2021年9月6日 コラム

銀行融資の審査基準や格付けについて教えてください[質問No.2]

【教えて!やましゅうさん!】スモールビジネス経営者の資金繰りお悩み相談室

「資金の相談をできる人がいない」「ファイナンスのスキル・ノウハウを高めたい」
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このコーナーでは、経営者が抱える資金繰り・資金調達の悩みに、企業のコーポレート部門で責任者として資金調達や株式上場を主導し、現在は公認会計士・税理士として活躍する経験豊富な専門家が回答し、課題解決のヒントや新たな気づきを提供していきます。ぜひご活用ください。

銀行の審査では何を見られているのか

Q. 銀行融資の審査基準や格付けについて教えてください。

銀行からの借入を検討しています。
銀行の融資審査では、格付けが行われると聞きました。
どのような基準で審査されるのか教えてください。

A. 審査は決算書情報+経営者の実績・姿勢などでジャッジされる

金融機関ごとに特有の審査制度を持っていますが、原理原則はどこも概ね同じで、以下のような流れで進むといわれています。

①【格付け】
②【稟議】
③【融資実行】
④【事後モニタリング】

以下、詳しく見ていきましょう。

銀行の審査を通過するには2ステップが必要

まず忘れてはいけないのは、融資する側の金融機関もビジネスであるということ。返済されず、赤字が出る可能性が高い会社に貸していてはボランティアになってしまいますよね。ですから、「貸したお金が返ってくる」可能性を見出して貸すことが全ての話のスタートとなります。

これを踏まえて、銀行の審査を通過するには大きく2ステップをクリアする必要があります。

ステップ1:格付け

ステップ1が格付けです。次の2つによって評価されます。

●決算書の貸借対照表(BS:バランスシート)の数字 ※過去2~3年分

●経営者や業界の定性情報

まずは決算書の内容を見て、会社を定量的に評価します。決算書の数字を金融機関のシステムに打ち込むと、自動的に点数が付けられる仕組みになっているようです。この段階で債務超過がある場合、よほどの特殊性がない限りは次に進めないと思ったほうがよいでしょう。また、代表者が過去に個人的な債務の焦げ付きがあるといった場合も、審査には通らないことが多いといわれています。

続いて、財務分析の結果を補完する形で経営の定性情報が確認されます。たとえば、経営者の真摯な姿勢、業界におけるその会社のポジション、業界自体の成長性などです。これらの情報は、経営者へのヒアリング時や、あらかじめ記入してもらう借入申込書などから収集します。このほかに、経営者の経歴も重視されます。その事業をやり切れるのかを判断する上で、過去の実務経験や実績などを見るわけです。

つまり、「決算書の定量情報+経営者や業界の定性情報」による格付けが、ステップ1ということです。

なお、金融機関がこの格付けの中身を教えてくれることは、通常はないと考えられます。格付けについては、金融庁の金融検査マニュアル(現在は廃止)による債務者区分の実務の影響が大きいといわれています。

※金融庁|法令・指針等

TwitterやYouTubeなどでも格付けに関する情報はたくさん提供されているので、詳細に学びたいという方はチェックすることをおすすめします。

ステップ2:稟議

融資対象の格付けを確保したら、ステップ2に進みます。ステップ2は銀行の担当者が稟議をあげるという段階で、ここで融資額や金利、返済条件などが決まります。

このとき重要になるのが、銀行の担当者は自分に代わって上司に稟議をあげてくれる存在ということ。つまり申込者の味方といっても過言ではありません。担当者からいろいろな資料を求められることがあると思いますが、それは稟議を通すために必要だからです。したがって、担当者が稟議をあげる際に有利になるような要素を、嘘がない範囲でしっかりアピールすることが重要になります。

ステップ2では、どういう枠組みで、いくら借りたいのかを説明できることが大事です。ほとんどの場合、運転資金・設備投資・つなぎ融資のいずれかになると思われますが、資金使途を明確に説明できるようにしておくことが重要になることを覚えておいてください。

融資における審査について更に知りたい方は、下記の記事を参考にしてみてください。

山本 修一
山本 修一

公認会計士・税理士
株式会社ロバスト・スチュワード 代表取締役社長

Ernst&Young(現EY)にて、国内上場企業や外資日本法人向けの会計監査および法人税務サービスに7年間従事。その後NXP Semiconductors(NASDAQ)の日本子会社での経理財務担当のポジションを経て、ランサーズ株式会社に入社。コーポレート部長として経営管理および上場準備業務を担当(同社は2019年東証マザーズ上場)。
同社を退社後は公認会計士事務所としての活動により、広くベンチャー企業の経営管理を外部からハンズオンでサポートするかたわら、自身もベンチャー企業の社外監査役を務める。2021年、株式会社ロバスト・スチュワードを設立し、なめらかな専門性を社会に還元するための事業開発に取り組む。京都大学経済学部経済学科卒業。

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