【セミナーレポート】澤円氏登壇!「これからの個人事業主の勝ち方」~伝える技術で売上・資金を作り出す

個人事業主の経営力強化を支援するfreee株式会社では、「これからの個人事業主の勝ち方」をテーマにセミナーを開催しました。登壇者は、株式会社圓窓 代表取締役であり、元日本マイクロソフト業務執行役員の澤円(さわ まどか)氏。
コロナ禍によって世の中の常識が大きく変わりつつある今、個人事業主は何を考え、どのような対策をとるべきなのか。事例を交えながらのお話には、すぐに実践できるヒントがたくさんありました。当日の様子をセミナーレポートとしてお届けします。
〇開催日:2021年2月26日(金)
〇場所:オンライン
〇登壇者:
澤 円(さわ まどか)氏
株式会社圓窓 代表取締役
元日本マイクロソフト業務執行役員
現在は、数多くの企業の顧問やアドバイザを兼任し、テクノロジー啓蒙や人材育成に注力。美容業界やファッション業界の第一人者たちとのコラボも、業界を超えて積極的に行っている。Voicyパーソナリティ。琉球大学客員教授。
〇モデレーター:
土井 啓夢(どい ひろむ) freee株式会社 金融事業部 新規事業開発

副業や独立では、すでにハードルを越えているものを生かせるほうが手っ取り早い

土井:まずは、澤さんから自己紹介をお願いします。
澤:個人事業主になったのは、わりと最近です。2019年10月に株式会社圓窓を立ち上げて、講演やコンサルティングのほか、オンラインサロンの運営、メンタリング、執筆活動などを行っています。もともと日本マイクロソフトで業務執行役員をやっていたという肩書をご存じの方のほうが多いかもしれません。
現在は、琉球大学の客員教授や5社の企業の顧問、Voicyのパーソナリティなどもやらせていただいています。サラリーマンは2020年の8月までやっていましたが、COVID-19のことがあってキャリアの変換期かなと思い、辞めてみました。今は一人でやっている「ぼっち社長」というのが僕の状況です。
土井:顧問先が5社と、だいぶ忙しそうですね
澤:じつは、この先さらに5社ほど増える予定になっています。今は世の中的に「移動しなくてもいい」というのが大前提になったので、時間に余裕ができました。その分をオンラインで価値提供できるようになったので、ちょっとずつ増やしていっています。
土井:今はすべてオンラインでやられているんですか?
澤:95%の仕事はオンラインですね。たまにテレビなどの収録でスタジオに出向く必要がありますが、ほぼ引きこもり生活です。
土井:今は九十九里にお住まいと聞きました。
澤:そうなんです。田舎なので広い家が手に入りました。今は庭に梅が咲いていますよ。

土井:もともと企業に勤めていて、個人でやろうと思ったきっかけは何だったのでしょう?
澤:個人として初めて社外の仕事を引き受けたのは17年前です。いわゆる副業ですよね。プレゼンテーションを教えてほしいということで、外部の会社からセミナーの依頼を引き受けました。そのときは100名くらい集まりましたね。
土井:スタートから100名というのはハードル高めですね。
澤:日本マイクロソフトに勤めていたときに、数百人の前で話すというのを何度も経験しているので、その辺はすでにクリアしていたかなと。これは副業や独立するときのポイントになるのですが、すでにハードルを超えているものを生かせるほうが手っ取り早い。数百人の前で話し、かつ、限られた時間内に何かしらを持って帰ってもらうというのは、それなりに知見が必要なことです。だけど僕はその経験をしてきているので、精神的なハードルはすでに超えている状態。継続的に使っていける武器になっているわけです。
余裕がないときの失敗は致命傷になるが、余裕があるときの失敗は学びになる

