2022年6月30日 基礎知識

会社設立の流れと必要な手続き|合同会社との違いも合わせて紹介

会社設立の流れと必要な手続き|合同会社との違いも合わせて紹介

会社を設立するには、必要な書類を準備した上でいくつかの手順を踏む必要があります。「会社設立はどのように進めるのか」「そもそも会社設立にメリットはあるのか」と気になる方も多いのではないでしょうか。当記事では、会社を設立するメリットや全体の流れ、手続きを紹介します。

目次

会社を設立するメリットとは

会社を設立するメリットとは

会社を設立するメリットは以下のとおりです。

社会的信用度が高まる

会社を設立する大きなメリットは、対外的な信用度が高まることです。会社を設立する際には商号や住所、資本金などの情報を登記します。決算報告の義務もあるため、社会的責任が伴います。そのため、社会的な信頼が得られるわけです。

社会的信用度は、企業の取引において重要な指標となります。取引先の条件として法人を含んでいるケースも少なくありません。信用度が上がることで取引先や仕事の幅が広がり、売上の向上が期待できます。他にも人材の採用や融資など、様々な面で法人としての信用度が役に立ちます。

節税ができる

2つ目のメリットは、節税が可能になることです。個人事業主は所得税、法人は法人税が課税されます。個人事業主の所得税は所得金額に応じて税率が上がる累進課税で、最高税率が45%になります。一方、法人税の税率は一定の基準までは15%、基準を超えても20%代前半です。

一定の利益を超える場合は、会社を設立して法人化した方が税金を抑えることができます。600万円以上の年間利益が見込める場合、法人のほうが節税になることが多く、会社を設立する基準の一つとなります。

所得金額

税率

法人税

税率

195万円以下

5%

所得金額800万円以下の中小法人

15%

195万円超~330万円以下

10%

330万円超~695万円以下

20%

695万円超~900万円以下

23%

900万円超~1,800万円以下

33%

・中小法人で年間所得800万円を超えた部分

23.2%

1,800万円超~4,000万円以下

40%

4,000万円以上

45%

その他のメリットとして、社長の給与が給与所得控除となることや、法人は個人事業主に比べて必要経費になるものが多いなどが挙げられます。節税について詳しく知りたいという場合は税理士に相談してみましょう。

資金調達がしやすくなる

社会的信用度が高まることで、金融機関からの融資を受けやすくなることもメリットの一つです。法人の場合、損益計算書や貸借対照表などの決算書を作成して財務政管理を行っているため、企業がどれくらいの資産を持っているのかを金融機関が判断しやすいという理由があります。

また、株式会社の場合は株を発行して、出資金を募ることも可能です。

決算月を自由に選べる

個人事業主の会計期間は、1月1日から12月31日と決まっています。法人の場合は、自由に決算月を決めることができます。一般的に取引先の決算月に合わせて、12月や3月に設定している企業が多い傾向があります。

株式会社と合同会社はどう違う?

株式会社と合同会社はどう違う?

株式会社は、株式を発行してお金を募り、その資本をもとに経営を行っていく会社形態です。株式会社は、会社の経営を行う経営陣と会社にお金を出している所有する出資者(株主)が異なります(所有と経営の分離)。そのため、会社の意思決定を行うためには、株主総会の決議が必要となります。

一方で、合同会社は出資者と経営者が同じであり、出資者全員が有限責任者です。重要な事項を決定するためには、株式会社では株主総会を開く必要がありますが、合同会社は株主総会を開く必要がなく、迅速な経営判断を行うことができます。

株式会社と合同会社の違いを以下に整理しました。

 

株式会社

合同会社

意思決定

株主総会

総社員の同意

所有と経営

原則完全分離

原則同一

出資者責任

間接有限責任

間接有限責任

役員の任期

最長10年

任期なし

代表者の名称

代表取締役

代表社員

決算公告

必要

不要

定款

認証が必要

認証不要

利益配分

出資比率に応じる

自由に規定可能

設立費用

約200,000円〜

約100,000円〜

なお、合同会社として設立した会社を、資金調達や会社の信用など様々な理由で株式会社に変更するケースも少なくありません。株式会社に変更する場合は、組織変更計画書の作成や合同会社の総社員の組織変更計画書への同意などの手順を踏む必要があります。

会社設立の流れと必要な手続き

会社設立の流れと必要な手続き

会社設立の流れと必要な手続きについて、順番に解説していきます。

会社設立の大まかな流れは以下の通りです。

1.

