクタリングには「保証型」と「買取型」の2種類があります。保証型のファクタリングは、取引先の倒産などで売掛金が回収できなくなった場合に有効です。保証会社が現金を支払ってくれるため、取引先に信用面で不安がある場合に役立つでしょう。

ただし、倒産などの事故が発生して初めて現金を受け取ることができます。「売掛金の回収が不可能」と判断されるまで保証金をもらえないものもあれば、支払遅延で保証金を受け取れる場合もありますので、ファクタリングに申し込む前によく条件を見比べましょう。

売掛金回収のためにファクタリングを活用しよう

ここまで見てきたように、売掛金を確実に回収するために、ファクタリングは有効な手段です。万が一取引先が倒産してしまったら売掛金は全額損失になります。
また、売掛金が回収できないことで自社が資金難に陥ることもあるでしょう。売掛金の回収は資金繰りに大きく関係します。

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