澤:ある女性社長がおっしゃっていた中で、とても納得したのが「余裕があることが大事」という言葉です。余裕がないと、すごく頭のいい人でも判断ミスをしてしまうとおっしゃっていて、なるほどなと思いました。
余裕というのは、たとえば経済的とか時間的、体力的、経験的などいろいろありますが、余裕がない状態で個人事業主として仕事を始めると、何かしらのひずみが生じる可能性があります。
逆に、「すでにハードルは超えている」という認識が自分の中にあると、それだけで余裕になりますよね。そこに新しいチャレンジを少し足したとしても、そもそも余裕があるので集中できますし、そこからまた余裕が生まれて次のチャレンジにつながるというサイクルができるわけです。
土井:既知の領域から始めるのがポイントとなるわけですね
澤:失敗の確率をグッと下げられるのと、安心して失敗できるということですね。余裕がないときに失敗すると致命傷になっちゃいますが、余裕があるときの失敗は学びになる。この点がすごく重要なんです。
土井:失敗するかもしれないと思うだけで一歩を踏み出しづらいこともあると思うのですが、個人事業主として失敗とどう向き合うべきでしょう?
澤:基本的に僕は、失敗とか挫折って大嫌い。とはいえ、そもそもポンコツなので成功するほうが稀なんですよ。新しいことを始めると、ほとんどの場合は失敗する(笑)。膨大な失敗の上にいろんなものが成り立っているから、人に伝える能力が発達したのだと思います。
野球のイチロー選手は4割近く打っているすごいバッターですけれど、自分のことを「7割近く失敗しているバッターだ」という言い方をされています。そういう見方をするというのは、そこから学んで少しでも成功の幅を広げようという考えがあるからだと思うんですね。だから、イチロー選手にはスランプがない。
逆に、なぜ自分ができているのかがわからなければ、スランプの抜け方もわからないわけです。だから、超天才といわれている人ほどスランプに弱い。失敗は学びだと思って乗り越えるということです。

土井:失敗したときに、澤さんはどうやって乗り越えていますか?
澤:性格判断で調べたら、僕の場合、失敗で落ち込んだときは行動によって戻るとありました。別のことを始めちゃうわけです。そうすると、失敗の記憶が薄れて、どんどん行動しているうちに学びが増えていくというサイクルになっているみたいです。自分に合った方法を見つけるのがよいのだと思いますね。
前職で僕のメンターをやってくれていたメンバーがいるのですが、その人は「僕は失敗したことがないんですよ」と言っていました。この言葉だけ聞くと、ちょっと感じ悪いですよね。でも、その人が言うには「ただ、ほとんどの場合、思い描いた結果と違うんですよね」と(笑)。普通は失敗と捉えることも、大いなる学びと経験であると受け止めているわけです。こういう性格の人は最高ですよね。
土井:失敗の中にも、大丈夫な失敗とダメな失敗というのがありますか?
澤:人の信頼を裏切るような失敗というのは、回復し難いと思いますね。ですが、「仕方ないね」と慰めてもらえるような失敗であれば、助けてくれる人が現れることもあるので大丈夫だと思います。誰しもミスはするわけですから、クオリティという意味での失敗であっても、人としての信頼があればカバーしてもらえる可能性があります。
土井:澤さんの失敗経験と解決策を教えていただけますか?
澤:たとえば、僕はスケジュール管理が苦手なので、最初から「こんな人間だから、ごめんなさい」と謝って、仕事の依頼やスケジュール調整はすべて事務局を通してもらうようにしています。あとは、お金に関する計算もまったくダメですね。僕は経済学部出身なので簿記を学びましたが、在学中の4年間で左右の計算が合ったことが一度もない(笑)。なので、お金に関しては税理士さんにお任せしています。 ただ、当たり前ではありますが、会社の責任者として状態を把握できる仕組みや、判断の定義は僕がやります。パラメータとしての数字の計算は、プロの知恵をお借りするわけです。そもそも自分が不得手なことは、人にお願いするというやり方ですね。
先に信頼貯蓄をつくっておくと、困ったときに「助けて」と言いやすい

