株式会社と資金調達。知っておくべき調達方法とは
株式会社が資金調達を必要とするのは、創業前の設立資金と創業後の運転資金や設備資金です。資金が必要になる理由も、事業拡大やセーフティネットとしての機能を期待した時など様々です。
経営者であれば、いざという時に備えて資金調達について知っておいて損はありません。本記事では、株式会社を対象とした資金調達の基礎知識を解説します。

目次
- 株式会社に必要な資金
- 株式会社の資金調達方法①日本政策金融公庫からの融資
- 株式会社の資金調達方法②銀行のプロパー融資
- 株式会社の資金調達方法③制度融資
- 株式会社の資金調達方法④国や地方自治体の補助金・助成金
- 株式会社の資金調達方法⑤出資を受ける
- 「融資」「助成金」「出資」以外の資金調達
- 資金繰り・資金調達をサポート
- 資金調達freee:複数の金融商品を簡単に比較・申込ができる
- 事業用クレジットカード:freeeカード
- まとめ

株式会社に必要な資金
株式会社に必要な資金は、一般的に以下のようなものがあります。
- 会社設立実費
- 創業資金
- 運転資金
- 設備資金
- つなぎ資金
- 各種税金
- その他(新規創業時の当面の生活費など)
創業時には立ち上げ費用が必要ですし、創業後も人件費や仕入れ費用などの運転資金、設備資金が必要になります。事業拡大や新規事業創出に資金が必要になることもあれば、突発的につなぎ資金が必要になること、取引先倒産などの外的環境の変化で運転資金が必要になることもあります。
資金調達には様々な方法がありますので、ケースに応じて最適な資金調達方法を選ぶことが重要です。まずは株式会社の資金調達方法を大きく「融資」「補助金・助成金」「出資」の3つに分類し、それぞれの特徴を解説します。
株式会社の資金調達方法①日本政策金融公庫からの融資
小規模事業者や中小企業の支援を目的とする日本政策金融公庫は、「創業支援」「新事業育成支援」「海外展開支援」「ソーシャルビジネス支援」「事業再生支援」などを重点的な取り組みとして掲げています。
なかでも、創業間もない企業を対象とした「新創業融資制度」が有名です。担保・保証人が原則不要である上に、低金利で資金を借入することができます。
融資対象 | ①創業の要件 新たに事業を始める方、もしくは事業開始後税務申告を2期終えていない方 ②雇用創出等の要件 雇用の創出を伴う事業を始める方、技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める方など、一定の条件を満たすこと。 ③自己資金要件 創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方 上記3点を全て満たす必要がある。 |
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資金の使途 | 売上が増加した場合に必要になる資金。十分な増加運転資金を確保していなければ、帳簿上は黒字でも資金不足に陥る可能性があるため注意が必要。 |
季節運転資金 | 創業資金や創業後の設備資金・運転資金 |
返済期間 | 各種融資制度で定める返済期間以内 |
金利 | 1.06%〜2.85% |
融資限度額 | 3,000万円(うち運転資金1,500万円) |
担保・保証人 | 原則不要 |
他にも、新規事業に挑戦する中小企業・ベンチャー企業向けの特別貸付「新事業育成資金」や、社会的・経済的環境の変化で一時的に業況が悪化した企業向けの「セーフティネット貸付」、新型コロナウイルスの影響で資金繰りに困難を来した企業を支援する「新型コロナウイルス感染症特別貸付」など、様々な融資制度を提供しています。
おすすめ記事
『新創業融資制度を利用するには?メリットや注意点も』
『日本政策金融公庫とは?』
株式会社の資金調達方法②銀行のプロパー融資
銀行から融資を受けるためには、事業の健全性を証明する書類を元に、審査を受ける必要があります。
- 登記簿謄本
- 印鑑証明書
- 納税証明書
- 決算書(損益計算書、貸借対照表)※2-3期分を求められることがあります
- 確定申告書
- 資金繰り表
- 事業計画書
- 試算表
- 借入状況一覧
- 手持工事明細表(建設業の場合)
- 納税証明書
これらの資料をもとに企業は格付け・審査され、金利、返済期間・返済方法が決まります。申し込みから融資実行までは一ヶ月以上見ておいた方がいいでしょう。
銀行では、プロパー融資の他にビジネスローンも提供しています。プロパー融資と比較して提出書類が少なく、申し込みから融資実行までの期間が短い点が特徴です。保証人や担保が不要なことも多く、すぐに資金が必要な場合には選択肢の一つになるでしょう。ただし金利は高めに設定されているので、返済計画を立てた上で申し込みをすることが大切です。
