個人事業主の国民健康保険料が高いのはなぜ?保険料の目安や抑える方法も解説

「会社員時代より健康保険料が高い」と感じている個人事業主は多いのではないでしょうか。個人事業主が一般的に加入する国民健康保険は、会社員の社会保険と仕組みが異なります。本記事では、個人事業主の国民健康保険料が高い理由を解説します。保険料の目安や保険料を抑える方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
個人事業主の国民健康保険料が高い5つの理由

個人事業主が一般的に加入するのは国民健康保険ですが、保険料が「高い」と思う人は少なくないでしょう。ここでは、個人事業主の国民健康保険料が高いと感じられる5つの理由を紹介します。
1.全額自己負担であるため
個人事業主の国民健康保険料が高いと感じるのは、保険料を全額自己負担しなければならないからです。
会社員の場合、健康保険料は会社と折半するため、実質的な負担額は半額で済みます。個人事業主は保険料の全額を自分で支払う必要があり、同じ所得でも会社員の約2倍の負担となります。
2.収入に応じて保険料が高くなるため
国民健康保険は、収入が増えるほど保険料も高くなります。個人事業主は、その年度によって収入が大きく変わることもあるでしょう。
また、保険料は前年の所得をもとに算出されるため、現在の収入状況が反映されるわけではありません。前年より収入が減少傾向にある年は、高い保険料を支払わなければならない状況に対して大きな負担を感じるかもしれません。
3.扶養制度がないため
会社員が加入する健康保険には扶養制度があり、一定の条件を満たせば家族も無料で加入できます。
一方、国民健康保険には扶養という考え方がなく、家族一人ひとりが被保険者です。そのため、家族が多い個人事業主は家族全員分の保険料を支払う必要があり、負担が大きくなります。
4.傷病手当金などの追加給付がないため
会社員の健康保険には、病気やケガで働けなくなった際に支給される傷病手当金や、出産時の出産手当金などの追加給付があります。
しかし、国民健康保険にはこれらの給付がありません。そのため、同じ保険料を支払っていても、受けられるサービスが少ないと感じ、割高に感じてしまうことがあるでしょう。
5.自治体によって保険料の計算が異なるため
国民健康保険料が高く感じられる一因として、自治体によって保険料の計算方法が異なることも挙げられるでしょう。
国民健康保険料は、所得割、均等割、平等割の3つの方式を使って算出されます。しかし、国民健康保険は各自治体が運営しているため、保険料の算出基準は地域ごとに異なります。
そのため、同じ所得や家族構成でも居住地域によって保険料に差が生じる可能性があります。この地域差があることで「自分の地域の保険料は他の地域と比べて高い」と感じるかもしれません。
個人事業主が納付する国民健康保険料の目安

国民健康保険料は、所得割、均等割、平等割の3つの方式を使って算出されます。
- 所得割:所得に応じて計算される保険料
- 均等割:加入者1人あたりにかかる保険料
- 平等割:1世帯あたりにかかる保険料
上記3つの計算式は自治体によって様々です。ここでは、令和6年度の東京都世田谷区の算出基準を参考に解説します。なお、世田谷区では平等割を採用していません。
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医療分 |
支援分 |
介護分 |
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|---|---|---|---|
|
所得割 |
所得金額 × 8.69% |
所得金額 × 2.80% |
所得金額 × 2.36% |
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均等割 |
49,100円 × 加入人数 |
16,500円 × 加入人数 |
16,500円 × 加入人数 |
|
最高限度額 |
650,000円 |
240,000円 |
170,000円 |
個人事業主が納付する国民健康保険料の目安は以下のとおりです。
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令和6年の収入別国民保険料の目安 |
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|---|---|---|
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令和5年の所得金額 |
0~39歳・65~74歳 (介護分なし) |
40~64歳 (介護分あり) |
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100万円 |
13万1,093円 |
16万1,045円 |
|
200万円 |
24万5,993円 |
29万9,545円 |
|
300万円 |
36万0,893円 |
43万8,045円 |
|
400万円 |
47万5,793円 |
57万6,545円 |
|
500万円 |
59万0,693円 |
71万5,045円 |
|
600万円 |
70万5,593円 |
85万3,545円 |
|
700万円 |
82万0,493円 |
99万0,493円 |
|
800万円 |
87万8,460円 |
104万8,460円 |
個人事業主の国民健康保険料を抑える方法