土井:コロナパンデミックを経験した今、生き残りのための新たな手法を考えないといけない時期にきていると思うのですが、なかなか思いつかないという悩みを持つ個人事業主も多いだろうと思います。何かヒントはありますか?
澤:まず考え方として、「助けて!」と言える勇気を持とうということです。これはサラリーマンにもいえることですが、一番厄介なのがプライド。プライドは、いろんな判断を鈍らせるんですね。
非常にヤバい状態にあるのに、「助けて」と言ったら周りに引かれるんじゃないかとか、馬鹿にされるんじゃないかとか。プライドが邪魔してアクションしないのは、ヤバい状態を進行させるだけです。だから、まずはプライドを捨ててアクションに集中することが大事。ヤバいなという状況になったら、助けを呼ぶ。これだけです。
もし、まだヤバい状態になっていないなら、今のうちにいろんな方面にコネクションを作っておくことですね。僕は人脈という言葉はあまり使わないので、「自分が先に貢献する相手を見つけましょう」という言い方をします。要するに、貸しをつくるということ。恩を着せるというニュアンスではなく、他者に貢献するという意味です。
先ほどの「余裕が大事」という話につながるのですが、余裕をつくって他者に貢献するということを先にやっておくと、「助けて」といいやすくなります。個人事業主はなかなか余裕を持てないよといわれそうですが、時間的な投資をしておけば、後々の信頼貯蓄になります。
この信頼貯蓄は、自分が困ったときにリアルなお金に化けてくれたり、あるいは「助けてあげるよ」と時間の投資を受けられたりすることにつながるわけです。先に信頼貯蓄をつくっておくというのは、とても大事だと思いますね。
土井:貸しをつくるというと、何かすごいことをしないといけないようなイメージがありますが。
澤:全然、軽いものでいいんです。極端な話、毎回気持ちよく挨拶するだけでいい。仏頂面で挨拶を返さない人といつでも元気に挨拶してくれる人、どちらを助けたいですかというシンプルな話です。 生存戦略として、じつはこれがとても重要なこと。何かの価値を提供することで貸しをつくれれば非常に大きな貸しになりますが、「感じがいい」というだけで、それが自分自身のタグになります。強いタグは人を惹きつけるので、結果的に助けてと言いやすいし、助けてもらえる可能性が高くなりますす。
僕の憧れはルパン三世。自分の「Being=こうありたい」がわかるとブレない

土井:セルフブランディングにもつながるお話ですよね。自分自身のブランディングで悩んでいる個人事業主も多いと思うのですが、良い方法はありますか?
澤:最近、僕のキーワードになっているのは「Knowing→Doing→Being」です。これはハーバードビジネススクールで用いられている考え方で、まずKnowingによって知性が豊かになって人生が充実します。Doingは、行動せよということ。行動によっていろんな価値が生み出されるわけです。今でいうアジャイル開発はまさにこれで、考えている暇があったら行動して、手足を動かしながら改善するということですね。
そして、そこから一歩進んだのがBeing。自分がどうありたいのかを問いかけろということです。その答えが見つかると、すべての行動に軸ができます。自分はこうありたいから、このDoingを選択しますというように、自分のありたい姿の延長線上にDoingが生まれるのでブレなくなる。ブレがなくなると信頼貯蓄にもつながりますから、僕は「Beingを探しましょう」ということをよく話しますね。
土井:Beingはどのように探せばいいですか?
澤:たとえば、憧れとか目標となる人物・キャラクターなどを分析して、なぜその人が好きなのか、憧れるのかを突き詰めていきます。実在してもしなくてもかまいません。分析を重ねていくと、自分はこうありたいという像が見つかり、今の自分とのギャップがわかったり、そこに近づくにはどうすればいいのかをつかめたりします。そこに向かえば行動にブレがなくなって、「あの人はこうだね」というタグがつく。結果として、自分に嘘をつかない生き方ができるようになるわけです。
きれい事のように感じる方もいらっしゃるかもしれないですが、実際にGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)の経営者もこれをやっています。自分のありたい姿を徹底的に分析して自分自身を納得させているから、どんな場面でもブレない。ありたい自分でいられれば結果として効率化がなされますし、すごくいいことが起きるんです。

土井:ちなみに澤さんの憧れは、どんな人ですか?
澤:ルパン三世(笑)。どこが好きかを一言でいうと、はったりやごまかしという意味での外連味がないところですね。ルパン三世は泥棒なので悪党ではありますけれど、いつもニコニコしていて余裕があって、自分の本能に忠実。おしゃれでトークも冴えていて、そういうところが格好いいなと。
土井:あの人のようになりたいというのではなく、あの人のこの要素が好きと思うものを明らかにして、自分に取り入れるということですね。とはいえ、自分は「こうありたい」ということを伝えたり発信したりするのが、恥ずかしいと思ってしまうこともあります。
澤:そこで重要になるのが、自己開示の考え方ですね。自己開示をしない人のところには味方はやってきません。
これは僕の奥さんから強く言われたことですが、「あなたが思っている以上に、あなたは何でもできる人に見られている」と。それはまずいぞと思いまして、自分がいかにポンコツか、情報発信を始めたわけです。すると、「澤さんもそうなんですね」という人が現れるようになった。それからは、自分がいかにダメな人間かを発信するのが好きになっちゃった(笑)。 「ポンコツだけど、こういう良いところもあるから助けよう」と思ってもらえるのが最高の状態だと思っています。
自己開示は融資の場面でも役立つ

