2021年5月26日 基礎知識

個人事業主が知っておくべき資金調達と資金繰りの基礎知識

個人事業主として事業を開始して、誰もが直面するのが資金調達の問題です。開業時にまとまった資金が必要な業種だけではなく、事業を運営する上で突発的に資金が必要になることもあります。また、資金ショートの危機に直面することもあるでしょう。資金難に陥ってから資金調達について調べるのではなく、事前に知識を持っておくことは非常に重要です。
そこで本記事では、個人事業主が知っておくべき資金調達と資金繰りの基礎知識をご紹介します。

個人事業主が知っておくべき資金調達と資金繰りの基礎知識

目次

個人事業主と資金調達の考え方

個人事業主が資金調達を必要とするのは、まず開業時です。
業種によって必要な金額は異なりますが、開業時は準備のために車やパソコン、備品、仕入れ費用、事務所や店舗の家賃も必要でしょう。また、事業が軌道にのるまでの数か月間の生活費も考慮しておくと安心です。

開業後は、売り上げ拡大に伴う仕入れ費の増加や、突発的な備品購入が発生します。また、事業拡大のために設備投資が必要になるケースも。
開業時と開業後、ステージによって適した資金調達方法がありますので、順番にみていきましょう。

個人事業主と資金調達①開業時の資金調達

開業時の資金調達の基本は自己資金。退職金や貯金で補うのが理想です。しかし、飲食店や美容室を開業する場合は大きな設備が必要になり、自己資金だけではまかないきれないケースもあるでしょう。そんな時に借入先として候補にあがるのが、日本政策金融公庫と自治体の制度融資です。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は政府が100%出資する金融機関で、個人事業主や中小企業などスモールビジネスの支援を目的としています。

日本政策金融公庫からの借入は、個人事業主にとって多くのメリットがあります。銀行や信用金庫からの融資を断られても、日本政策金融公庫に申し込んだら審査に通ったという話もあります。さらに日本政策公庫から借入・返済を完了すると、それが実績となり信用が増します。日本政策金融公庫で再度借入する際に金利が優遇されるだけではなく、銀行など他の金融機関からも資金を借りやすくなる点も魅力です。

金利や借入条件も個人事業主にとって有利な条件を提供しており、申し込み条件にもよりますが金利は概ね1〜2%。創業融資などでは、無保証で資金が借りられるケースもあります。

参考記事
公庫の借入とは?日本政策金融公庫を活用しよう

自治体の制度融資

制度融資とは、地方自治体・金融機関・信用保証組合の三組織が提供する融資のことです。日本政策金融公庫と同じく、個人事業主など小規模事業者の資金調達サポートを目的としており、長期・低金利で借入できる点が魅力です。

各自治体によって制度融資の内容や金利、条件は異なるため、詳しくはお住いの地域の自治体に問い合わせをしてみるといいでしょう。
例えば神奈川県の制度融資では、通常の創業融資のほかイノベーションを支援する「かながわイノベーション戦略的支援融資」や成長産業に取り組む方に向けた「ロボット関連産業融資」、「エネルギー関連産業融資」「観光関連産業融資」など、特色ある融資制度を提供しています。各自治体が力を入れている分野も異なりますので、ご自身の業種と照らし合わせながら申し込みをしてみることをお勧めします。

参考記事
制度融資とは?低金利が魅力の資金調達方法

注意点は、日本政策金融公庫・制度融資共に、審査準備から融資開始まである程度の期間が必要な点です。開業前に事業計画書を作り込み、しっかり準備することが重要です。

クラウドファンディング

新商品・サービスを開発した際、市場でどれくらい受け入れられるのかマーケティングも兼ねてクラウドファンディングを活用する方法もあります。
クラウドファンディングとは、インターネットを介して第三者から資金を募る方法で、融資とは違った特徴とメリットがあります。
事業開始前のサービス・商品の需要調査(プレマーケティング)として活用したい場合は、Makuake(マクアケ)Readyforがお勧めです。
ただ資金を集めるだけではなく宣伝効果もあり、やり方次第では商品・サービスの販売前からファンを獲得することができます。

注意点は、資金を集めても商品・サービス提供の期日を守らなければ信用に大きく影響する点です。開発や商品提供が遅れそうな場合は、きちんと資金提供者に理由を説明し、納得してもらうことが大切です。

参考記事
クラウドファンディングとは?資金調達に活用する方法

個人事業主と資金調達②開業後の資金調達

開業後、事業拡大や新規事業に資金が必要な場合も、日本政策金融公庫と制度融資がお勧めです。創業支援だけではなく、様々な融資メニューを提供しています。

新規取引のための仕入れや備品購入の資金、取引先の広告費の建替など、出来るだけ早く資金が必要な場合は、ビジネスローンやファクタリング、クレジットカードの活用がお勧めです。

ビジネスローン

ビジネスローンとは、法人・個人事業主に向けた無担保ローンです。

  • 銀行融資の審査を待つ余裕がない
  • 銀行融資の審査に落ちてしまった
  • 銀行に融資してもらうほどの大きな金額の借り入れではない

といった場合に有力な選択肢の一つになります。
銀行融資や日本政策金融公庫と異なり、借入の審査がやさしい点や最短即日融資が可能な点が特徴です。担保や保証人も不要なケースがほとんどですが、その分金利は高めに設定されています。

