2021年7月21日 基礎知識

起業・開業時に知っておきたい事業資金調達の方法を徹底解説

事業を経営する上で資金調達は非常に重要です。融資、助成金・補助金、出資などのほか、法人クレジットカードや請求書の売却(ファクタリング)も資金調達に含まれます。事業規模に関わらず、資金調達について知っておいて損はありません。本記事では、事業資金調達について詳しく解説するとともに、いざという時に役立つ資金繰りについても詳しく解説していきます。

個人事業主が借入をするには?

目次

事業資金の調達とは

資金調達とは、事業に必要な資金を調達することをいいます。
融資、助成金・補助金、出資などのほか、法人クレジットカードや請求書の売却(ファクタリング)も資金調達に含まれます。様々な種類があるため、事業内容や現状によって適切な資金調達方法を選ぶことが重要です。

創業時の事業資金調達について

創業時の資金調達には、主に以下の方法があります。

  • 親戚や知人からの出資、自己資本
  • 日本政策金融公庫
  • 自治体
  • 銀行や信用金庫
  • エンジェル投資家
  • ベンチャーキャピタル
  • クラウドファンディング

知人や親戚からの出資、自己資本で足りない場合は、まずは日本政策金融公庫の融資に申し込みをしてみましょう。中小企業や小規模事業の支援を目的としているため、銀行融資よりも審査が受けやすく、金利も低めに設定されています。

日本政策金融公庫から借入した資金を滞りなく返済すると、それが実績となって他の金融機関からの融資にも有利になります。

日本政策金融公庫から事業資金を調達する

日本政策金融公庫は窓口を3つに分けており、企業規模や業界によって融資相談をする窓口は異なります。

  • 国民生活事業 … 個人企業や小規模企業向けの小口資金を融資。平均融資額は約700万円。短期運転資金の取り扱いもあり。
  • 中小企業事業 … 中小企業向けの長期事業資金を融資。平均融資額は約1億円。短期運転資金は取り扱いなし。
  • 農林水産事業 … 農林漁業や国産農林水産物を取り扱う加工流通分野の長期事業資金を融資。

個人事業主・フリーランス・小規模企業は国民生活事業、中小企業は中小企業事業への相談をおすすめします。

※ただし、融資制度に申し込みができる業種・企業の規模(資本金・従業員)は定められているので、事前に確認が必要です。

創業や新規事業・企業強化のための融資制度

創業や新規事業のために資金調達をしたい場合は、日本政策金融公庫の以下の融資制度がおすすめです。特に新創業融資制度は、事業を始める経営者の多くが利用しています。

融資制度 概要 限度額 融資期間
(うち据置期間)
新創業融資制度
(国民生活事業)
新たに事業を始める方または事業開始後で税務申告を2期終えていない方 3,000万円(うち運転資金1,500万円) 各融資制度に定めるご返済期間以内
新規開業資金
(国民生活事業)
新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方 7,200万円(うち運転資金4,800万円) 設備資金:20年以内(2年以内)
運転資金: 7年以内(2年以内)
新事業育成資金
(中小企業事業)
新規性、成長性のある事業を始めておおむね5年以内の方など 6億円 設備資金:20年以内(5年以内)
運転資金: 7年以内(2年以内)
女性、若者/シニア起業家支援資金 女性または35歳未満か55歳以上の方であって、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方 国民生活事業:7,200万円(うち運転資金4,800万円)
中小企業事業:7億2,000万円(うち運転資金2億5,000万円)
設備資金:20年以内(2年以内)
運転資金:7年以内(2年以内)
新事業活動促進資金 経営多角化、事業転換などにより、第二創業などを図る方など 国民生活事業:7,200万円(うち運転資金4,800万円)
中小企業事業:7億2,000万円(うち運転資金2億5,000万円)
設備資金:20年以内(2年以内)
運転資金: 7年以内(2年以内)
企業活力強化資金 卸売業、小売業、飲食サービス業、サービス業または一定の要件を満たす不動産賃貸業を営む方で、店舗の新築・増改築や機械設備の導入を行う方など 国民生活事業:7,200万円(うち運転資金4,800万円)
中小企業事業:7億2,000万円(うち運転資金2億5,000万円)
設備資金:20年以内(2年以内)
運転資金: 7年以内(2年以内)
海外展開・事業再編資金 海外展開を図る方など 国民生活事業:7,200万円(うち運転資金4,800万円)
中小企業事業:別枠14億4,000万円(うち運転資金9億6,000万円)
設備資金:20年以内(2年以内)
運転資金: 7年以内(2年以内)
地域活性化・雇用促進資金 承認地域経済牽引事業計画などに従って事業を行う方または雇用創出効果が見込まれる設備投資を行う方など 国民生活事業:7,200万円(うち運転資金4,800万円)
中小企業事業:7億2,000万円(うち運転資金2億5,000万円)
設備資金:20年以内(2年以内)
運転資金: 7年以内(2年以内)
ソーシャルビジネス支援資金(国民生活事業) 社会的課題の解決を目的とする事業を営む方など 別枠7,200万円(うち運転資金4,800万円) 設備資金:20年以内(2年以内)
運転資金: 7年以内(2年以内)

