2023年8月18日 基礎知識

中小企業がDXに取り組む上での課題とは|進め方や成功事例、補助金を紹介

中小企業がDXに取り組む上での課題とは|進め方や成功事例、補助金を紹介

デジタル技術を活用して、ビジネスモデルや業務プロセスを変革していく「DX」。すでに聞き慣れた言葉になりましたが、まだまだDXが進んでいない企業が多いのが現状です。特に中小企業はその傾向が顕著であり、様々な課題に直面しています。

しかし、情報があふれ市場ニーズが多様化している昨今において競争力を高める上では、中小企業こそ積極的にDXを進めていく必要があります。本記事では、中小企業がDXに取り組む上での課題について触れつつ、進め方や成功事例、補助金まで紹介します。

目次

中小企業がDXに取り組む上での課題とは

中小企業がDXに取り組む上での課題とは

独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が公表した「中小企業のDX推進に関する調査(2022年)」によると、DXの取組状況に関して「既に取り組んでいる」「今後取り組みを検討している」と回答した企業の割合の24.8%という結果になっており、中小企業のDXは全体として進んでいるとはいい難い状況です。

取り組み内容

同調査によると、DXの具体的な取り組み内容としては「ホームページの作成」が47.2%、「営業活動・会議のオンライン化」が39.5%、「顧客データの一元管理」が38.8%という結果になりました。

一方でIoT 活用(19.4%)やAIの活用(16.9%)、デジタル人材の採用・育成(15.7%)などが低く、DX推進に必要な取り組みが整っていないことがわかります。

課題

DXに取り組む課題としてもっとも多く挙げられたのは、「DX・IT関連の人材不足」です。日本では労働力人口の減少が問題視されていますが、とくにIT関連以外の中小企業ではITやDXに関する知見を持った人材が少ない現状があります。

次いで多かった回答が、「具体的な効果や成果が見えない」です。これは経営層や従業員がDXの重要性を理解しておらず、デジタル化を進めることに抵抗を感じている可能性があります。DXを推進するためには、企業全体で取り組まなければいけません。そのため、経営陣・従業員がDXについての理解を深め、全社でDXの重要性を共有することが求められます。

資金補助ニーズ

DX推進に向けて期待する支援としては「補助金・助成金(44.8%)」がもっとも多く、資金補助ニーズが高いことがわかります。

DX推進の取り組みではツール導入やDX人材の獲得など、ある程度の資金が必要です。しかし、中小企業にはDXに回す予算が足りておらず、DXが進められていないのが現状です。

参照:中小企業アンケート調査|中小機構

中小企業における効果的なDXの進め方

中小企業における効果的なDXの進め方

ここでは、中小企業における効果的なDXの進め方を4ステップに分けて解説します。

1.自社の課題と目標を明確化

1つ目の手順として、まず自社の課題と目標を明確化しましょう。「何のためにDXを行うのか」「DXを推進して解決したい課題は何か」など課題把握と目標設定をすることでDXの方向性が明確になり、スムーズに計画を立てられるようになります。

また、社内の関係者とのコミュニケーションを通じて、共通の目標を共有し、組織全体での理解と協力を得ることも大切です。

2.アナログ作業をデジタル化

自社の課題と目標を明確にしたら、現段階で自社が行っているアナログ作業をデジタル化します。例えば、請求書や在庫管理などの作業をデジタル化する自動化システムを導入することで、人的ミスや時間の浪費を減らし、生産性を高めることができます。

他にも以下のようなアナログ作業があり、デジタル化することが可能です。

  • 紙書類の作成
  • 印鑑による承認
  • FAXによる通信
  • タイムカードによる勤怠管理

すべてのアナログ業務をデジタル化するべきというわけではありませんが、ビジネスではスピードと効率性が求められます。無駄が多く手間のかかるアナログ作業は仕事の効率を落とし、会社全体の生産性を下げかねません。より効率よく業務を進めるためにも、アナログ作業を見直していきましょう。

3.デジタルデータの蓄積・活用

3つ目の手順は、デジタルデータの蓄積・活用です。アナログ作業をデジタルに移行しただけでは、DX成功とはなりません。デジタル技術を活用してビジネスに活かしていくことがDXの本質です。

しかし、いきなり業務プロセスやビジネスモデルを変えることは難しいでしょう。まずはデジタル技術を活用し、データを蓄積していくことをおすすめします。

データを蓄積していくことで、業務を進めるうえで現状どのような課題があるのかが見えてきたり、経営戦略を立てる際の判断材料となります。収集できるデータには以下が挙げられます。