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『銀行から借り入れをする場合の金利相場は?』
『ビジネスローンを徹底解説!ビジネスローンの申込み前に知っておくべきこと』
株式会社の資金調達方法③制度融資
制度融資とは、都道府県などの自治体、金融機関、信用保証協会が連携して提供する融資制度です。自治体と信用保証協会が協力することで中小企業や小規模事業者の負担を減らし、資金を借りやすくしています。
各自治体によって若干制度や融資メニューに違いがありますが、総じて低金利、長期借入可能、審査のハードルが低い点が特徴です。
注意点は、関わる組織が多いため手続きに時間を要する点。目安として、窓口相談から融資実行まで3ヶ月前後見ておいた方が安心です。興味がある場合は「○○県 制度融資」などのキーワードで検索するなどして、お住いの都道府県の制度融資を調べてみるといいでしょう。
おすすめ記事
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株式会社の資金調達方法④国や地方自治体の補助金・助成金
国や地方自治体の補助金や助成金を利用した資金調達方法もあります。創業支援で有名なものは「創業補助金」です。新たな需要や雇用創出などを促し、日本経済を活性化させることを目的としています。
例えば、東京都の創業助成金(東京都中小企業振興公社)では、一定の要件を満たす創業予定者や、創業後5年未満の中小企業者等を対象に、従業員人件費、賃借料、広告費等、創業初期に必要な経費の一部を助成しています。
助成限度額は300万円(下限額100万円)、助成率は経費の2/3以内です。
自治体などによって様々な補助金が用意されているため、定期的に自治体のホームページを確認することをおすすめします。
ただし、創業補助金の採択率は15%〜20%。助成を受けることは簡単ではありません。助成金は申請すれば誰でも手に入るわけではないのです。申請が認められ、採択された場合のみ受給されます。
助成率100%という助成金はほとんど存在しないことや、助成金が後払いで支払われる点にも注意が必要です。助成を受けたい金額全額は、手元に必ず必要です。
株式会社の資金調達方法⑤出資を受ける
出資によって「親族・知人」「エンジェル投資家・個人投資家」「ベンチャーキャピタル(VC)」から資金調達をする方法もあります。出資を受けるために魅力的なビジネスプランを提示することが重要です。
また、最近注目されている資金調達方法にクラウドファンディングがあります。「購入型」「寄付型」など目的に応じて様々な形式があり、自社サービスやプロダクトに合ったタイプを選ぶことが重要です。うまく行けば、新サービスやプロダクトのリリース前にファンを作ることもできます。
「融資」「助成金」「出資」以外の資金調達
「融資」「助成金」「出資」以外の資金調達方法としては、請求書を現金化するファクタリングや、支払いを先延ばしにするクレジットカードなどがあります。
融資や出資ほど大きな金額の資金調達は望めないかもしれませんが、すぐに現金が必要な場合や、支払いを遅らせたいときに有効です。
ここまで解説してきた資金調達方法を、事業の状況に合わせて適切に選ぶためには、「資金繰り表」を作ることが重要になります。
資金繰り・資金調達をサポート
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資金調達freee:複数の金融商品を簡単に比較・申込ができる
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事業用クレジットカード:freeeカード
資金調達、資金繰りの手段として最後にご紹介したいのが事業用クレジットカード(ビジネスカード)です。
「独立する前にクレジットカードを作っておくように」と勧められたことはありませんか?一般的に、個人事業主、フリーランス、経営者などご自身で事業を運営するようになると、クレジットカードの審査に通りにくくなると言われています。
しかし、支払いを先送りする方法としてクレジットカードは有効な手段の一つです。このためfreeeでは、事業をお持ちの方に特化したクレジットカードを提供しています。ブランドはVISA、Master、American Expressといった主要国際ブランドを揃えた豊富なラインナップを揃えており、オンラインからすぐに申し込むことが可能です。
まとめ
事業を運営・拡大していく上で資金繰りに関する問題は避けて通れない道です。また、なかなか相談相手がいない話題でもあります。
資金調達freeeや会計freeeのデータを活用して、事業を効率的に運営していきましょう。
*この記事は 2020/08/21 時点の情報をまとめたものです。
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