2023年8月18日 基礎知識

生産性向上に役立つ補助金一覧|補助金を活用した企業の成功事例も紹介

生産性向上に役立つ補助金一覧|補助金を活用した企業の成功事例も紹介

企業を存続・発展させるためには生産性向上が欠かせません。しかし「生産性向上のための設備を導入したいものの、資金が足りない」と悩む事業者は少なくありません。国はこういった事業者のために、返済不要の補助金を提供しています。

本記事では、生産性向上に役立つ補助金を紹介していきます。企業の成功事例や補助金を効率よく探す方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

目次

中小企業生産性革命推進事業とは

中小企業生産性革命推進事業とは

中小企業生産性革命推進事業とは、中小企業・小規模事業者の生産性向上を継続的に支援する事業です。現在、多くの中小企業・小規模事業者が、人手不足や働き方改革、賃上げなど、様々な経営課題を抱えています。

しかし、中小企業は大企業と比べると、ヒト・モノ・カネといったリソースが少ないため、経営課題解決のための投資が十分に行えていません。そのため、少ないリソースで最大限の価値を生み出す「生産性向上」が必要不可欠なのです。

中小企業生産性革命推進事業では、設備投資やIT導入、販路開拓、円滑な事業承継・引継ぎなど、生産性向上に取り組む中小企業を支援しています。

中小企業が利用できる生産性向上のための補助金

中小企業が利用できる生産性向上のための補助金

ここでは、中小企業が生産性向上を目的として活用できる補助金を紹介します。以下で紹介する補助金は通年で公募となっています。十分な準備をした上で、都合の良いタイミングで申請することが可能です。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、新商品・サービス開発、プロセス改善のための設備投資を支援する制度です。取り組み内容に応じて、5つの申請枠に分類されます。

申請枠

補助上限

補助率

通常枠



750万円〜1,250万円

1/2

回復型賃上げ・雇用拡大枠

2/3

デジタル枠

2/3

グリーン枠

1,000万円〜4,000万円

2/3

グローバル市場開拓枠

3,000万円

1/2

通常枠

革新的な製品・サービス開発または生産プロセス・サービス提供の改善に必要な設備・システム費用を支援する申請枠です。

回復型賃上げ・雇用拡大枠

業況が厳しいながらも、賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者を対象とした申請枠です。そのため、給与支給総額、または事業場内最低賃金の増加目標のいずれか一方でも達成できていない場合には、補助金交付額の全額の返還が求められます。

デジタル枠

デジタル枠は、DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービスの開発や、デジタル技術を活用した生産プロセス、サービス提供方法の改善による生産性向上などを支援する申請枠です。

ものづくり補助金の通常枠における補助率は原則として2分の1(小規模企業者や小規模事業者などは3分の2)ですが、デジタル枠の場合は補助率が一律3分の2へと引き上げられます。

グリーン枠

温室効果ガスの排出削減の取り組みを対象とした申請枠です。以下のような取り組みが該当します。

  • 温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発
  • 炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等

グローバル市場開拓枠

海外事業の拡大・強化等を対象とした申請枠です。以下4つの類型に分類されます。

  • 海外直接投資類型
  • 海外市場開拓(JAPANブランド)類型
  • インバウンド市場開拓類型
  • 海外事業者との共同事業類型

自社の状況に合う類型があるか、事前にチェックしておきましょう。

大幅賃上げに対する特例

一定の賃上げをする事業者には、上記の申請枠に加えて最大1,000万円の補助上限を上乗せする特例があります(回復型賃上げ・雇用拡大枠などは除く)。

持続化補助金

持続化補助金は、小規模事業者による販路開拓の取り組みを支援する制度です。この補助金の対象者は小規模事業者であり、以下のように定義されています。

商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)

常時使用する従業員の数 5人以下

サービス業のうち宿泊業・娯楽業・製造業

常時使用する従業員の数 20人以下

その他

常時使用する従業員の数 20人以下



申請枠

補助上限

補助率

通常枠

50万円




2/3

(賃金引上げ枠のうち赤字事業者は3/4)

賃金引上げ枠




200万円

卒業枠

後継者支援枠

創業枠

通常枠

販路開拓の取り組みを支援する申請枠です。

賃金引上げ枠

賃金引上げ枠では、事業場内最低賃金を申請時の地域別最低賃金よりプラス30円以上に増額した事業者が対象です。

卒業枠

卒業枠は、補助事業実施期間中に常時使用する従業員の人数を増やすことが条件です。申請時、直近1カ月の労働者名簿や卒業枠申請に係る誓約書も提出する必要があります。

後継者支援枠

アトツギ甲子園のファイナリスト等となった事業者が対象となっています。

創業枠

過去3年以内に、特定創業支援事業による支援を受けて創業した事業者が対象です。市町村が実施する「特定創業支援等事業」を受け、証明書を取得する必要があります。

インボイス特例

免税事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者が対象です。要件を満たす場合、指定した枠の上限額に50万円が上乗せされます。

