【2023年版】小売業が活用できる補助金・助成金7つ|採択事例もあわせて紹介

小売業では、消費者のニーズに応じた仕入や販促など様々な費用が発生します。返済の必要がない補助金・助成金は安定的な事業運営を助ける資金調達方法であり、優先的に検討したい制度です。本記事では、事業展開や労働環境の改善などを検討している小売業事業者におすすめの補助金・助成金をピックアップして解説します。採択事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
※補助金・助成金の内容は記事執筆時点の情報です。各補助金・助成金の最新情報は省庁や自治体の公式ページをご確認ください。
目次

小売業におすすめの補助金・助成金

小売業におすすめの補助金・助成金を7つ紹介します。
- 事業再構築補助金
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- キャリアアップ助成金
- 働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)
- 【東京都】インバウンド対応力強化支援補助金
補助金・助成金によって補助対象となる取り組みが異なります。自社の事業に合致した制度を活用しましょう。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、コロナ禍などの影響により事業の再構築が必要となっている事業者を支援する経済産業省の制度です。新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編といった事業再構築にかかる費用の一部を補助します。
取り組み内容に応じて様々な申請枠が設けられているのが特徴です。従業員の最低賃金を上げたときに申請できる最低賃金枠や、温室効果ガス削減のための設備投資や技術開発を行ったときに申請できるグリーン成長枠などがあります。
取り組み内容に応じて様々な申請枠が設けられているのが特徴です。従業員の最低賃金を上げたときに申請できる最低賃金枠や、温室効果ガス削減のための設備投資や技術開発を行ったときに申請できるグリーン成長枠などがあります。
支給対象 |
新分野転換や業態転換、業種転換、事業再編などに取り組む事業者 |
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対象経費 |
建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費 |
補助額 |
・成長枠:100万円〜7,000万円 ・グリーン成長枠:100万円~1.5億円 ・卒業促進枠:成長枠・グリーン成長枠の補助金額上限に応じて変動 ・大規模賃金引上促進枠:100万円~3,000万円 ・産業構造転換枠:100 万円~7,000万円 ・最低賃金枠:100万円〜1,500万円 ・物価高騰対策・回復再生応援枠:100万円~3,000万円 |
補助率 |
1/2〜3/4 |
ものづくり補助金
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金)は、中小企業や小規模事業者が革新的な製品・サービスを作る際に必要な設備投資を補助する制度です。条件を満たせば製造業だけでなく、小売業を含めた幅広い業種で活用できます。
ものづくり補助金には、以下の5つの枠が設けられています。
- 通常枠
- 回復型賃上げ・雇用拡大枠
- デジタル枠
- グリーン枠
- グローバル市場開拓枠
なお、大幅な賃上げに取り組む事業者については、従業員数に応じて補助上限額を引き上
げる特例があります。
支給対象 |
試作品の開発・生産プロセスの改善に取り組む中小企業・小規模事業者 |
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対象経費 |
機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費 |
補助額 |
・通常枠:100万円〜1,250万円 ・回復型賃上げ・雇用拡大枠:100万円〜1,250万円 ・デジタル枠:100万円〜1,250万円 ・グリーン枠:100万円〜4,000万円 ・グローバル市場開拓枠:100万円〜3,000万円 ●大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例 ※従業員数に応じて上限が引き上がる 5 人以下 :各申請枠の上限から最大100万円引き上げ 6~20人 :各申請枠の上限から最大250万円引き上げ 21人以上:各申請枠の上限から最大1,000万円引き上げ |
補助率 |
1/2~2/3 |
IT導入補助金
IT導入補助金は、生産性向上のためにITツールを導入する際にかかる費用の一部を補助する制度です。
ITツールは、IT導入補助金のホームページに記載されているものの中から選定可能です。小売業で多く活用されているITツールの例として、取引先とのやり取りを効率化する受発注システムや、商品データを自動で入力してくれるRPAツールなどが挙げられます。
IT導入補助金には、導入するITツールによって申請できる枠が異なります。通常枠ではソフトウェア・導入費用が含まれており、デジタル化基盤導入類型の場合はPCやタブレットも対象です。まずは自社の課題を明確にし、解決できる機能を持ったITツールを選定しましょう。
支給対象 |
ITツールを導入する中小企業・小規模事業者 |
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対象経費 |
ソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入関連費、ハードウェア購入費 |
補助額 |
・通常枠A類型:5万円〜150万円 ・通常枠B類型:50万円~450万円 ・セキュリティ対策推進枠:5万円~100万円 ・デジタル化基盤導入枠:(下限なし)~50万円以下、もしくは50万円超~350万円 |
補助率 |
1/2〜3/4 |
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者補助金は、生産性向上や販路開拓などに取り組む小規模事業者を支援する制度です。働き方改革や賃上げ、インボイス導入などに対応する小規模事業者をサポートすることで、地域雇用の安定と小規模事業者の持続的発展に寄与することを目的としています。
小規模事業者持続化補助金の小規模事業者は明確に定義づけられており、小売業の場合は常時使用する従業員の数が5人以下の事業者が対象です。
支給対象 |
販路開拓や生産性向上の取組などに取り組む小規模事業者 |
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対象経費 |
機械装置等費、広報費、展示会等出展費、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、専門家謝金、専門家旅費、設備処分費、委託費、外注費 |
補助額 |
・通常枠:50万円 ・賃金引上げ枠:200万円 ・卒業枠:200万円 ・後継者支援枠:200万円 ・創業枠:200万円 ・インボイス特例:50万円 |
補助率 |
2/3 ※賃金引上げ枠の場合、赤字事業者は3/4 |
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、非正規社員のキャリアアップを促進する取り組みに対して支援する助成金です。正社員化や処遇改善などの取り組みを実施した事業者に対して助成されます。
取り組み内容に応じた全6つのコースがあり、条件も様々です。例えば、有期雇用労働者等を正社員化した場合、一人あたり57万円が支給される「正社員化コース」、有期雇用労働者の基本給の賃金規定を改定し、3%以上増額した場合に支給される「賃金規定等改定コース」などがあります。
支給対象 |
正社員化・処遇改善などの取り組みを実施する事業主 |
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補助額 |
・正社員化コース:57万円/人(1年度1事業主当たり最大5人まで) ・賃金規定用改定コース:5万円〜6万5,000円(1年度1事業主当たり最大100人まで) ・賃金規定等共通化コース:60万円(1事業主当たり1回のみ) ・賞与・退職金制度導入コース:40万円(1事業主当たり1回のみ) ・短時間労働者労働時間延長コース:23万円7,000円〜29万5,000円(1年度1事業主当たり最大45人まで) |
働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)
働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)は、労働時間の削減や年次有給休暇の促進に対応するための環境整備に取り組む事業主に対して助成される制度です。小売業の場合は資本金5,000万以下、常時使用する労働者が50人以下が条件の一つとなっています。
支給対象 |
労働時間の削減や年次有給休暇の促進に取り組む中小企業事業主 |
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補助額 |
上限730万円 ※指定の成果目標の達成状況に応じて変動 |
働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース) |厚生労働省
【東京都】インバウンド対応力強化支援補助金
インバウンド対応力強化支援補助金は、東京都および東京観光財団が実施している補助金です。東京都内の宿泊施設、飲食店、免税店、体験型コンテンツ提供施設などが対象で、東京都を訪れる外国人旅行者の利便性や快適性を向上させることを目的に、新たに実施する受入対応強化の取り組みを支援しています。
小売業は、都内の免税店(中小企業者のみ)であれば補助対象です。
支給対象 |
東京都内の宿泊施設、飲食店、免税店など運営する事業主 |
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対象経費 |
【インバウンド対応力強化のために新たに実施する事業にかかる経費】 多言語対応、公衆無線LANの設置、クレジットカードや電子マネー等の決済機器の導入、館内及び客室内トイレの洋式化、外国人旅行者の受入対応、アクセシブル・ツーリズムに係る人材育成、災害時における外国人旅行者の受入対応 |
補助額 |
300万円/1施設・店舗・営業所 ※無線LAN設置の場合は、設置箇所数に15,000円を掛けた金額と補助対象経費の1/2の金額のいずれか低い方の金額を適用 |
補助率 |
1/2 ※「災害時における外国人旅行者の受入対応」に関してはは2/3 |
インバウンド対応力強化支援補助金|TCVB 公益財団法人 東京観光財団
小売業の補助金の採択事例

