日本政策金融公庫の金利はどれくらい?
日本政策金融公庫は、政府が100%出資する政府系金融機関です。個人事業主・フリーランスなどの小規模事業者・中小企業の支援を目的としています。
このため、銀行のプロパー融資やビジネスローンなど民間金融機関と比較して低金利で資金を借り入れできます。各々の状況に応じた多様な融資制度も特徴の一つです。スモールビジネスのオーナーが第三者機関からの借り入れを検討する際に、有力な候補になると言っていいでしょう。
本記事では日本政策金融公庫の金利について融資制度別に詳しく紹介していきます。

目次
- 日本政策金融公庫の代表的な融資制度と金利
- 国民生活事業の融資制度と金利
- 中小企業事業の融資制度と金利
- 日本政策金融公庫への融資の申し込み方法
- 日本政策金融公庫以外の資金調達方法も知っておこう
- 資金繰り・資金調達をサポート
- 資金調達freee:複数の金融商品を簡単に比較・申込ができる
- 事業用クレジットカード:freeeカード
- まとめ

日本政策金融公庫の代表的な融資制度と金利
日本政策金融公庫の融資は、大きく3つの事業分野に分類されています。融資を申し込む前に、自分がどの事業に分類されるのかを確認しましょう。
国民生活事業 | 個人事業主やフリーランス、小規模企業向けの小口資金や新規開業資金、教育ローンなどを融資。融資額の平均は約700万円。短期の運転資金も取り扱いあり。 |
---|---|
中小企業事業 | 中小企業向けの長期事業資金を融資。融資額の平均は約1億円。短期の運転資金は取り扱いなし。 |
農林水産事業 | 農林漁業や国産農林水産物系を取り扱う加工流通分野の長期事業資金を融資。 |
国民生活事業の融資制度と金利
国民生活事業の融資制度には、新規創業・新規事業の支援からセーフティネット融資まで、様々な種類があります。金利は基準利率と特別利率(A〜U)があり、担保を提供するか・無担保かによっても金利が変動します。下記の表は2020年6月1日時点での金利です。
なお「融資期間」のなかで「据置期間」とありますが、これは元金返済が猶予され利息だけを払う期間のことです。
融資制度 | 対象者 | 融資限度額 | 金利(年) ※令和2年6月1日 |
融資期間 (うち据置期間) |
---|---|---|---|---|
一般貸付 | 事業を営む人 | 運転資金と設備資金は4800万円、 特定設備資金は7200万円 |
基準利率 2.16~2.55%(担保を不要とする場合) 1.21~2.20%(担保を提供する場合) |
設備資金:10年以内(2年以内) 特定設備資金: 20年以内(2年以内) 運転資金: 7年以内(1年以内) |
経営環境変化対応資金 | 売上が減少するなど 業況が悪化している人 |
4800万円 | 基準利率 2.16~2.55%(担保を不要とする場合) 1.21~2.20%(担保を提供する場合) |
設備資金:15年以内(3年以内) 運転資金: 8年以内(3年以内) |
取引企業倒産対応資金 | 取引企業などの倒産により経営に困難を来している人 | 別枠(※)3000万円 | 基準利率 2.16~2.55%(担保を不要とする場合) 1.21~2.20%(担保を提供する場合) |
運転資金: 8年以内(3年以内) |
新規開業資金 | 新たに事業を始める人、または事業開始後おおむね7年以内の方 | 7200万円(うち運転資金4800万円) | 特別利率A(0.81%〜)B(0.56%〜)C(0.31%〜)のいずれかが適用。担保有無によって変動。 | 設備資金:20年以内(2年以内) 運転資金: 7年以内(2年以内) |
女性、若者/シニア起業家支援資金 | 女性または35歳未満か55歳以上で新たに事業を始める人、または事業開始後おおむね7年以内の人 | 7200万円(うち運転資金4800万円) | 特別利率A(0.81%〜)B(0.56%〜)C(0.31%〜)のいずれかが適用。担保有無によって変動。 | 設備資金:20年以内(2年以内) 運転資金: 7年以内(2年以内) |
新事業活動促進資金 | 経営多角化、事業転換などにより、第二創業などを図る人 | 7200万円(うち運転資金4800万円) | 基準利率もしくは特別利率A(0.81%〜)B(0.56%〜)C(0.31%〜)のいずれかが適用。 | 設備資金:20年以内(2年以内) 運転資金: 7年以内(2年以内) |
