売掛金を着実に回収する手順とは|売掛金の未回収を防ぐための方法も解説

売掛金の回収でトラブルを経験した経営者は少なくないでしょう。未払金は対応が遅れるほど回収が困難になるケースが多いため、支払いが遅延したら迅速に行動に移すことが重要です。本記事では、売掛金を回収する手順と未回収リスクを防ぐためにやるべきことを解説します。
目次
- 売掛金の支払いが遅延する・回収できなくなるケースとは
- 売掛金の回収が遅れたらまずやるべきこと
- 売掛金の回収ができないときの手順
- 売掛金の未回収を防ぐ方法
- 資金繰りの悩みを解消する「freee資金調達」とは

売掛金の支払いが遅延する・回収できなくなるケースとは

売掛金の支払いが遅れる、または回収できなくなるケースはいくつかあります。的確に対処するために、まずは代表的な例を見ていきましょう。
取引先の確認ミス
取引先の社内的な手違いによって支払いが遅れてしまうことがあります。この場合、取引先が気づいていないことが多いため、連絡を取ればすぐに対応してもらえる可能性が高いといえるでしょう。
取引先の支払い能力低下
取引先の経営状況や資金繰りの悪化により、支払いが困難になっているケースです。入金期日延期の交渉があったり、期日を曖昧にされたりする場合は要注意です。最悪の場合、取引先の倒産によって回収不可能となってしまうこともあります。
取引先に支払う意思がない
「納品物に納得していない」「納品物に欠陥がある」など何らかの理由があって、支払いがされないケースです。この場合は、話し合いの上解決していく必要があります。
また、初めから支払う意思がないのに発注するという悪質なケースもあるため注意が必要です。昨今はオンライン上で仕事のやり取りを完結するケースも増えており、「納品後、連絡が取れなくなった」などのトラブルが発生しています。泣き寝入りになってしまわないよう、未回収リスクを未然に防ぐ対策を講じることが重要です。
売掛金回収の消滅時効
売掛金には消滅時効があり、一定期間が過ぎると支払いを請求する権利がなくなります。2020年4月以降の売掛金は内容に関わらず、民法第166条により「売掛金の支払期限から数えて5年」となっています。たとえば、2020年5月末に支払期限となっている売掛金は、2025年5月末に時効消滅となります。
ただし、次の措置を取ることで時効を中断またはリセットすることが可能です。
- 債務者が債権者に対して債務があることを認める(債権残高確認書など)
- 債務の一部を支払ってもらう
- 裁判所を通じて支払督促の手続きをとる
- 債務者に対して訴訟を起こす
なお、時効期限が迫っていて裁判所の手続きが間に合わない場合は、内容証明郵便などによる催告を行うことで6ヶ月の時効延長が認められています。
売掛金の回収が遅れたらまずやるべきこと

売掛金が期日通りに入金されなかった場合、まずやるべきことは次の2つです。
取引先への連絡
まずは取引先に電話・メール・文書などで連絡し、あらためて支払期日と支払方法を確認します。ここで解決できれば、回収の手間やコストを最小限にできます。ヒューマンエラーによる支払い遅延であればすぐに対応してもらえる可能性が高いですが、ミスが続く場合は取引を再検討したり、支払方法を変えたりするなどの対処も検討しましょう。
出荷・取引を停止
売掛金の回収が遅れているときは、出荷・取引を停止してリスクが大きくならないようにします。取引先に対して買掛債権がある場合は、支払いを停止して売掛債権と相殺する方法もあります。
売掛金の回収ができないときの手順

