2021年5月13日 基礎知識

ビジネスローンとは?メリット・デメリットやおすすめのビジネスローンを解説

ビジネスローンとは?メリット・デメリットをわかりやすく解説

ビジネスローンとは、開業資金、運転資金、設備資金などに使うための融資で、銀行、信販会社、消費者金融などが取り扱っています。一般的な融資と比べて審査がゆるめですが、金利は高めに設定されているのが特徴です。

この記事では、おすすめのビジネスローンも合わせてご紹介します。

【ビジネスローンの基礎知識】

特に金融機関については、金利や融資限度額、借りやすさなどを比較表にまとめています。

これらを参考にすれば、ビジネスローンとはどんなものか、どのビジネスローンが借りやすいかをくわしく知ることができるはずです。
最後まで読んで、あなたがビジネスローンと上手に付き合えるよう願っています。

1. ビジネスローンとは?

そもそもビジネスローンとは何でしょうか?

まずはその意味、特徴から説明しておきましょう。

1-1. ビジネスローンとは「事業資金に特化した金融商品」

「ビジネスローン」とは、金融機関の融資商品の中でも事業資金としての利用に目的を絞ったものを指します。
たとえば、
・開業資金
・運転資金(つなぎ資金など)
・設備投資

などのために借り入れる企業が多いようです。

一般的によく利用されているカードローンやフリーローンは、借りたお金を投資、ギャンブル、そして事業資金に使うことが禁じられています。
それに対して 「事業資金として使えるローン」がビジネスローンなのです。

多くのビジネスローンは 原則として無担保で借りられるのが特徴です。
中には保証人もいらないケースもあり、「資金繰りが苦しい」という事業者には利用しやすいローンと言えます。

ビジネスローンを扱う金融機関には、
・銀行
・信販会社
・消費者金融

などがあり、それぞれ審査の厳しさや融資の早さ、金利などの傾向が異なります。
これについては「2. ビジネスローンを提供している金融機関」でくわしく説明します。

1-2. ビジネスローンを借りられる人

ビジネスローンの融資を受けられるのはどんな企業、どんな人でしょうか?
それは、

◎法人
◎個人事業主(フリーランス含む)

です。
何らかの事業を営んでいて、そのために融資を受けたいという人であれば借りられます。

ただし、金融機関によっては年齢制限があり、「代表者の年齢が満20歳以上、満69歳以下」などの条件がつけられている場合がありますので、事前に確認してください。

2. ビジネスローンを提供している金融機関

ビジネスローンを提供している金融機関はさまざまです。

そこでこの章では、各金融機関をビジネスローンの特徴とあわせて紹介していきましょう。

  金利相場 限度額 審査期間 審査の厳しさ
銀行 メガバンク 1%台~14.0% 高い
1億円程度のものもある
3~5営業日 通常の融資よりは通りやすいが、他の金融機関よりは厳しめ
地方銀行など 3.0~15.0% 低め
おおむね300万~1,000万円
5,000万円のものもある
3~5営業日 メガバンクよりは通りやすい
信販会社 5.0〜18.0% 低め
おおむね500万円
1,000万円超のものもある
最短3営業日
最短即日などもあり
通りやすい
消費者金融 6.0~18.0% 低め
1,000万円程度のところもある
最短で即日 通りやすい

2-1. 銀行

  銀行
メガバンク 地方銀行など
金利相場 1%台~14.0% 3.0~15.0%
限度額 高い
1億円程度のものもある
低め
おおむね300万~1,000万円
5,000万円のものもある
審査期間 3~5営業日 3~5営業日
審査の厳しさ 通常の融資よりは通りやすいが、他の金融機関よりは厳しめ メガバンクよりは通りやすい

現在は多くの銀行がビジネスローンを提供しています。
その特徴は、

◎ほかの金融機関のビジネスローンに比べて低金利
◎融資限度額が大きい
◎審査はほかのビジネスローンより厳しい
◎審査には面談があり、契約時には来店する必要がある
◎返済はその銀行の口座から引き落とし

