2023年8月18日 基礎知識

経営戦略の策定に役立つフレームワーク7つ|経営戦略の代表例も解説

経営戦略の策定に役立つフレームワーク7つ|経営戦略の代表例も解説

企業が市場競争に勝ち残るためには、経営戦略が必要です。しかし「経営戦略を策定するには何から始めたらいいのか」「効果的な経営戦略を立てるにはどうすればいいのか」という場合もあるでしょう。経営戦略の策定に役立つのが「フレームワーク」です。

本記事では経営戦略を策定する際の基本的な順番をはじめ、おすすめのフレームワーク、代表的な経営戦略の例まで解説します。

目次

経営戦略策定の基本的な順番

経営戦略策定の基本的な順番

経営戦略の策定では、以下の順番に沿って進めていくのが基本です。

  1. 外部環境分析
  2. 内部環境分析
  3. 戦略オプションの立案・選択

それぞれ詳しく見ていきましょう。

外部環境分析

外部環境分析とは、自社を取り巻く外部の環境要因について分析することをいいます。経済動向や社会情勢、技術革新といったマクロ外部環境と、市場・顧客や競合動向などのミクロ外部環境に大別されます。

外部環境の変化によって自社のポジションが変わったり、これまで強みとしていたことが競争優位性を失ったりすることもあります。そのため、筋のよい経営戦略を立てるには、まず外部環境を的確に把握することが重要になります。

内部環境分析

内部環境分析とは自社内の環境を分析することをいい、プロダクトや技術、人材、ノウハウ、ビジネスプロセス、コンテンツなどあらゆるものが含まれます。外部環境は自社でコントロールすることができませんが、内部環境は経営戦略によってコントロール可能なものと捉えることができます。

市場ニーズや競合比較における自社の強み・弱みを分析することで、精度の高い戦略策定が可能になります。ちなみに、競争優位性を生み出す源泉となる自社独自の強みのことをコア・コンピタンスといい、経営戦略を検討する上での重要なキーワードとなっています。

戦略オプションの立案・選択

外部環境と内部環境の分析を踏まえ、戦略オプションを立案して最適な戦略を選択します。戦略オプションには市場進出の方法、製品・サービスのポジショニング、顧客ターゲティングなどが含まれます。なお、戦略は組織のビジョンや目標とマッチしたものであることが重要です。

経営戦略の策定に役立つフレームワーク7つ

経営戦略の策定に役立つフレームワーク7つ

ここでは、経営戦略に役立つフレームワークを7つピックアップして紹介します。自社の状況に照らし合わせながら、活用していきましょう。

PEST分析

PEST分析とは、Political(政治)・Economic(経済)・Social(社会)・Technological(技術)の視点で、自社を取り巻く外部環境要因を分析します。

  • 政治(Politics):法規制、国の政策、税制の見直し
  • 経済(Economy):景気、為替相場、日銀短観
  • 社会(Society):人口推移、世論
  • 技術’(Technology):技術改革、特許

これらの外部要因は企業の成長に大きく影響するため、しっかり分析する必要があります。企業が生き残るためには、外部環境の変化を汲み取りながら、時代やトレンドに合わせた事業やサービスを展開することが大切です。

ファイブフォース分析

ファイブフォース分析とは、外部環境における下記5つの脅威(フォース)に着目したフレームワークです。

  • 競合企業の脅威
  • 新規参入企業の脅威
  • 代替品の脅威
  • 買い手の交渉力
  • 売り手の交渉力

ファイブフォース分析では、外部環境要因の分析をもとに、自社に対する脅威や優位性の把握、課題発見などを行います。新規参入や撤退を検討する際の参考材料として活用できるフレームワークです。

3C分析

3C分析は、Customer(市場・顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)の3つの要素から競争環境を分析するフレームワークです。

  • Customer(市場・顧客):市場規模、市場成長性、法改正、技術革新、顧客ニーズなど
  • Competitor(競合):市場シェア、事業規模、顧客層、ブランド力、ビジネスモデルなど
  • Company(自社):市場シェア、ポジション、顧客層、ビジネスモデルなど

3C分析を活用することで、自社の現状と自社を取り巻く外部環境を客観的に捉えることができます。自社の課題や成功要因をつかみやすいため、経営戦略策定で多く用いられている手法です。

VRIO分析

VRIOとは、Value(価値)・Rarity(希少性)・Imitability(模倣困難性)・Organization(組織)の頭文字を取ったものであり、企業のリソースや能力を評価するフレームワークです。

VRIO分析では、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報など)における自社独自の強み(コア・コンピタンス)を明確にすることが可能です。自社のリソースや能力が他社と比較して優れた価値を持っているか、競合他社が容易に模倣できないものであるか、また企業がそのリソースや能力を効果的に活用できているかなどを分析できます。

