日本政策金融公庫の審査は厳しい?審査のポイントや落ちた場合の対処法を紹介

日本政策金融公庫の融資制度は、創業時や新規事業の開始時を含めた多くの場面で利用されています。一方で「審査落ちが心配」「過去に審査に落ちた」という声も少なくありません。日本政策金融公庫の融資を検討する際は、審査ポイントを把握した上で準備していきましょう。また、審査に通らなかった場合も、原因をしっかりと分析することで今後の改善に活かすことができます。
当記事では、日本政策金融公庫で重視される審査のポイントと落ちる理由、落ちた場合の対処法を解説します。
目次

日本政策金融公庫の審査のポイントとは

日本政策金融公庫の審査では、貸し倒れ等のリスクを防ぐためにいくつかの基準を設けています。ここでは、審査で重視されるポイントを紹介します。
自己資金
日本政策金融公庫でまず確認されるのが自己資金です。日本政策金融公庫の「新創業融資制度」の場合、創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要であることが申込の要件に定められています。10分の1以上という数字はあくまで最低条件ですので、自己資金は多いに越したことはありません。
自己資金比率が高いほど融資後の資金繰りが安定しやすくなるなどの理由から、審査に通りやすくなります。また、日本政策金融公庫の融資審査では直近半年分の通帳がチェックされ、計画的に自己資金を貯めているかを判断しています。自己資金の貯め方は以下のとおりです。
- 事業用口座を開設しコツコツ貯める
- 親族から援助を受ける
- 退職金を事業資金に充てる など
自己資金は、必要額と期日を設定して計画的に貯めるようにしましょう。ただし、以下のお金は自己資金として認めてもらえません。
- タンス貯金(銀行に預けず自宅で管理しているお金)
- 出所が不明なお金
- 友人や知人から借りたお金
融資審査の直前で急に出所不明な自己資金が増えていると、審査に通るために借りた「見せ金」の疑いを持たれて厳しくチェックされることがあるので注意しましょう。
事業計画
日本政策金融公庫の融資において重要になるのが、事業計画書の内容です。特に創業融資など事業の実績がまだない状態で融資の申込をする際は、事業計画書の内容が審査の可否に大きく影響します。
事業計画書には以下のような内容を盛り込みます。事業の見通しなどは数値をしっかり試算することがポイントです。客観的な市場データや収益のシミュレーションを入れるなど、数値の根拠を明確に示すことで説得力を高めることができます。
- 創業の動機
- 経営者の経歴
- 商品・サービス
- 取引先・取引関係等
- 借入状況
- 必要な資金と調達方法
- 事業の見通し
返済能力
日本政策金融公庫での借入は、当然ながら返済義務が生じます。期日まで返済できるか、無理のない返済計画を立てているかなど、融資希望者が返済能力のある人物かどうかを判断します。
また、判断材料の一つとしてクレジットカードやローンの借入状況のほか、税金や公共料金の延滞がないかなど、経営者の信用情報がチェックされます。支払いが遅延しがちだったり滞納があったりすると信用を得られないため、日頃からしっかり管理しておくことが重要です。
面談
日本政策金融公庫の融資では、面談が行われます。面談は事業計画書や創業計画書をもとに行われ、資料だけではわからない融資希望者の人柄や熱意など定性的な部分を見ています。どれだけ事業計画が作り込まれていても、面談で説明できないと審査での評価は下がってしまいます。事業計画の内容を自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
面談で聞かれる質問を以下にまとめました。参考にしてください。
- 創業の理由は?
- 事業経験はあるか?
- 月の売上の見込みはいくらか?その根拠は?
- 事業目的が成功する根拠は?
- 自己資金はどうやって作ったか?
日本政策金融公庫の審査に落ちてしまう理由とは

