多店舗展開のやり方とメリット・デメリット|適したタイミングと成功のポイントも解説

事業拡大戦略の一つとして多店舗展開を検討している経営者も多いでしょう。当記事では、多店舗展開のやり方やメリット・デメリット、適したタイミング、成功のポイントについて解説します。
「多店舗展開を実施するべきかどうか悩んでいる」
「多店舗展開のメリットや注意すべきことを知りたい」
このような悩みを抱えている店舗運営者や経営者の方は、ぜひご一読ください。
目次

多店舗展開とは

多店舗展開とは、企業が複数の店舗を展開・運営する戦略のことです。店舗数を増やすことで売上拡大が期待できることから、飲食業・小売業・サービス業など多くの業界で採用されています。この戦略には、主に以下の2つのやり方があります。
- 直営店方式
- フランチャイズ方式
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
直営店方式
直営店での多店舗展開は、企業が自社で運営する店舗(チェーン店)を増やす方法のことをいいます。店舗の出店や設備投資、スタッフ採用、運用管理などすべての業務を本部企業が担います。
直営店方式のメリットは、自社から直接指示ができるため、店舗・スタッフの育成や管理が比較的やりやすい点です。また、各店舗の売上は自社の売上となるため、利益を拡大できる可能性があります。しかし、店舗が増える分、経費の負担が大きくなるリスクがあるため、慎重な計画が必要です。
フランチャイズ方式
フランチャイズでの多店舗展開は、他の事業者(加盟店)に自社ブランドを提供して運営を行ってもらう方法です。加盟店に対して、自社で開発したメニューや運営ノウハウなどを提供する代わりに、加盟金や売上手数料などのロイヤリティを受け取ることができます。
この方法の利点は、初期投資費用を抑えつつ展開スピードを速められる点です。しかし、フランチャイズの管理が複雑になることがあるため、適切な指導とサポートが必要になります。フランチャイズ店の評判が自社のブランドイメージにも影響する点にも留意しておく必要があるでしょう。
また、フランチャイズ本部企業は「フランチャイザー」、フランチャイズ加盟店は「フランチャイジー」と呼ばれます。
多店舗展開の5つのメリット

多店舗展開には、以下の5つのメリットがあります。
- 売上が増加する
- コストを削減できる
- 認知度アップにつながる
- リスクを分散できる
- 従業員のモチベーションを向上できる
これらのメリットを最大限に活用することで、企業の成長が期待できるでしょう。各メリットについてそれぞれ解説していきます。
売上が増加する
店舗を増やし商圏を拡大することで、売上増加が期待できます。当然ですが複数の店舗を運営すれば、それに比例して店舗全体の来客数も増加し、売上も増えます。新しい出店場所で新しい客層を獲得できるのも多店舗展開ならではのメリットです。
また、初めて来店した顧客がリピーターになれば、他の店舗を利用してもらえる可能性も高くなります。「1店舗の売上 ✕ 店舗数」という単純な計算だけでなく、多店舗展開によってブランド価値を高めることで、さらなる収益増加の機会が見込めるでしょう。
コストを削減できる
多店舗展開は、1店舗のみの運営に比べてコスト効率を高められるというメリットがあります。複数店舗で大量に仕入れることで仕入先との値下げ交渉がしやすくなるため、企業全体のコストを削減できるからです。仕入れの増加で1単価あたりのコストを抑えられれば、そのまま収益の向上に直結します。
また、店舗間の人材活用において融通が利くのもポイントです。従業員が不足している店舗に他店舗から従業員を補充することで、一時的な繁忙期のための採用や教育にかかるコストを抑えられます。
認知度アップにつながる
多店舗展開には認知度アップの効果も期待できます。特定の地域に複数出店する場合は顧客の目に留まる機会が多くなり、地域間での口コミや評判が広まりやすいためです。大規模な広告を出さなくても、集客を上手く行いやすくなります。
認知度が高まり顧客からの信頼を得られれば、新規顧客やリピーターの増加も見込めるでしょう。
リスクを分散できる
多店舗展開はリスクを分散できるのもメリットです。1店舗だけ営業していると、1店舗の売上の良し悪しによって経営が左右されてしまいます。多店舗展開では、1店舗の売上が低迷している場合も他の店舗でカバーしながら、経営を継続することが可能です。
リスクが分散され、1店舗で経営するのと比べて経営を安定させやすくなります。
従業員のモチベーションを向上できる
複数店舗を展開するようになれば、各従業員に任せる役職やポジションが増えます。昇格・昇給のチャンスが増えれば、従業員のモチベーションアップにつながります。従業員の成長とともに、企業全体のサービス品質も向上するでしょう。
多店舗展開の3つのデメリット