などが挙げられます。

銀行のビジネスローンは、一般的な銀行融資よりも金利は高めですが、審査は通りやすい傾向があります。
一方で、ノンバンクなどほかのビジネスローンと比較すると、金利は低め、審査は厳しめと言えます。

また、ノンバンクの場合は申し込みからすべてインターネット上で完結できて、店頭には一切行く必要がないケースも多くありますが、銀行の場合は担当者との面談があり、契約時にも店頭で手続きをする必要があります。

審査にかかる日数は、一部のノンバンクのように即日OKとはいきませんが、申し込みからおおむね3~5営業日で融資を受けられます。
一般的な銀行融資が1か月前後かかるのに比べると、スピーディに借り入れできると言えるでしょう。

「今日明日にも資金が必要」という場合はノンバンクしか選択肢はありませんが、時間に余裕がある場合は、まずは低金利の銀行ビジネスローンに申し込んでみるのがいいかもしれません。

ちなみにビジネスローンを扱っている銀行は多数あり、メガバンクでは、
・みずほ銀行の「みずほスマートビジネスローン」
・三井住友銀行「中小企業向け融資 ビジネスセレクトローン」
・三菱UFJ銀行 税理士会提携ビジネスローン「融活力」
などが利用できます。

また、地方銀行もビジネスローン商品を提供していて、
・横浜銀行
・千葉興業銀行
・筑波銀行
・愛知銀行
・福岡銀行
などをはじめ、多くの地銀で融資を受けられます。

2-2. 信販会社

 信販会社
金利相場5.0〜18.0%
限度額低め おおむね500万円>
1,000万円超のものもある
審査期間最短3営業日
最短即日などもあり
審査の厳しさ通りやすい

クレジット取引を行う信販会社にも、ビジネスローンを提供しているところがあります。

・ライフカード「ビジネスパートナーローン」
・オリックスクレジット「VIPローンカード BUSINESS」
・クレディセゾン 不動産担保ローン
・オリコ 個人事業専用ローンカード「CREST for Biz(クレスト フォービズ)」

などです。

特徴は、

◎審査は銀行のビジネスローンより通りやすい
◎審査日数は最短即日のところもある
◎金利は高め
◎融資限度額は数百万円のところが多いが、中には1,000万円超、1億円などもある

となっています。

審査は銀行よりは通りやすく、消費者金融よりは厳しめな傾向があるので、銀行に断られてしまった場合に次の手段として申し込んでみるといいかもしれません。

2-3. 消費者金融

 信販会社
金利相場6.0~18.0%
限度額低め
1,000万円程度のところもある
審査期間最短で即日
審査の厳しさ通りやすい

消費者金融もビジネスローンを扱っています。

知名度の高い消費者金融の商品では、

・アイフルビジネスファイナンス「事業者ローン」
・アコム「ビジネスサポートカードローン」
・プロミス「自営者カードローン」

などがあります。

特徴としては、

◎最短即日で借りられるところも多い
◎来店不要、インターネット上で申し込みから融資まで完結するものもある
◎審査はもっとも通りやすい傾向がある
◎ATMで手軽に借り入れや返済ができるものもある
◎金利は高め
◎融資限度額は低め

です。

消費者金融の強みは、なんといっても審査がもっとも厳しくなく、即日借りられるところもあることです。
「銀行も信販会社も審査が通らなかった」「でもいますぐ資金が必要」という場合には、強い味方になるでしょう。

ただ、金利は6~18%と高く、限度額も銀行や信販会社より低めなので、「短期間のつなぎとして借りてすぐ返済できる」場合ならいいでしょうが、長期間の借り入れには注意が必要です。

2-4. その他

上記のほかに、ビジネスローン専門の金融業者などもあります。

・エム・アール・エフ
・ビジネスパートナー
・エスワイシー

などです。

特徴としては、

◎有担保で1億円、3億円など高額の借り入れができるところもある
◎審査は銀行よりは通りやすい
◎審査日数は銀行よりは短いが、消費者金融よりは時間が必要

という傾向がありますが、業者ごとに特色があり、「不動産担保が必要」「売掛債権を担保にして借りられる」などさまざまです。
自社に合った条件のところがあれば、利用を検討してみるといいでしょう。