小売業における補助金の採択事例について紹介します。
テーマパークをつくり直販事業を強化(事業再構築補助金)
福岡県の伝統工芸品である久留米絣の卸・小売業を営む事業者は、コロナ禍による展示会中止やインバウンド削減により卸事業が打撃を受けました。他方、近場の観光客を中心としたマイクロツーリズムの需要が変わらない点に着目し、「触れて、学べて、楽しめる」体験型テーマパークをつくり、直販事業の強化に取り組むことにしました。
施設内のオープンファクトリーにIT自動括り機を導入し、来場者が実際の製造工程を体験できるよう工夫しています。また、カフェ施設やワークショップの運営により、久留米紐の魅力を発信できる場も増やしています。施設や機械は同業者・他産地にも広く解放し、収益増を図っている点もポイントです。
参照:九州経済産業局|「事業再構築補助金」採択・支援事例のご紹介
洋菓子店からマルシェ事業に転換(事業再構築補助金)
地域の新鮮な生産物を中心とする厳選素材を使ったケーキや生菓子・焼菓子などを提供している茨城県の洋菓子店は、コロナ禍で売上が激減してしまいました。
しかし、この状況を再構築のチャンスと捉えた同社は、強みである商品開発力と発信力を活かし、生産者と消費者が直接交流・販売できるマルシェ(フランスの朝市)事業に進出する決断をしました。
地域の生産者と連携して新鮮な果物や生花・特産品を仕入れることで、専門店のような売場を構築。さらにAIレジやサイトでの商品予約を連動させることでお客様の待ち時間の削減につなげることを可能にしています。他にも、システムを活用してフードロスを生まない仕入を実現する情報分析を行うなど、先端技術を活用して収益率の高い店舗を目指しています。
参照:中小機構|事業再構築補助金 採択事例「有限会社コート・ダジュール」
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