会社設立に役立つ助成金・補助金一覧|利用時の注意点やその他の資金調達方法も解説

会社を設立するにあたって重要となるのが資金調達です。資金調達というと、金融機関からの融資がありますが、会社設立時はなるべく返済の負担を抑えたいものです。そこで活用したいのが、助成金と補助金です。助成金と補助金は返済義務のないお金であり、うまく活用することで会社設立時の費用負担を抑えることができます。
当記事では、会社設立に役立つ補助金や助成金を紹介するとともに、利用時の注意点や補助金や助成金以外の資金調達方法を解説します。
目次

会社設立に利用できる助成金・補助金の種類

助成金・補助金は国や自治体が実施している制度で、返済義務のないお金です。会社設立時や事業を拡大したいときなどの助けとなります。
ここでは、会社設立に役立つ補助金・助成金を4つピックアップして紹介します。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が行う販路開拓や業務効率化の取り組みを支援することを目的として、それにかかる経費の一部を補助する制度です。取り組み例として、「販促用のチラシ作成・送付」などの広報費、「試作機械・業務用ソフトウェア」などの機械装置等費があります。
中小企業庁が定める小規模事業者は、以下のような条件があります。
業種 | 従業員(常勤) |
---|---|
商業、サービス業(宿泊・娯楽業除く) | 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業、娯楽業 | 20人以下 |
製造業、その他 | 20人以下 |
なお、小規模事業者持続化補助金は「申込時点ですでに創業していること」が申込条件です。法人の場合は、事前に会社を設立していなければいけません。これから創業するという場合は申し込めないため注意してください。
小規模事業者持続化補助金には6つの申請枠があります。
- 通常枠:上限50万円
- 卒業枠:上限200万円
- 創業枠:上限200万円
- 賃金引き上げ枠:200万円
- 後継者支援枠:200万円
- インボイス枠:100万円
補助率は2/3で、賃金引上げ枠のうち赤字事業者については3/4が適用されます。複数の事業者で共同申請した場合は、補助上限額が1,000万円まで増加します。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、企業の生産性向上を実現するためのサービス開発・試作品開発などを支援し、それらにかかる費用の一部を補助する制度です。対象業種に制限はなく、生産性向上のための設備導入であれば補助対象です。
ものづくり補助金では、業種ごとに中小企業の資本金と従業員数の上限が定められており、以下の基準を満たしている必要があります。
業種 | 資本金 | 従業員(常勤) |
---|---|---|
製造業・建設業・運輸業 | 3億円 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円 | 100人以下 |
ゴム製品製造業 | 3億円 | 900人以下 |
ソフトウェア業または情報処理サービス業 | 3億円 | 300人以下 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人以下 |
その他の業種 | 3億円 | 300人以下 |
ものづくり補助金は、3つの申請枠があります。
- 一般型:上限額1,250万円、
- グローバル展開型:上限額3,000万円
- ビジネスモデル構築型:上限額1億円
補助率は原則1/2で、小規模事業者であれば補助率は2/3です。なお、上限額やメニュー内容は年度によって変更となる場合もあるため、最新の情報をチェックするようにしましょう。
また、ものづくり補助金は、インターネットによる電子申請のみを受け付けています。電子申請システムにログインするためには、GビスIDプライムアカウントの取得が必要です。発行まで時間を要しますので、早めに登録するようにしましょう。
IT導入補助金
IT導入補助金は、企業の業務効率化を目的としたITツールの導入に際して、その費用を補助する制度です。幅広い業種・組織形態に対応しており、企業はIT導入補助金を活用することで、費用を抑えてITツールを導入することができます。
IT導入補助金は大きく3つの申請枠があります。
- 通常枠A類型:上限150万円未満、補助率1/2以内
- 通常枠B類型:上限450万円以下、補助率1/2以内
- デジタル基盤導入枠:上限350万円以下、5万円~50万円以下の部分は補助率3/4以内、50万円超~350万円の部分は補助率2/3以内
キャリアアップ助成金
キャリアップ助成金は、企業内での非正規労働者(有期契約労働者・短期契約労働者・派遣労働者など)の処遇改善、キャリアップ促進などの取り組みを実施した事業者に対して、かかった経費の一部を補助する制度です。
キャリアップ助成金には「正社員への転換」「賃金改定の見直し」「働き方の見直し」など様々な実施項目があります。実施した項目に応じて、以下7つのコースに分かれます。
〈正社員化の支援〉
- 正社員化コース
- 障害者正社員化コース
〈処遇改善の支援〉
- 賃金規定等改定コース
- 賃金規定等共通化コース
- 賞与・退職金制度導入コース
- 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
- 短時間労働者労働時間延長コース
会社設立時に助成金・補助金を利用する際の注意点

