経営課題とは|中小企業・小規模事業者が抱える課題と見つけ方、対策について解説

企業はビジネス環境の変化を受けながら様々な経営課題を抱えます。持続的な成長を目指すには、自社が抱える経営課題を的確に把握して対策を講じることが大切です。本記事では、中小企業やスモールビジネスが抱える経営課題と自社の課題の見つけ方、解決方法について解説します。経営課題の解決をサポートするツールも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次

中小企業・小規模事業者が抱える10の経営課題とは

ここでは、中小企業・小規模事業者が抱える10の経営課題について見ていきましょう。
売上拡大
中小企業や小規模事業者が事業を存続・成長させるためには、売上拡大が必要不可欠です。売上を伸ばすには、市場・顧客のニーズや競合の動向を的確に捉えた上で自社の戦略を策定する必要があります。
とくに中小企業・小規模事業者の場合、「戦略策定の知識がない」「デジタルマーケティングの知見がない」などの理由から売上を伸ばすことに苦慮するケースが少なくありません。自社の経営資源をいかに効率的に成果につなげていくか、戦略的な視点が求められているといえます。
コスト改善
企業の利益は、売上からコストを差し引いたものです。中小企業・小規模事業者にとってコスト改善は重要な経営課題です。経営コストには、原材料費や人件費、光熱費、通信費などがあります。コストを改善することで生産性が向上し、利益の最大化につながります。
資金不足
スモールビジネスでは売上が安定しなかったり、金融機関からの借入ができなかったりして資金不足になるケースがあります。また、掛売りの場合は帳簿上では利益が出ていても、入金までタイムラグがあるため、資金不足に陥ることもあります。
設備投資や原材料の仕入れなどに必要な資金がなければ、大型の受注ができないなど成長の機会を逃してしまうことになります。資金調達のノウハウ獲得は、スモールビジネス経営者にとって重要な課題といえます。
人材確保・育成
少子高齢化に伴い、人材不足が問題視されている昨今。人材確保・育成に奮闘しているにもかかわらず、以下のような理由でなかなかうまくいっていない企業が多いのが現状です。
- 自社にマッチした人材を見つけるのが難しい
- せっかく採用してもすぐに辞めてしまう
- 教育システムが不十分
人材の確保・育成ができないと、従業員一人あたりにかかる負担が大きくなってしまい、社員の離職につながりかねません。企業の成長には人材確保・育成は重要です。社員の定着率を高めるためにも、採用システムや教育制度、評価制度などの見直しが必要といえるでしょう。
生産性向上
生産性とは、投入した資源・労働力に対して得られた製品・サービスの産出額や産出量の割合を示したものです。
公益財団法人日本生産性本部が公表している「労働生産性の国際比較2022」によると、日本の時間当たり労働生産性は、49.9ドルです。OECD加盟の38ヵ国中27位という結果になっており、低い水準にあることがわかります。
生産性を向上させる方法としては、労働環境や生産プロセスの見直し、従業員のスキルアップ、IT技術の導入などがあります。
技術力・開発力の向上
技術力・開発力の向上も重要な経営課題といえるでしょう。競争が激化する市場で、いかに自社の競争優位性を高めていくかが求められています。革新的な製品やサービスを提供していくには、社員のスキルアップをサポートする体制を整えたり、研修や勉強会を実施したりする取り組みが必要です。
ブランド力の向上
ブランド力とは、製品・サービスの認知度や影響力、イメージなどを含めた価値のことです。高いブランド力があれば、市場において独自のポジションを築くことができます。また、製品・サービスに信頼と愛着を感じる顧客が増え、リピーターの増加が図れます。
ブランド力を向上させるためには、自社の独自性や強みを明確にし、顧客のニーズに合った製品・サービスを提供することが重要です。一貫性のあるブランドメッセージとブランドストーリーを構築し、消費者にアピールするためのマーケティング戦略を展開する必要があります。
営業・販売力の向上
売上を拡大するには、営業・販売力の向上が欠かせません。どんなに優れた製品・サービスであっても、営業・販売力がなければ新規顧客を獲得できず、利益を上げるのが難しくなります。営業・販売力が向上していない企業には以下のような課題があると考えられます。
- 顧客ニーズが把握できていない
- チーム内で顧客情報を共有する仕組みやツールがない
- 営業・販売プロセスが属人化してしまっている
効果的な営業・販売力向上のためには、顧客ニーズの的確な把握や競合分析、情報共有ツールの導入が必要です。
顧客満足度の向上
顧客に継続的に利用してもらうためには、顧客満足度の向上も忘れてはいけません。顧客や市場のニーズは絶えず変化しています。企業は顧客の声に耳を傾け、要望や不満を踏まえた改善が必要です。顧客満足度を向上するには、以下の視点が必要です。
- 顧客からのフィードバックを収集し、それを基に改善策を実施する仕組みが不十分
- 競合他社との差別化が図れず、顧客にとっての魅力的なポイントを明確に示せていない
継続的な改善と顧客志向の徹底を通して、顧客満足度の向上に取り組んでいくことが求められます。
デジタル技術の活用
業務効率化・生産性向上など様々なメリットがあるデジタル技術ですが、日本の企業は海外に比べてデジタル化の推進が遅れているのが現状です。背景として以下の要因が挙げられます。
- デジタル技術を導入するための資金が足りない
- デジタル技術を導入しても、社内での活用が進まない
- デジタル技術を活用するスキルや意識が不足している
これらの問題を解決するには、資金調達の検討や、社内でのデジタル教育・トレーニングの充実が求められます。デジタル化を自社に浸透させるためにも、組織を挙げて取り組むことが大切です。
自社の経営課題を把握する方法

