2022年10月31日 基礎知識

赤字決算とは|メリット・デメリットと借入への影響、赤字決算のときの資金調達方法

赤字決算とは|メリット・デメリットと借入への影響、赤字決算のときの資金調達方法

事業を営む以上、収益を上げて黒字化することが目標です。しかし、様々な要因から最終的に赤字決算になることもあるでしょう。赤字決算と聞くとマイナスイメージを持たれがちですが、メリットもあります。今後の経営のためにも、赤字決算について理解することが大切です。当記事では、赤字決算とは何か、メリット・デメリットや借入への影響、赤字決算時の資金調達方法を紹介します。

目次

赤字決算とは

赤字決算とは

赤字決算とは、決算時において支出が収入を上回っている状態を指します。つまり、利益が出ずに損失が出ているということです。

しかし、赤字決算だからといってすぐに倒産するわけではありません。決算は一定期間の収支を示したものです。前年度で十分に利益が出ていたり、不動産など会社経営以外の収入があるなど、手元に資金の蓄えがあれば会社は存続します。

とはいえ、赤字決算は損失を出している状態ですから、赤字経営を続けていると蓄えている現金が枯渇してしまい、倒産してしまうリスクは高まります。

黒字決算でも倒産する可能性はある

黒字決算であっても、手元資金が枯渇してしまうと倒産する可能性が高まります。例えば、経理上は黒字であっても売掛金などの回収が遅れて支払いができなくなってしまうと、いわゆる「黒字倒産」が起きることがあるため注意が必要です。

常に自社の入出金状況を把握し、キャッシュフローがプラスになるよう資金繰りをコントロールすることも大切です。

赤字決算のメリット・デメリット

赤字決算のメリット・デメリット

赤字決算はデメリットだけでなく、メリットもあります。ここでは赤字決算のメリット・デメリットを詳しく見ていきます。

赤字決算のメリット

赤字決算のメリットは2つあります。

法人税を納める必要がない

赤字決算である場合、法人税を納める必要がなくなります。法人税は、以下の計算式で算出します。

課税所得金額×法人税率=法人税額

赤字決算になると課税所得がゼロまたはマイナスであるため、法人税額はゼロです。そのため、その期間における法人税の支払いはなくなります。

法人化していない個人事業主の場合も、課税所得がゼロまたはマイナスとなるため、所得税額はゼロとなります。

繰越欠損金控除が利用できる

繰越欠損金控除とは、赤字が発生した翌年度以降、最長10年間まで欠損金(赤字)繰り越せるという制度です。繰り越した赤字は翌年度以降に発生した黒字と相殺することが可能です。

例えば、前年度の赤字が300万円、今年度の黒字が200万円である場合、赤字と黒字を相殺できます。具体的な計算は以下の通りです。

300万円の赤字(前年度)+200万円の黒字(今年度)=100万の赤字計上(確定申告時)

本来であれば、今年度の200万円に対して課税されます。繰越欠損金控除を利用すると赤字と黒字を相殺することができるため、100万円の赤字計上となり、今年度の法人税は発生しないことになります。繰越欠損金控除は不測の事態によって多額の赤字が発生した場合に、非常に助かる制度といえます。

個人事業主の場合も最長3年間まで繰越控除が認められています。ただし、制度を利用するためには青色申告書で確定申告をすることが必須となります。事業を開始したら、開業届とともに青色申告承認申請書を所轄の税務署に申請しておくとよいでしょう。

繰戻し還付が利用できる

繰戻し還付とは、赤字を出した場合において、その赤字を前年度以降に繰り戻して法人税額の還付を請求できる制度です。この制度は前年度以前が黒字、今年度が赤字だった場合に利用できます。繰戻し還付金は以下の計算式で算出されます。

繰戻し還付金=前年度の法人税額×(今年度の欠損金額÷前年度の所得金額)

例えば、前年度が200万円の黒字、法人税額30万円、今年度が100万円の赤字だった場合、以下のように算出されます。

30万円(前年度の法人税額)×(100万円(今年度の欠損金額)÷200万円(前年度の所得金額)=15万円となり、15万円の法人税について還付請求できることになります。なお、この制度の適用条件は資本金が1億円以下、かつ青色申告で確定申告している企業となっています。

