融資の借り換えとは?検討すべきタイミングと方法、審査のポイントを解説

融資の借り換えは、資金繰り改善や返済計画の立て直しをしたい経営者には魅力的な選択肢です。ただし、安易な借り換えには要注意です。今回は「事業融資の借り換えとは?」をテーマに、検討すべきタイミングと方法、審査でチェックされるポイントについて解説します。
目次

事業融資の借り換えとは

経営者の多くは、開業資金や設備投資・運転資金の調達のために、銀行などの金融機関から融資を受けます。事業融資の借り換えは、現在受けている融資を別のものに切り替えたり、他の金融機関の融資へ切り替えたりすることをいいます。
事業融資の借り換えを検討すべきタイミング
事業融資の借り換えでは、現在よりも条件のよい金利や返済期間の融資に乗り換えることで毎月の返済の負担を減らし、資金繰りの改善を図ります。事業融資の借り換えを検討すべきタイミングは「経営状況にあわせた返済計画にしたいとき」です。
例として、以下のようなケースにおいて借り換えを検討するとよいでしょう。
●既存の借入よりも良い条件に変更して、返済総額や返済期間の負担を減らしたい
●複数の借入を一本化して、月々の返済負担を減らしたい
●借り換えと同時に新規の融資を追加したい
事業融資の借り換え方法

事業融資の借り換えは、様々な金融機関で行われています。ここでは代表的な4つの方法をご紹介します。
方法1:銀行を利用する
事業融資の借り換えで一般的なのは、銀行を利用する方法でしょう。この場合の借り換えの選択肢は「同一銀行内での借り換え」と「他行への借り換え」の2つがあります。
同一の銀行内での借り換え
同じ銀行内で、すでに受けている融資を新たに借り換えるという方法です。より金利が低い融資に借り換えたい場合や、複数回にわたって借り入れたものを一本化して、月々の返済負担を減らしたい場合に有効な方法です。
他行への借り換え
他行への借り換えでは、より条件のよいものに借り換えたいときと、複数の銀行の借入金を一本化して毎月の返済負担を減らしたい場合とがあります。ただし、負担を減らすという観点では良い方法ですが、他行への借り換えは取引銀行の信頼を損ねる可能性があります。中長期的な視点でみたときに、本当に効果的な方法か否かをしっかり見極めることが大切です。
方法2:日本政策金融公庫を利用する
日本政策金融公庫は、民間金融機関を補完する政策金融機関として、創業促進や中小企業の支援を通し、地域経済ひいては日本経済の発展を促進することを目的としています。信用力の低い個人事業主や中小企業に積極的に融資支援をしていますが、日本政策金融公庫に借り換え専用の融資は存在しません。代わりに「公庫融資借換特例制度」を実施しています。
公庫融資借換特例制度とは、日本政策金融公庫ですでに借り入れをしていると利用できる、借り換えの仕組みです。社会的・経済的環境の変化や金融機関・取引関係の変化といった要因で資金繰りが厳しくなっている方、震災やコロナ禍で経営再建・資金繰りの調整を必要としている方が利用できます。
なお、日本政策金融公庫で借り換えの対象となるのは、日本政策金融公庫で行っている融資に限られます。民間の金融機関の融資は日本政策金融公庫へ借り換えできないので注意しましょう。
方法3:信用保証協会を利用する
信用保証協会の保証付きで融資を受けている場合、借換保証制度を利用することができます。借換保証制度とは、現在返済中の保証付き融資を新たな保証付き融資に借り換えることです。より返済期間の長い融資に借り換えて月々の返済負担を減らしたり、複数の保証付き融資を一本化したりすることができます。また、新規の設備資金・運転資金の融資を含めることも可能です。
自治体ごとに独自の借換保証制度を設けていることもあるので、管轄の自治体のHPをチェックしてみるとよいでしょう。中小企業庁が提示している借換保証制度に関するQ&Aも参考にしてみてください。
方法4:ビジネスローンを利用する
消費者金融などノンバンクのビジネスローンやカードローンで事業融資を借り換えるという方法もあります。複数の借入を一本化したい場合の選択肢となりますが、銀行や信用金庫などと比べて金利が高くなっている点に注意が必要です。返済期間が長期のものもありますが、借り換え前よりも返済総額が増えてしまう可能性があります。慎重に検討したうえで、選択することをおすすめします。
借り換えの審査でチェックされるポイント