自社の経営課題を知らないことには対策や改善はできません。ここでは、自社の経営課題を把握する方法を紹介します。
資金の可視化
自社の経営課題を正しく捉える上で重要となるのが資金の可視化です。業務にかかっているコストの内訳や収入・支出のタイミングを明確にすることで、資金の運用における課題が見つかるとともに、資金不足になるタイミングを把握できるようになります。
資金を可視化する方法には、資金繰り表とキャッシュフロー計算書があります。資金繰り表は現金収支の動きを把握するためのもので、近い将来に手元資金がどれくらい残るかを予測できるようになります。
キャッシュフロー計算書は、一定期間における現金の増減を確認できる計算書です。営業活動、投資活動、財務活動の3つの視点でキャッシュの出入りをチェックすることで、自社のお金の流れや事業の健全性を把握できます。
業務フローの可視化
業務フローを可視化することで、各業務の流れや進捗度を整理することが可能です。無駄が生じている工程や、属人化してしまっている業務を把握するのに役立ちます。また、チーム内のコミュニケーションやタスクの調整をスムーズにする効果もあります。
組織の状況を可視化
組織構造や運用体制といった組織の状態を可視化することで、配置の偏りや強化すべき役割、部門ごとの問題点などの把握に役立ちます。大企業では組織図を作成して整理しているケースがほとんどですが、スモールビジネスの場合は臨機応変に対応しているケースが目立ちます。
組織としてのパフォーマンスを最大化するためには、「ヒト・モノ・カネ・情報」といった経営資源を適切に振り分けることが大切です。現状を把握する方法として、従業員へのヒアリングやアンケートを行うとよいでしょう。
従業員の業績の可視化
目標設定や成果の計測などを通じて、従業員の業績・パフォーマンスを把握します。業績の可視化により、優れた成果を上げている従業員やチームを見極めたり、教育面での課題を把握したりする際の判断材料となります。
また、業績に応じたフィードバックが可能になります。従業員の行動改善やモチベーションアップにつながり、組織全体のパフォーマンス向上が期待できます。
自社の経営課題を解決する方法

ここでは、自社の経営課題を解決するための具体策をピックアップして紹介します。
経営計画を策定
経営計画とは、企業の将来の方向性や目標を明確にし、達成のための戦略やアクションプランを具体化したものです。自社の経営課題を解決するためには、経営計画の策定が不可欠です。具体的には、以下のような目標を決めます。
- 経営理念やミッション、経営方針
- 中長期の経営目標や数値目標
経営計画を策定することで、経営課題の解決に向けた方向性を示し、組織の一体感や目標達成への動機付けを高められます。
関連記事:経営戦略とは||意味・定義とレベル別・時間軸で見た種類、注目キーワードをわかりやすく解説
計画的な資金調達
事業を成長させていくためには、必要に応じて資金調達することも大切です。せっかくビジネスチャンスがあっても、投入する資金がなければ事業をスムーズに進めることはできません。
計画的に資金調達を行うことで、新規事業や事業拡大を推進できるようになります。資金調達方法には、銀行が行っている融資、国や自治体が行っている補助金・助成金などがあります。資金の必要額や使途、返済計画を明確にし、計画的に資金調達を進めましょう。
コスト改善策を具体化
コスト削減にあたって、具体的にコスト改善策を洗い出しましょう。例えば、以下のような改善策があります。
- 紙ベースで行っていた業務をデジタル化する
- リモートワークの推進で出張費・交通費を削減する
- RPAなど業務自動化ツールを導入する
コスト削減は計画的に行うことがポイントです。やみくもなコスト削減は品質低下や社員のモチベーション低下につながりかねません。自社にとって本当に必要かを見極め、コスト改善策を実施していきましょう。
関連記事:コスト削減のアイデア8つ|成功のポイントや注意点も解説
人事評価制度の見直し
人事評価制度を見直すことで、社員のモチベーションやパフォーマンス向上につながります。適切な評価基準や明確な評価プロセスがあることで、社員は自身の成果や能力が公正に評価されていると実感でき、主体性を持って業務に取り組めるようになります。
従業員の意見も取り入れつつ、定期的な評価制度の見直しを行っていくことが大切です。
労働環境の改善
労働環境の改善も経営課題の解決につながります。働きやすい労働環境は社員の定着率を高め、生産性向上や採用コストの削減が期待できます。
具体的な改善策としては、柔軟な働き方の導入やワークライフバランスの推進、労働時間の見直し、福利厚生制度の充実などがあります。
まずは、定期的なフィードバックやアンケートを通じて社員の意見を集めるとよいでしょう。
ITツールの導入
ITツールの導入も経営課題の解決に有効です。情報共有やスケジュール管理などをITツールに移行することで、業務時間の短縮や工数削減が可能です。社員はコア業務に集中できるようになります。また、Web会議ツールを活用することで、場所や時間に捉われない自由な働き方ができるようになります。
ITツールの中には、トライアルとして無料で利用可能なものもあります。自社が抱える経営課題や導入費用、使いやすさなどを考慮しながら、ITツールの導入を検討しましょう。
経営課題の解決をサポートする「freee資金調達」

企業には様々な経営課題があり、すでに把握できているものもあれば、潜在的なものも存在します。資金や業務フロー、組織状況などの可視化を行い、経営課題を素早く察知できるような体制・環境を整えていくことが大切です。早い段階で経営課題を把握し、その経営課題を解決できる方法を模索していきましょう。
経営課題を解決するための資金調達では、自社に合った資金調達方法を選ぶことが重要になります。しかし、どの資金調達方法が自社で使えるのか一から調べるのは骨が折れることです。「freee資金調達」は、そんな経営者の資金調達のお悩みを解決します。
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