三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行などのメガバンクも独自のビジネスローンを提供していますし、クレジットカード会社や消費者金融などの民間金融機関からも借入が可能です。

最近では、会計ソフトが銀行やカード会社と連携し、会計データをベースに借入可能な金額を提示してくれることもあります。どうしてもすぐに資金が必要な場合は、利用を検討してみるといいでしょう。

参考記事
ビジネスローンを徹底解説!ビジネスローンの申込み前に知っておくべきこと
ビジネスローンを無担保で。中小企業・個人事業主と資金調達

ファクタリング

未入金の請求書(売掛金)がある場合は、ファクタリングを利用することで現金化することができます。

商品・サービス購入から支払いまでのタイムラグが、時に個人事業の資金繰りを圧迫することがあります。融資を申し込むほどではなくとも、ある程度のまとまった資金が必要な際にファクタリングは有効です。

最近はWebで全てが完結するファクタリングも人気で、フリーランスや個人事業主に特化したサービス提供をするファクタリング会社もあります。
ビジネスローンと同じく、無担保で審査完了から即日最短で振り込まれるスピード感が特徴です。ビジネスローンと異なる点は、負債にならないことです。借入は「負債」になりますが、ファクタリングは資産の現金化のため負債にならないのです。

しかし、なかには悪質な業者も存在するため、よく仕組みを知った上でファクタリング会社を選ぶことが重要です。

参考記事
ファクタリング会社を比較するポイント
ファクタリングの手数料の相場は?

クレジットカード

あまり知られていないかもしれませんが、クレジットカードも資金繰りに活用することができます。クレジットカードで支払いを先送りにれば、当月は資金が不足していても次月の取引先からの入金でまとめて支払いをすることができます。
カードによってはポイントやマイルで、還元が受けられる点もメリットです。

注意点は、個人用のクレジットカードで大きい金額を決済するとカード会社から連絡が来る可能性がある点です。個人用のクレジットカードは、あくまで個人の使用を目的としているため、事業用の経費決済をする場合は事業用のクレジットカード(ビジネスカード、法人カード、コーポレートカードとも呼ばれます)を使用することをお勧めします。

参考記事
個人事業主におすすめのカードとは?開業後に作れるクレジットカードも

個人事業主と資金繰り

これまでご紹介してきたように、開業前・開業後に利用できる資金調達には様々な種類があります。最も重要なことは、資金調達について知り、事業の状況を把握した上で最適な方法を選ぶことです。

その際、「資金繰り表」を活用すると、いつ・いくらほど資金が必要なのか予測しやすいでしょう。本業に専念するためにも、出来るだけ効率良く資金繰り表を作成したいところです。

ここから先は、会計ソフトを利用した資金繰り表の作成と、資金調達方法について詳しく解説します。

資金繰り・資金調達をサポート

この記事をご覧になっている方は、普段から資金繰りの状況についてチェックなさっているでしょうか。会計freeeのユーザーアンケートによると、定期的に資金状況についてチェックしている方は約50%、確認の方法は預金残高通帳です。

キャッシュは企業存続の命綱です。キャッシュフローや今後の資金繰り予測などは会社経営の重要な要素の一つであり、資金調達は企業継続・繁栄の重要な手段です。
ただし、資金繰りや資金調達は難しい、よくわからない。そう思っている方も多いのではないでしょうか。

そこで、freeeでは資金繰り・資金調達をスムーズにおこなうためのサービスを提供しています。

資金調達freee:複数の金融商品を簡単に比較・申込ができる

資金を調達したいが、なにが自社に適した調達手段なのか、借入できる商品なのかがわからないという経営者の大きな悩み。最終的には税理士の言う通りにするがこれで良かったのか?と不安がつきまといます。
資金調達freeeでは、いくつかの質問に答えれば複数の資金調達手段から、自社に最適な商品を比較できる形で紹介。サービスは即日利用が可能で、そのままオンラインで申し込みまでが可能になります。

資金調達freee画面

事業用クレジットカード:freeeカード

資金調達、資金繰りの手段として最後にご紹介したいのが事業用クレジットカード(ビジネスカード)です。
「独立する前にクレジットカードを作っておくように」と勧められたことはありませんか?一般的に、個人事業主、フリーランス、経営者などご自身で事業を運営するようになると、クレジットカードの審査に通りにくくなると言われています。

しかし、支払いを先送りする方法としてクレジットカードは有効な手段の一つです。このためfreeeでは、事業をお持ちの方に特化したクレジットカードを提供しています。ブランドはVISA、Master、American Expressといった主要国際ブランドを揃えた豊富なラインナップを揃えており、オンラインからすぐに申し込むことが可能です。

まとめ

事業を運営・拡大していく上で資金繰りに関する問題は避けて通れない道です。また、なかなか相談相手がいない話題でもあります。

資金調達freeeや会計freeeのデータを活用して、事業を効率的に運営していきましょう。

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  • ローン商品や給付金等の情報は、特に断りがない限り記事公開現在のものです。最新の情報は各金融機関のホームページや公式サイトでご確認ください。
  • freee資金調達はお客様のサービス選択時の参考情報提供を目的としており、特定の金融機関、ローン商品の優劣を示したものではありません。
  • 各金融機関の審査結果によっては利用できない場合があります。

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