3. ビジネスローンの審査基準

ビジネスローンの審査は、一般的な融資よりも基準が厳しくなく、中小企業でも通りやすい傾向があります。
では、その審査基準はどうなっているのでしょうか?
重視されるのは以下のポイントです。

◎事業状況・事業実績:事業に問題はないか
◎信用情報:ローンや税金の未納、滞納、延滞はないか
◎提出書類:不備がないか

では、それぞれについてくわしく説明していきましょう。

3-1. 事業状況

ビジネスローンの審査でもっとも重視されるのは、事業状況です。

具体的には、

・事業規模
・事業歴
・資産状況
・将来性

などで、これらを総合的に判断して融資の可否を決定します。

特にチェックされがちなポイントをいくつか挙げてみましょう。

◎事業は何年間続いているのか(安定性を見る)
◎今期は黒字かどうか
◎回収不能な不良債権がないか
◎資本の合計が資本金を上回っているか
◎確かに返済できるか、返済の原資はどこから用意するのか(売上金など)

などです。

赤字続きの企業であれば、審査は通りにくいでしょうが、審査基準はそれだけではありません。
「将来性」に期待ができれば、融資を受けられる場合もあります。
たとえば、これから事業が成長する好材料がある、大きな売り上げが入る見込みがある、などのケースです。

それらさまざまな状況をトータルで見て、安定性、成長性、将来性などがあると判断されれば、融資を受けられます。

3-2. 信用情報

次に、企業や経営者の信用情報もチェックされます。
具体的には、

◎すでに受けた融資について、返済の延滞はないか
◎税金の未納、滞納はないか
◎最近の借り入れ状況

などです。

信用情報にキズがあれば、ビジネスローンの審査にも不利になってしまいます。

3-3. 提出書類

ビジネスローンの申し込みに必要な書類は金融機関によって異なりますが、それらに不備がないかどうかも重要です。

主な必要書類は、

◎本人確認書類:運転免許証、パスポート、健康保険証、マイナンバーカードなど(原本または写し)
◎収入証明書:確定申告書など
◎事業に関する書類:決算書、事業計画書、登記簿謄本など

です。

これらをはじめ、求められる書類を漏らさずそろえましょう。
また、以下のことにも注意が必要です。

・誤字脱字がないように、読みやすく書く
・計算ミスがないよう、2人以上で計算しなおしてチェックする
・文章は長すぎないよう簡潔に書く

読みやすく正確な書類がきちんと揃っていれば、金融機関側に信頼感を抱かせることができ、審査にプラスに働きます。

◎ビジネスローンで導入されている「スコアリングシステム」

ビジネスローンの審査では、審査スピードを上げるために「スコアリングシステム」というものが導入されています。
特にノンバンクを中心に利用されているシステムで、融資を希望する企業の事業内容や信用情報などをコンピューターで点数付けし、自動的に審査を行うものです。

スコアリングシステムでは、その金融機関が過去に融資した企業のデータと照らし合わせて、
・融資できるかできないか
・融資できるならその限度額
・同じく金利

を決定します。

金融機関によって蓄積されているデータは異なるので、同じ企業が融資を申し込んでも、その判断結果は異なります。
スコアリングシステムでもし「融資不可」と判断されても、別のノンバンクでは審査に通る可能性がありますので、何社か当たってみるといいでしょう。

4. ビジネスローンの金利

金利相場
銀行 メガバンク 1%台~14.0%
地方銀行など 3.0~15.0%
信販会社 5.0〜18.0%
消費者金融 6.0~18.0%

金利の高さを順位付けするなら、

メガバンク<地方銀行など<信販会社<消費者金融

となっています。
ただ、金利が安いほど審査が厳しい傾向があります。
そのため、ビジネスローンを借りたい場合は、まず低金利のメガバンクから申し込み、そこで審査に落ちてしまったら次は地方銀行、それもダメなら次は信販会社、という順で当たっていくといいでしょう。