助成金・補助金は返済義務のないお金ではありますが、利用時にいくつかの注意点があります。注意点を踏まえて慎重に検討するようにしましょう。
公募期間に注意する
助成金や補助金には、公募期間があります。助成金・補助金の種類によって異なりますが、多くの補助金では公募期間を1ヶ月前後と定めています。「気がついたら公募期間を過ぎていた」ということがないように、補助金・助成金の最新情報には常に注意して確認する必要があります。
また、書類作成には時間がかかります。申請する補助金を決めたら、締切日から逆算してスケジュールを決め、時間に余裕をもって書類準備を進めていきましょう。
補助金は必ずしも受給できるわけではない
補助金を管轄するのは主に経済産業省や地方自治体で、財源は税金です。助成金は主に厚生労働省の管轄となり、財源は雇用保険料となっています。
助成金は、受給要件を満たしていれば受給することができます。一方、補助金は予算によって採択件数や金額が決まっていることが多く、申請しても必ずしも受給できるわけではありません。
補助金は、事業計画書など様々な判断材料をもとに審査され、支給の可否が決められます。支給額も高額となるため、毎年応募者が多く倍率も高くなりがちです。補助金を受給するには、補助金の目的を理解した上で、補助金活用による事業の実現性・妥当性を数字やデータを用いて具体的に説明することが重要になります。
原則後払いである
基本的に助成金・補助金は後払いとなり、すぐには支給されません。受給できるまでに時間がかかるため、その間の資金繰りには注意が必要です。最終的には費用の一部が補助されることになりますが、その間に手元資金が足りなくなる恐れがある場合は、他の資金調達方法を見つけておくなどの対策が必要です。
事業期間外の経費は認められないケースがある
通常、補助金では交付決定から最大10ヶ月の間に支出された経費を補助対象とするなど、事業期間が設定されます。事業期間外に支出した経費は対象として認められず、受給できない場合があります。事業のスケジュールと照らし合わせながら、準備を進めるようにしましょう。
会社設立時の資金調達方法にはどんなものがある?

補助金・助成金以外にも会社設立時に役立つ資金調達方法があります。以下の資金調達方法の特徴を押さえ、自社の状況も鑑みながら最適な方法を検討してみてください。
日本政策金融公庫の新創業融資
日本政策金融公庫は国が全額出資している公的機関であり、創業支援や中小企業の事業支援を行っています。
一般的に設立して間もない会社が民間の金融機関で融資を受ける場合、実績不足がネックとなり審査を通るのは厳しくなっています。日本政策金融公庫では創業して間もない企業への融資も行っており、起業時の資金調達方法として優先的に検討したいところです。
かつ、日本政策金融公庫の融資は、低金利・無担保・無保証人で借りることが可能というメリットがあります。返済期間も長く、余裕のある返済計画を立てることもできるため、会社設立時の融資を検討する場合は、日本政策金融公庫の創業融資を視野に入れるべきといえるでしょう。
地方自治体の制度融資
制度融資は、地方自治体と民間の金融機関、信用保証協会が連携して提供している融資制度です。低金利かつ長期的な借入ができるのが特徴です。一方で関わる機関が多いため、手続きに時間がかかる点に注意が必要です。
クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、インターネットを介して商品やサービス、実現したい事業などをプレゼンし、計画に賛同した人から資金を集める方法です。不特定多数の個人に対して小額から出資を募ることができ、金融機関などに融資を断られた場合でも資金調達できるというメリットがあります。
一方で、資金調達に時間がかかることや、必ずしも目標金額を調達できるわけではない点に留意しておきましょう。出資者に響く事業内容でなければ、思うように資金を集められない可能性があります。また、設定した金額に到達できなかった場合は、資金を受け取れないケースもあります。
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会社を設立するには、資金の準備が必要です。補助金・助成金は返済義務のないお金であり、会社設立時の助けとなります。しかし、原則後払いであるなど注意すべき点もあるため、補助金・助成金に絞らず、様々な資金調達方法を調べておくことが大切です。
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