ベンチャーが資金調達できる10の方法|メリット・デメリットを解説

「ベンチャー企業が資金調達したい場合、どんな方法がある?」
「出資や融資を受けたいけれど、どこから受けられるの?」
そんな疑問を持っている起業家、経営者の方も多いのではないでしょうか。
ベンチャー企業が資金調達をする際に、選べる方法は主に以下の10例です。
出 資 |
1 |
ベンチャーキャピタル |
---|---|---|
2 |
エンジェル投資家 |
|
3 |
他企業 |
|
融 資 |
4 |
日本政策金融公庫 |
5 |
信用保証協会の保証付き融資 |
|
6 |
銀行のプロパー融資 |
|
7 |
地方自治体の制度融資 |
|
8 |
ノンバンクのビジネスローン |
|
他 |
9 |
補助金、助成金 |
10 |
クラウドファンディング |
そこでこの記事では、この10の方法について詳しく解説していきます。
また、
◎資金調達10の方法 それぞれのメリット・デメリット
◎資金調達における注意点
◎資金調達に成功したベンチャーの具体例
についても解説しています。
さらに、上場を目指して資金調達しようというベンチャーのために、関連情報として、
◎資金調達ラウンドとは何か
についてもわかりやすく説明します。
最後まで読めば、ベンチャー企業が資金調達するにはどうすればいいかがわかるはずです。
この記事で、あなたが必要な資金を無事調達できることを願っています。
1. ベンチャーの資金調達法は3種に分けられる

まず、ベンチャー企業が資金を調達する方法は、大きく以下の3つに分けられます。
◎出資を受ける
◎融資を受ける
◎その他(補助金、助成金、クラウドファンディングなど)
返済の必要がない「出資」、金融機関と信頼関係を築ける「融資」などそれぞれに特色があり、さらにその中で「ベンチャーキャピタルの出資」「銀行融資」など細分化できます。
その中から、自分場合はどれが最適化を見極めて、資金調達法を選ぶ必要があります。
そこで次章から、ベンチャーの資金調達法で代表的な10の方法とその特徴、利用することのメリットデメリットを、出資・融資・その他の3カテゴリーにわけて説明します。
2. 【ベンチャーの資金調達法①】出資を受ける

「出資」は、株式などと引き換えに受ける「資金提供」で、「エクイティファイナンス」とも呼ばれています。
融資との最大の違いは、提供してもらった資金は返済する必要がないことです。
出資元としては、主に
◎ベンチャーキャピタル
◎エンジェル投資家
◎他企業
が想定されます。
この3者についてみていきましょう。
2-1. ベンチャーキャピタル
メリット | デメリット | |
---|---|---|
ベンチャーキャピタル | ・返済の必要がない・経験豊富なベンチャーキャピタルから経営支援を受けられる | ・上場を目指さない企業は出資を受けられない・企業の経営に干渉、監視をしてくる恐れがある |
「ベンチャーキャピタル(VC)」は、ベンチャー企業に投資することで利益を上げる「投資会社」です。
成長が期待できる起業家、ベンチャー企業、スタートアップ企業に出資して、その企業が上場したりM&Aされたときに持ち株を売ることで莫大な売却益を得ることを目指しています。
そのため、VCから出資を受けられるのは、基本的に上場を目指していて、高い成長率が期待できる企業に限られます。
もし出資の価値があると認められれば、数億円単位の大きな出資も得られる上に、知見の豊富なVCから、コンサルティングや資金調達のあっせんなど経営支援が受けられるというメリットがあります。
一方で、過度に経営に干渉される恐れもあるので、注意が必要です。
2-2. エンジェル投資家
メリット | デメリット | |
---|---|---|
エンジェル投資家 | ・個人投資家なので融資までのスピードが早い・アドバイスや人脈の紹介が期待できる | ・なかなか出会えない・企業の経営に口出ししてくる投資家もいる |
「エンジェル投資家」は、個人投資家です。
ベンチャーキャピタル(VC)と同様に、成長が期待できる企業に投資することで利益を得る人も多いですが、その一方で、将来有望な起業家を支援したり、社会に貢献する事業に出資したりといった、利益第一ではない出資を行う人もいます。
もうひとつVCと異なるのは、個人の裁量で出資するため、機動力に優れている点です。
事業計画を有望と認められれば、スピーディに資金を提供してもらえるのです。
また、投資家自身が元経営者、実業家である場合も多いので、経営のアドバイスを受けられたり、豊富な人脈を紹介してもらえたりするのも利点です。
とはいえ、あまり頼りすぎると経営に干渉したり、ときには経営権を奪われるリスクもあります。
エンジェル投資家を探すなら、
・専門のマッチングサイトを利用する
・起業家の交流会やイベント、セミナーに参加する
といった方法があるので利用してみてください。
2-3. 他企業
