2023年5月10日 基礎知識

蕎麦屋を開業する方法|開業前のポイントや必要な資格、資金調達方法を紹介

蕎麦屋を開業する方法|開業前のポイントや必要な資格、資金調達方法を紹介

昔から日本人が食べ親しんできた蕎麦。脱サラや定年後に蕎麦屋を開業したいと考える人も少なくありません。当記事では、蕎麦屋開業のポイントや必要な資格・届出、開業資金、資金調達方法を紹介します。蕎麦屋の開業を検討している方はぜひ参考にしてください。

目次

蕎麦屋を開業する流れと押さえておくべきポイント

蕎麦屋を開業する流れと押さえておくべきポイント

蕎麦屋を開業して成功するためには、美味しい蕎麦を提供するだけでは不十分です。人気店となるためには開業前に決めておくべきポイントがあります。ここでは蕎麦屋を開業する際に把握しておくべきポイントを紹介します。

蕎麦職人としての技量を磨いておく

蕎麦屋は仕込みの腕によって味や香り、のど越しが変わる繊細な食べ物です。とくに手打ち蕎麦屋の場合は、粉をこねて生地を伸ばすといった力仕事が毎日続き、仕込みには相応の手間がかかります。安定した味を保つためには蕎麦職人としての技量を磨いておく必要があります。蕎麦屋で修行をするなど、経験を積んでおくことも重要なポイントです。

蕎麦屋のコンセプトを決める

蕎麦屋を開業するためには、コンセプトの設計が重要です。コンセプトとは、自店舗の特徴や魅力を明確にしたものです。開業する地域の特性やターゲット層を踏まえた上で検討する必要があります。

コンセプトを決める際は、以下の観点から整理していくとスムーズです。

  • 自店舗が狙うお客様はどのような人か(ターゲット)
  • どのようなお店にしたいか(出店場所、店舗の内装・外装)
  • どのようなサービスを提供するか(蕎麦の特徴、料金、メニュー構成)

仕入先・メニューを決める

蕎麦の味を決めるそば粉は、慎重に仕入先を決める必要があります。蕎麦の産地や製粉の方法、水分量などの違いによって蕎麦のコシ・歯切れ・のど越しは変わります。コンセプトやターゲット、予算を意識しながら自店に合ったそば粉を選ぶことが大切です。

また、客単価を上げるためには蕎麦以外のメニューを用意するという方法があります。たとえば、酒類やサイドメニュー、デザートを提供するなどの工夫をするとよいでしょう。

出店場所を検討する

出店場所も慎重に検討すべき要素の一つです。立地によって狙えるターゲット層は大きく変わります。例えば、オフィス街に店を構えるならビジネスマンがメインターゲットに、住宅地であれば家族連れもターゲットとなります。

また、立地によって物件取得費や毎月の家賃が大きく変わるため、採算が合うかどうかをしっかり試算することが重要です。物件に求める条件を整理した上で、不動産会社に相談しながら最適な物件を見つけましょう。

店舗の宣伝を行う

安定した売上につなげるためには、店舗の宣伝が必要です。開業後はもちろんのこと、開業前から店舗の宣伝活動を行い、認知度を高めておきましょう。以下に具体的な集客方法を記載しましたので、参考にしてください。

  • ホームページの作成
  • ポータルサイトへの出稿
  • Googleマイビジネスの登録
  • リスティング広告
  • SNS(Facebook,Twitter,Instagram)
  • ポスティングや新聞折込チラシ

集客方法によってはコストがかかるものもあるため、費用対効果を考えながら検討しましょう。

無料で始められるものには、GoogleマイビジネスとSNSがあります。GoogleマイビジネスはGoogleマップ上で店舗情報を表示できるサービスです。ユーザーが知りたいお店の情報を充実させたり口コミに返信したりといった工夫で、店舗の知名度アップにつながります。

SNSも幅広い世代に活用されているため有効な集客方法の一つです。各SNSによって以下のような特徴があります。

  • Facebook:原則実名登録のため、信頼性がある
  • Twitter:RT(リツイート)機能による拡散性がある
  • Instagram:写真や動画による訴求が可能

蕎麦屋の開業に必要な資格と届出

蕎麦屋の開業に必要な資格と届出

蕎麦屋の開業に必要な資格と届出は以下の4つです。

  • 食品衛生責任者
  • 飲食店営業許可
  • 防火管理者
  • 開業届

それぞれ見ていきましょう。

食品衛生責任者

食品衛生責任者は、飲食物の衛生管理を担っている責任者です。飲食店を営業する際は、1店舗につき1人以上の食品衛生責任者を配置しなければいけません。

食品衛生責任者は、食品衛生協会が主催している講習会を受講することで取得できます。講習会は食品衛生学・食品衛生法・公衆衛生学など約6時間の受講です。なお、栄養士、調理師、製菓衛生士などの有資格者は講習会が免除されます。

飲食店営業許可

蕎麦屋を開業するためには、保健所に申請して飲食店営業許可をとる必要があります。以下の流れで飲食店営業許可を取得します。

  1. 食品衛生責任者を配置する
  2. 営業許可の申請を行う
  3. 保健所に店舗の完成図面を提出する
  4. 保健所による施設検査を受ける
  5. 保健所から営業許可証が交付される

申請したら完成図面を提出します。施設検査が通れば保健所から営業許可をもらえます。内装・外装の工事後に不備や問題があったりすると、工事のやり直しなどが必要になる場合もあります。