IT導入補助金

IT導入補助金は、バックオフィス効率化のためのITツール導入を支援する制度です。

申請枠

補助対象経費

補助上限

補助率

通常(A類型・B類型)

ITツール

5万〜450万円

1/2


デジタル化基盤導入枠

ITツール(会計・受発注・決済・ECソフトなど)

下限なし〜50万円

3/4

50万〜350万円

2/3

PC・タブレット

10万円

1/2

レジ・販売機

20万円

1/2

セキュリティ対策推進枠

サイバーセキュリティ利用料

5万〜100万円

1/2

通常枠

企業の課題やニーズに合ったITツールの導入に関する経費の一部を支援します。通常枠は補助上限に応じて、A類型とB類型に分類されます。

デジタル化基盤導入枠

インボイス制度への対応を見据え、通常枠にも分類される会計・受発注・決済・ECソフトに加え、PC・タブレット・レジ・券売機等のハードウェア導入費用も含まれます。

セキュリティ対策推進枠

セキュリティ対策推進枠では、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているセキュリティシステムを利用した場合、その利用料が補助されます。

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継・引き継ぎ後の新たな取り組みを支援する制度です。

申請枠

補助上限額

補助率


経営革新事業

600万円

2/3

800万円

※一定の賃上げをする事業者の上限を200万円上乗せ


1/2

(上乗せ分のみ)

専門家活用事業

600万円

2/3

経営革新事業

事業承継やM&Aをきっかけに経営革新事業再構築、設備投資、販路開拓等への挑戦に要する費用が補助されます。

専門家活用事業

M&Aによる経営資源の引継ぎ支援を目的として、M&Aにかかる専門家等の活用費用が補助される制度です。M&A支援業者に支払う手数料、デューデリジェンス(企業の評価にかかわる調査)にかかる専門家費用、セカンドオピニオンなどが該当します。

生産性向上の補助金を活用した企業の成功事例

生産性向上の補助金を活用した企業の成功事例

自社の生産性向上を図る際、他社の成功事例が参考になります。ここでは、生産性向上の補助金を活用した企業の成功事例を見ていきましょう。

杏亭グループ

慢性的な人手不足とお客様の待機時間の増加を解消するために、タッチパネル型レジシステムを導入しました。お昼時になると従業員はレジにほぼかかりきりとなっていましたが、調理に割ける時間が大幅に増えて、お弁当の提供スピードが上がり、お客様の待機時間が減少しました。

また、従業員によるレジの打ち間違いや釣り銭の受け渡しがなくなり、会計ミスを9割削減することにも成功しています。タッチパネルにより自動で表示されるオススメオプションメニューにより追加注文が増えて、客単価は2割もアップしたとのことです。

参照:セルフレジと急速冷凍機の導入で省人化。会計ミス9割減、客単価2割UP、食材ロス4割減【杏亭グループ】(和歌山県和歌山市)|中小機構

協和テクノロジィズ株式会社

協和テクノロジィズ株式会社は、複数の受発注システムに関する事務処理業務が属人化していることが課題でした。人事異動による引き継ぎに多くの時間がかかり、非効率な状況が続いていました。

そこで当社は、日本語対応でプログラミング初心者でも定型業務を簡単に自動化できるRPAツールを導入しました。結果として、入力時間や入力ミス、チェック時間が減り、前年度同月残業時間と比較して約25時間/月の残業時間の削減に成功しています。また、ロボットを設定する際に業務プロセスを可視化したことで、属人化の防止にもつながっています。

参照:協和テクノロジィズ株式会社|IT導入補助金2023

ヘアーサロンさわい

ヘッドスパメニューを充実させるため、蒸気ミストスチーマー、遠赤外線促進機、マイクロスコープを導入。「頭皮ケア」「心身ケア」を重視する挑発サービスを充実させ、「散髪の床屋」から「リフレッシュ提供のサロン」へ事業方針を転換し、近隣理容店との差別化を図りました。

実施後、口コミによる新規顧客が4名増加。既存顧客におけるヘッドスパ付き散髪利用者の来店頻度が高まった結果、直近月の売上高が前年比で8%増えており、順調に売上を伸ばしています。

参照:中小企業生産性革命推進事業について|中小企業庁

生産性向上に役立つ資金調達方法が見つかる「freee資金調達」

生産性向上に役立つ資金調達方法が見つかる「freee資金調達」

少ないリソースで効率的に価値を生み出していくためにも、生産性向上は企業にとって重要な取り組みの一つです。生産性向上に活用できる補助金は複数あります。補助金を活用することで、生産性向上のための投資や改善策を実施する資金を確保することが可能です。

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  • ローン商品や給付金等の情報は、特に断りがない限り記事公開現在のものです。最新の情報は各金融機関のホームページや公式サイトでご確認ください。
  • freee資金調達はお客様のサービス選択時の参考情報提供を目的としており、特定の金融機関、ローン商品の優劣を示したものではありません。
  • 各金融機関の審査結果によっては利用できない場合があります。

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