2021年7月29日 基礎知識

小規模事業者や中小企業が利用できる緊急融資とは

災害や取引先の経営破綻など、不測の事態が起こった際に心強い緊急融資。日本政策金融公庫や中小企業庁が、小規模事業者や中小企業を対象に融資制度を提供しています。2020年は新型コロナウイルスの影響で多くの小規模事業者・中小企業が打撃を受けました。
いざという時に備えて、緊急融資の知識を持っておいて損はありません。本記事では、経営者であれば必見の緊急融資制度について詳しく解説します。

小規模事業者や中小企業が利用できる緊急融資とは

目次

日本政策金融公庫の緊急融資

日本政策金融公庫とは、小規模事業者や中小企業の支援を目的とした政府系の金融機関です。民間の金融機関の補助的役割を担っており、銀行のプロパー融資と比較して審査がやさしく、低金利で融資を受けられる点が特徴です。

平常時は、新規事業支援や創業支援など事業規模に合わせた様々な融資を提供しています。外的要因や災害などで資金繰りが悪化した企業への融資もあり、新型コロナウイルスの影響で多くの企業が影響を受けた際は、専用窓口を設けて積極的な支援を行いました。

日本政策金融公庫の災害等相談窓口(特別相談窓口)
中小・小規模企業の方
新型コロナウイルスに関する相談窓口(国民生活事業)

新型コロナウイルス感染症特別貸付

「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は、日本政策金融公庫が提供する緊急融資の一つです。一時的に経営が悪化した小規模事業者や中小企業を対象としています。

日本政策金融公庫には、個人企業(フリーランスや個人事業主)や小規模企業向けに小口資金を融資する国民生活事業と、中小企業向けに長期事業資金を融資する中小企業事業があり、どちらも「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を行なっています。

国民生活事業

対象 新型コロナウイルスの影響で、一時的な業況悪化を来し、次の1または2のいずれかに該当すること。かつ中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれる人。

1 : 最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少
2 : 業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合は、最近1ヵ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少
・過去3ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高
・令和元年12月の売上高
・令和元年10月から12月の平均売上高

資金の使途 設備資金および運転資金
融資限度額 8,000万円(別枠)
利率(年) 基準利率(2.06~2.55% ※令和3年7月1日現在)
ただし、6,000万円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%、4年目以降は基準利率
返済期間 設備資金 20年以内(うち据置期間5年以内)
運転資金 15年以内(うち据置期間5年以内)
担保 無担保

中小企業事業

対象 新型コロナウイルスの影響で、一時的な業況悪化を来し、次の1または2のいずれかに該当すること。かつ中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれる人。

1 : 最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少
2 : 業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合は、最近1ヵ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少
・過去3ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高
・令和元年12月の売上高
・令和元年10月から12月の平均売上高

資金の使途 設備資金および運転資金
融資限度額 直接貸付 6億円(別枠)
利率(年) 基準利率(1.11~1.40% ※令和3年7月1日現在)
ただし、3億円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%、4年目以降は基準利率
返済期間 設備資金 20年以内(うち据置期間5年以内)
運転資金 15年以内(うち据置期間5年以内)
担保 無担保
※5年経過ごとに金利見直し制度を選択可能

国民生活事業も中小企業事業も、一部の対象者については基準利率 – 0.9%(基準利率から0.9%差し引いた値)の部分に対して、別途実施機関から利子補給され、当初3年間は実質無利子で借入することができます。

特別利子補給制度の利用条件等については「新型コロナウイルス感染症特別貸付」と「特別利子補給制度」の併用による実質的な無利子化融資のご案内をご覧ください。

災害時の緊急融資

地震、台風、豪雪などによる災害の発生が発生した場合も、日本政策金融公庫は相談窓口を設置し融資や返済条件の緩和などに対応。2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震、2020年の大雨による災害時など、特別相談窓口を設けました。

国民生活事業、中小企業事業のどちらも窓口があるため、不測の事態が発生した際は日本政策金融公庫の窓口に相談をするといいでしょう。

セーフティネット貸付

セーフティネット貸付とは、売り上げの減少や取引金融機関の経営破綻などにより、資金繰りに困難を来した場合に利用できる融資制度です。

融資制度 利用対象 融資限度額 融資期間
(うち据置期間)
経営環境変化対応資金 売上が減少するなど業況が悪化した人 ・国民生活事業:4,800万円
・中小企業事業:7億2,000万円
設備資金:15年以内(3年以内)
運転資金: 8年以内(3年以内)
金融環境変化対応資金 取引金融機関の経営破たんなどにより、資金繰りに困難を来している人 ・国民生活事業:別枠4,000万円
・中小企業事業:別枠3億円
設備資金:15年以内(3年以内)
運転資金: 8年以内(3年以内)
取引企業倒産対応資金 取引企業などの倒産により経営に困難を来している人 ・国民生活事業:別枠3,000万円
・中小企業事業:別枠 1億5,000万円
運転資金: 8年以内(3年以内)

(※)別枠とは既存の借入とは別にという意味です。

中小企業庁の緊急融資

中小企業の育成、発展に関する業務を行う中小企業庁も、緊急時に対応した「セーフティネット保証制度」を提供しています。

セーフティネット保証制度

  • 1号:連鎖倒産防止
  • 2号:取引先企業のリストラ等の事業活動の制限
  • 3号:突発的災害(事故等)
  • 4号:突発的災害(自然災害等)
  • 5号:業況の悪化している業種(全国的)
  • ※「景気対応緊急保証」(平成22年2月14日までは「緊急保証」)
  • 6号:取引金融機関の破綻
  • 7号:金融機関の経営の相当程度の合理化に伴う金融取引の調整
  • 8号:金融機関の整理回収機構に対する貸付債権の譲渡

新型コロナウイルスの影響で業況が悪化した場合は、セーフティネット保証制度(4号:突発的災害(自然災害等))が措置の対象になります。

他にも、すぐに資金が必要な場合はビジネスローンやファクタリングなどの選択肢があります。クレジットカードで経費決済をすることで支払いを先送りにする方法も有効でしょう。いずれにせよ、事業の状況を正確に把握した上で資金繰りを行うことが重要です。

ここから先は、事業の資金繰りを表した資金繰り表と、それを元にした資金繰りについて詳しく解説します。

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まとめ

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  • ローン商品や給付金等の情報は、特に断りがない限り記事公開現在のものです。最新の情報は各金融機関のホームページや公式サイトでご確認ください。
  • freee資金調達はお客様のサービス選択時の参考情報提供を目的としており、特定の金融機関、ローン商品の優劣を示したものではありません。
  • 各金融機関の審査結果によっては利用できない場合があります。

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