5. ビジネスローンのメリット

ビジネスローンは、一般的な融資よりも金利は高めですが、すぐに融資が受けられるなどのメリットもあります。
そこでこの章では、ビジネスローンのメリットについて考えてみましょう。

5-1. 審査基準が甘い

まず第一に、ビジネスローンは審査基準が甘めで通りやすい傾向があります。
というのも、そもそもビジネスローン自体、銀行の融資が受けられない中小企業などに向けた金融商品として誕生したものだからです。

金利を高くするかわりに審査基準は下げて借りやすくしているのです。

5-2. 素早く融資が受けられる

ビジネスローンは、申し込みから融資までにかかる日数が短く、必要なときに素早く資金を調達できるのも強みです。
というのも、前述したようにスコアリングシステムを導入して、審査を簡便化、スピード化している金融機関も多いからです。

一般的な融資だと、銀行は1か月前後、信用金庫では1~3か月もかかる場合がありますが、ビジネスローンの場合、銀行でもおおむね3~5営業日、ノンバンクなら即日融資をしてくれるところもあります

審査期間
銀行 メガバンク 3~5営業日
地方銀行など 3~5営業日
信販会社 最短3営業日
最短即日などもあり
消費者金融 最短で即日

「急な支払いがあり、今日明日にも資金が必要」という場合などには、ビジネスローンが強い味方になってくれるでしょう。

5-3. 総量規制の対象にならない

貸金業法では、「個人が借り入れできる金額は年収の3分の1まで」という規制があり、これを「総量規制」と呼んでいます。
たとえば年収600万円の人は、200万円までしか借りられません。

企業が借り入れる場合は総量規制は関係ないのですが、個人事業主の場合はこの規制が適用されてしまいます。
事業のために資金が必要でも、一般的な融資では年収の3分の1までしか借入できないのです。

ところがビジネスローンは、この総量規制の対象外とされています。
ビジネスローンでなら、個人事業主も年収に関わらず借り入れができるわけです。
「事業を拡大するための資金が必要だが、借りたい金額が年収の3分の1を超えている」
「すでに銀行の融資で年収の3分の1まで借りていて返済中だが、追加で資金が必要になった」
という個人事業主でも、ビジネスローンなら融資を受けられる可能性があるのです。

5-4. 担保・保証人がなくても借りられる

ビジネスローンは、原則として無担保・無保証で融資を受けられます。
中には不動産を担保にするタイプや、売掛債権を担保にする業者などもありますが、多くの金融機関では担保も保証人も求められません。

中小企業や個人事業主には、「事業所や店舗は賃貸で、担保にできるような不動産は持っていない」「保証人になってくれる人が見つからない」というケースも多いでしょうから、そんな場合はビジネスローンに融資を申し込むといいでしょう。

6. ビジネスローンのデメリット

ビジネスローンにはメリットがいろいろとありますが、反面、デメリットもあります。
この章では知っておくべきデメリットを挙げておきましょう。

6-1. 金利が高い

ビジネスローンの第一のデメリットは、金利が高いということです。

メガバンクの通常の融資であれば、最近では1%を切る金利で貸してくれるところもありますが、ビジネスローンの場合は1%台~14.0%程度が相場です。

金融機関別に、通常の融資とビジネスローンの金利を比較してみましょう。

  通常の融資 ビジネスローン
銀行 メガバンク 1.0~3.0%
(1%以下もあり)
1%台~14.0%
地方銀行など 1%台~4.0% 3.0~15.0%
ノンバンク 2.0~18.0% 5.0〜18.0%

全体にビジネスローンのほうが高いことがわかりますよね。

「とりあえずのつなぎ資金が今すぐ必要だが、来月になればすぐ返済できる」といった短期での借り入れであれば、金利15%でも大丈夫でしょうが、返済期間が長くなりそうな場合は利息だけで大きな額にふくらんでしまいますので注意してください。