メリット | デメリット | |
---|---|---|
他企業 | ・その企業が持つノウハウや人脈の共有が期待できる | ・出資企業が見つけにくい・株式を譲渡しすぎると経営に干渉される |
外部の他企業と提携したり、株式を一部譲渡するなどして、そこから出資を受ける方法もあります。
出資してくれる企業を見つけるのは簡単ではありませんが、もし見つかれば、その企業が築いてきた人脈、ノウハウなどを共有してもらえる可能性があります。
ただ、VCやエンジェル投資家同様、経営への干渉や経営権を奪われてしまう恐れはあります。
そうならないよう、持ち株比率には注意が必要です。
3. 【ベンチャーの資金調達法②】融資を受ける

「融資」は、金融機関などからの「貸し付け」で、「デットファイナンス」とも呼ばれます。
出資と違ってお金の貸し借りなので、返済の義務があるのがポイントです。
融資元としては、
◎日本政策金融公庫など政府系金融機関
◎信用保証協会の保証付き融資
◎銀行のプロパー融資
◎地方自治体の制度融資
◎ノンバンクのビジネスローン
が主ですので、これらについて説明しましょう。
3-1. 日本政策金融公庫など政府系金融機関の融資
メリット | デメリット | |
---|---|---|
日本政策金融公庫 | ・金利が低い・無担保、無保証でも融資が受けられる・創業支援制度が充実している・事業についてのアドバイスも得られる | ・審査に日数がかかる・面談が重視されるので入念な準備が必要・審査がやや厳しい |
政府系金融機関とは、政府が経済の発展と安定を目的として設立した金融機関です。
現在は以下の5つがあります。
・株式会社日本政策金融公庫
・株式会社国際協力銀行
・沖縄振興開発金融公庫
・株式会社日本政策投資銀行
・株式会社商工組合中央金庫
中でも「日本政策金融公庫」は、特に創業支援・新事業育成支援に力を入れているので、ベンチャー企業はぜひ利用したい融資です。
さまざまな融資制度が用意されていますが、中でもベンチャー向けのものの概要を以下の表にまとめました。
融資制度 | 利用できる者 | 融資限度額 | 利率 | 融資期間(うち据置期間) |
---|---|---|---|---|
新事業育成資金 | ・高い成長性が見込まれる新たな事業を行う方・事業化後7年以内の方・成長新事業育成審査会の認定を得た事業を行う方 | 6億円 | 0.3~3% | 設備資金:20年以内(5年以内)運転資金:7年以内(2年以内) |
新株予約権付融資 | ・株式公開を目指している方 | 2億5,000万円 | 1.11~3% | 7年以内 |
挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン) | ・新企業育成貸付、企業活力強化貸付または企業再生貸付を利用される方で、地域経済の活性化のために、一定の雇用効果が認められる事業、地域社会にとって不可欠な事業、技術力の高い事業などに取り組む方 | 3億円 | 0.45~5.5% | 15年・10年・7年、5年1ヵ月(期限一括償還) |
出典:日本政策金融公庫ホームページ「新たな事業に挑戦する中小企業、ベンチャー企業向け融資制度」より抜粋
最大の特徴は、金利が低く融資限度額が大きいことです。
また、返済期間も「新事業育成資金」で最長20年、資本制ローンで最長15年と長期なのも助かるでしょう。
いずれの制度も申し込み後に審査を経て、融資が認められれば借り入れができます。
3-2. 信用保証協会の保証付き融資
メリット | デメリット | |
信用保証協会の保証付き融資 | ・審査は銀行の直接融資より通りやすい・金利は比較的低め | ・金融機関と信用保証協会のふたつの審査を受けるので、日数がかかる・書類や手続きも煩雑 |
政府系金融機関に対して、銀行や信用金庫など民間の金融機関からの融資も受けられます。
が、金融機関から直接借り入れをする「プロパー融資」は審査が厳しく、実績のないベンチャーやスタートアップ企業にはハードルが高いでしょう。
そこで、多くの企業は「信用保証協会」の保証付きで、金融機関から融資を受けることになります。
これは、信用保証協会に保証料を払って借り入れを保証してもらうという融資形態です。
万が一返済が滞ったり貸し倒れになったりすれば、信用保証協会が弁済してくれるため、銀行や信金も貸しやすくなります。
同じ銀行でもプロパー融資より審査のハードルが下がるため、ベンチャーでも借り入れできる可能性が上がります。
融資の返済に加えて、保証料の支払いが発生するというマイナス面はありますが、ノンバンクなどよりは低金利なので利用する企業が多くあります。
3-3. 銀行のプロパー融資
メリット | デメリット | |
---|---|---|
銀行 | ・金利が低い・高額の融資も受けられる ・企業としての信用度が上がる | ・審査が非常に厳しい ・審査に日数がかかる ・不動産などの担保を求められる場合がある |