SWOT分析

SWOT分析とは、下記の4つの視点から市場機会について分析するフレームワークです。

  • Strengths(強み)
  • Weaknesses(弱み)
  • Opportunities(機会)
  • Threats(脅威)

SWOT分析を行うことで市場における自社の競争力を理解でき、戦略的な優位性を見出すことが可能です。

具体的には、内部環境と外部環境におけるプラス要因とマイナス要因を洗い出した上で、自社の強み・弱み、外部環境における機会・脅威を整理します。内部環境要因には、プロダクト・技術・ブランド力・価格・生産体制・販路などがあります。外部環境要因には市場の成長性、トレンド、法改正、技術の進化、競合動向などがあります。

また、4つそれぞれの要素を掛け合わせて分析する「クロスSWOT分析」では、以下の戦略を導き出すことができます。

  • 強み×機会:自社の強みを活かして機会を捉える戦略
  • 弱み×機会:自社の強みを克服して機会を捉える戦略
  • 強み×脅威:自社の強みによって脅威を乗り越える戦略
  • 弱み×脅威:最悪の事態に陥らないようリスクを避ける戦略

STP分析

STP分析とは、Segmentation(市場細分化)・Targeting(絞り込み)・Positioning(位置づけ)の3つの要素を組み合わせたフレームワークです。

ターゲットとする市場や顧客層が曖昧であると、経営戦略の方向性も定まりにくくなります。STP分析を行うことで、どの市場・顧客層をターゲットにして、どのようなポジションを狙うのかが明らかになります。

  • Segmentation(市場細分化):市場を特定のセグメントに分割し、それぞれのセグメントの特徴・ニーズを把握する
  • Targeting(絞り込み):分析したセグメントにおいて狙うべきターゲット市場を選択する
  • Positioning(位置づけ):選択したターゲット市場において、どのような付加価値を提供していくかを考えながら、自社の戦略や位置づけを決定する

4P分析

4P分析とは、Product(製品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(販促)の4つの視点から商品・サービスの課題・改善点やマーケティング戦略を考えるためのフレームワークです。

  • Product(製品):顧客に購入してもらうためにはどのような機能・デザインであるべきかを考える
  • Price(価格):市場競争力や顧客の価値観に基づいて適切な価格を検討する
  • Place(流通):自社の顧客層に合わせて効果的な販売チャネルや流通戦略を決める
  • Promotion(販促):費用対効果を見極めながら、広告やキャンペーン、メディア露出といった最適なプロモーション方法を検討する

経営戦略の代表例

経営戦略の代表例

ここでは、経営戦略の代表的な例を3つ紹介します。

多角化戦略

多角化戦略は、自社が保有している技術・ノウハウを活かしながら新たな事業領域に進出する戦略です。既存事業と異なる市場や産業に参入することで、収益の多角化やリスクの分散を図ることができます。

多角化戦略には、既存事業で培った技術や販路などを活用する水平展開型の戦略や、自社が保有する技術との関連性は低いものの、すでにネットワークを構築できている市場・顧客層に新商品を投入する垂直展開型の戦略など様々な考え方があります。既存事業とのシナジー効果が見込める展開を見極めることがポイントです。

差別化戦略

差別化戦略は、競合他社との差異化を図り、独自の付加価値を提供することで市場での競争優位性を確立する戦略です。差別化要因には、製品の機能性や品質、デザイン、アフターサービスなどが挙げられます。他社には真似できない独自性を作ることが差別化戦略においてなによりも重要です。

差別化戦略の成功のためには、顧客のニーズと要求を深く理解しなければいけません。市場調査や顧客インサイトの分析、継続的なイノベーションと品質向上、効果的なマーケティングとブランディングなどを積極的に行うことが他社との差別化につながります。

ニッチ戦略

限られた市場セグメントや特定の顧客層に焦点を絞り、そのニーズに特化した製品やサービスを提供する戦略です。大手競合他社が手を出しづらい小さな市場をターゲットとするため、競合他社との競争を避けながら市場シェアを独占できる可能性を秘めています。また、参入した当初はニッチ領域だったものが、のちに大きな市場規模に成長することもあります。

ただし、ニッチ市場は収益性を安定させることが難しいという側面もあります。顧客アンケートやインタビュー調査、市場調査などを通じてマーケットを的確に把握し、計画的に戦略を練ることがポイントです。

経営戦略の実行に役立つ資金調達方法を見つけられる「freee資金調達」とは

経営戦略の実行に役立つ資金調達方法を見つけられる「freee資金調達」とは

フレームワークを活用することで、自社の経営戦略の精度を高めることができます。様々な種類があるので、自社の目的に応じて使い分けることもポイントです。

また、経営戦略を検討する中では資金がネックになって施策を進められないことも考えられます。経営戦略に応じて計画的に資金調達することは、経営者にとって必要なスキルといえます。

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