6-2. 借入限度額が低い

多額の融資を必要としているときも、公的融資や銀行に比べてビジネスローンの融資額は少額であるため、デメリットといえます。
たとえば、大手消費者金融のビジネスローンの限度額を見てみましょう。

金融機関商品名限度額
オリックス・クレジットオリックスVIPローンカードBUSINESS500万円
プロミス自営者カードローン300万円
アコムビジネスサポートカードローン300万円

おおむね数百万円で、銀行や政府系金融機関が数千万、億単位の融資もしているのに比べるとかなり少額です。

ただし、融資額と実際にあなたが借入できる金額は同じではありません。審査結果によって貸し出す金額が決まるので、あくまでも各業者の融資額は目安として捉えておくと良いでしょう。

6-3. 今後の融資に影響が出る

ビジネスローンを申し込む中小企業や個人事業主は、最終的にノンバンクから借り入れるケースも多いでしょう。
が、実はノンバンクからの借り入れは、今後別の金融機関で融資審査を受ける際に影響する恐れがあるのです。

というのも、ビジネスローンに限らずそもそもノンバンクから借り入れをする企業は、銀行や公的機関からの融資を受けられなかった、融資審査に落ちたケースが多いのです。
つまり、事業状況があまりよろしくないわけです。

もし今後、銀行や信用金庫、日本政策金融公庫などから借り入れをしようとした場合、ノンバンクからの融資歴があることがわかると、「ノンバンクからしか借りられない=資金繰りが苦しいのでは?」と判断されて、審査結果にマイナスに影響する可能性があります。
また、ビジネスローンは高金利であるため、返済が大きな負担になることが予想され、それもマイナス要素になります。

企業がどこから借り入れをしたかは、決算書の借入金内訳に記載されるため、銀行などに審査書類として提出した際にわかってしまいます。
将来的に銀行や公的機関からの融資を希望しているなら、ノンバンクでの借り入れには慎重になってください。

7. ビジネスローンと他の資金調達手段との比較

ビジネスローンのメリットとデメリットを考慮した結果、「できればビジネスローンは借りたくない、でも資金は必要」となった場合はどうすればいいのでしょうか?

もちろん、ビジネスローン以外にも資金調達の方法はあります
たとえば、
・銀行や信用金庫からの融資
・政府系金融機関からの融資
・ファクタリング

などです。

それぞれの違いを比較してみましょう。

 金利、手数料など資金調達までの期間調達できる限度額審査基準
ビジネスローン
(ノンバンク)
5.0~18.0%最短即日おおむね500万円
1,000万円超のものもあり
通りやすい
銀行・信用金庫・銀行:
およそ1.0~3.0%
・信用金庫:
およそ2.0~4.0%
・銀行:
1週間~1か月
・信用金庫:
1~3か月
金融機関ごと、融資を受ける企業ごとに異なる・銀行:
厳しい
・信用金庫:
やや厳しい
政府系金融機関
(日本政策金融公庫)
0.30~2.80%1か月程度・小規模企業:
おおむね7,200万円
・中小企業:
おおむね7億2,000万円
やや厳しい
ファクタリング手数料(買い取る売掛金額の1%から30%程度)最短即日現在持っている売掛債権と同額銀行融資より通りやすい

では、それぞれについて以下に説明します。

7-1. 銀行・信用金庫からの融資

銀行・信用金庫
金利、手数料など ・銀行:およそ1.0~3.0%
・信用金庫:およそ2.0~4.0%
資金調達までの期間 ・銀行:1週間~1か月
・信用金庫:1~3か月
調達できる限度額 金融機関ごと、融資を受ける企業ごとに異なる
審査基準 ・銀行:厳しい
・信用金庫:やや厳しい

まず考えられるのは、銀行や信用金庫からの融資です。
金利が比較的低く、返済期間も5~7年まで長期で組むことができるので、返済はビジネスローンよりかなり楽だと言えるでしょう。

ただ、銀行は審査が厳しく中小企業は通りにくいとも言われます。
審査日数も、短くて1~2週間、長ければ1か月程度かかってしまうので、「いますぐ資金が必要」という場合には利用しづらいのが難点です。