前項で少し触れましたが、保証を付けずに銀行から直接借り入れる「プロパー融資」もひとつの方法です。
プロパー融資の利点は、政府系金融機関に次いで金利が低いことで、1%以下という低金利で借り入れできる場合もあります。
加えて、銀行が直接融資を承認したことで企業としての信用度も高まります。
もしベンチャーでプロパー融資が受けられたなら、今後の事業展開に非常にプラスに働くでしょう。
ただ、融資審査はどんな融資よりも厳しいので、審査落ちの可能性も高いのがデメリットです。
その場合は、事業を成長させて企業価値を高めてから再チャレンジしましょう。
3-4. 地方自治体の制度融資
メリット | デメリット | |
---|---|---|
地方自治体の制度融資 | ・金利が低い | ・審査に日数がかかる ・制度融資がない自治体も多い |
都道府県や市区町村などの地方自治体の中にも、企業への融資を行っているところがあります。
「制度融資」と呼ばれていますが、実際には自治体が直接資金を融資するわけではありません。
自治体が主体になり、金融機関と連携して、信用保証協会の保証を受けて融資する仕組みになっています。
自治体という特性上、地元企業の支援がひとつの目的なので審査のハードルは比較的低く、民間の金融機関では借入できなかったベンチャーやスタートアップでも借りやすい融資です。
融資の詳細は自治体ごとに異なり、地域によっては制度がないところもありますので、地元自治体の制度を調べてみてください。
3-5. ノンバンクのビジネスローン
メリット | デメリット | |
---|---|---|
ノンバンクのビジネスローン | ・審査に通りやすい ・審査日数が短くすぐに融資を受けられる | ・金利が非常に高い ・融資限度額が低い |
融資の最後はノンバンクのビジネスローンです。
消費者金融などがさまざまなビジネスローンを取り扱っていますが、いずれも銀行や政府系金融機関などに比べて、審査のハードルが低く融資が通りやすくなっています。
そのため、ベンチャーやスタートアップでも簡単に借り入れできますが、難点は金利です。
上限金利18%というノンバンクも多く、それでいて返済期間は短めに設定されます。
借りるのは簡単でも返すのが大変、というケースもままありますので、利用前には慎重に検討が必要です。
4. 【ベンチャーの資金調達法③】その他(補助金、助成金、クラウドファンディングなど)
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出資や融資以外にも、資金調達の方法はあります。
たとえば、
◎国や自治体などの補助金、助成金
◎クラウドファンディング
などです。
これらについても説明しておきましょう。
4-1. 補助金、助成金
メリット | デメリット | |
---|---|---|
補助金、助成金 | ・国の補助金なので返済の必要がない ・開業前でも申請できる | ・つねに募集があるわけではない ・募集期間が短い ・補助金が出るのは創業後 |
国や地方自治体の補助金、助成金の中にも、ベンチャー企業が受けられるものがあります。
補助金も助成金も、返済の必要がないのが大きなメリットなので、ほかの資金調達方法と並行してぜひ申請しておきたいものです。
どんな補助金、助成金が公募されているかは時期によって変わりますので、インターネットで検索したり、自治体に問い合わせたりして調べてみましょう。
たとえば一例を挙げると、国の制度、東京都の制度としては、2020年には以下のようなものがありました。(いずれも締切済み)
◎経済産業省「地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業補助金」
中小企業などが地域・社会課題について解決しようとする事業(実証プロジェクト)を行う際の、経費の一部を国が補助する制度です。
補助金額は上限3,500万円、人件費、機械装置費、システム開発費などに利用できます。
◎東京都「創業助成金」
都内での創業を具体的に計画している個人、または創業後5年未満の中小企業者向けの助成金です。
助成金額は上限300万円、人件費、広告費、賃借料、広告費、器具備品購入費などに使えます。
4-2. クラウドファンディング
メリット | デメリット | |
---|---|---|
クラウドファンディング | ・返済の必要がない ・金融機関の審査に落ちた事業でも資金を集めることができる | ・資金が集まらず、創業できないケースも多い ・返済は必要ないが、商品やサービスでの返礼が必要な場合が多い ・事業計画を公開するので、先取りされる恐れがある |
近年注目されている資金調達方法としては、クラウドファンディングもあります。
これは、インターネットなどを通じて事業計画や企画などを広く公開して、その内容に賛同した人、支援を希望する人から資金提供をつのるものです。
