2022年6月30日 基礎知識

創業時に役立つ新創業融資とは|メリットや審査のポイントを解説

創業時に役立つ新創業融資とは|メリットや審査のポイントを解説

これから創業を予定している事業主にとって、資金調達は大きな課題です。代表的な資金調達方法として銀行融資がありますが、会社としての実績を積んでいない創業期に民間の銀行から融資を受けるのは難しいのが現状です。日本政策金融公庫が提供する新創業融資は、これから創業する事業者を対象としているので、優先的に検討したい資金調達方法といえます。

当記事では、創業時に役立つ新創業融資の概要やメリット、審査のポイントについて紹介します。

目次

新創業融資とは

新創業融資とは

新創業融資は日本政策金融公庫が提供する公的融資で、創業時に必要となる設備資金・運転資金の融資を行う制度です。日本政策金融公庫は日本政府が全額出資している金融機関であり、新たな事業の創出を支援し、日本経済の成長・発展に貢献することを目的としています。個人事業主や中小企業に向けて、様々な融資を行っています。

なお、新創業融資は単体で申請することができません。日本政策金融公庫の融資制度

とあわせて申し込むことで利用することができます。創業時に役立つ代表的な融資制度には、次のようなものがあります。

〈日本政策金融公庫の融資制度〉

融資制度 対象者要件
新規開業資金 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
女性、若者/シニア起業家支援資金 女性または35歳未満か55歳以上の方で、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
新事業活動促進資金 経営多角化、事業転換などにより、第二創業を図る方

新創業融資の概要

新創業融資の概要を以下にまとめました。

融資限度額 3,000万円(運転資金は1,500万円)
返済期間 各融資制度で定められている返済期間以内
金利 基準利率2.33~3.00%(無担保・無保証の場合)※担保の有無、利用条件などによって異なる利率が適用される
担保・保証人 原則不要※法人の代表者が連帯保証人となることも可能。その場合は利率が0.1%低減

(2022年4月1日時点)

新創業融資は、日本政策金融公庫が提供する融資制度に追加オプションとして申し込めます。そのため、返済期間は各融資制度で定めた返済期間が適用されます。

金利は、融資制度、資金用途、融資期間、担保の有無などによって利率が異なります。また、金融情勢によって金利は変動するため、日本政策金融公庫のホームページにて最新の情報を確認するようにしましょう。

新創業融資の要件

新創業融資を受けるには、いくつかの要件があります。融資を検討する前に、要件に該当しているかを確認しましょう。

〈対象者要件〉

●新たに事業を始める事業主

●事業を始めて2期目の税務申告を終えてない事業主

〈自己資金要件〉

●創業時に、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる事業主。

なお、以下のいずれかに該当する方は、自己資金要件が免除されます。

  • 現在の企業に継続して6年以上お勤めの方
  • 現在の企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方
  • 大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上お勤めの方で、その職種と密接に関連した業種の事業を始める方
  • 産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方
  • 民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方
  • 技術・ノウハウ等に新規性が見られる方
  • 新商品・新役務の事業化に向けた研究・開発、試作販売を実施するため、商品の生産や役務の提供に6ヵ月以上を要し、かつ3事業年度以内に収支の黒字化が見込める方
  • 「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」の適用予定の方

新創業融資のメリット・デメリット

新創業融資のメリット・デメリット

新創業融資にはどのような特徴があるのかをしっかりと理解し、不安要素をなくしていきましょう。新創業融資を受けるメリット・デメリットを見ていきます。

新創業融資を受けるメリット

新創業融資を受けるメリットは以下の4つです。

実績がなくても審査に通りやすい

銀行などの金融機関が融資を判断する際は、会社の実績を審査基準に加えることで貸倒れリスクを低減しています。そのため、創業から間もない事業主が審査を通過するのは難しいのが実際です。

一方の新創業融資は、実績がなくても融資を受けられる可能性があります。これは、日本政策金融公庫では創業者や中小企業を支援することを目的とした公的金融機関のためです。事業計画書をしっかり作り込み、審査担当者に説得力を持ってアピールすることができれば、融資を受けることができます。