セーフティネットや復興支援のための融資

売上減少や取引企業の倒産、自然災害・感染症などの影響で資金繰りが悪化した場合も、日本政策金融公庫は積極的に・迅速に融資を行っています。

融資制度 概要 限度額 融資期間
(うち据置期間)
経営環境変化対応資金 売上が減少するなど業況が悪化している方 国民生活事業:4,800万円
中小企業事業:7億2,000万円
設備資金:15年以内(3年以内)
運転資金: 8年以内(3年以内)
金融環境変化対応資金 取引金融機関の経営破たんなどにより、資金繰りに困難を来している方 国民生活事業:別枠4,000万円
中小企業事業:別枠3億円
設備資金:15年以内(3年以内)
運転資金: 8年以内(3年以内)
取引企業倒産対応資金 取引企業などの倒産により経営に困難を来している方 国民生活事業:別枠3,000万円
中小企業事業:別枠 1億5,000万円
運転資金: 8年以内(3年以内)
東日本大震災復興特別貸付 東日本大震災により被害を受けた方 国民生活事業:直接被害、間接被害を受けた方は各融資制度の限度額に上乗せ6,000万円
中小企業事業:別枠7億2,000万円
直接被害を受けた方
設備資金:20年以内(5年以内)
運転資金:15年以内(5年以内)

間接被害を受けた方
設備資金:20年以内(3年以内)
運転資金:15年以内(3年以内)

新型コロナウイルス感染症特別貸付 新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が減少するなど業況が悪化している方 国民生活事業:別枠8,000万円
中小企業事業:別枠6億円
設備資金:20年以内(5年以内)
運転資金:15年以内(5年以内)

銀行から事業資金を調達する

銀行から資金調達をするには、銀行の融資担当に決算書や事業計画書を提出し、それを元にした審査を通過する必要があります。
銀行から融資を受けるためは主に以下の書類が必要です。

  • 登記簿謄本
  • 印鑑証明書
  • 納税証明書
  • 決算書(損益計算書、貸借対照表)※2-3期分を求められることがあります
  • 確定申告書
  • 資金繰り表
  • 事業計画書
  • 試算表
  • 借入状況一覧
  • 手持工事明細表(建設業の場合)

上記の書類を全て用意するには、ある程度時間がかかります。このため、銀行融資を受ける際は計画的に準備することが重要です。これらの書類を元に格付けされ、借入限度額や金利も決定します。

出資による事業資金の調達

出資による事業資金の調達には、クラウドファンディングや個人投資家、ベンチャーキャピタル(VC)などがあります。
クラウドファンディングとは、インターネットを介して第三者に広く資金を集める方法です。購入型、寄付型、投資型などいくつか種類があります。