  • 顧客データ
  • 販売管理データ
  • 経理データ
  • 稼働データ
  • 在庫データ
  • POSデータ
  • 業務日誌・日報

4.業務プロセスやビジネスモデルの改革

蓄積されたデジタルデータを参考に、業務プロセスやビジネスモデルを改革していきます。具体的には、デジタルツールを活用できる組織体制を構築する、収集した顧客データをもとに新製品・新サービスを開発するなどです。

また、DXは一度達成したら終わりではなく、定期的に見直し改善していくことが重要です。デジタルツールを活用して情報収集しながら、自社や自社を取り巻く環境を俯瞰しつつ、最適な施策を実施していきましょう。

中小企業のDX成功事例

中小企業のDX成功事例

ここでは、経済産業省が公表している事例の中から、中小企業のDX成功事例を3つ紹介します。

参照:DXセレクション2023|経済産業省

株式会社フジワラテクノアート

株式会社フジワラテクノアートは、醸造設備の生産において高いシェアを誇る企業です。業務の可視化・標準化と生産管理の効率化のため、3年間で21システム・ツールを導入しました。

これにより、ビジョン実現に向けた新たな価値創造のための業務により時間を費やせるようになったとのことです。他にも紙の使用量削減、デジタル人材の育成など様々な成果を上げています。

株式会社土屋合成

株式会社土屋合成は、富岡市創業のプラスチック射出成形品加工メーカーです。デジタル技術を活用し、少ない人員でも365日24時間、効率的なものづくりができる環境を構築しました。

効率化で生まれた余剰リソースを活かして新製品の試作・量産化に取り組むことで、付加価値の高い製品の生産へとシフトしています。取り組みの結果、売上高がコロナ以前と比較して約120%となり、過去最高益を記録しました。

グランド印刷株式会社

グランド印刷株式会社は、情報共有をスムーズに行うために社内ITシステムを導入しました。

社内ITシステムを導入することで情報共有が促進され、個人への依存度を減らすことにつながっています。有休や途中抜けなどもしやすくなり、子育てしながらも働きやすい会社としてイメージを確立しました。女性従業員は全体の75%を占めています。

また、コロナ禍でも年間7,000社の顧客を獲得。既存事業の落ち込みを新事業でカバーし、過去最高売上を3年連続で更新しています。

参照:DXセレクション2023について

中小企業のDXを支援する補助金・助成金

中小企業のDXを支援する補助金・助成金

中小企業のDXを支援する補助金・助成金を紹介します。

IT導入補助金

IT導入補助金は、自社の課題やニーズに合ったITツールの導入を支援する制度です。ITツールを導入する中小企業・小規模事業者が補助対象者となっています。ITツールによって業務効率化・生産性向上を図りたい事業者はぜひ活用したい制度です。

IT導入補助金は導入するITツールによって申請枠が異なります。「通常枠」はパッケージソフトの購入やクラウドサービスの導入などに使用できます。「デジタル化基盤導入枠」では会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの導入費用に加え、PC・タブレット、レジ・券売機等の導入費用も対象です。

また、2023年4月以降に新設された「商流一括型インボイス対応類型」という申請類型では、大企業も補助対象事業者になっています。

ものづくり補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下ものづくり補助金)は、革新的製品・サービスの開発または生産プロセスの改善に必要な費用を支援する制度です。機械装置・システム構築費、クラウドサービス利用費などが補助対象となっています。

ものづくり補助金は、取り組み内容に応じて様々な申請枠が用意されています。なかでもデジタル補助金は、DXに特化した申請枠です。従業員数によって補助金額が変動し、最大で1,250万円、補助率は一律で2/3です。

なお、2023年1月11日に発表された14次公募以降、「大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例」が追加されました。要件を満たす事業者は、最大1,000万円の補助金額が上乗せされます。

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、思い切った事業再構築にチャレンジする中小企業を支援する制度です。中小企業が新市場を開拓したり、ビジネスを転換したりする取り組みを後押ししてくれます。ビジネスモデルの変革を目的とするDXの趣旨に沿った補助金といえるでしょう。

従業員数によって補助上限額が変動し、従業員数101人以上で最大8,000万円の受給が可能です。申請枠も複数あり「通常枠」のほか、「大規模賃金引上枠」「回復・再生応援枠」「最低賃金枠」などがあります。

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変化するビジネスニーズに対応していくためにも、DX推進は急務の課題といえるでしょう。DXを進める際は、単にデジタル化すればいいわけではなく、自社の課題や目標を明確にした上で取り組むことが重要です。

また、中小企業がDXを進める上で障壁となる資金面は、補助金・助成金を上手に活用することでコストを抑えることが可能です。補助金・助成金によって対象や条件、金額が異なるため、しっかり内容を確認して事業にあったものを活用しましょう。

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