多くの場合、目標金額を事前に設定して、それが達成されれば実際に起業、計画の立ち上げを行います。
クラウドファンディングのメリットは、まったく自己資金のない人や、金融機関では借り入れができなかった人でも、一般からの賛同さえ得られれば多額の資金を集めることができる点です。
また、集まった資金は返済の必要もありません。
ただ、実現した場合には、商品やサービスなど何らかの返礼をするケースが多いようです。
クラウドファンディングを立ち上げるには、専用のクラウドファンディングサイトを利用するなどの方法があります。
「CAMPFIRE」、「READYFOR」などのサイトがありますので、興味があれば参加してみてください。
5. 上場を目指すなら「資金調達ラウンド」について理解しよう

さて、ここまでベンチャーが利用できる具体的な資金調達方法について紹介してきました。
一方で、「資金調達」についてベンチャーが知っておくべきキーワードがあります。
それは「資金調達ラウンド」です。
この章では、これについて解説しておきましょう。
5-1. 資金調達ラウンドとは
「資金調達ラウンド」とは、投資家が企業に投資する際に、その企業がどんな状況にあるかを、数段階にわけて捉えるための指標です。
「投資ラウンド」とも呼ばれています。
5段階に分けられることが多く、それぞれに必要な資金目安は以下の通りです。
シード | 起業前。具体的なサービスや商品はまだ未定で、そのための準備や検証などを行っている段階。 | 数百万~数千万円 |
---|---|---|
アーリー | 起業直後。事業は始まってはいるが、まだ軌道には乗っていない段階。 | 数千万円 |
シリーズA | 事業が本格的になり、これから成長し始める段階。 | 数千万~数億円 |
シリーズB | 事業が軌道に乗り、収益が上がっている状態。 | 数億円 |
シリーズC | 事業が安定して、黒字経営が続く状態。 | 数億~数十億円 |
投資家は企業がどのラウンドにあるかによって、投資するかどうかを検討します。
上場前の企業に投資して、その企業が大きく成長すれば、上場時には大きな利益が見込める一方で、事業が軌道にのらないうちに投資するのはリスクも大きく、投資家は慎重になるのです。
逆にベンチャー視点からみると、自分がどのラウンドにあるかによって、資金の集まりやすさは異なるわけです。
そのため、時期によって資金調達のアプローチも変えなければなりません。
特に上場を目指すベンチャーであれば、起業から上場までの各ラウンドでどのように資金調達していくかは、企業を成長させるうえで非常に重要なポイントです。
そこで、次の項からは、各ラウンドについて、ベンチャーが資金調達のために何をすべきか含めて説明していきましょう。
5-2. シード
これから事業を立ち上げようとする起業前の段階です。
「シード(seed)=種」の名の通り、まだその企業は準備段階にあります。
そのため投資家や融資元にとっては、事業の有望性の判断が難しい時期だといえるでしょう。
ただ、成長が期待できると判断されれば資金は集まります。
また、起業支援の融資制度や助成金などが充実しているため、資金調達のチャンスは多いとも言えます。
そのためベンチャー側としては、事業計画をなるべく具体的に作成し、事業の有望性をアピールしなければなりません。
市場調査や検証などにも力を入れ、説得力のある計画、資料をそろえて資金調達に臨みましょう。
5-3. アーリー
起業直後で、事業をこれから始めようとする、もしくは始まったばかりの段階です。
まだ安定した収益は上がらず、赤字経営になるケースも多いため、投資家も融資元も資金を投入しづらいかもしれません。
一方で、起業前後に利用できる公的な融資制度や助成金制度はさまざまあります。
ベンチャーとしては、出資や融資が得られなければ、それらを積極的に利用するといいでしょう。
5-4. シリーズA
事業が本格的にスタートし、成長が始まる段階です。
投資家や融資元にとっても、事業の方向性、成長性が見えてくるため、アーリーラウンドよりは資金を投入しやすくなります。
ベンチャー側も、販路拡大、顧客獲得を目指してより多額の資金が必要になってきます。
融資や出資がうけやすくなるこのラウンドは、よりよい金融機関、投資家と信頼関係を築くタイミングだと言えるでしょう。
5-5. シリーズB
いよいよ事業が軌道に乗り、収益が上がる成長期の段階です。
投資家も、このラウンドの企業には積極的に出資します。
そのため企業側としては、このタイミングで株式上場に踏み切るケースも多いようです。
上場を目指すベンチャーにとっては重要なラウンドですので、ベストなタイミングを見極めましょう。
5-6. シリーズC
事業が安定して、黒字経営が続く段階です。
ここまでくれば、投資家はもちろん銀行からのプロパー融資なども容易に受けられます。