一方、信用金庫は銀行より審査が厳しくありません
地元の中小企業や個人事業主を主な取引先にしているので、小規模企業でも融資を受けられる可能性が高いと言えます。
その分、銀行より金利は少々高いですが、それでもビジネスローンよりはかなり低金利です。
審査期間が1~3か月と長いのがネックですが、融資が必要になったらまず最初に相談してみるといいかもしれません。

7-2. 政府系金融機関からの融資

政府系金融機関(日本政策金融公庫)
金利、手数料など 0.30~2.80%
資金調達までの期間 1か月程度
調達できる限度額 ・小規模企業:おおむね7,200万円
・中小企業:おおむね7億2,000万円
審査基準 やや厳しい

政府系金融機関とは、政府が経済の発展と安定を目的として設立した金融機関です。
現在は以下の5つがあります。

・株式会社日本政策金融公庫
・株式会社国際協力銀行
・沖縄振興開発金融公庫
・株式会社日本政策投資銀行
・株式会社商工組合中央金庫

ここでは、中小企業が主に借入をする「日本政策金融公庫」について説明しましょう。

日本政策金融公庫は、個人企業、小規模事業者、中小企業などに向けて、さまざまな貸し付けサービスを行っています。
金利が非常に低く設定されているのが特徴で、担保があれば0.3%から、無担保でも0.66%からとなっています。
また、まったくの無担保・無保証でも融資を受けられます

返済期間も運転資金でおおむね7年、設備資金で20年程度と長期に設定できるので、資金繰りが厳しい企業ならぜひ利用したい融資です。

ただ、審査がやや厳しく、日数も1か月程度かかるため、「今すぐつなぎ資金がないと支払ができない」など切羽詰まった状況のときには適しないでしょう。
むしろそこまで追い詰められる前に、早めに融資を申し込んでおくことをおすすめします。

7-3. ファクタリング

ファクタリング
金利、手数料など 手数料(買い取る売掛金額の1%から30%程度
資金調達までの期間 最短即日
調達できる限度額 現在持っている売掛債権と同額
審査基準 銀行融資より通りやすい

「融資」ではない資金調達法も紹介しておきましょう。
ファクタリングは、「売掛債権を買い取って現金化する金融サービス」です。
手元に未回収の売掛金がある場合、それをファクタリング業者に買い取ってもらうことで現金を調達するのです。

たとえば、A社が資金繰りに詰まって、「来月になれば売掛金が500万円B社から入金されるけれどそれまで待てない、すぐに300万円の資金が必要」という状況に陥ったとします。

その場合、A社がB社の売掛金を債権としてファクタリング業者に譲渡することで、A社はすぐに代金を手にすることができます。
譲渡した売掛債権は、期日がくればB社から直接ファクタリング業者に振り込まれるか、または一旦A社に入金してもらい、それをファクタリング業者に入金するという仕組みです。

ファクタリングの仕組みと特徴を、メリット(◎印)・デメリット(×印)でまとめると以下のようになります。

◎最短で即日現金化してくれる業者もある
◎審査に通りやすい
×手数料が高額
×売掛債権額以上の資金調達はできない

まず、ファクタリング業者の中には「即日審査、即日現金化」を謳うものもありますので、急ぎで資金が必要なときにも対応してもらえるのが利点です。

ただ、どんな企業の債権でも買い取ってもらえるわけではありません。
やはり審査はあります。
が、ファクタリングの場合、「資金を必要としている企業=売掛債権を持っていて譲渡したい企業」を審査するのではなく、「売掛債権の債務者=支払をする企業」のほうを審査します。
上記の例の場合、A社ではなくB社が審査されるわけです。
そのため、A社のように資金繰りが苦しく、銀行などの金融機関の審査は通らない企業でも、ファクタリングの審査は通る可能性があるのです。

一方、難点としては手数料が高いことが挙げられます。
ファクタリングの場合、債権譲渡なので利息は発生しませんが、ファクタリング業者に手数料を支払う必要があります。
この手数料は業者によってまちまちで、譲渡する売掛債権額の1%から30%とかなり幅があるようです。
仮に30%であれば、500万円の債権を譲渡しても350万円しか手にできないのです。