土井:自己開示は、ある意味では怖いことでもありますよね。持っているもの以上に見せたいという欲が出てしまったり。どういうやり方がいいのでしょう?
澤:自己開示している人を全面支援するということから始めると、やりやすいと思います。たとえば「いつも応援しているよ」と伝えたり、その人が失敗したときには「あなたの価値は1ミリも下がっていないよ」とメッセージしたり。そういうスタンスをとっていると、じつは僕もね……と言いやすくなるわけです。
融資を受けるときも、「弱みを見せたら借りられない」と考えるのが自然な発想だと思うのですが、無理に隠しても向こうはプロですから、見抜かれることもあります。だったら先に、「ここは×だけれど私のここは〇だから、トータルすると△くらいになります」というプレゼンテーションをしたほうがいい。「あなたの助けがあったら◎に近づきますから」というロジックのほうが、よっぽどリアリティがありますよね。

土井:最初から◎だったら、融資はいらないわけですもんね。
澤:あえて弱い部分を開示することで、仲間を増やすことにつながります。でも、僕が単に「スケジュール管理ができなくて、経理もできない」で終わりだったら、ただのダメな人ですよね。ダメなところがある一方で、情報発信をたくさんしていて人を勇気づけることができる、あるいはテクノロジー領域で知見がある、キャリアビジネスのアイデアをつなげる思考ができるといった強みがあるので、他者に貢献できることも持ち合わせているわけです。
僕の場合、不得手なことは外部にお任せしているので、苦手なことに費やす時間はほぼゼロです。その分の時間を、よりたくさんの人に貢献することに使うようにしています。
また、現在僕は資金調達の必要性がないビジネスをやっていますが、今後資金調達が必要なビジネスをおこなう場合、基本的には4ステップでお金を集めることを考えます。ステップ1でビジネスのアイディアを出し、ステップ2でそのビジネスのマーケット規模を算出、ステップ3でどのくらいの時間をかけてどのくらいのシェアをとるのかという時間軸を組み立て、ステップ4で必要な資金を算出し、集め方を考える。
この流れを意識しておけば、銀行や金融機関への相談も投資家への説明もしやすく、何が必要か・足りないのかが把握できているので、仲間も集めやすい。
営業活動は一切なし。紹介と口コミで年間300回以上の講演実績