マル経融資(小規模事業者経営改善資金) | 商工会議所、商工会または都道府県商工会連合会の実施する経営指導を受けていて、商工会議所等の長の推薦を受けた人 | 2000万円 | 特別利率F(1.21%) | 設備資金:10年以内(2年以内) 運転資金: 7年以内(1年以内) |
新創業融資制度 | 新たに事業を始める方または事業開始後で税務申告を2期終えていない人 | 3000万円(うち運転資金1500万円) | 1.06%〜2.85% | 各融資制度に定める返済期間以内 |
新型コロナウイルス感染症特別貸付 | 新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が減少するなど業況が悪化している人 | 別枠(※)6000万円 | 基準利率(0.10%〜1.75%)※3000万円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9% | 設備資金:20年以内(5年以内) 運転資金:15年以内(5年以内) |
(※)別枠とは既存の借入とは別にという意味です。
中小企業事業の融資制度と金利
中小企業事業でも、国民生活事業と同様の融資を提供しています。違いは融資限度額や融資対象です。申し込み可能かどうかは、業種や企業規模(資本金・従業員数)によって定められているため、事前に「融資対象」かどうかを確認しましょう。
融資制度 | 対象者 | 融資限度額 | 金利(年) ※令和2年6月1日 |
融資期間 (うち据置期間) |
---|---|---|---|---|
新事業育成資金 | 新規性、成長性のある事業を始めておおむね5年以内の人など | 6億円 | 基準利率(1.11%〜)特別利率②(0.46%〜)特別利率③(0.30%〜)のいずれか | 設備資金:20年以内(5年以内) 運転資金:7年以内(2年以内) |
経営環境変化対応資金 | 売上が減少するなど業況が悪化している人 | 7億2000万円 | 基準利率(1.11%〜) | 設備資金:15年以内(3年以内) 運転資金:8年以内(3年以内) |
取引企業倒産対応資金 | 取引企業などの倒産により経営に困難を来している人 | 別枠 1億5000万円 | 基準利率(1.11%〜) | 運転資金:8年以内(3年以内) |
女性、若者/シニア起業家支援資金 | 女性または35歳未満か55歳以上で新たに事業を始める人、または事業開始後おおむね7年以内の人 | 7億2000万円(うち運転資金2億5000万円) | 基準利率(1.11%〜)特別利率①(0.71%〜)特別利率②(0.46%〜)特別利率③(0.30%〜)のいずれか | 設備資金:20年以内(2年以内) 運転資金: 7年以内(2年以内) |
新事業活動促進資金 | 「経営革新計画」の認定を受けた人、経営多角化、事業転換などにより第二創業などを図る人など | 7億2000万円(うち運転資金2億5000万円) | 基準利率(1.11%〜)特別利率①(0.71%〜)特別利率③(0.30%〜)のいずれか | 設備資金:20年以内(2年以内) 運転資金: 7年以内(2年以内) |
企業活力強化資金 | 卸売業、小売業、飲食サービス業またはサービス業を営み、店舗の新築・増改築や機械設備の導入を行う人など | 7億2000万円(うち運転資金2億5000万円) | 基準利率(1.11%〜)特別利率①(0.71%〜)特別利率②(0.46%〜)特別利率③(0.30%〜)のいずれか | 設備資金:20年以内(2年以内) 運転資金:7年以内(2年以内) |
企業再建資金 | 経営改善または経営再建等に取り組む人など | 7億2000万円 | 基準利率(1.11%〜)特別利率①(0.71%〜)特別利率②(0.46%〜)のいずれか | 設備資金:20年以内(2年以内) 運転資金:15年以内(一定の要件を満たす場合は20年以内)(2年以内) |
新型コロナウイルス感染症特別貸付 | 新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が減少するなど業況が悪化している人 | 別枠3億円 | 基準利率(0.10%〜1.75%)※3000万円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9% | 設備資金:20年以内(5年以内) 運転資金:15年以内(5年以内) |