さらに、融資と違って譲渡であるため、持っている売掛債権以上の金額は調達することができません
「500万円必要だが、売掛債権は300万円しかない」という場合は、ファクタリングでは資金を調達しきれないことになります。

これらのメリット、デメリットを総合すると、「ノンバンクを利用して、銀行にマイナス印象を持たれたくない」という場合や、「今回一度だけ資金調達ができれば、短期間で資金繰りを立て直せる」という自信がある場合には、ファクタリングの利用を検討してみてもいいかと思います。

逆に、今後も資金調達の必要がある場合や、経営状態を立て直すのに長期間かかる場合などは、ファクタリングの利用には慎重になったほうがよいでしょう。

8. ビジネスローンを利用するケース

ところで、実際にビジネスローンを利用するのはどんな企業でしょうか?
この章では、企業がビジネスローンを利用するケースを具体的に挙げておきましょう。

8-1. 銀行や信金の融資審査が通らなかった場合

まず第一に考えられるのは、 「銀行や信用金庫に融資を申し込んだけれど、審査に落ちてしまってほかに借りるところがない」というケースです。

融資が必要な際には、

①銀行、または日本政策金融公庫
②信用金庫や地方銀行
③ビジネスローン(特にノンバンク)

といった順番で申し込みする企業が多いようです。
まず銀行や日本政策金融公庫といった低金利の融資を申し込み、審査に落ちたら信用金庫や地方銀行、それもだめでノンバンクのビジネスローンにたどりつく、というパターンです。

ビジネスローンを扱っているノンバンクは数多くありますので、いくつか申し込めばすぐに借りられるところも見つかるでしょう。

ただ、前述したとおり ノンバンクは高金利で15%前後のところが多く、最高では18%にも及びます。

銀行や信金の審査に落ちたということは、資金繰りが厳しい状態だと思いますので、高金利での借り入れには高いリスクが伴うはずです。
このケースでは、返済が長期間にわたらないよう、短期で返済する努力が必要になるでしょう。

8-2. すぐに融資を受けたい場合

次に考えられるのは、「今日明日にも資金がほしい」と急いでいるケースです。
「月末になれば売掛金の入金があるが、その前に支払いがあるので一時的に借り入れたい」という場合には、ビジネスローンは強い味方になります。

銀行のビジネスローンでも3~5営業日で融資されるものがありますし、ノンバンクであれば即日融資も可能です。

ただし、ビジネスローンは通常の融資より金利が高めなので、返済が長期間に及びそうな場合は要注意です。
逆に、短期間で返済できる見込みがあるのなら、利用してみてもいいでしょう。

8-3. 保証人や担保がない場合

銀行などの金融機関では、融資の際に保証人を立てるか担保を用意するよう求められる場合があります。
が、中小企業や個人事業主であれば、担保にできるような資産がない、保証人になってくれる人が見つからない、ということもままあるでしょう。

一方でビジネスローンは、原則として保証人も担保も必要ありません
特にノンバンクのビジネスローンは、無担保・無保証で融資してくれるところが多いので、不動産も保証人もない小規模企業にとっては頼みの綱になるわけです。

といっても、この場合も長期間の利用や複数の利用には注意が必要です。
その場はしのげても、金利がかさんで結局資金繰りは前より悪化するリスクがあるからです。

8-4. 銀行の審査を受けるほどではない少額融資の場合

50万円、100万円といった事業資金としては少額の融資を受けたい場合にも、ビジネスローンが利用されています。

というのも、少額のために銀行や信金にさまざまな書類を提出して、1か月間の審査を待つというのは合理的ではありませんよね。
その点ビジネスローンであれば、少額を短期間で融資してもらえる仕組みが整っています。