原則、無担保・無保証人

実績がない会社が融資を受ける場合、担保や保証人を求められることがあります。新創業融資は、法人であれば原則、無担保・無保証人で融資を受けることができます。創業時に担保や保証人を用意できない事業主にとって、大きな助けとなります。

金利が低い

民間の金融機関の場合、融資の金利は2%台から14%台が相場です。新創業融資は無担保・無保証でも基準金利が2〜3%程度と低く設定されているため、無理のない返済計画を立てやすいというメリットがあります。

申込から融資実行までのスピードが早い

新創業融資は、最短で3週間〜1ヶ月ほどで融資を受けられます。創業時の融資として地方自治体の制度融資などもありますが、こちらは2〜3ヶ月ほどかかることがあります。創業時は、準備や手続きで忙しいものです。スピーディな資金調達は大きなメリットになるでしょう。

ただし、書類等に不備があると想定外に時間がかかってしまうことがあるので、書類作成には十分注意するようにしましょう。

新創業融資を受けるデメリット

創業融資を受けるデメリットは以下の2つです。

限度額が決まっている

新創業融資では、限度額を3,000万円(運転資金は1,500万円)と定めています。これ以上に資金が必要となるような大規模事業には適していません。また、必ずしも希望した融資金額を受けられるわけではないことにも留意しておく必要があります。

融資以外にも、補助金や助成金、クラウドファンディングなどの資金調達方法があります。希望の融資額を受けられなかった場合も想定して、様々な資金調達方法を検討しておくようにしましょう。

返済によって経営が圧迫される可能性がある

新創業融資に限ったことではありませんが、融資である以上、利息を含めて返済していかなければいけません。事前にしっかりとした返済計画を立てておかないと、経営を圧迫してしまう恐れがあります。無理のないペースで返済できるよう、現実的な返済計画を立てることが重要です。

新創業融資の審査のポイント

新創業融資の審査のポイント

新創業融資の審査を通過するための具体的なポイントを紹介します。

十分な自己資金があるか

新創業融資​​の要件の一つに「創業資金総額の10分の1以上の自己資金」があります。自己資金の金額は、審査の可否や融資額に大きく影響するため、できるだけ多く準備するのが望ましいといえます。また、自己資金が多いほど、開業後の資金繰りが安定しやすくなるというメリットもあります。

ただし、借りたお金やタンス貯金、出所不明のお金は自己資金として認められないので注意してください。事業資金用の口座を開設するなどして、しっかり管理していくことをおすすめします。

事業計画に実現性はあるか

新創業融資の審査では、創業計画書の内容が重視されます。審査担当者は、創業計画書を通して事業の実現性や成長性などを判断します。

「事業は将来性がありそうか」「収益性は見込めるのか」などが審査担当者が確認するポイントです。創業の熱意をアピールするとともに、数字やグラフなどを用いて具体的に説明する必要があります。以下、事業計画のポイントを整理しました。

  • 内容に矛盾はないか
  • 専門外の人でも理解できる内容か
  • 他社との差別化はできているか
  • リスク対策を把握しているか

これらの要素を踏まえ、綿密に作りあげることで融資の可能性が上がっていきます。内容に不安がある場合は、税理士などの専門家に意見を求めたりするなどして事業内容をブラッシュアップしていきましょう。

また、創業計画書を作成することで、事業の内容や強み・弱みなどを客観的な視点で整理することができ、事業の改善にもつながります。融資のための資料作成だけでなく、事業の成功のためにも入念に作り込みましょう。

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新創業融資は、低金利かつ無担保・無保証人で融資を受けられるので、創業から間もない事業者にとって心強い制度といえます。資金面がネックで事業立ち上げの第一歩に踏み切れなかった事業主の方々は、ぜひ新創業融資の活用を検討してみてください。

また、新創業融資以外にも様々な資金調達方法があります。資金調達の選択肢を多く知っておくことで、今後の資金繰りに役に立ちます。

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  • ローン商品や給付金等の情報は、特に断りがない限り記事公開現在のものです。最新の情報は各金融機関のホームページや公式サイトでご確認ください。
  • freee資金調達はお客様のサービス選択時の参考情報提供を目的としており、特定の金融機関、ローン商品の優劣を示したものではありません。
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