企業によっては、すでに外部からの資金調達は必要ないという状況ですが、さらなる成長を目指して大きな資金を調達したいなら、M&Aなども可能です。
6. ベンチャーの資金調達における注意点

ベンチャーの資金調達にはさまざまな方法があることがわかりました。
が、融資や出資を受ける際に、いくつか注意しなければいけないポイントがあります。
それについて、以下で説明しておきましょう。
6-1. 経営に干渉されるリスクがある
ベンチャーキャピタルや投資家からの出資は、返済の必要がないため、利用を考えるベンチャー企業は多いでしょう。
が、出資者はボランティアで出資するわけではありません。
投資した企業が成長することで、キャピタルゲインを得ることなどが目的です。
そのため、投資先企業に対して経営のアドバイスやサポートをしてくれることも多いのですが、それがエスカレートして経営に干渉、介入してくるケースもあるのです。
持ち株の保有率によっては、経営権を奪われてしまう恐れもあるので注意してください。
6-2. 資金調達に時間がかかる場合がある
ベンチャーの経営では、ときには「今すぐ事業資金が必要」ということもあり得ます。
が、資金調達法によっては、実際に資金を手にするまでに時間を要するものもあるので要注意です。
たとえば、
◎日本政策金融公庫:1か月程度
◎信用金庫:1~3か月程度
◎地方自治体の制度融資:1か月程度
などです。
融資を申し込む際には、どの程度の期間で資金が手元に入るのか、事前に確認しておく必要があるでしょう。
7. ベンチャーの資金調達実例

では、実際にベンチャーがこれらの資金調達法を利用して成長したケースには、どんなものがあるでしょうか?
ここで近年の実例をふたつ挙げておきましょう。
7-1. スマートニュース株式会社
ニュースアプリ「SmartNews」を運営するスマートニュース株式会社は、2019年に総額100億円の資金調達を達成しました。
資金調達方法は、日本郵政キャピタルとACA Investmentsという投資会社が主な投資家となった「第三者割当増資」でした。第三者割当増資とは、特定の第三者に新株を引き受ける権利をあたえて出資してもらう方法です。
つまり、投資家からの出資を受けての資金調達というわけです。
同社はアメリカでの事業展開を強化しようとしていて、それに向けた開発や人材確保のために資金調達を計画しました。
投資家へのアピールとしては、
・アメリカでの利用者数が前年比で5倍に拡大したという自社データ
・「プレイステーションの生みの親」として知られる久夛良木 健氏を社外取締役に迎えるなどの人材強化
などさまざまな要素があり、資金調達に成功したと考えられます。
7-2. Sansan株式会社
クラウド名刺管理サービス「Sansan」と名刺アプリ「Eight」を運営するSansan株式会社は、2018年に合計約30億円の資金を調達しました。
資金調達法は、日本郵政キャピタル、T. Rowe Price Japan Fund、 SBIインベストメント、DCM Venturesからの出資です。
この前年、2017年にも約42億円を調達済みで、累計で約114億円の資金調達に成功しています。
同社はそれまでのミッション「ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する」を、「出会いからイノベーションを生み出す」という新しいミッションに刷新しました。
単なる名刺管理にとどまらず、「イノベーションにつながる新しい出会いを生み出す」ことを目指して、事業を進化させるための資金調達でした。
その後、2020年には経団連が「Sansan」を導入するなど、ビジネスの場での利用が広がっています。
8. ベンチャーの資金調達は「資金調達freee」で!

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9 まとめ
いかがでしたか?
ベンチャーが資金調達できる方法について、よくわかったことと思います。
では、記事の内容をもう一度振り返ってみましょう。
◎ベンチャーが資金調達できる方法は以下
出 資 |
1 |
ベンチャーキャピタル |
---|---|---|
2 |
エンジェル投資家 |
|
3 |
他企業 |
|
融 資 |
4 |
日本政策金融公庫 |
5 |
信用保証協会の保証付き融資 |
|
6 |
銀行のプロパー融資 |
|
7 |
地方自治体の制度融資 |
|
8 |
ノンバンクのビジネスローン |
|
他 |
9 |
補助金、助成金 |
10 |
クラウドファンディング |
◎ベンチャーの資金調達での注意点は、
・経営に干渉されるリスクがある
・資金調達の時間がかかる場合がある
以上を踏まえて、あなたが自社に最適な方法を見つけ、無事に資金調達できることを願っています!
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