会社設立に資本金はいくら必要?平均値や資本金額を決めるポイントを紹介

会社を設立するために必要なものの一つが資本金です。会社法の改正によって資本金1円でも会社を設立できるようになりました。しかし、実際には「会社設立にはどれくらいの資本金が必要なのか」と気になる方も多いのではないでしょうか。
当記事では、「どれくらいの資本金が必要なのか」をテーマに、資本金の平均額や資本金を決めるポイント、税金の影響について紹介します。
目次

資本金はなぜ必要か?

資本金とは、会社設立や事業運営の元手となる資金です。資本金には、発起人が自分で用意した手元資金と株主や投資家からの資金が含まれます。
資本金は主に運転資金として使われます。返済する必要のない資金であるため、資本金が多いほど安定した経営につながりやすいということができます。
資本金の平均は?
総務省・経済産業省による「平成28年経済センサス・活動調査結果」のデータを見ると、全産業の資本金額では、300万円〜500万円未満が最多の34.7%。300万円以上〜1,000万円未満の合計で、約半数という結果でした。
業種によっても資本金の規模感は異なりますが、300万円以上の資本金を用意している企業が多いことがわかります。
資本金階級 |
企業数(社) |
割合(%) |
---|---|---|
300万円未満 |
106,659 |
6.5 |
300万円以上500万円未満 |
565,289 |
34.7 |
500万円以上1,000万円未満 |
214,971 |
13.2 |
1,000万円以上3,000万円未満 |
546,245 |
33.5 |
3,000万円以上5,000万円未満 |
68,136 |
4.2 |
5,000万円以上1億円未満 |
46,569 |
2.9 |
1億円以上3億円未満 |
15,371 |
0.9 |
3億円以上10億円未満 |
7,340 |
0.5 |
10億円以上50億円未満 |
3,602 |
0.2 |
50億円以上 |
2,182 |
0.1 |
会社設立の資本金はいくらあればいいのか?

法改正前は、株式会社の設立に必要な資本金は1,000万円以上、有限会社は300万円以上という基準がありました。2006年の会社法の改正により、現在は資本金1円からでも会社を設立することができます。
ただし、資本金が大きいほど会社としての安定性につながることから、取引先や金融機関に対する信用度に影響することが考えられます。また、会社を設立するにあたっては、登録免許税や定款認証などの法定費用や設備費用などもかかります。
そのため、会社設立にどれくらいの資金が必要となるのか、また事業を安定的に運営していくにはどれくらいの元手が必要なのか、きちんと試算したうえで資本金を決定していく必要があります。
以下に、用意すべき金額を試算するときのポイントを整理しました。
運転資金として3ヶ月~6ヶ月
新たに会社を設立する場合、すぐに売上が伸びるとは限りません。そのため、当面の運転資金を用意しておく必要があります。事業が軌道に乗るまでの期間は各社で異なりますが、最低でも3〜6ヶ月分の運転資金を用意しておいたほうがよいでしょう。
融資を受ける際の信用度
金融機関で融資を受ける場合は、資本金の額が審査の重要な指標となります。必要な金額は金融機関によって異なるため、融資を受ける際は事前に調べておく必要があります。
例えば日本政策金融公庫の創業融資では、創業資金総額の10分の1以上の自己資金が要件として定められています。
基本的に自己資金比率が高ければ、返済能力が高いと判断されやすくなります。逆に自己資金が少ないと、「資金繰りが厳しくなるのでは?」というリスクが生じるため、融資審査の際に不利になってしまうので注意が必要です。
税金への影響
資本金の金額に応じて負担する税金が変わります。例えば、会社設立時の資本金が1,000万円未満の場合は、会社設立から2期目までは消費税が免除されます。
会社成立時は資金繰りが難しくなりやすい時期といえます。初年度からの課税負担はなるべく抑えたいものです。税金を抑えたいと考えるなら、資本金は1,000万円未満に設定するという考え方もあります。
許認可事業の要件
一部の事業では、事業内容によって認可が必要な場合があります。その際に認可の要件として、資本金を設けているケースがあります。例えば人材派遣業の会社の場合、「一般労働者派遣業」を得るためには、最低2,000万円以上の資本金が必要という要件があります。
資本金の金額と税金への影響