取引先に連絡しても売掛金の回収ができないときは、次の手順で回収を進めていきます。
1.内容証明郵便で催告書を送付
内容証明郵便とは、「いつ・誰が・誰に・どのような内容を差し出したのか」を証明する郵便のことです。取引先が内容証明郵便の内容を履行しなかった場合の法的な効力はありませんが、法的手段をとる可能性があることを警告できるため、この段階で債権の回収に成功するケースも多くなっています。
また、裁判になった場合に催告をいつ行ったのかを客観的に証明できるものとなるため、時効を中断させることができます。
2.取引先との交渉
内容証明郵便を送付した上で、取引先に支払ってもらうよう交渉します。取引先の経営状況の悪化により支払いが困難になっているときは、一部だけでも支払ってもらう、分割払いにするなども検討します。また、取引先に支払う意思がある場合は、文書を作成しておくと裁判の際に有効です。
そもそも支払う意思がないという悪質なケースでは、交渉にも非協力的であることが想定されるため、内容証明郵便で時効完成を中断させた上で弁護士に相談することをおすすめします。
3.商品の引き揚げ
取引先に商品が残っている場合、回収して費用負担を抑えるという方法があります。ただし、必ず取引先の了承を得た上で行います。
4.法的な対処
1〜3で解決できない場合は、法的手段を用いて回収します。法的手段による回収の流れは、仮差押え→支払督促・訴訟→強制執行となります。この段階では弁護士の助けが必要です。債権回収を得意とする弁護士に相談してみましょう。
売掛金の未回収を防ぐ方法

回収できない売掛金が増えると、資金繰りの悪化を招いたり通常業務にも支障をきたしたりするため、事前に対策をとっておくことが極めて重要です。ここでは、売掛金の未回収を防ぐ方法を見ていきます。
与信管理を行う
与信管理とは、「取引をしても大丈夫かどうか」「いくらまでなら取引をしても大丈夫か」など、取引先の経営状況や支払能力などの信用力を客観的に見定めることです。
新規の取引先はもちろん、既存の取引先の状況も定期的に確認することで未回収リスクを低減することができます。懸念事項があるときは与信枠を減らしたり、売掛ではなく現金取引に変えたりするなどの対応をしましょう。
保証型のファクタリングを活用する
保証型のファクタリングを利用するのも一案です。保証型ファクタリングとは、売掛先の倒産などにより債権を回収できなくなった場合に、ファクタリング会社が保証金を支払う仕組みのことです。ファクタリング会社が売掛先の与信調査を行い、保証限度額と保証料が決まります。
保証型ファクタリングを利用したほうが良いケースは、大口の取引先などで売掛金未回収によって自社の経営が悪化する可能性が高い場合です。万が一に備える保険のような役割を果たします。
ただし、売掛先の信用力が低い場合、利用できないことがあります。また、売掛金が問題なく支払われた場合は契約終了となり、保証料は戻ってこない点にも留意しましょう。ファクタリング会社によって利用条件が異なるため、事前に確認した上で活用してください。
資金繰りの悩みを解消する「freee資金調達」とは

売掛金の未回収は資金繰りに直結するため、迅速な対応と未然の対策が重要です。代金の回収に手間取ってしまうと通常業務にも影響が出る可能性があるため、日頃から売掛金回収まで視野に入れた取引を意識することが大切です。
経営者の悩みの一つである資金繰り・資金調達をサポートする「freee資金調達」を紹介します。freee資金調達はWeb上に条件を入力するだけで、様々な資金調達手段から自社に最適なものを見つけられるサービスです。主な特徴は以下の通りです。
・ 入力条件をもとに、各金融機関で実際に融資を受けられる可能性があるかを予測
※「可能性診断」機能つき
・ 即日利用開始可能で急な資金繰りにも対応
※登録時間はわずか10分
・ 一度入力した情報は保存されるので、また資金が必要になったときにすぐに調達手段を確認できる
freee資金調達は無料で利用できます。「資金を調達したいけれど適した調達手段がわからない」という方は、ぜひfreee資金調達を活用して金融商品の選定や資金繰りにお役立てください。
【資金調達の方法をかんたん診断!】
運転資金・設備資金など、状況に合った手段を見つける「freee資金調達」の詳細はこちら
- ローン商品や給付金等の情報は、特に断りがない限り記事公開現在のものです。最新の情報は各金融機関のホームページや公式サイトでご確認ください。
- freee資金調達はお客様のサービス選択時の参考情報提供を目的としており、特定の金融機関、ローン商品の優劣を示したものではありません。
- 各金融機関の審査結果によっては利用できない場合があります。