保健所では、営業許可を申請する前の段階で事前相談を受け付けています。事前に相談しながら、不備がないように準備を進めていきましょう。

防火管理者

従業員を含める店舗の収容人数が30人以上の場合、防火管理者を選任する必要があります。防火管理者は条件によって「甲種」と「乙種」の2種類に分類されます。

  • 甲種:延べ面積が延べ面積が300㎡以上の場合
  • 乙種:延べ面積300㎡未満の場合

それぞれの講習時間は、甲種が2日間、乙種が1日の受講となります。各地域や受講年度によって申込の締切が異なるため、事前に確認しておきましょう。

開業届

個人で蕎麦屋を開業する場合は、所轄の税務署に開業届を提出します。開業届を提出しておくことで、確定申告で青色申告が選べます。青色申告をした個人事業主は、最大65万円の所得控除を受けられるほか、最長3年間の赤字の繰越ができるといった税制上のメリットがあります。

開業届は税務署の窓口で受け取る、もしくは国税庁のホームページで書類をダウンロードすることができます。開業届を効率的に作成したい方は「freee開業」の活用がおすすめです。freee開業は必要な項目を選択するだけで、最短5分で開業届が作成できます。

調理師免許の取得は必須ではない

飲食店の開業として、調理師免許は必須の資格ではありません。調理師免許を取得していなくても蕎麦屋を開業することができます。

とはいえ、調理師は衛生や調理全般の知識を証明する国家資格であり、お店の信頼度を示すのに役立ちます。また、調理師免許を取得しておくことで、食品衛生責任者資格を講習会なしで取得することが可能です。

飲食店での実務経験が2年以上あれば、調理師試験を受けることができます。

蕎麦屋の開業資金はどれくらい?

蕎麦屋の開業資金はどれくらい?

蕎麦屋の開業資金は店舗の規模や営業スタイルによって異なるため、あくまで目安として参考にしてください。開業する前に必要なコストをしっかりと試算しておきましょう。

費用

金額

物件取得費

500万円〜1,000万円

内装・外装工事費

300万円〜1,000万円

厨房設備(製粉機や製麺機など)

100万円〜500万円

広告宣伝費

5万円〜

開業資金を抑えるなら、飲食店の居抜き物件を検討するという方法があります。居抜き物件では厨房設備をそのまま使えるなど、初期費用を抑えつつ開業することが可能です。ただし、修理が必要な場合は想定外の出費となってしまうことがあるため、換気や排気などの設備に不備がないかをチェックしておきましょう。

また、製粉機や製麺機については、リース機器を活用することで初期費用を抑えられます。早期に経営を安定させる上では、開業時はなるべく初期費用を抑え、運転資金に回すことが大切です。

蕎麦屋を開業するときの資金調達方法

蕎麦屋を開業するときの資金調達方法

開業にあたって自己資金だけでは足りない場合、外部からの資金調達が必要です。ここでは、蕎麦屋を開業するときの資金調達方法について紹介します。

  • 日本政策金融公庫
  • 制度融資
  • 補助金・助成金

日本政策金融公庫

蕎麦屋の開業で優先的に活用したいのが、日本政策金融公庫の融資制度です。日本政策金融では中小企業や個人事業主を対象とした融資制度を多数用意しており、比較的低金利で融資を受けられるという利点もあります。

開業時に検討したいのは「新創業融資制度」です。無担保・低金利で最大3,000万円(うち1,500万円は運転資金)の融資を受けることが可能です。

なお、新創業融資制度では利用要件の1つとして「創業時、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる」という自己資金要件を設けています。一般的に、自己資金が多いほど審査に通りやすいとされています。

日本政策金融公庫総合研究所の「2022年度新規開業実態調査」によると、創業資金調達総額に占める自己資金の割合は21.3%となっています。このデータを加味すると、自己資金は10分の2以上を用意することが望ましいといえるでしょう。開業を決めたらコツコツと資金を貯めることが大切です。

制度融資

制度融資とは、地方自治体・民間の金融機関・信用保証協会の3機関が連携して提供している融資のことです。日本政策金融公庫と同様、低金利で融資が受けられます。地方自治体によって条件や融資内容が異なるため、制度融資を検討する場合は管轄の地方自治体に問い合わせしましょう。

ただし、3機関が審査に関与するため、審査に時間と手間がかかる点に注意が必要です。開業までのスケジュールを考慮した上で、資金調達が間に合うかどうかも確認しておきましょう。

補助金・助成金

補助金・助成金は国や自治体が提供している、原則返済不要のお金です。国の施策や自治体の取り組みによって、様々な補助金や助成金が募集されています。

例えば、小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者を対象に販路開拓等や業務効率化などにかかる費用の一部を補助してくれる制度です。最大で50万円の補助金を受給できます。各補助金・助成金の募集要項を確認し、自社事業とマッチするものを活用しましょう。

事業に合った資金調達方法を見つけるなら「freee資金調達」

事業に合った資金調達方法を見つけるなら「freee資金調達」

蕎麦屋を開業するためには、食品衛生責任者や飲食店営業許可など開業前に取得しなければいけない資格や届出があります。開業スケジュールに余裕を持って取得しておきましょう。また、開業資金が不足している場合は融資や補助金などの検討が必要です。各資金調達方法のメリット・デメリットを把握し、自分の事業に合った資金調達方法を見つけましょう。

最後に経営者のお悩みを解決する手段として「freee資金調達」をご紹介します。freee資金調達は、Web上に条件を入力するだけで様々な資金調達手段から最適なものを見つけられるサービスです。

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  • ローン商品や給付金等の情報は、特に断りがない限り記事公開現在のものです。最新の情報は各金融機関のホームページや公式サイトでご確認ください。
  • freee資金調達はお客様のサービス選択時の参考情報提供を目的としており、特定の金融機関、ローン商品の優劣を示したものではありません。
  • 各金融機関の審査結果によっては利用できない場合があります。

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