資本金の金額によって納める税金が変わります。資本金を決める際の一つの基準として、参考にしてください。
消費税
会社を設立したばかりの法人は、資本金が1,000万円未満の場合、納税義務が1年間免除されます。また、2年目においても、事業年度開始の日から6ヶ月間の課税売上高もしくは給与額が1,000万円以下の場合は免除が認められ、会社設立後2年間は消費税を収める必要がありません。
法人住民税
法人住民税は、会社が所在している地方自治体に対して払う地方税です。法人住民税は、法人税割と均等割という基準のもとに決まります。そのなかでも均等割は、資本金や従業員数によって変動し、会社が赤字でも納税義務が生じる仕組みとなっています。
均等割の税率は、地方自治体によって異なります。
〈均等割〉
資本金等の額 |
都道府県民税均等割 |
市町村民税均等 |
市町村民税均等割 |
---|---|---|---|
1千万円以下 |
2万円 |
12万円 |
5万円 |
1千万円超1億円以下 |
5万円 |
15万円 |
13万円 |
1億円超10億円以下 |
13万円 |
40万円 |
16万円 |
10億円超50億円以下 |
54万円 |
175万円 |
41万円 |
50億円超 |
80万円 |
300万円 |
41万円 |
〈法人税割〉
法人が国に納めた法人税額に一定税率を乗じた額が法人税割の税額になります。
●都道府県:法人税額×1.0%
●市町村 :法人税額×6.0%
法人税
資本金の金額によって法人税の税率が異なります。資本金が1億円を超える場合は、法人税率は23.2%、資本金が1億円以下の場合は、所得金額800万円の部分に対して15.0%、800万円を超えた部分に対して23.2%の法人税率が適用されます。
会社設立時の「資本金払込」とは

資本金払込は、定款で決めた資本金額を所定の銀行口座に振り込むことを指します。
会社を設立する前は法人口座はありませんので、会社設立の発起人の個人口座に振り込むことになります。
資本金払込において注意したいのが入金方法です。入金方法は「預け入れ」ではなく、誰がいくら入金したのかわかる「振込」で行う必要があります。
また、入金完了後は以下のページをコピーしておきましょう。登記申請の際に、資本金が振り込まれた証明として必要になります。
- 通帳の表紙
- 1ページ目
- 資本金の振込み内容が記載されているページ
「freee資金調達」で自社に最適な資金調達を見つけよう

資本金は、会社の信用度や運転資金のために必要な資金です。資本金が多いことで有利に働く場面もありますが、資本金額によっては税金が高くなるので注意が必要です。必要な金額やかかる税金を考慮したうえで、資本金の金額を慎重に決めていきましょう。
また、会社設立時は資金繰りに悩む時期といえます。万が一のために、自社に最適な資金調達方法を見つけておくと安心です。
「freee資金調達」は、Web上に条件を入力するだけで、補助金・銀行融資・ビジネスローン・ファクタリングなど、様々な資金調達手段から自社に最適なものを見つけられるサービスです。
freee資金調達の特徴は以下の通りです。
・入力条件をもとに各金融機関で実際に融資を受けられる可能性があるかを予測
※「可能性診断」機能つき
・即日利用開始可能で急な資金繰りにも対応
※登録時間はわずか10分
・一度入力した情報は保存されるので、また資金が必要になった際にもすぐに調達手段を確認できる
freee資金調達は無料で利用できます。「資金を調達したいけれど、自社に適した調達手段がわからない」という方は、ぜひfreee資金調達を活用し、融資選定や資金繰りにお役立てください。
- ローン商品や給付金等の情報は、特に断りがない限り記事公開現在のものです。最新の情報は各金融機関のホームページや公式サイトでご確認ください。
- freee資金調達はお客様のサービス選択時の参考情報提供を目的としており、特定の金融機関、ローン商品の優劣を示したものではありません。
- 各金融機関の審査結果によっては利用できない場合があります。