会社概要の決定

2.

定款の作成

3.

定款の認証

4.

資本金の払込み

5.

法務局に登記申請

6.

会社設立

1.会社概要の決定

会社を設立するにあたって、会社の基本的な事項を決定します。

  • 事業目的
  • 社名(商号)
  • 本社所在地
  • 資本金
  • 発起人
  • 持株比率
  • 決算期

発起人とは、会社設立の手続きを進める人を指します。発起人は、1名以上で必ず1株以上引き受けなければいけません。なお発起人に関しての資格はなく、法人でも発起人になることができます。

2.定款の作成

定款は、「会社の憲法」といわれるもので、会社の基本的なルールを定めた書類です。定款には「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」という3種類の記載事項があります。

絶対的記載事項

絶対的記載事項は、定款に必ず記載しなければいけない事項です。

〈記載項目〉

  • 商号
  • 本店所在地
  • 事業目的
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • 設立発起人の氏名または名称および住所
  • 発行可能株式総数

相対的記載事項

相対的記載事項は、必ずしも記載する必要はありませんが、記載がないと効力が認められない事項があります。相対的記載事項の一部を抜粋して紹介します。

〈記載項目〉

  • 変態設立事項
  • 株主総会、取締役以外の機関の設置
  • 全部の株式の内容についての譲渡制限、取得請求権付又は取得条項付の定め
  • 種類株式の発行
  • 株主名簿管理人
  • 単元株式
  • 株券発行
  • 取締役の任期の伸長又は短縮
  • 監査役の任期伸長
  • 株主総会、取締役会及び監査役会招集通知期間短縮
  • 株主総会及び種類株主総会の定足数、決議要件の法定要件と異なる定め

任意的記載事項

任意的記載事項は、記載がなくてもいい事項です。無効記載がなくても定款が無効になるわけではありません。任意的記載事項では、法律が定められた範囲内であれば、いかなる事項でも追記することができます。

〈記載項目〉

  • 株主名簿の起算日
  • 株券の再発行手続
  • 定時株主総会の招集時期
  • 株主総会の議長
  • 議決権の代理公使
  • 取締役会の招集権者
  • 事業年度
  • 公告方法

なお、定款の記載事項を変更する場合は、法務局への申請を行う必要があります。株式会社の場合は、株主総会の特別決議が必要です。

3.定款の認証

定款を作成したら、定款の記載に問題がないかを公証役場でチェックを受け、正しい定款であることを証明してもらいます(定款認証)。合同会社の場合は定款認証の必要がなく、手続きを省くことができます。

定款の認証には、印鑑証明書(収入印紙代4万円)と認証手数料5万円が必要です。また、定款は紙ベースだけでなく、電子定款による認証手続きも可能となっています。この場合、収入印紙代4万円が不要です。

4.資本金の払い込み

発起人が集めた出資金を銀行の口座に払い込みます。会社設立前で法人口座がないので、発起人の個人口座に払い込みます。

資本金を振り込んだら、通帳の表紙と1ページ目、資本金の振込み内容が記載されているページのコピーを取っておきましょう。登記申請の際に、資本金が振り込まれた証明として必要になります。

5.法務局に登記申請

本店所在地を所轄する法務局にて登記申請を行います。登記申請書を提出した日が会社の設立日となります。登記申請後、法務局から登記事項証明書が発行され、これが正式に登記を行っている証明となります。登記事項証明書は、手数料を納付すれば誰でも取得することが可能です。

6.会社設立

登記が完了すれば会社が設立されますが、会社設立後も年金事務所や税務署などで必要な手続きが発生します。会社設立後に必要な手続きは以下のとおりです。

  • 会社の口座開設
  • 法人設立届出書の提出(税務署・都道府県税事務所・市区町村役場)
  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書の提出(税務署)

   ※従業員を雇う場合

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会社設立は節税や信用度の向上など様々なメリットがあります。手続きは手間ではありますが、個人事業主と比べて様々な面で法人のメリットが役に立つでしょう。

また、会社設立では定款や登記申請など、やるべきことはたくさんあります。それぞれのポイントを押さえ、会社設立に向けて準備を進めるようにしましょう。

とくに資金面に関しては、必要な金額を試算したうえで適切な資金調達方法を模索していかなければいけません。資金調達方法は、自己資金以外にも銀行融資や信用公庫、補助金などがあります。

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