入型
クラウドファンディング
新たな商品・サービスを事前に購入してもらうことで資金を集める。新規事業や新商品開発でニーズの規模がわからないときに、発売前のマーケティングや広報を兼ねることもできる。
寄付型
クラウドファンディング
集まった資金は全額寄付に。社会貢献を目的としたプロジェクトがメインで、環境保全や震災支援、子供支援など、社会的に共感性が高いものが多い。
投資型
クラウドファンディング
支援者に利子などの金銭的リターンが発生。資産運用的な側面があるため「ソーシャルレンディング」とも呼ばれる。

日本政策金融公庫や銀行から融資を断られても、消費者の共感が得られれば資金が集まる可能性があります。また、事業アイデアに新規創造性があれば、個人投資家やVCに出資をしてもらえる可能性もあります。

国や地方自治体の補助金・助成金

国や地方自治体は、新たな需要や雇用創出のために補助金や助成金を提供しています。
例えば、東京都の創業助成金(東京都中小企業振興公社)は限度額300万円(下限額100万円)、創業後5年未満の中小企業者等を対象に、従業員人件費、賃借料、広告費等、創業初期に必要な経費の一部を助成しています。

その他の事業資金調達

融資や出資の他には、請求書を現金化するファクタリングも資金集めの方法の一つです。また、事業用のクレジットカードで決済をすれば、支払いが先送りにできるので、手元に現金が足りない時に役立つでしょう。

資金調達には様々な方法がありますが、どれが自分の事業にあっているのかを判断するためにも、資金繰りの状況を把握することが重要です。
ここから先は、事業資金の調達と資金繰りについて解説します。

資金繰り・資金調達をサポート

この記事をご覧になっている方は、普段から資金繰りの状況についてチェックなさっているでしょうか。会計freeeのユーザーアンケートによると、定期的に資金状況についてチェックしている方は約50%、確認の方法は預金残高通帳です。

キャッシュは企業存続の命綱です。キャッシュフローや今後の資金繰り予測などは会社経営の重要な要素の一つであり、資金調達は企業継続・繁栄の重要な手段です。
ただし、資金繰りや資金調達は難しい、よくわからない。そう思っている方も多いのではないでしょうか。

そこで、freeeでは資金繰り・資金調達をスムーズにおこなうためのサービスを提供しています。

資金調達freee:複数の金融商品を簡単に比較・申込ができる

資金を調達したいが、なにが自社に適した調達手段なのか、借入できる商品なのかがわからないという経営者の大きな悩み。最終的には税理士の言う通りにするがこれで良かったのか?と不安がつきまといます。
資金調達freeeでは、いくつかの質問に答えれば複数の資金調達手段から、自社に最適な商品を比較できる形で紹介。サービスは即日利用が可能で、そのままオンラインで申し込みまでが可能になります。

資金調達freee画面

事業用クレジットカード:freeeカード

資金調達、資金繰りの手段として最後にご紹介したいのが事業用クレジットカード(ビジネスカード)です。
「独立する前にクレジットカードを作っておくように」と勧められたことはありませんか?一般的に、個人事業主、フリーランス、経営者などご自身で事業を運営するようになると、クレジットカードの審査に通りにくくなると言われています。

しかし、支払いを先送りする方法としてクレジットカードは有効な手段の一つです。このためfreeeでは、事業をお持ちの方に特化したクレジットカードを提供しています。ブランドはVISA、Master、American Expressといった主要国際ブランドを揃えた豊富なラインナップを揃えており、オンラインからすぐに申し込むことが可能です。

まとめ

事業を運営・拡大していく上で資金繰りに関する問題は避けて通れない道です。また、なかなか相談相手がいない話題でもあります。

資金調達freeeや会計freeeのデータを活用して、事業を効率的に運営していきましょう。

* この記事は2020/09/24時点の情報をまとめたものです。

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  • ローン商品や給付金等の情報は、特に断りがない限り記事公開現在のものです。最新の情報は各金融機関のホームページや公式サイトでご確認ください。
  • freee資金調達はお客様のサービス選択時の参考情報提供を目的としており、特定の金融機関、ローン商品の優劣を示したものではありません。
  • 各金融機関の審査結果によっては利用できない場合があります。

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