赤字決算のデメリット

赤字決算のデメリットは2つあります。

融資が受けにくくなる

金融機関から融資を受ける際は、決算書を提出するのが一般的です。金融機関は決算書をもとに返済能力を確認し、融資すべきかを判断します。赤字決算の場合、会社としての信用度が下がってしまうため、審査に通りにくくなる可能性が高まるといえます。

赤字決算は節税面ではメリットがありますが、赤字が続けば将来的に融資が必要になった場合に不利になってしまう点に十分に注意しなければなりません。

現金が枯渇して倒産する可能性がある

赤字決算だからといってすぐに倒産するわけではありません。倒産するのは、会社が貯蓄しているお金が不足したときです。しかし、赤字経営が続けば、会社の蓄えが徐々に減っていきます。最終的には支払いができず、債務超過の状態に陥り、倒産してしまう可能性が高まります。

赤字決算でも借入はできるのか?

赤字決算でも借入はできるのか?

金融機関から融資を受ける際は、決算書を提示する必要があります。銀行などの金融機関は決算書の内容を非常に重視するため、赤字経営であると審査通過のハードルが高くなってしまいます。しかし、赤字であっても以下のような場合であれば、融資を受けられる可能性があります。

●起業したばかりである

起業したばかりの創業期は初期費用や設備投資がかさむため、一時的に赤字になるケースがあります。これらの赤字は売上を維持できれば黒字化できるため、融資を受けられる可能性はあります。ただし、事業計画書に沿って着実に売上・利益を出せているなど、一定以上の実績が求められると考えておきましょう。

●臨時的な赤字である

災害や固定資産の売却損、設備投資などで一時的な赤字となっている場合、要因が解消されることで売上・利益が見込めると判断されれば融資を受けられる可能性があります。

赤字決算のときの資金調達方法

赤字決算のときの資金調達方法

赤字決算になると、銀行など金融機関の借入が厳しくなります。しかし、事業を継続していくためには、資金調達を行い赤字を補填しなければいけません。ここでは、赤字決算のときに活用できる3つの資金調達方法を紹介します。

ファクタリング

売掛金があるなら、ファクタリングを利用する方法があります。ファクタリングは、支払期日前の売掛債権をファクタリング業者に買い取ってもらい、早期に現金化する方法です。手数料を差し引いた金額が受け取れる仕組みです。急きょ資金が必要となったときや取引先の入金期日が遅い場合に便利な資金調達方法です。

ただし、ファクタリングのサービスを提供している会社は多数存在し、会社によって内容や手数料が異なります。資金調達の目的や自社の状況を加味した上で、自社に適したファクタリング会社を検討しましょう。

セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)

「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」は日本政策金融公庫が行っている融資制度です。社会的・経済的環境の変化などの外的要因で一時的に業績が悪化している事業者を対象に資金繰り支援を行っています。

一定の要件を満たすことで融資を受けられる可能性があります。将来の資金繰りが不安な方は検討してみましょう。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネット上で事業内容やサービスのプレゼンを行い、賛同してくれた人から少額ずつ資金を集める方法です。赤字決算であっても内容が魅力的であれば、資金を集められる可能性があります。

ただし、プロジェクト内容によっては、目標金額を達成できずに資金調達が上手くいかないケースもあります。クラウドファンディングを成功させるには、支援の特典となるリターンを工夫したり、積極的に告知を行っていくことが大切です。

「freee資金調達」で経営力を向上しよう

「freee資金調達」で経営力を向上しよう

赤字決算は、法人税を抑えられるといった税制面のメリットがあります。しかし、融資が受けにくくなるといったリスクもあり、今後の会社の存続・成長に影響してきます。意図せず赤字決算となっている場合は、経営を改善することが重要です。

赤字でも資金調達できる方法はあります。しかし、赤字決算を改善するためとはいえ、返済が難しい資金調達方法を選んでしまっては本末転倒です。経営の状況を把握した上で適切な資金調達方法を検討することが重要になります。

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