個人事業主にとって、所得に応じて高くなる国民健康保険料は大きな負担となる場合もあるでしょう。ここでは、個人事業主の国民健康保険料を抑える方法を紹介します。
減額・減免制度を利用する
減額・減免制度は、世帯の所得が一定基準を下回る場合や、災害、失業などにより収入が著しく減少した場合に適用される制度です。所得に応じて均等割額の7割、5割、2割が軽減される仕組みで、自動的に適用されます。
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均等割額の減額割合 |
前年中の世帯主と加入者全員の所得金額の合計 |
|---|---|
|
7割減額 |
43万円 + 10万円 × (給与所得者等の数 − 1)以下 |
|
5割減額 |
43万円 + (加入者数 × 29.5万円) + 10万円 × (給与所得者等の数 − 1)以下 |
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2割減額 |
43万円 + (加入者数 × 54.5万円) + 10万円 × (給与所得者等の数 − 1)以下 |
国民健康保険組合に加入する
特定の職業に従事する個人事業主は、国民健康保険組合(国保組合)に加入できる場合があります。国保組合は職域ごとに設立された保険者で、以下のような組合があります。
国民健康保険組合の保険料は、定額です。たとえば、文芸美術健康保険組合の令和6年の保険料は組合員25,700円、家族1人あたり15,400円です。一定以上の所得があれば、国民健康保険よりも保険料が安くなる可能性があります。
事業が軌道に乗るまでは国民健康保険料、事業が安定してきたら国民健康保険組合への加入を検討するのも一つの方法です。業種によって加入できる組合が異なるので、自身の職種に該当する組合があるのか調べてみましょう。
家族の扶養に入る
収入が一定以下の場合、配偶者など家族の健康保険の被扶養者になることも検討しましょう。扶養に入れば、保険料を負担する必要はありません。ただし、扶養に入るには以下のような条件を満たす必要があります。
- 年間収入が130万円未満であること
- 被保険者の収入の2分の1未満であること
- 60歳以上の人または障がい者で1年間の収入が180万円未満であること
参照:全国健康保険協会
青色申告特別控除を利用する
青色申告は確定申告の方法の一つで、青色申告を行うことで最大65万円の特別控除を受けられます。課税所得が減るため、国民健康保険料の所得割の部分が安くなります。
最大65万円の控除を受けるためには、以下の条件を満たさなければいけません。
- 事業所得または不動産所得を得ている
- 複式簿記で記帳を行う
- 貸借対照表と損益計算書を作成し、確定申告書に添付する
- 期限内に確定申告を行う
- e-Taxによる電子申告を行う、または電子帳簿保存法に対応した会計ソフトを使用して帳簿を作成する
個人事業主の不安を解消する「所得補償保険」とは

個人事業主の国民健康保険料が高いと感じる理由には、全額自己負担であることや扶養制度がないことなどが挙げられます。保険料を抑えたい場合は、国保組合への加入や青色申告特別控除などを活用するとよいでしょう。
なお、国民健康保険には傷病手当金や労災保険がないため、個人事業主は病気やケガで働けなくなった際に、収入が途絶えるリスクがあります。保険料は抑えつつ、必要な補償を受けたい方には日新火災海上保険株式会社の「所得補償保険」がおすすめです。
「所得補償保険」は、収入に関する個人事業主が抱えるリスクを軽減し、安心して仕事に専念できるようサポートしています。