日本政策金融公庫の審査に落ちてしまうのは、何かしらの理由があるからです。融資を検討している事業者は、まず以下の理由が該当していないかを確認しましょう。また、審査に落ちてしまった場合も、理由を分析して改善することが重要です。
日本政策金融公庫の審査に落ちてしまう理由を紹介していきます。
融資希望額が多い
日本政策金融公庫から融資を受ける場合は、適正額で融資を申し込む必要があります。融資希望額が多すぎると、審査に通らない可能性があるので注意が必要です。高額な融資を希望する場合は、設備資金や運転資金など資金用途を明確にし、その妥当性をアピールしなければいけません。
どれくらいの資金が必要かを整理し、見積りは慎重に行うようにしましょう。
事業計画が漠然としている
日本政策金融公庫に限らず、融資の審査では事業計画書が重視されます。審査担当者は事業計画書を通して「実現できる事業であるか」「成長性・収益性の見込みがあるか」などを確認します。事業計画書の内容が曖昧であったり、しっかり試算されていないと担当者から評価を得るのは難しいでしょう。
事業計画書の確度を高めるために、第三者に見てもらうのも一案です。税理士や中小企業診断士などの専門家から意見をもらうことで、事業計画書をブラッシュアップすることができます。
信用情報や支払いに問題がある
審査落ちの原因の一つに信用情報の問題があります。日本政策金融公庫の審査では、融資を受ける人の信用情報が必ずチェックされます。信用情報に問題があるというのは、支払い遅延や滞納があることです。具体的に以下の例があります。
- ローンが残っている
- 携帯電話やクレジットカードの支払いが遅れている
- 公共料金などの支払いが遅れている
- 税金の支払い遅延や滞納がある
支払いの遅延や滞納がある人は、「融資しても返済できる可能性が低い」と判断されてしまいます。信用情報の問題や支払い遅延がある場合は、融資の申請をする前に解消しておく必要があります。
また、日本政策金融公庫は個人信用情報機関(CIC)の信用情報を参照しています。CICの信用情報は確認することができますので、融資を申し込む前にチェックしておくと良いでしょう。
日本政策金融公庫の審査に落ちたら?対処方法とは?

日本政策金融公庫の審査に落ちてしまっても、再度の申請で審査に通ることがあります。重要なのは、審査落ちした後の行動です。ここでは、日本政策金融公庫の審査に落ちてしまった場合に、取るべき3つの行動について紹介します。
原因を分析する
日本政策金融公庫の審査に落ちた場合にまずやるべきなのは、落ちた原因を分析することです。原因は融資希望額や事業計画の内容・信用情報の問題など様々です。原因を分析しないままでは、対策を講じることができません。
融資では、1つだけでなく複数の判断材料をもとに総合的に審査します。そのため、1つ改善すれば審査が通るというわけではありません。日本政策金融公庫の融資担当者は、誤解やトラブルを防ぐために基本的に審査に落ちた理由を教えてくれません。
そのため、審査に落ちてしまった原因は、自分で分析して改善していく必要があります。面談中の担当者の反応が良くなかった項目や発言をメモしておくのも良い方法です。
再審査に向けて準備する
日本政策金融公庫の審査に落ちてしまった場合、再申請には約6ヶ月の期間を置く必要があります。審査に落ちた理由を分析して改善した上で、再審査に向けて準備を進めていきましょう。再審査では、とくに事業計画書の練り直しや自己資本比率を上げるなどの取り組みが重要です。
他の資金調達方法を探す
日本政策金融公庫の審査が厳しい場合やすぐに資金が必要な場合は、他の資金調達方法を検討する必要があります。補助金や助成金、クラウドファンディングなども資金調達方法の一つです。できるだけ多くの選択肢を持てるよう、事前に様々な情報をチェックしておきましょう。
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日本政策金融公庫の審査に通るには、徹底した準備が必要です。書類作成や面談対策、自己資金のための貯蓄など取り組むべきことが多いので、時間には余裕をもって準備を進めていきましょう。また、審査に落ちた場合でも、対策を講じることで再審査に通る可能性を上げることができます。
当記事を参考に、日本政策金融公庫の審査のポイントや落ちる原因を把握し、今後の融資審査に役立て頂ければ幸いです。
日本政策金融公庫の融資以外にも、銀行融資やノンバンク、補助金など様々な資金調達方法があります。はじめから1つに絞らず、多くの資金調達方法を見つけておくと良いでしょう。
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