他にも、日本政策金融公庫は多くの融資制度を提供しています。詳細はホームページの「融資制度一覧から探す」をご確認ください。
「農林水産事業」の融資制度も詳しく記載されています。
日本政策金融公庫への融資の申し込み方法
日本政策金融公庫に融資を申し込む際は、まず窓口で相談を行い、借入申込書を含む必要書類を提出した上で面談を行います。窓口での相談は、電話やインターネットから申し込み可能です。
日本政策金融公庫の融資の流れ
- 相談と申込
- 面談
- 審査
- 融資実行
- 返済
必要書類や手順の詳細は、『 日本政策金融公庫の借入申込書の入手方法と書き方』をご覧ください。
日本政策金融公庫以外の資金調達方法も知っておこう
日本政策金融公庫は、資金調達を検討する上で有力な選択肢です。しかし、申し込みから融資実行までは最低でも1ヶ月はかかります(※災害時など緊急を要する場合は短縮されることがあります)。
状況に柔軟に対応するためにも、資金調達の選択肢を知っておくことは非常に重要です。ここから先は、経営者であれば必見の「資金繰り」と「資金調達方法」について解説します。
また、資金繰りに関する最新情報を知りたい方に向けて、【公式】freee finance labで情報発信も行なっています。
資金繰り・資金調達をサポート
この記事をご覧になっている方は、普段から資金繰りの状況についてチェックなさっているでしょうか。会計freeeのユーザーアンケートによると、定期的に資金状況についてチェックしている方は約50%、確認の方法は預金残高通帳です。
キャッシュは企業存続の命綱です。キャッシュフローや今後の資金繰り予測などは会社経営の重要な要素の一つであり、資金調達は企業継続・繁栄の重要な手段です。
ただし、資金繰りや資金調達は難しい、よくわからない。そう思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで、freeeでは資金繰り・資金調達をスムーズにおこなうためのサービスを提供しています。
資金調達freee:複数の金融商品を簡単に比較・申込ができる
資金を調達したいが、なにが自社に適した調達手段なのか、借入できる商品なのかがわからないという経営者の大きな悩み。最終的には税理士の言う通りにするがこれで良かったのか?と不安がつきまといます。
資金調達freeeでは、いくつかの質問に答えれば複数の資金調達手段から、自社に最適な商品を比較できる形で紹介。サービスは即日利用が可能で、そのままオンラインで申し込みまでが可能になります。

事業用クレジットカード:freeeカード
資金調達、資金繰りの手段として最後にご紹介したいのが事業用クレジットカード(ビジネスカード)です。
「独立する前にクレジットカードを作っておくように」と勧められたことはありませんか?一般的に、個人事業主、フリーランス、経営者などご自身で事業を運営するようになると、クレジットカードの審査に通りにくくなると言われています。
しかし、支払いを先送りする方法としてクレジットカードは有効な手段の一つです。このためfreeeでは、事業をお持ちの方に特化したクレジットカードを提供しています。ブランドはVISA、Master、American Expressといった主要国際ブランドを揃えた豊富なラインナップを揃えており、オンラインからすぐに申し込むことが可能です。
まとめ
事業を運営・拡大していく上で資金繰りに関する問題は避けて通れない道です。また、なかなか相談相手がいない話題でもあります。
資金調達freeeや会計freeeのデータを活用して、事業を効率的に運営していきましょう。
* この記事は2020/09/24時点の情報をまとめたものです。
- ローン商品や給付金等の情報は、特に断りがない限り記事公開現在のものです。最新の情報は各金融機関のホームページや公式サイトでご確認ください。
- freee資金調達はお客様のサービス選択時の参考情報提供を目的としており、特定の金融機関、ローン商品の優劣を示したものではありません。
- 各金融機関の審査結果によっては利用できない場合があります。