土井:澤さんは現在、複数の企業の顧問をされていますが、リソース的な課題はどのように解決されていますか?
澤:自分のスピードを知っておくことが大事だと思います。たとえば、プレゼンテーションの資料を一つ作るのにどれくらいの時間がかかるのか、このコンテンツの作業時間はどれくらいかなど、自分のスピードを知っていれば簡単にスケジュールに組み込めます。
自分はこれができるという定性的なものだけではなくて、どれくらいの時間でどれくらいの量ができるのかをわかっていることが重要です。もし、わからないという状態でしたら、過去の実績を分析してみるか、一度、時間や進捗スピードを記録して、ベースになる数字を知っておくとよいと思います。
土井:講演だけでも年間300回ほどこなされているうえ、今後はさらにコンサルティングする企業が増える予定とのこと。営業活動はどのようにされているのですか?
澤:講演は一昨年の2019年が306回。2020年はCOVID-19の影響でイベントが中止になったので、オンラインで196回でした。ただ、自分で営業活動は一切していません。
最近はエージェントが顧問先を紹介してくれるというサブスクリプションモデルのサービスが登場しているので、この経由でご依頼をいただくことが多いですね。あとは、SNS経由で直接依頼をいただくのが3分の1くらいでしょうか。ですので、紹介と口コミでほぼすべての仕事をいただいています。
土井:SNSでの展開の場合、「この人に仕事を依頼しよう」と思ってもらえるようにする必要があると思うのですが、どうすれば澤さんのようにたくさんの仕事依頼がくるようになりますか?
澤:僕も最初はフォロワーが全然増えなかったですね。増やそうと思っていたわけでもないのですが、情報の発信量を増やしたり、発信する内容を人の役に立つものにしたり、人のやる気を出すというところにシフトしていったら、結果的に仕事につながっていきました。ポジティブメッセージを増やしたり、誰かに対して賛同したりというのが最初はいいと思いますね。相互理解が進めば、よい作用が出てきますから。
土井:SNSでおすすめのものはありますか?
澤:ビジネスの観点でいうと、これからはLinkedIn(リンクトイン)はやったほうがいい。グローバルではすでにスタンダードで、ビジネスSNSと銘打たれているだけあって、ビジネスユーザーだけで5億人の登録者がいるような規模になっています。Twitterはマスに強いので、これも効果的だと思います。
縁として持っておきたい、大きな学びがあるときも仕事を引き受ける
土井:もうひとつ、ぜひお伺いしたいのが報酬の決め方です。個人事業主として、報酬はどのように決められましたか?
澤:報酬は、人に決めてもらうのが一番いいと思います。じつは以前、僕も自分の報酬を決められずにいました。講演などの依頼をすごく適当な報酬で受けているのを見た友人が、「もしかして、値段をつけていないの?」と驚いて、だったら値段をつけてあげるよって言ってくれたんですね。
そのときにやったのは、SNS経由で仕事依頼がきたときに「マネージャーがいるので、そこを通してください」ということ。友人がビジネスマネージャーという立場で値段を話すという進め方をしました。一度実績ができれば、これが定価になるわけです。
僕は友人の力を借りましたが、たとえばオンラインの秘書でもバイトでもいいので、一次受けを別の人にやってもらうと、自分は報酬金額を気にせずに引き受けることができるようになります。
土井:ちなみに、澤さんは仕事を引き受けるときの基準は何かありますか?
澤:仕事の話をいただいたら、まずは話を聞いて、相性がよければ受けるという感じですね。あるいは、自分がギブするものと相手がギブするものとのマッチングが良ければ引き受けます。
僕はもともと性格がいい加減なので、あまりかっちりと決めていません。買いたたかれないというのはもちろん大切なのですが、たとえば、縁として持っておきたいとか、この仕事をすることで大きな学びがあるというときにも引き受けることがあります。
土井:逆に、この点には注意したほうがいいというポイントはありますか?
澤:「拍手をされない」という場合は注意したほうがいい。一方的にどんどん条件を上積みしていって断れないようにするとか、ほかとの縁を嫌うといったことが見られるときは止めたほうがいいでしょう。

土井:今日は、澤さんへの質問もたくさんいただいています。「実力よりも低く見積もられてしまう人はどうすればいいのか?」という質問がありました。
澤:なぜ実力が低く見られているのかというと、自分の実力を測る尺度が間違っている、あるいは最適な尺度ではないところに身を置いてしまっているのかもしれません。
陸上競技に例えると、何秒で走れるのかという尺度よりも何m飛ばせるのかという尺度のほうが得意なのに、一生懸命に100m走の記録を追っている、または何秒で走れるかということばかりを見られるという場合ですね。
そもそも評価の尺度が合っていないなら、尺度が合うところを見つけるキャリア探しが必要になるでしょう。個人事業主であれば、もっとも力を発揮できる尺度で見せていくというのがポイントになってきます。
土井:なるほど。「自分の得意なところはどのように探せばよいのか?」という質問もきています。
澤:メンターがいるといいですね。マネジメントではなく、自分のことを客観視してくれるメンターです。そのためには、やはりいろいろな場に顔を出しておくのがいいと思います。身内でもいいのですが、まったく違う視点を持っている複数人に見てもらうと、多面的に捉えることができます。
土井:「どうしても緊張してしまうのだが、どうすればいいのか?」という質問もいただきました。
澤:緊張はしていいんです。だって、人前で話すこと自体がもはや緊急事態なわけですから(笑)、緊張して当たり前であり、それを責める人はいないですよね。隠そうとするからおかしくなってしまうのであって、ここでも自己開示の考え方が大事になります。「緊張しています、でも頑張ります!」という人には、声援が集まりますよね。だから、言っちゃったもん勝ちなんです。
学びをネクストアクションへ

土井:今日は濃密なお話をいろいろ聞くことができて、私自身も勉強になりました。本日ご参加いただいた方のネクストアクションにつながることを心から願っております。本日は、ありがとうございました。
澤:Voicyを毎日配信していますので、僕がどういうことを考えて生きているのか気になるという方はぜひチェックしてみてください。最後にお知らせをさせていただくと、最新刊で『個人力』(プレジデント社)という本が出版されているほか、今後も続々と出版を予定しています。ぜひお楽しみに!
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