事業融資の借り換えで審査されるポイントには、次の2つがあります。
●財務状況に問題がないか
●返済状況に問題がないか
借り換えをしたい企業のニーズは「より良い条件の借入に変更したい」「毎月の返済負担を減らしたい」など、資金繰りを改善したい場合がほとんどです。そのため、財務状況が悪化していないか、過去の返済履歴に問題がないかといった点は重点的にチェックされると考えていたほうがよいでしょう。
事業融資の借り換えで注意すべきこと

事業融資の借り換えは金利を安くしたり、返済計画を見直すことができたりと資金繰りを改善することができますが、一方で注意すべき点もあります。
注意点1:借り換え元・借り換え先のどちらにも手数料を支払う
事業融資の借り換えを行うときは借り換え元・借り換え先のどちらにも手数料を支払う必要があります。金額は融資額によっても変わりますが、一般的には10万円前後が必要です。まずは自身が支払う手数料がいくらなのかを確認しておきましょう。
注意点2:借り換え元の銀行と今後取引できなくなる可能性がある
同じ銀行内で別の融資に借り換えする場合は、金利や返済期間による返済総額に気をつけていれば特に問題はありませんが、他行への借り換えを検討するのであれば、借り換え元の銀行との関係悪化にも注意をしなくてはいけません。
他行への借り換えは、これまで付き合いのあった銀行から見れば裏切られたように捉えられてしまうこともあります。関係性が悪化すると、いざ資金が必要となったときに取引を断られてしまう可能性も否めません。他行へ借り換えするときは、借り換え元の銀行との今後の取引も視野に入れて判断することが大切です。
注意点3:借り換え先の金利・返済期間に無理がないか
事業融資の借り換えをする目的は、月々の返済負担を減らして資金繰りを改善することです。また、業績がよい場合に、より良い条件へと切り替えてさらなる成長を目指すというケースもあるでしょう。
そのため、借り換え後の返済負担については、十分にシミュレーションする必要があります。たとえば、返済期間が長くなると、金利は低くても返済総額が大きくなってしまうことがあります。短期的な資金繰り改善はもちろん重要ですが、中長期で見たときのメリット・デメリットについてもしっかり確認し、無理のない計画を立てることが大切です。
事業融資の借り換え以外の選択肢

事業融資の借り換えは資金繰りの改善を目指す手段の1つです。資金繰りの改善が目的であるなら、借り換え以外の選択肢も考慮しましょう。
①追加融資
追加融資とは、すでに受けている融資に追加して借り入れることです。審査にかかる時間が比較的短いため、事業拡大のために資金調達が必要な場合に有効な方法です。
手元資金を増やして資金繰りを改善するという目的で追加融資を受ける考え方もありますが、この場合は月々の返済額が増える点に注意が必要です。無理なく返済できるか、しっかりシミュレーションした上で判断しましょう。
②繰り上げ返済
業績が良いなら、繰り上げ返済も検討してみるとよいでしょう。繰り上げ返済は、まとまったお金を一括して支払い、返済期間を短縮するものです。月々の返済時にかかる金利を払う必要がなくなるぶん、返済総額が少なくなります。手元に潤沢な資金があるのであれば、繰り上げ返済も資金繰りを改善する一手です。
ただし、繰り上げ返済は金利の回収率が低くなるぶん、銀行としてはあまり歓迎されないこともあります。取引銀行との良好な関係づくりという視点も踏まえて、慎重な決断が必要です。
③リスケジュール
リスケジュールとは、返済期日を遅らせてもらえるよう、スケジュールの調整を図ることです。業績悪化などで返済が厳しくなっている場合に、資金繰りを改善する目的で行います。
銀行としては、返済が滞り、貸し倒れになるよりは期日を遅らせてでも回収できたほうがよいという判断をするため、交渉に応じてくれることがあります。ただし、交渉する際は、事業の改善計画を示した上で今後の返済計画を提示することが必要です。
また、リスケジュールは業績悪化による契約条件の変更となるため、原則、新しく融資を受けることができなくなる点に注意が必要です。
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事業融資の借り換えは、業績が向上している場合の返済計画の見直し、または業績が悪化している場合の資金繰りを改善する方法として用いられます。ただし、金利や返済期間をより良い条件にすることができても、長い目で見たときに、取引銀行との関係性に影響を及ぼす可能性がある点にも注意を払うことが大切です。
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