多店舗展開を検討する際は、以下の3つのデメリットも考慮する必要があります。
- 経費の負担が大きくなる
- 人材の確保・育成が必要になる
- 経営管理が複雑化する
これらのデメリットを理解して適切に対処することで、多店舗展開時のリスクを軽減できます。
経費の負担が大きくなる
多店舗展開では、新店舗への初期費用がかかります。多店舗展開することで仕入れコストは削減できますが、物件取得費・人件費・水道光熱費などの経費の負担は大きくなります。
展開する地域や店舗の規模によっては予想以上に高額になるケースもあり、売上によって必要経費をカバーできなければ、赤字になってしまう恐れもあるため注意が必要です。
人材の確保・育成が必要になる
店舗を拡大するにあたっては、当然ながら人材を確保しなければいけません。人材不足で顧客への対応品質が悪化してしまっては本末転倒です。募集してすぐに人材が集まるとは限らないので、余裕を持って準備を進める必要があります。
また、多店舗展開で各店舗のサービス品質を維持するためには、人材の育成が必要です。店舗数が増えたことでサービスが低下してしまうと、既存店舗にも悪影響を及ぼしてしまうリスクがあります。
教える側の負担が増えてしまう点もデメリットの一つです。マニュアルを作成したり、信頼できるスタッフに育てたりするなどの対策が必要です。
経営管理が複雑化する
店舗の経営では、売上集計、仕入れ発注、人材採用、在庫管理といった作業が発生します。複数の店舗を運営するとなると、経営管理が複雑化し、目が行き届かなくなる可能性が生じます。
必要に応じて複数店舗の情報を一括で確認できるシステムの導入を検討するのも一つの方法です。
多店舗展開に適しているタイミング

多店舗展開を検討する場合、自社の状況を踏まえながらタイミングを見極めることが重要です。多店舗展開を検討し始めるのに適しているのは、以下3つのタイミングです。
- 1店舗目が安定的に黒字化している
- 十分な人材を確保できている
- 資金調達ができる
これらの条件が整っている場合、多店舗展開の成功確率が高まるでしょう。
1店舗目が安定的に黒字化している
1店舗目が安定的に黒字化しているようであれば、多店舗展開を検討するタイミングといえます。1店舗目で利益を十分に出せていれば、2店舗目が軌道に乗るまでの運転資金をカバーできます。また、1店舗目の成功体験とノウハウが、新店舗を運営する際に役立つでしょう。
なお、1店舗目が安定しない状態で2店舗目以降の店舗を成功させるのは厳しいといえます。最初の店舗が十分な利益を生み出していない場合、その影響は新店舗にもおよび、結果的に経営全体に大きな影響を与える可能性があります。
十分な人材を確保できている
既存店舗にて人材を確保し、育成している状態であれば、新しい店舗の運営をスムーズに進めやすくなります。経営者は2店舗目の出店に時間と手間を取られてしまうため、1店舗目を一任できる人材を確保していることが、多店舗展開を検討するタイミングといえるでしょう
資金調達ができる
金融機関の融資を受けられるなど、資金調達ができる場合も多店舗展開を図る良いタイミングといえます。多店舗展開は、1店目同様に初期費用がかかります。融資が下りれば、手元に資金を残した状態で店舗を運営できます。
また、融資を受けられるのは、金融機関視点で事業が成功すると判断されたことになります。多店舗展開を検討している事業者にとっても良い判断材料となるでしょう。
多店舗展開を成功させる3つのポイント

多店舗展開を成功させるには、以下の3つのポイントを押さえて取り組むことが重要です。
- 出店計画を慎重に検討する
- 資金繰り計画を入念に行う
- 余裕を持って資金調達をする
これらのポイントを押さえることで、計画的かつ効果的な展開が可能となります。
出店計画を慎重に検討する
多店舗展開を成功させる上で、出店計画は慎重に検討しましょう。1店舗目の成功を踏まえても、新しい場所や地域では需要や競合状況が異なる可能性があります。1店舗目が上手く軌道に乗ったからといって、同じような流れで出店計画を進めてしまうと失敗してしまう恐れがあります。
2店舗以降も出店予定エリアの市場調査を入念に行い、顧客のニーズや嗜好、競合他社の存在を把握しておくことが成功につながります。
資金繰り計画を入念に行う
新店舗の展開には多額の資金が必要です。予期せぬ支出にも対応できるよう資金繰り計画を入念に行うことが重要です。
また、2店舗目を展開する際に金融機関から借り入れる場合、既存店舗の未返済額と合わせて、全体の返済計画を見直すことも重要です。資金繰りの失敗は事業全体の失敗につながることもあるため、綿密な計画・管理が必要です。
余裕を持って資金調達をする
余裕を持って資金調達をすることも大切です。2店舗目を開始しても計画通りに進むとは限りません。資金計画上では自己資金だけで足りそうな場合であっても、余裕を持って資金を調達しておくことで経営が安定しやすくなります。
融資に関しては期日になったら返済していかなければいけません。資金に余裕がなかったり、売上が低迷していたりすると融資の返済が経営を圧迫してしまう恐れがあります。
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多店舗展開することで、売上向上や認知度アップ、リスク分散といったメリットがあります。多店舗展開を成功させるためにも出店タイミングをしっかり見定め、出店計画を立てることがポイントです。
また、店舗の規模や出店場所によって必要な金額は異なります。外部から資金調達を検討する際は、金額・条件などをしっかり考慮した上で、自社に適切な資金調達方法を選択することが大切です。
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