特に、ノンバンクのカードローン型の融資であれば、専用カードでATMから5万円、1万円単位で借入できるものもあって、個人事業主などには便利だと言えるでしょう。

ただ少額融資は、何回も繰り返していわばクセのようになってしまう恐れがあります。
たとえ少額であっても、借入と返済の管理はきちんとすることが必要です。

9. ビジネスローンを利用する際の注意点

ビジネスローンについて、メリットやデメリットなどさまざまなことがわかりました。
それらを踏まえて「やっぱりビジネスローンを利用しよう」と考えた方もいるかと思います。
そんな人のために、ビジネスローン利用時の注意点をいくつか挙げておきましょう。

9-1. 返済を長引かせない

まず、ビジネスローンの返済は短期間で済ませて、決して長引かせないようにしましょう。
というのも、ビジネスローンの金利は通常の融資よりも高金利だからです。
特にノンバンクでは15~18%という高利もままあるため、それが1年、数年と累積されていくと資金繰りを圧迫してしまいます。

また、カード型の場合はATMで簡単に借り入れできるため、だらだらと借り癖がついてしまう恐れもあります。
ビジネスローンを利用する場合、完済したら一旦解約してしまうほうがよいでしょう。

9-2. 必要額以上を借りない

次に、 借入金額は使用目的が決まっている必要額だけにしてください。 ついつい「どうせ借りるなら、念のために少し多めに借りておこう」と考えがちですが、その余分な借入にも金利がかかります。

また、銀行など審査が厳しい金融機関の場合、融資金の使用目的が何か、金額が適正かが重視されます。 申請書に記載された使途だと300万円しか必要ないと思われるのに、500万円の融資を希望しているとなると、「200万円は何に使うのか?」「もしや他の金融機関への返済にあてるのでは?」といった疑念を持たれて、審査に通りにくくなってしまいます。

審査に通るためにも、返済を楽にするためにも、くれぐれも必要額以上は借りないようにしましょう。

9-3. 多数社から借りない

ビジネスローンは融資限度額が低いので、1社からの借り入れでは必要額に足りないことも考えられます。
「2,000万円必要なのに、500万円しか借りられないので、4社から借りよう」といったケースです。

が、 多数の金融機関からの借り入れはできるだけ避けたいところです。
というのも、借り入れが多数になると、「そんなに何度も融資が必要なほど資金繰りが苦しいのか」と思われてしまい、今後に別の金融機関から借入する際の審査に通りにくくなるからです。

企業としての信用度も低下しますので、できるだけ1社で必要額を借りられるよう、限度額が高いビジネスローンを探しましょう。

10. ビジネスローンをひと目で比較できるサービス

ビジネスローンをひと目で比較できるサービス

ビジネスローンにはさまざまなものがあり、金利や借りやすさなどもまちまちであることがわかったかと思います。
そこで、
「でも、たくさんの銀行や消費者金融を調べて比較するのは大変」
「実際に申し込んでも審査に落ちて借りられなかったら、またイチからローン探しをしなければいけないの?」
という不安を抱いた方もいるのではないでしょうか。

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11. まとめ

いかがでしたか?
ビジネスローンについて、知りたかったことがすべてわかったのではないでしょうか。

では、もう一度記事の内容をまとめてみましょう。

◎ビジネスローンとは「事業資金に特化した金融商品」
◎ビジネスローンを提供しているのは、銀行、信販会社、消費者金融など
◎ビジネスローンのメリットは、
 ・審査基準が甘い
 ・素早く融資が受けられる
 ・総量規制の対象にならない
 ・担保、保証人がなくても借りられる
◎ビジネスローンのデメリットは、
 ・金利が高い
 ・融資限度額が低い
 ・今後の融資に影響が出る

以上を踏まえて、ビジネスローンと上手に付き合ってください。
あなたが必要な事業資金を必要なときに借り入れできるよう祈っています。

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  • ローン商品や給付金等の情報は、特に断りがない限り記事公開現在のものです。最新の情報は各金融機関のホームページや公式サイトでご確認ください。
  • freee資金調達はお客様のサービス選択時の参考情報提供を目的としており、特定の金融機関、ローン商品の優劣を示したものではありません。
  • 各金融機関の審査結果によっては利用できない場合があります。

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